戻る

出自を知る権利及び真実告知について(意見及び資料提供) 2003.2.25
帝塚山大学 才村眞理

 以下について提案します。
1 子どもの出自を知る権利は、特定できる個人情報を開示することが出来ることが必要である。
 その理由は、知りたくない子どもには開示される必要はないが、知りたいとする子どもには、最終的には全面開示が必要と思われる。自身の存在の中に、知らない部分があるのは、人間を不安にさせ、アイデンティティの確保が出来ない。子どもがどれだけ希望しても知ることが出来ない場合、絶望感をもつことが想像される。知ることが出来るということだけでも、これからの生きる展望につながると思われる。知ることが出来るとわかること、知ること、会うという行動をおこすこと等には段階があり、必ず会いに行くとは限らない。

2 上記1を確保した場合、その個人情報を知らせることが子どもの最善の利益にかなうかどうかの判断をし、子どもの苦悩等についてサポートすることの出来る機関、人が必要である。同時に、子どもだけでなく、夫婦、提供者やその子どもに対しても希望する場合サポートが受けられることとする。
 少なくとも18歳未満あるいは成人に至るまでの子どもには、発達段階を考慮し、子どもの状況に応じた開示が出来る体制が必要である。例えば、公的管理運営機関にカウンセラー及びソーシャルワーカーをおく等。

3 法律制定後の提供者及び実施する夫婦については、子どもの出自を知る権利のために、提供者の特定できる個人情報を子どもに開示される可能性があることについて、インフォームドコンセントを得る。

4 子どもの出自を知る権利の確保のためには、夫婦から子どもへ真実告知をする必要がある。しかし、告知を強制することはできないので、告知の必要性について実施する前に十分説明することが必要である。この告知の内容は、あなたが生殖補助医療によって生まれた子どもであり、夫婦にとってかけがいのない存在である等であり、提供者が誰と言う情報は含まない。
 里親制度における真実告知は、別添資料にあるように、告知した時の年齢が上がるほど子どもの心理的ショックも大きくなり、なるべく早いうちに、親子関係が良い状態の時に告知することが良いとされている。生殖補助医療においても同様のことが言えると思われる。他から情報が漏らされた場合は、夫婦を恨み、攻撃する可能性がある。

5 子どもが真実を知ってしまう可能性がゼロでない限り、上記のシステムを確保する必要がある。
 子どもが知る可能性には、親に似ていない等なんとなく気づく、親子関係がうまくいかなくなった時親は真実を言いたくなる、他から情報が漏れる等。


トップへ
戻る