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人工呼吸器装着者等医療依存度の高い長期療養者への
24時間在宅支援システムに関する研究

追加集計結果について


1. ステーションの訪問看護を利用している人工呼吸器装着者の推計

回答のあったステーション数は896件で、人工呼吸器装着利用者がいると回答したステーションは274件(30.6%)であった。
回答のあったステーションが訪問している人工呼吸器装着利用者数は合計で468人(1事業所あたり平均では1.72人)であった。
調査票の回収率および抽出率を考慮すると、ステーションの訪問看護を利用している人工呼吸器装着者は全国で2,524人と推計される。
ただし、この結果については以下の点に注意が必要である。(1)人工呼吸器装着利用者がいるステーションの全てが回答しているわけではない。(2)この推計方法は各ステーションからの回答に偏りがないことを前提としているが、人工呼吸器装着利用者のいないステーションはいるステーションと比較して回答しない傾向があることが考えられる。

図表 1 ステーションの訪問看護を利用している人工呼吸器装着者の推計

回答のあったステーションの人工呼吸器装着利用者数(A) 468人
本調査の有効回収率(B) 30.7%
本調査の抽出率(C) 60.4%
ステーションの訪問看護を利用している人工呼吸器装着者数(推計)(A÷(B÷100×C÷100)) 2,524人


2. 都道府県別の集計について

都道府県ごとの回収数には大きなばらつきがあり(最高は東京都の57件、最低は佐賀県の2件)、都道府県別の集計は困難であった。
そこで、全国を7地域(北海道東北、関東甲信越、東海北陸、近畿、中国、四国、九州沖縄)に区分し地域別に集計を行った。
中国・四国地方では、現在人工呼吸器装着利用者を担当していないところが他の地域と比較して多く見られている。利用者がいるところだけについて人工呼吸器装着利用者数の平均を見ても、中国・四国地方は他の地域と比較して少ない。
一方、人工呼吸器装着利用者の24時間対応については、「対応できる」と回答したところは中国・四国地方でやや他地域よりも少ないものの、「条件によっては対応できる」を合わせると地域による差はあまり見られていない。

図表 2 人工呼吸器装着利用者の有無

図表 2 人工呼吸器装着利用者の有無


図表 3 人工呼吸器装着利用者への対応可能性

図表 3 人工呼吸器装着利用者への対応可能性


図表 4 1事業所あたりの人工呼吸器装着利用者平均人数

図表 4 1事業所あたりの人工呼吸器装着利用者平均人数


24時間対応を可能にするための必要な条件について地域別に見ると、ステーションに関連する課題(「ステーションの職員数の増員」「訪問看護師の資質の向上」)で地域による差が見られている。

図表 5 24時間対応を可能にするための必要な条件

図表 5 24時間対応を可能にするための必要な条件



3. 侵襲的な人工呼吸器を装着している利用者に関する集計

呼吸管理の侵襲・非侵襲別に集計したところ、無回答が約4割と多く、実施しているケアに関する設問で「気管切開部・カニューレのケア」を選択していても「非侵襲」と回答しているケースや、「侵襲」と回答して「気管切開部・カニューレのケア」を行っていないケースが見られた。無回答が多かったこととあわせて考えると、侵襲・非侵襲の設問が回答者に十分理解されていなかったことがうかがわれた。そのため、「気管切開部・カニューレのケア」を行っている場合に、侵襲的な人工呼吸器を装着しているものと解釈することとした。
以下では、主に侵襲的な人工呼吸器を装着している利用者(「気管切開部・カニューレのケア」を行っている利用者)302人分について分析した。

(1) 基本情報
「気管切開部・カニューレのケア」の有無による、性・年齢・発症年月日などの差は見られなかった。
要介護度認定の有無に差は見られなかったが、要介護度については「気管切開部・カニューレのケア」を行っている場合の方がそうでない場合に比べて重かった。

図表 6 基本情報

項目 気管切開部・カニューレケアありのケース (参考)気管切開部・カニューレケアなしのケース
性別 男性63.6%
女性 36.4%
男性60.4%
女性38.3%
年齢の平均 54.7歳 55.6歳
要介護認定ありの割合 68.2% 61.0%
  うち要介護度5の割合 86.9% 46.8%
平均的発症時期 平成6年1月 平成5年6月
平均的人工呼吸器装着時期 平成11年3月 平成11年4月
平均的在宅療養開始時期 平成12年1月 平成12年3月

(2) 提供サービス
「気管切開部・カニューレのケア」を行っている場合、回答したステーションからの訪問回数は平均15.0回/月であった。
10.3%の利用者が夜間訪問を行い、夜間訪問を行っている場合の夜間訪問回数は平均0.87回/月であった。

