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参考資料8−1

支援費制度の概要について


1 支援費制度の全体像

 (1) 支援費制度の目指すもの
 平成12年6月に「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」が成立し、社会福祉事業や措置制度等の社会福祉の共通基盤制度について、今後増大・多様化が見込まれる国民の福祉ニーズに対応するための見直しが行われた。

 この社会福祉基礎構造改革の一つとして、障害者福祉サービスについては、利用者の立場に立った制度を構築するため、これまでの行政がサービスの受け手を特定し、サービス内容を決定する「措置制度」から、新たな利用の仕組み(「支援費制度」)に平成15年度より移行することとなった。

 支援費制度においては、障害者の自己決定を尊重し、利用者本位のサービスの提供を基本として、事業者との対等な関係に基づき、障害者自らがサービスを選択し、契約によりサービスを利用する仕組みとしたところである。

 これにより、事業者は、行政からの受託者としてサービスを提供していたものから、サービス提供の主体として、利用者の選択に十分応えることができるようサービスの質の向上を図ることが求められることとなる。

 (2) 基本的な仕組み

 障害者福祉サービスの利用について支援費の支給を希望する者は、必要に応じて適切なサービスの選択のための相談支援を市町村等から受け、市町村に対し支援費の支給申請を行う。
 市町村は、支給を行うことが適切であると認めるときは、申請を行った者に対して支援費の支給決定を行う。
 支援費の支給決定を受けた者は、都道府県知事の指定を受けた指定事業者又は施設との契約により、障害者福祉サービスを利用する。
 障害者福祉サービスを利用したときは、
 本人及び扶養義務者は、指定事業者又は施設に対し、障害者福祉サービスの利用に要する費用のうち本人及び扶養義務者の負担能力に応じて定められた利用者負担額を支払うとともに、
 市町村は、障害者福祉サービスの利用に要する費用の全体額から利用者負担額を控除した額を支援費として支給する(ただし、当該支援費を指定事業者又は施設が代理受領する方式をとる。)。

図

  ※ やむを得ない事由により上記の方式の適用が困難な場合には、市町村が措置により、障害者福祉サービスの提供や施設への入所を決定する。

 (3) 対象となる障害者福祉サービス
  身体障害者福祉法 知的障害者福祉法 児童福祉法(障害児関係のみ)
支援費制度の対象サービス 施設訓練等支援
身体障害者更生施設
知的障害者更生施設
 
身体障害者療護施設
   
身体障害者授産施設
(小規模通所授産施設を除く)
知的障害者授産施設
(小規模通所授産施設を除く)
 
 
知的障害者通勤寮
 
 
心身障害者福祉協会が設置する福祉施設
 
居宅生活支援
身体障害者居宅介護等事業
(ホームヘルプサービス)
知的障害者居宅介護等事業
(ホームヘルプサービス)
児童居宅介護等事業
(ホームヘルプサービス)
身体障害者デイサービス事業
知的障害者デイサービス事業
児童デイサービス事業
身体障害者短期入所事業
(ショートステイ)
知的障害者短期入所事業
(ショートステイ)
児童短期入所事業
(ショートステイ)
 
知的障害者地域生活援助事業
(グループホーム)
 

 (4) 事業者、市町村、都道府県、国の各役割

図

  ・ 事業者の役割
 事業者は、利用者の心身の状況等に応じて適切なサービスを提供するとともに、その質の評価を行うこと等により、常に利用者の立場に立ってサービスを提供することに努める(社会福祉法第5条、第75条第1項、第76条、第77条、第78条第1項及び第82条等)。

  ・ 市町村の役割
 市町村は、地域住民に身近な行政主体として、障害者に対する支援体制の整備に努めるとともに、利用者本位のきめ細やかな対応により支援費の支給決定等を行う(社会福祉法第6条及び第75条第2項等)。

