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III 食品衛生法、JAS法の関係


 1.法体系

 2.義務表示事項

 3.表示禁止事項・任意表示事項



1.法体系

法律名 食品衛生法 農林物資の規格化及び品質
表示の適正化に関する法律
目的 飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与する 一般消費者の選択に資し、もって公共の福祉の増進に寄与する
表示対象 容器包装された販売の用に供する食品又は添加物等 一般消費者向けの全ての飲食料品
表示義務
事項
あり あり
  主な義務
表示事項







名称
消費期限又は品質保持期限
添加物
保存の方法
アレルギー物質を含む旨
等(省令で規定)














名称
消費期限又は品質保持期限
原材料(原材料としての添加物を含む)
保存の方法
原産地
等(告示で規定)







監視体制 【収去検査・立入検査】

国及び自治体に配置された食品衛生監視員(医師・獣医師・薬剤師等)
【立入検査】

県内業者:都道府県中心
広域業者:農林水産省、(独)農林
  水産消費技術センター中心
是正措置
(1) 営業許可の取消し、営業の禁止又は停止
(2) 食品等の廃棄命令等
(3) 6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金
   指示
 → 命令
 → 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、法人については1億円以下の罰金
 品質保持期限と賞味期限については、食品衛生法及びJAS法において、いずれの表記を用いてもよいこととされている


(参考)表示に関する法律の規定

  食品衛生法 農林物資の規格化及び品質
表示の適正化に関する法律
法律の条文
11条 厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、販売の用に供する食品若しくは添加物又は前条第1項の規定により規格若しくは基準が定められた器具若しくは容器包装に関する表示につき、必要な基準を定めることができる。

(2)  前項の規定により表示につき基準が定められた食品、添加物、器具又は容器包装は、その基準に合う表示がなければ、これを販売し、販売の用に供するために陳列し、又は営業上使用してはならない。

12条 食品、添加物、器具又は容器包装に関しては、公衆衛生に危害を及ぼす虞がある虚偽又は誇大な表示又は広告はこれを行つてはならない。
19条の8 農林水産大臣は、飲食料品の品質に関する表示の適正化を図り一般消費者の選択に資するため、農林物資のうち飲食料品(生産の方法に特色があり、これにより価値が高まると認められるものを除く。)の品質に関する表示について、農林水産省令で定める区分ごとに、次に掲げる事項のうち必要な事項につき、その製造業者又は販売業者が守るべき基準を定めなければならない。

(1)名称、原料又は材料、保存の方法、原産地その他表示すべき事項

(2)表示の方法その他前号に掲げる事項の表示に際して製造業者又は販売業者が遵守すべき事項

農林水産大臣は、飲食料品の品質に関する表示の適正化を図るため特に必要があると認めるときは、前項の基準において定めるもののほか、同項に規定する飲食料品の品質に関する表示について、その種類ごとに、同項各号に掲げる事項につき、その製造業者又は販売業者が守るべき基準を定めることができる。
表示の基準 省令等で規定 告示等で規定



2.義務表示事項

  食品衛生法 JAS法
加工食品 生鮮食品
名称
(品名)
原材料名    
添加物
(3)
 
原産地
又は
原産国
 
(4)
内容量  
(5)
消費期限
(1)
 
賞味期限又は
品質保持期限
(2)
 
保存方法  
製造者等(輸入業者)
の氏名又は名称及び
製造所等(輸入業者)
の所在地

(6)
遺伝子組
換え食品
である旨
アレルギー
物質を
含む旨
   


(1)消費期限は、期限が製造又は加工日を含めておおむね5日以内のもの
(2)賞味期限又は品質保持期限は、消費期限を規定する食品以外の食品へ表示するもの
(3)原材料の一環として、添加物の表示を求めている
(4)輸入品に限る
(5)特定商品(食肉、野菜及び果実等)であって、容器に入れ、又は包装されたものに限る
(6)特定商品(食肉、野菜及び果実等)であって容器に入れ、又は包装されたものについては、販売業者の氏名又は名称及び住所を表示する

※食品によっては、これらの事項に加えて、幾つかの事項の表示が義務付けられる


(1)表示対象品目
 (1)生鮮食品

食品衛生法 農林物資の規格化及び品質
表示の適正化に関する法律
シアン化合物を含有する豆類、かんきつ類、バナナ、大豆、とうもろこし、ばれいしょ、菜種及び綿実 農産物



収穫後調整、選別、水洗い等を行ったもの、単に切断したもの及び単に冷凍したものを含む


 
鶏の卵(殻付き) 畜産物



単に切断、薄切り等した肉類並びに単に冷蔵及び冷凍した肉類を含み、食用鳥卵は殻付きのものに限る


食品衛生法上、食肉は加工品として取り扱うこととしている
 
食品衛生法上、切り身又はむき身の鮮魚介類及び冷凍魚介類、生かきは加工品として取り扱うこととしている
水産物



切り身、刺身、むき身、単に冷凍したもの、解凍したもの及び生きたものを含む


 


 (2)加工食品

食品衛生法
(容器包装に入れられたものに限る)
農林物資の規格化及び品質
表示の適正化に関する法律
(容器包装に入れられたものに限る)
加工食品


食肉、切り身又はむき身の鮮魚介類及び冷凍魚介類、生かきを含む

加工食品

酒精飲料

 