図表 7 訪問の状況(気管切開部・カニューレケアありの場合)

回答した事業所からの平均訪問回数 15.0回/月
夜間訪問を実施している場合の平均夜間訪問回数 0.87回/月
(参考) 人工呼吸器装着利用者のうち、夜間訪問を実施している割合
10.3%

回答した事業所で実施しているサービスについては、「吸引」「本人・家族への指導」「排痰ケア」「緊急時の対応」などを多く行っている。

図表 8 回答した事業所で実施しているサービス
(気管切開部・カニューレケアありの場合)

図表 8 回答した事業所で実施しているサービス


(3) サービスのニーズ
利用者本人・家族のサービスへのニーズについては、「日中の長時間型訪問看護サービス」47.7%、「レスパイトのための入院」32.1%が多く挙げられた。

図表 9 利用者本人・家族のサービスへのニーズ
(気管切開部・カニューレケアありの場合)

図表 9 利用者本人・家族のサービスへのニーズ


日中の長時間型訪問看護サービスを希望する場合のサービス量について、割合(有効回答のみ)を累積度数分布で示した。1回あたりの訪問時間は4時間程度で7割の希望が満たされる。また、訪問回数は週3〜4回で7割程度の希望が満たされる。
日中の頻回型訪問看護サービスを希望する量については、1日あたりの訪問回数は1日3回程度で7割の希望が満たされている。また、1週間あたりの訪問回数は約半数が週7回の訪問の希望を持っている。
夜間の長時間訪問看護サービスについては、多くが1日5時間以上の長時間滞在を希望しており、ほとんどが泊り込みに近いサービスを期待していることがうかがわれる。また、1週間あたりの訪問回数では、週5回程度の訪問で7割の希望が満たされるが、一方で週2回程度でも半数の希望が満たされる。
夜間の頻回型訪問看護サービスについては、一日あたり2回の訪問で8割以上の希望を満たすことができる。その一方で、1週間あたりの訪問回数は6割の人が7回を希望しており、「ほぼ毎日1〜2回」という訪問形態が期待されていると考えることができる。
レスパイトのための入院については、1ヶ月あたり6〜9日で8割の希望が満たされる。
デイサービスについては、週2回で8割の希望が満たされる。

図表 10 日中の長時間型訪問看護サービスの希望・1回あたりの時間(累積度数分布)
(気管切開部・カニューレケアありの場合)

図表 10 日中の長時間型訪問看護サービスの希望・1回あたりの時間


図表 11 日中の長時間型訪問看護サービスの希望・1週あたりの回数(累積度数分布)
(気管切開部・カニューレケアありの場合)

図表 11 日中の長時間型訪問看護サービスの希望・1週あたりの回数


図表 12 日中の頻回型訪問看護サービスの希望・1日あたりの回数(累積度数分布)
(気管切開部・カニューレケアありの場合)

図表 12 日中の頻回型訪問看護サービスの希望・1日あたりの回数


図表 13 日中の頻回型訪問看護サービスの希望・1週あたりの回数(累積度数分布)
(気管切開部・カニューレケアありの場合)

図表 13 日中の頻回型訪問看護サービスの希望・1週あたりの回数


図表 14 夜間の長時間型訪問看護サービスの希望・1回あたりの時間(累積度数分布)
(気管切開部・カニューレケアありの場合)

図表 14 夜間の長時間型訪問看護サービスの希望・1回あたりの時間


図表 15 夜間の長時間型訪問看護サービスの希望・1週あたりの回数(累積度数分布)
(気管切開部・カニューレケアありの場合)

図表 15 夜間の長時間型訪問看護サービスの希望・1週あたりの回数


図表 16 夜間の頻回型訪問看護サービスの希望・1日あたりの回数(累積度数分布)
(気管切開部・カニューレケアありの場合)

図表 16 夜間の頻回型訪問看護サービスの希望・1日あたりの回数


図表 17 夜間の頻回型訪問看護サービスの希望・1週あたりの回数(累積度数分布)
(気管切開部・カニューレケアありの場合)

図表 17 夜間の頻回型訪問看護サービスの希望・1週あたりの回数


図表 18 レスパイトの溜めの入院の希望・1ヶ月あたりの日数(累積度数分布)
(気管切開部・カニューレケアありの場合)

図表 18 レスパイトの溜めの入院の希望・1ヶ月あたりの日数


図表 19 デイサービスの希望・1週あたりの回数(累積度数分布)
(気管切開部・カニューレケアありの場合)

図表 19 デイサービスの希望・1週あたりの回数



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