  ・ 都道府県の役割
 都道府県は、市町村において制度が円滑に行えるよう必要な支援を行うとともに、事業者又は施設の指定及び指導又は監督を行う(社会福祉法第6条及び第75条第2項等)。

  ・ 国の役割
 国は、制度全体の枠組みを示し、制度が円滑に行えるよう都道府県及び市町村への支援を行う(社会福祉法第6条、第75条第2項及び第78条第2項等)。

 (5)制度の基本的な流れ
図

 (6) 支援費制度施行までの日程(案)
    都道府県等 市町村
14
年度
I
全国担当者会議の開催
事業者指定関係省令の公布
支援費支給決定関係政省令の公布
その他の手続き関係政省令の公布
市町村等事務処理要領の提示
全国担当者会議の開催
事業者説明会の開催
支援費支給決定事務に係る市町村職員説明会の開催
支援費制度についての広報・啓発
相談体制の整備
II
支援費国庫負担等概算要求
支援費基準・利用者負担の骨格提示
障害程度区分に係る市町村職員説明会の開催
事業者の指定開始
事業者台帳の整備、事業者情報市町村へ周知
知的施設入所者等情報を市町村に移管
支給決定に係る審査基準の策定
サービス利用者の把握、申請の勧奨
標準事務処理期間の設定
III  
15'施行のための予算要求等
支給申請受付開始及び支給決定開始

15'施行のための予算要求等
IV
15'障害保健福祉関係予算の確定
支援費基準、利用者負担関係告示等の公布
全国担当者会議の開催
15'障害保健福祉関係予算の確定
15'障害保健福祉関係予算の確定
受給者証交付
15年度 制度発足

2 支給決定に関すること

 (1) 支給決定の際の勘案事項について

 支援費の支給決定については、法律上、厚生労働省令で定める事項を勘案して、その要否を決定し、居宅生活支援費であれば、支給量と支給期間を、施設訓練等支援費であれば、障害程度区分と支給期間を定めることとしている。

 厚生労働省令で定める勘案事項は、以下のとおりである。
 (1) 障害の種類及び程度その他の心身の状況
 (2) 介護を行う者の状況(※1)
 (3) 居宅生活支援費の受給の状況
 (4) 施設訓練等支援費の受給の状況
 (5) 居宅支援及び施設支援以外の保健医療サービス又は福祉サービス等の利用の状況
 (6) 利用に関する意向の具体的内容
 (7) 置かれている環境
 (8) 指定居宅(施設)支援の提供体制の整備の状況(※2)

※1 介護を行う者がいる場合に支援費の支給を行わないという趣旨ではない。
※2 サービスの基盤整備は重要な課題であり、支援費制度導入の趣旨を勘案し、都道府県、市町村はニーズを踏まえた基盤整備に向けてより一層取り組む必要がある。

 (2) 支給期間について

 支援費を支給する期間については、障害の程度や介護を行う者の状況等の支援費の支給決定を行った際に勘案した事項が変化することがあるため、市町村が障害者の状況を的確に把握し、提供されているサービスの適合性を確認するとともに、適切な障害程度区分又は支給量について見直しを行うため、厚生労働省令で定める期間を超えない範囲で市町村が定めるものである。

 省令で定める期間
支援の種類 期間
身体障害者居宅支援、知的障害者居宅支援(知的障害者地域生活援助(グループホーム)を除く。)、児童居宅支援 「1年」
知的障害者地域生活援助(グループホーム) 「3年」
身体障害者施設支援、知的障害者施設支援 「3年」
 (※) 支給期間の終了に際しては、改めて支援費の支給決定を受けることにより継続してサービスを受けることは可能である。

 (3) 障害程度区分について

 障害程度区分は、重度障害者に対する支援が適切に行われるよう、施設訓練等支援費の額について、障害の程度に係る区分に応じた差異を設けるものであり、各施設支援毎(入所・通所別。)に3区分設定する。

