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資料4

生殖補助医療部会委員および傍聴者の方に配布されることを期待します出自を知る権利について

加藤尚武

(シナリオ1)配偶子の提供者は、自分が同定される情報の提供にすでに同意しているのでなければならない。親は子どもが15歳になったときに「お前は生殖補助医療によって生まれた」と告知しなくてはならない。「お前が自分の出自を知りたいと思うならば申し出るように。配偶子の提供者を同定しうる情報を請求するか、それとも提供者の同定は不可能だがお前の合理的な選択にとって必要な情報を請求するか、あるいは、提供者について、何の情報も請求しないかは、お前が自分で決定しなさい。」
1、配偶子の提供者の、自分が同定されうる情報の提供に同意する義務がある。
(提供者のプライバシー権は著しく制限されている)
2、子どもが15歳になったときに告知する親の義務がある。(告知について親の選択権はない)
3、開示される情報の範囲は、子どもが選択し、親には選択権がない。

(シナリオ2)提供者には、「提供者を同定しうる情報の提供に同意するか、提供者の同定は不可能である範囲内において子どもの合理的な選択にとって必要な情報の提供に同意するか」の選択権を持つ。(提供者のプライバシー権はあまり制限されない)
 親は「お前は生殖補助医療によって生まれた」と告知するかしないかの選択権を子どもが十五歳を過ぎてももつ。しかし「お前は生殖補助医療によって生まれたのではない」と嘘をつくことは許されない。
 子どもが、十五歳を過ぎたのちに自分の出自を知りたいと述べたときに、提供者の同意する範囲内の情報の提供を拒否することはできない。
1、配偶子の提供者の、開示可能な情報の選択権がある。(提供者のプライバシー権はあまり制限されていない)
2、子どもが15歳になった以後でも告知する親の義務はないが、嘘をつく権利はない。
3、開示される情報の範囲は、子どもが選択し、親には選択権がない。

(シナリオ3)提供者は(シナリオ2)と同じ選択権をもつ。
 親は「お前は生殖補助医療によって生まれた」と告知するかしないかの選択権を子どもが十五歳を過ぎてももつ。
 子どもが、十五歳を過ぎたのちに自分の出自を知りたいと述べたときに、「お前は生殖補助医療によって生まれたのではない」と嘘をつくことも許される。提供者が自分が同定される情報の提供にすでに同意していたとしても、親は開示すべき情報の範囲についての選択権をもつ。つまり、提供者を同定しうる情報を選ぶか、提供者の同定は不可能である範囲内において子どもの合理的な選択にとって必要な情報を選ぶか。しかし、提供者の存在を認めた場合には、どちらの情報も与えないという選択は認めない。
1、配偶子の提供者の、開示可能な情報の選択権がある。(提供者のプライバシー権はあまり制限されていない)
2、子どもが15歳になった以後でも告知する親の義務はないし、嘘をつく権利もある。
3、開示される情報の範囲は、親が選択し、子どもには選択権がない。
 情報の公的管理機関は、子どもに権利がある場合には、親の承諾がなくても情報を開示することができる。しかし、親に情報の範囲の選択権がある場合には、公的管理機関は親の承認する範囲の情報を提供する。

(私の結論)
 子どもには知る権利があるが、知らされない権利もある。知らされて子どもが不幸になるかならないかの判断は、親だけがすることができるので、(シナリオ3)を私は支持する。(了2/12)


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