(2)食品ごとの表示事項(1)

法律名   食品衛生法   JAS法
区分 生鮮食品(1) 加工食品(1) 生鮮食品
シアン化合物を含有する豆類 大豆、とうもろこし、ばれいしょ、菜種及び綿実 鶏の卵
(殻付き)
かんきつ類、バナナ 切り身又はむき身にした魚介類 食肉 生かき
名称(品名) (4) (5)
製造者等(輸入業者)の氏名又は名称及び製造所等(輸入業者)の所在地 (5) (6) (5)   ▲(12)
消費期限(14) (3) (5) (7) (5)  
賞味期限又は
品質保持期限(15)
(3) (5) (7) (5)  
保存方法     (8) (9)  
使用方法            
添加物 (5) (10)  
内容量                 ▲(13)
原産地(国)               ●(11)
生食用であるかないかの別            
冷凍に関する事項                
販売価格                
その他       (2)


(1)容器包装に入れられたものに限る
(2)水産物、玄米及び精米(容器包装に入れられたものに限る)については、これらの事項に加えて、幾つかの事項の表示が義務付けられる
(3)輸入年月日を記載する
(4)立て札等により近接した場所に掲示がなされている場合その他見やすい場所に名称が記載されている場合にあっては、名称の表示を省略することができる。
(5)省略することができる
(6)採卵又は選別を行った所在地及び氏名を記載する
(7)加熱加工用にあっては、採卵日等又は包装日を記載することができる
(8)生食用にあっては、10℃以下で保存することが望ましい旨を記載する
(9)保存方法が定められていない場合は省略できる
(10)防かび剤又は防ばい剤として使用される添加物を含むものに限る
(11)生食用にあっては採取された海域又は湖沼を表示する
(12)特定食品(食肉、野菜及び果実等)であって容器包装に入れられたものについては、販売業者の氏名又は名称及び住所を表示する
(13)特定食品(食肉、野菜及び果実等)であって容器包装に入れられたものに限る
(14)消費期限は、期限が製造又は加工日を含めておおむね5日以内のもの
(15)賞味期限又は品質保持期限は、消費期限を規定する食品以外の食品へ表示するもの


(参考)具体的な表示の例(1)

具体的な表示の例(1)の図


(2)食品ごとの表示事項(2)

法律名   食品衛生法   JAS法
法律名 加工食品(1) 加工食品(1)
名称(品名)
製造者等(輸入業者)の氏名又は名称及び製造所等(輸入業者)の所在地
消費期限(4)
賞味期限又は
品質保持期限(5)
保存方法
添加物   ●(2)
 
原材料名      
内容量  
内容量     ▲(3)
 
主要成分量        
殺菌温度、時間    
開封後の取扱    
原料の配合割合    
油脂含有率    


(1)容器包装に入ったものに限る。また、食品によっては、これらの事項に加えて、幾つかの事項の表示が義務付けられる
(2)原材料の一環として、添加物の表示を規定している
(3)輸入品に限る
(4)消費期限は、期限が製造又は加工日を含めておおむね5日以内のもの
(5)賞味期限又は品質保持期限は、消費期限を規定する食品以外の食品へ表示するもの


(参考)具体的な表示の例(2)

具体的な表示の例(2)の図


(参考)具体的な表示の例(3)

具体的な表示の例(3)の図



3 表示禁止事項・任意表示事項

  食品衛生法 農林物資の規格化及び品質
表示の適正化に関する法律
表示禁止事項
 食品、添加物、器具又は容器包装に関して、公衆衛生に危害を及ぼす虞がある虚偽又は誇大な表示又は広告

 保健機能食品以外の食品につき、保健機能食品と紛らわしい名称、栄養成分の機能及び特定の保健の目的が期待できる旨の表示をしてはならない

 栄養機能食品であって特定保健用食品でない食品にあっては、特定の保健の目的が期待できる旨の表示をしてはならない
 表示事項の内容と矛盾する用語

 その他内容物を誤認させるような文字、絵、写真その他の表示

 組換えDNA技術を用いて生産された農作物の属する作目以外の作目及びこれを原材料とする加工食品において、遺伝子組換えでないことを示す用語
任意表示事項
 「遺伝子組換えでない」旨の表示規制
 「遺伝子組換えでない」旨の表示を非遺伝子組換え農産物及びこれを原材料とする加工食品に行うには、分別生産流通管理が行われたことを確認したものでなければならない

 保健機能食品の表示規制
・栄養機能食品について表示を行うには、国の定める規格基準に適合していなければならない
・特定保健用食品について表示を行うには、個別に厚生労働大臣の許可を受けたものでなければならない

 アレルギー物質を含む食品として、通知による19品目について、これらを原材料として含有する旨を可能な限り表示する(勧奨表示)
 「遺伝子組換えでない」旨の表示規制
 「遺伝子組換えでない」旨の表示を非遺伝子組換え農産物及びこれを原材料とする加工食品に行うには、分別生産流通管理が行われたことを確認したものでなければならない

 「有機」等の表示規制制
 「有機栽培」、「オーガニック」等の表示を農産物及び農産物加工食品に行うには、JAS規格(日本農林規格)の格付けを受けたものでなければならない


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