○ 障害程度区分の決定方法

 障害程度区分の決定は、各施設支援毎に設定したチェック項目について、市町村が申請者等に対する聴き取りを行うことにより決定する。

 各チェック項目については、支援の態様や支援を要する頻度等による選択肢が3つずつ設定されている。
 市町村は、(1)申請者の状態が各チェック項目についてどの選択肢に該当するかをチェックの上、(2)各項目に係る選択肢に支援の必要性の大きい順に2点、1点、0点を与えたときの合計点数を算出し、(3)合計点数と障害程度区分との対応関係を示した認定表と対照の上、障害程度区分を決定する。
 また、各項目に係る選択肢について、どれに該当するかを市町村が的確に判断できるよう、具体的な判断の基準を示したところである。
 なお、決定に当たり特に専門的な知見が必要であると市町村が認める場合には、更生相談所に対して意見を求めることとしている。

 (チェック項目の例)

 (1)身体障害者療護施設(合計23項目)
生活動作等支援 社会参加等支援
ア.ベッド上での起床及び就寝の介助 テ.強いこだわり、多動、パニック等の不安定な行動への対応
イ.車いすとベッド間の移乗の介助 ト.集団生活等における不適応行動に関する支援
ウ.洗面、歯磨き等の整容に関する支援 ナ.日常生活における不安、悩み等に関する相談援助
エ.衣服の着脱の介助 ニ.外出、買い物、地域の活動への参加等に関する支援
オ.屋内での移動の介助 ヌ.在宅生活に必要な生活関連行為の習得に関する支援
カ.屋外での移動の介助 ネ.車いすの操作、歩行、日常生活動作等に関する訓練
キ.体位変換の介助 ノ.各々の障害に応じた手段による意思疎通に関する支援(ハを除く。)及び意思疎通の訓練
ク.食事の準備及び後片付けに関する支援 ハ.代筆、電話の仲立ち等の支援
ケ.摂食行為に関する支援 ヒ.退所後の生活に向けた住宅の確保、生活支援の体制作り等に関する支援
コ.排せつ行為に関する支援  
サ.入浴の準備及び後片付けに関する支援
シ.入浴の介助又は入浴中の見守り
ス.医療処置、受診等に関する援助
セ.医師等による診断結果等の説明の理解に関する支援
ソ.健康管理に関する支援
タ.清潔保持に関する支援
チ.金銭管理に関する支援
ツ.衣類、身の回り品等の管理に関する支援

 (2)知的障害者授産施設(入所)(合計26項目)
生活動作等支援 社会参加等支援
ア.屋内及び屋外での移動の介助 コ.強いこだわり、多動、パニック等の不安定な行動への対応
イ.食事の準備、摂食及び後片付けに関する支援 サ.睡眠障害並びに食事及び排せつに係る不適応行動への対応
ウ.排せつ行為に関する支援 シ.自傷行為並びに他人及び物に対する粗暴な行為への対応
エ.入浴の介助、入浴中の見守り等の支援 ス.日常生活における不安、悩み等に関する相談援助
オ.医療処置、受診等に関する援助 セ.外出、買い物等に関する支援
カ.医師等による診断結果等の説明の理解に関する支援 ソ.余暇活動及び地域の活動への参加等に関する支援
キ.健康管理に関する支援 タ.作業のための動機付けに関する支援
ク.清潔保持に関する支援 チ.作業内容の理解に関する支援
ケ.金銭管理、身の回り品の管理等の生活管理に関する支援 ツ.在宅生活に必要な生活関連行為の習得に関する支援
  テ.作業のための送迎及び移動に関する支援
ト.作業中の安全への配慮
ナ.作業の準備及び後片付けに関する支援
ニ.作業技術の習得及び作業の遂行に関する支援
ヌ.各々の障害に応じた手段による意思疎通に関する支援(ネを除く。)及び意思疎通の訓練
ネ.代筆、電話の仲立ち等の支援
ノ.退所後の生活に向けた生活支援の体制作り等に関する支援
ハ.就職先の選定及び就職先との調整に関する支援

