論点 |
厚生労働省としての考え方 |
【総論】 |
1. |
制度の役割に係る認識
特定業種に従事する労働者にとって、特定業種退職金共済制度がセーフティーネットとしての役割を担っていることを認識すべき。 |
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特定業種に従事する期間雇用者にとって、他の企業年金等が利用できないという実態に鑑み、特定業種退職金共済制度が退職後の生活の安定に大きな役割を果たしていることを認識しつつ、その役割を将来にわたり確実に果たすことができるようにしていくことが必要である。 |
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(1) |
建設業及び林業の置かれた現状が厳しい中、当該業種に従事する労働者の労働者福祉・労働力の質の低下を招かないためにも、一定の労働条件を確保すべき。 |
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建設業及び林業の置かれた現状や当該業種の労働者の実情を認識しつつ、建設業退職金共済制度及び林業退職金共済制度の在り方、制度の将来に渡る存続について議論を行っている。 |
(2) |
予定運用利回りの見直しのみではなく、制度全般の在り方について議論すべき。 |
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特定業種に従事する期間雇用者に対して退職金制度を提供するという、制度が果たす第一の役割を果たすために、予定運用利回りの見直し、制度の適正履行、加入促進等について総合的に議論を行っている。 |
【各論】 |
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(1) |
現行制度のまま維持した場合、財政状況が悪化するのは必至であり、予定運用利回りの見直しを実施すべき。 |
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将来にわたって持続する制度とするため、予定運用利回りを引き下げる。 |
(2) |
経済情勢の先行きが不透明な状況で見直しを実施することについて適当か。 |
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昨今の経済情勢に鑑みれば、現行の予定運用利回りを維持すれば、財政状況が悪化することは明らかであり、日々生じている債務を将来に加入してくる被共済者への負担として、つけ回しをしないためにも、早急に予定運用利回りの見直しを行い、財政状況の悪化に歯止めをかけるべきである。 |
(3) |
予定運用利回り見直し後において経済情勢が好転した場合には、予定運用利回りを引き上げるべき。 |
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予定運用利回りについては、今後の経済状況、制度の財政状況等を総合的に勘案して、機動的に見直すこととしている。 |
2. |
適正履行・加入促進
労働者が制度への加入を認識すること、事業主が就労実績に応じて証紙を貼付することが受給権の確保につながるため、予定運用利回りの見直しに合わせて、適正履行対策が講じられるべき。 |
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建設業退職金共済制度においては、「建退共制度改善方策について」(平成11年3月労働省・建設省・勤労者退職金共済機構)を実施してきたところであるが、今後とも、その着実な実施を図る。また、当該改善方策の効果を把握するため、「建設業退職金共済制度の実態調査(仮称)」を実施することとする。 |
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また、特定業種に従事する期間雇用者に制度が十分に普及していないため、更なる加入促進を図るべきである。 |
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勤労者退職金共済機構において、未加入事業者リスト作成による集中的な加入促進活動や関係省庁の協力を得ながらの加入促進を行うこととしている。 |
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(1) |
掛金納付方法について、事務処理上の負担等を考慮して、現行の証紙方式からカード方式への移行を計るべきである。また、制度変更に係る費用負担について国からの助成措置を講ずるか否か明らかにすべき。 |
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現行方式のメリット・デメリットを勘案しつつ、就労実績に応じた掛金納付を確保することを目的とし、中長期課題として検討(別添参照)。
なお、現在の厳しい国の財政状況に鑑みると、新たな掛金納付方法の導入に係るコストにつき、国からの助成措置を講じることについては慎重な検討が必要である。 |
(2) |
一般の中小企業退職金共済制度において事業主が掛金月額を選択可能であるということに鑑み、特定業種退職金共済制度においても、掛金日額を選択可能なものとするべき。 |
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今後、事業主の負担、制度に対するニーズ、制度導入による問題点等を整理する必要がある。
なお、掛金日額は単一であることが法定事項とされていることから、早急な対応は困難。 |
(3) |
国としても、加入促進を強化するため、掛金助成措置の拡充を図るべきである。 |
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現在、新規加入者について行われている掛金助成について、維持・充実できるよう努力。 |
(4) |
退職金水準の大きな低下を避けるためにも、掛金日額の引上げについて、予定運用利回りと合わせて議論すべき。 |
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掛金日額については、勤労者退職金共済機構において決定される事項であるが、厚生労働省としても、関係各方面へ協力を依頼しているところ。 |