戻る

第2回「血漿分画製剤の製造体制の在り方に関する検討会」概要


日時:平成14年11月5日(火)10:00〜12:30

○ 委員18名中16名が出席

○ 委員、参考人による意見陳述。

○ 主要な議論
 同じ製剤、同じ効能、同じ経路で患者に投与されるのであれば日本製品も輸入製品も同じ規制が適用されるべき。
 日本では報酬がなくても献血に来るが、米国は報酬がなければ来てくれないという点が決定的に異なる。
 日本の患者が必要な治療を完全に受けられるようにするためには、製剤輸入しかない。国境を閉ざしてしまえば、英国のBSEのような事態が生じた場合に対応できない。
 米国における報酬はまさにチップ。日本ではチップは価格に含まれている。現に、日本でも献血者に対し様々なサービスが提供されており、米国と状況は変わらない。
 日赤は「献血は国民からの預かり物」と主張するが、誰の権限で配分するのかが不明確では、供給体制が確立しないし、緊急時に対応できない。
 日本では売血から献血になって肝炎の感染率が下がってきた。お金が介在すると問題が起きる。米国ではチップとのことだが、プラズマセンターでは、供血回数に応じた金額が掲示されている。
 献血供給事業団の位置づけが不明確。
 製造委託を悪いと決めつけず、様々な案との比較の中で考えるべき。
 必要な血液製剤をすべて日赤が作る能力はあるのか。また、製造能力を効率化したり、技術開発をするインセンティブはあるのか。
 PPTAの案は、薬価差等の問題を解決できない。
 平成2年の政策により、メーカー、日赤、国との三者合意で日赤の能力を超えた分について民間にも供給を行わせることとなった。C案に近いもの。政策の一貫性を大事にして欲しい。
 PPTAの案は、国内で製造できない製剤については一考の余地がある。
 日本では第VIII因子製剤の使用が各国よりも少ないが、これは予防のために使われていなかったから。これからは血友病患者の関節症の予防も意識した治療が必要。
 精神論と実務的な案とが一緒に議論されている。「血液をお預かりする」というのは精神論として理解できるが、日赤の所有物と位置づけない限り法律体系はできない。
 献血は無償といっても、献血者への呼びかけや採血、血液製剤の製造・供給には、設備費や人件費がかかるので、その分を回収しなければならない。
 国営方式は、安全性は担保されるかもしれないが、国際的な技術進歩に取り残される可能性もある。
 血漿分画製剤については、日赤の製造能力は小さく、日赤のみで国内自給を達成することは無理。また、製造効率も悪い。国内4社を合わせれば、国内需要を満たす能力はあるし、海外の先進技術を導入する誘引も働く。
 病院経営が苦しい中、僅かな薬価差を求めて輸入製剤を買う場合がある。
 日赤や供給組織が供給を一元化して、価格を高止まりさせて血液製剤を使わせない、という施策は本末転倒である。鎖国論は通らない。競争状態を維持すべき。
 血液製剤の適正使用は、必ずしも薬価の問題ではなく、医療に対する指導の問題。
 日赤は、特殊な法人であり、血液事業を担うのにふさわしい組織体制であるかが重要な問題。
 薬価差がなければ、製剤の信頼性を基準にした競争が行われる。
 日赤は認可法人。法人改革が騒がれる中、日赤の透明性、効率性を高める努力も必要。
 より多くの人に献血思想を広める必要がある。献血者がどのような意見を持っているか聞く必要がある。
 原料血漿を配分するに当たっては、日赤が製造に要した原料血漿の余りを他社に配分するのではなく、日赤も民間も同等の条件で、国が責任をもって原料血漿を配分することが望ましい。

○議論を踏まえ、森嶌座長から以下のとおり総括意見があった。
 安全性のチェックや情報の公開は国の責任であり、どの案を採ろうとそれは同じ。この検討会では、それを前提として、製造・供給にどれだけ国が関わっていくかを議論すべき。
 グローバリゼーションの進展を考慮すると、血液製剤だけを鎖国的に取り扱うことは難しい。まず、国内の製造体制で需要をまかなえるのかを議論すべき。
 国内技術が高くて、海外メーカーが入りたくても入れない状態になれば、海外メーカーも納得する形で国内自給ができる。
 次回の検討会では、国内の血液製剤の製造コストや国内外の血漿の安全性確認の方法について資料を作成して欲しい。
 また、本日の議論を踏まえた製造供給体制案を示して欲しい。


(了)



トップへ
戻る