 障害程度区分の内容

 障害程度区分の認定表は、次のとおりである。

障害程度区分の設定基準

障害程度区分 身障更生
(入所)
身障更生
(通所)
身障療護
(入所)
身障療護
(通所)
区分A 25点〜44点 21点〜36点 37点〜54点 32点〜46点
区分B 11点〜24点 9点〜20点 21点〜36点 18点〜31点
区分C 0点〜10点 0点〜8点 0点〜20点 0点〜17点

障害程度区分 身障授産
(入所)
身障授産
(通所)
知的更生
(入所)
知的更生
(通所)
区分A 31点〜52点 29点〜46点 28点〜50点 23点〜36点
区分B 11点〜30点 13点〜28点 14点〜27点 11点〜22点
区分C 0点〜10点 0点〜12点 0点〜13点 0点〜10点

障害程度区分 知的授産
(入所)
知的授産
(通所)
知的通勤寮 心身障害者福祉協会が
設置する福祉施設
区分A 35点〜52点 29点〜46点 23点〜28点 28点〜50点
区分B 19点〜34点 15点〜28点 12点〜22点 14点〜27点
区分C 0点〜18点 0点〜14点 0点〜11点 0点〜13点

 居宅支援の取扱い
 居宅支援のうち、身体障害者デイサービス、身体障害者短期入所、知的障害者デイサービス、知的障害者短期入所、知的障害者地域生活援助及び児童短期入所については、従来より障害の状況に着目した単価差が設けられてきたところであり、支援費制度においても必要な見直しを行った上で以下のとおり障害の程度等に応じた単価差(支援費額の差)を設ける。

(1) 身体障害者短期入所及び身体障害者デイサービスの場合
 現行と同様の取扱いとする。具体的には、次のとおり。
 区分1:食事、排泄、入浴及び移動のうち3つ以上の日常生活動作について全介助を必要とする程度又はこれに準ずる程度
 区分2:食事、排泄、入浴及び移動のうち3つ以上の日常生活動作について一部介助を必要とする程度又はこれに準ずる程度
 区分3:区分1及び区分2に該当しない程度

(2) 知的障害者短期入所及び知的障害者デイサービスの場合
 身体障害者に係る居宅支援との整合性をとり、3区分の単価差を設定する。
 具体的には、
 食事、排泄、入浴、移動に係る日常生活動作について、どの程度の支援が必要か、
 どのような行動障害があり、どの程度の頻度で対応を要するか、
に着目して適用すべき単価を決定する。

(3) 知的障害者地域生活援助の場合
 従来どおり2つの単価を設定することとし、(2)の知的障害者デイサービス及び知的障害者短期入所に準じて、日常生活動作への支援や行動障害への対応等といった観点により、適用すべき単価を決定する。

(4) 児童短期入所
 身体障害児については(1)に、知的障害児については(2)に準じて、適用すべき単価を決定することとする。

 (4) 相談支援体制の充実及びサービス利用に係るあっせん・調整、要請について

(1) 相談支援体制の充実
 障害者がサービスを選択できるために、障害者が身近なところでサービス選択のために適切な相談、情報提供を受けられるような体制を充実していくことが必要である。

 市町村は障害者に対する情報提供や相談・指導等に責任をもって取り組む必要があり、適切なサービスや指定事業者の選択のための相談支援を、支給申請の受付・審査やサービス利用に係るあっせん・調整、要請と関連づけながら行うことが必要である。

 また、市町村の相談業務と併せ、相談支援事業者をはじめ多様な主体が相談業務の担い手となることが期待されるところであり、市町村としてもこれらの機関等の活動の連携・調整を図り、地域における相談支援体制の充実に努めることが必要である。

(2) サービス利用に係るあっせん・調整、要請
 市町村は、障害者の希望により、サービス利用に係るあっせん・調整、要請を行うこととされており、市町村の窓口においては、こうしたあっせん・調整、要請が指定事業者の情報提供とあいまって行われることが必要である。
 都道府県は、市町村が行うあっせん・調整、要請について、市町村相互間の連絡調整等を行うことが必要である。
 なお、施設サービスの利用にあっては必要に応じて、施設が入所者を選別することなく施設サービスの利用が円滑に行われるよう、公的な調整システムの構築が重要である。

3 事業者・施設指定基準に関すること

 (1) 指定基準の性格
 指定基準は、支援費制度において対象となるサービス提供主体の範囲を特定するものである。
 また、指定基準は、支援費の対象となるサービスについて一定のサービスの質を確保するとともに、サービス提供主体としての遵守事項を規定することにより、利用契約制度の円滑な運営を確保する観点から設けられるものである。

 (2) 指定基準の主な内容

(1) 人員に関する基準について
 基本的には、現行の最低基準等を基に、必要な検討を加え、各施設及び事業ごとに入所者の支援に直接従事する職員の員数等について規定した。
 その際、重度障害者への適切な対応を図るため、必要な従業者の配置を求めることとしているが、その具体的な指針については今後示すこととしている。
 なお、これまでの重度身体障害者更生援護施設及び重度身体障害者授産施設の施設類型については廃止したところである。

(2) 設備に関する基準について
 基本的には、現行の最低基準等を基に必要な検討を加え、各施設及び事業ごとに入所者の支援に直接必要な設備・備品等について規定した。
 特に、重度の入所者への配慮や生活環境の向上等の観点から、居室面積の拡大や廊下幅の拡幅を図ったところである。(既存施設については一定の経過措置を設けている。)

(3) 運営に関する基準について
 運営に関する基準については、利用者と事業者の関係及び事業者と市町村・都道府県との関係で支援費制度において必要となる事項について規定した。
 具体的には、利用者へのサービス提供にあたって事業者が書面を交付して説明すべき事項、利用者の受給資格等の確認及び正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないこととする規定(応諾義務)、支援費支給申請に係る援助、守秘義務、苦情解決等の事項を置くこととした。

(4) 基準該当居宅支援に係る人員・設備等
 多様な事業主体の参入を促し、地域においてきめ細やかなサービスを提供できるよう、サービスの質の確保に留意しつつ、指定居宅支援事業者が満たすべき人員、設備及び運営に関する基準の緩和を図ることとし、法人格がない場合であっても、基準該当居宅支援の対象とすることとした。

 (3) 契約に当たっての基本的な考え方
 支援費制度においては、原則として利用者本人と事業者の間でサービスの利用に係る契約を締結する必要がある。
 何らかの支援があれば本人の意思を確認できる知的障害者については、本人の意思により本人が契約できるよう、福祉サービス利用援助事業を活用すること等により、本人に対する必要な支援が行われることが重要である。
 また、契約の締結にあたって成年後見制度の利用が必要となる場合があることから、国として、成年後見制度の利用の支援策についての措置を講じたところである。 (平成14年度予算において成年後見制度利用支援事業の対象者に知的障害者を加えた。)

4 厚生労働大臣が定める支援費基準について

 支援費は、支給決定障害者が指定施設・事業所からサービスの提供を受けた場合に、そのサービスの対価として市町村から当該支給決定障害者に対して支給されるものであり、厚生労働大臣が定める基準を下回らない範囲内において、市町村長が定めることとされている。

 (1) 支援費基準の基本的な考え方

  (1) 各居宅生活支援及び各施設訓練等支援ごとに、当該サービスに通常要する費用を適切に評価した基準とすること。

  (2) 障害者の地域生活の推進を評価するような基準とすること。

  (3) 施設訓練等支援費は、重度障害者や重複障害者が適切にサービスを利用できるよう、障害程度区分に応じて格差を設けた基準とすること。

  (4) 居宅生活支援費のうち、デイサービス、短期入所及び知的障害者地域生活援助に係る支援費基準についても、障害の程度を考慮した基準とすること。

  (5) 居宅生活支援及び施設訓練等支援を担う事業主体において、安定的かつ効率的に事業運営が行えるような基準とすること。

  (6) 同一のサービスであれば、設置主体にかかわらず、同一の支援費基準とすること。

  (7) 居宅生活支援及び施設訓練等支援に必要な人件費等の水準が同じような地域ごとの基準とすること。

  (8) 利用者や事業者などにわかりやすく、簡素で合理的な基準とすること。

  (9) 現行の措置制度からの円滑な移行に十分配慮した基準とすること。


基準額(案)

 今回お示しする仮単価は、今年度の人事院勧告(△2.03%等)等を考慮していないものであり、今後の予算編成過程において、変動することが見込まれるものである。

(1) 施設訓練等支援費(例)(1月につき)

  区分A 区分B 区分C
身体障害者更生施設
(内部更生を除く。)
258,400円 221,800円 186,700円
身体障害者更生施設
(内部更生に限る。)
270,900円 234,400円 199,300円
身体障害者療護施設 393,200円 373,500円 353,800円
身体障害者入所授産施設 215,800円 194,500円 168,900円
身体障害者通所授産施設 129,600円 124,200円 118,500円
上記の他、以下の加算を設定
 入所時特別支援加算 
 退所時特別支援加算
 常勤医師加算(更生、療護)
 ALS等支援加算(療護)
  a 遷延性意識障害者加算
  b 筋萎縮性側索硬化症者等加算
  c 神経内科医加算
  d 看護師加算

  区分A 区分B 区分C
知的障害者入所更生施設 301,700円 281,100円 250,300円
知的障害者通所更生施設 151,100円 145,800円 140,400円
知的障害者入所授産施設 270,500円 260,200円 250,000円
知的障害者通所授産施設 162,000円 156,700円 151,300円
知的障害者通勤寮 107,600円 100,600円 93,600円
心身障害者福祉協会が設置する福祉施設 267,400円 241,500円 215,700円
上記の他、以下の加算を設定  入所時特別支援加算
 退所時特別支援加算
 強度行動障害支援加算(入所更生)
 自活訓練支援加算(入所更生、入所授産)

  ※ 上記単価は標準規模単価(定員41人〜90人(通所施設は21人〜60人))。
 その他に小規模(30人〜40人(通所施設は20人))、大規模(91人以上(通所施設は61人以上))を設定。

(2) 居宅生活支援費(例)

  (1) 居宅介護支援費
  30分未満 30分以上
1時間未満
1時間以上
1.5時間未満
以後30分
身体介護 2,110円 4,030円 5,870円 2,200円
家事援助   1,530円 2,230円 840円
移動介護 ※1 ※1 ※1 ※1
日常生活支援 ※2     2,630円 990円

※1 移動介護は身体介護を伴う場合は身体介護の単価、身体介護を伴わない場合は家事援助の単価を用いる。
※2 日常生活支援は身体障害者居宅支援のみ。
※3 介護報酬の動向により変動することがあり得る。

  (2) デイサービス支援費
    区分1 区分2 区分3 加算
身体障害者
デイサービス
支援費
4時間未満 2,860円 2,610円 2,350円 給食サービス加算
 1日につき420円
入浴サービス加算
 1日につき400円
送迎サービス加算
 片道につき560円
4時間以上 5,730円 5,210円 4,690円
知的障害者
デイサービス
支援費
4時間未満 2,240円 1,940円 1,640円
4時間以上 4,490円 3,880円 3,270円
児童デイサービス
支援費
4時間未満 1,910円 送迎サービス加算
 片道につき560円
4時間以上 3,810円

  (3) 短期入所支援費
  区分1 区分2 区分3 遷延性意識
障害(児)者
重症心身
障害(児)者
身体障害者短期
入所支援費
7,990円 7,190円 6,840円 14,540円 -
知的障害者(児童)
短期入所支援費
7,930円 7,190円 4,530円 14,540円 21,110円
送迎サービス加算  片道につき1,860円
 遷延性意識障害(児)者及び重症心身障害(児)者の単価は医療機関を利用した場合

  (4) 知的障害者地域生活援助支援費(1月につき)
  区分1 区分2
知的障害者地域生活援助支援費 134,740円 67,370円


5 厚生労働大臣が定める利用者負担基準について

 利用者負担額は、身体障害者(知的障害者、障害児)又はその扶養義務者の負担能力に応じ、厚生労働大臣が定める基準を超えない範囲内において市町村長が定める基準によることとされており、具体的には負担能力に応じてまず利用者本人が負担することとし、その負担額が利用者本人に係る支援費基準により算定した額に満たない場合は、その不足分について負担能力に応じて主たる扶養義務者からの負担を求めることとしている。

 利用者負担基準の具体的な決定については、平成15年度の予算編成過程において行われるものであるが、現段階で考えられる基準(案)は次のとおりである。

 (1) 主たる扶養義務者について
  ・利用者が20歳以上の場合
 支給決定の際に、同一世帯・同一生計にある配偶者及び子のうち最多納税者
  ・利用者が20歳未満の場合
 支給決定の際に、同一世帯・同一生計にある配偶者、父母及び子のうち最多納税者
 ※ 現行の知的障害者施設費用徴収における扶養義務者の範囲は、同一世帯に属して生計を一つにしている直系血族、配偶者及び兄弟姉妹等のすべての者とされている。

 (2) 負担能力の判定方法について
  ・ 施設訓練等支援の利用者本人分
 利用者本人の前年の収入から必要経費を控除した額に基づき判定。
  ・ 居宅生活支援の利用者本人分
 利用者本人の前年の所得税額等に基づき判定。
  ・ 施設訓練等支援・居宅生活支援の扶養義務者分
 主たる扶養義務者の前年の所得税額等に基づき判定。
  ・ 障害児に係る居宅生活支援
 障害児及び主たる扶養義務者の前年の所得税額等の合算額に基づき判定。

 (3) 利用者負担額の設定について

  ア 施設訓練等支援費
   ・ 階層区分及び負担基準月額については、現行の費用徴収制度と同様とする。
   ・ 暫定措置としての負担基準月額の上限については、平成8年度以降据え置いていることから、その間の施設における生活費のアップ率を考慮して所要の改定を図る。
 なお、指定知的障害者通勤寮については、更生施設、授産施設の通所者と同額とする

  イ 居宅生活支援費
   ・ 階層区分は、施設の扶養義務者の階層区分と同様。
   ・ 居宅介護を利用する場合30分当たり、デイサービス及び短期入所を利用する場合1日当たりの単位ごとに負担能力に応じた負担額を設定する。
 なお、その際、利用者負担額がその支給量に応じて著しく増大しないよう、負担能力に応じた階層区分ごとに、居宅生活支援の利用者負担総額について、本人及び扶養義務者それぞれに施設の通所者に係る扶養義務者分の負担基準月額と同額の上限を設定する。

 具体的な基準額表については、以下のとおり。

 (1) 施設訓練等支援費の利用者本人分(案)
別表1
対象収入等による階層区分 負担基準月額
入所者 通所者
1 生活保護法による被保護者(単給を含む。) 0円 0円
(1階層を除き対象収入額区分が次の額である者)    
2 0円   〜    270,000円 0  0 
3 270,001    〜    280,000  1,000  500 
4 280,001    〜    300,000  1,800  900 
5 300,001    〜    320,000  3,400  1,700 
6 320,001    〜    340,000  4,700  2,300 
7 340,001    〜    360,000  5,800  2,900 
8 360,001    〜    380,000  7,500  3,700 
9 380,001    〜    400,000  9,100  4,500 
10 400,001    〜    420,000  10,800  5,400 
11 420,001    〜    440,000  12,500  6,200 
12 440,001    〜    460,000  14,100  7,000 
13 460,001    〜    480,000  15,800  7,900 
14 480,001    〜    500,000  17,500  8,700 
15 500,001    〜    520,000  19,100  9,500 
16 520,001    〜    540,000  20,800  10,400 
17 540,001    〜    560,000  22,500  11,200 
18 560,001    〜    580,000  24,100  12,000 
19 580,001    〜    600,000  25,800  12,900 
20 600,001    〜    640,000  27,500  13,700 
21 640,001    〜    680,000  30,800  15,400 
22 680,001    〜    720,000  34,100  17,000 
23 720,001    〜    760,000  37,500  18,700 
24 760,001    〜    800,000  39,800  19,900 
25 800,001    〜    840,000  41,800  20,900 
26 840,001    〜    880,000  43,800  21,900 
27 880,001    〜    920,000  45,800  22,900 
28 920,001    〜    960,000  47,800  23,900 
29 960,001    〜   1,000,000  49,800  24,900 
30 1,000,001    〜   1,040,000  51,800  25,900 
31 1,040,001    〜   1,080,000  54,400  27,200 
32 1,080,001    〜   1,120,000  57,100  28,500 
33 1,120,001    〜   1,160,000  59,800  29,900 
34 1,160,001    〜   1,200,000  62,400  31,200 
35 1,200,001    〜   1,260,000  65,100  32,500 
36 1,260,001    〜   1,320,000  69,100  34,500 
37 1,320,001    〜   1,380,000  73,100  36,500 
38 1,380,001    〜   1,440,000  77,100  38,500 
39 1,440,001    〜   1,500,000  81,100  40,500 
40 1,500,001円以上 81,100円+(150万円超過額×0.9÷12月)
(100円未満切捨て)
40,500円+(150万円超過額×1/2×0.9÷12月)
(100円未満切捨て)

備考
 上表にかかわらず、暫定措置として、次に掲げる額を負担基準月額の上限とする。
施設区分 入所後3年未満の者 入所後3年以上の者
入所者 通所者 入所者 通所者
指定身体障害者更生施設 32,000円 16,000円 53,000円 26,500円
指定身体障害者授産施設 32,000円 16,000円 53,000円 26,500円
指定身体障害者療護施設 96,000円 48,000円 96,000円 48,000円
指定知的障害者更生施設 32,000円 16,000円 53,000円 26,500円
指定知的障害者授産施設 32,000円 16,000円 53,000円 26,500円
指定知的障害者通勤寮 16,000円 26,500円

 (2) 施設訓練等支援費の扶養義務者分(案)
別表2
税額等による階層区分 負担基準月額
入所者 通所者
生活保護法による被保護者(単給を含む) 0円 0円
A階層を除き当該年度分の市町村民税非課税 0  0 
C 1 A階層及びB階層を除き前年分の所得税非課税の者 当該年度分の市町村民税所得割非課税
(均等割のみ課税)
2,200  1,100 
C 2 当該年度分の市町村民税所得割課税 3,300  1,600 
D 1 A階層及びB階層を除き前年分の所得税課税の者であって、その税額の年額区分が次の額である者       30,000円以下 4,500  2,200 
D 2 30,001  〜    80,000円 6,700  3,300 
D 3 80,001  〜   140,000  9,300  4,600 
D 4 140,001  〜   280,000  14,500  7,200 
D 5 280,001  〜   500,000  20,600  10,300 
D 6 500,001  〜   800,000  27,100  13,500 
D 7 800,001  〜  1,160,000  34,300  17,100 
D 8 1,160,001  〜  1,650,000  42,500  21,200 
D 9 1,650,001  〜  2,260,000  51,400  25,700 
D10 2,260,001  〜  3,000,000  61,200  30,600 
D11 3,000,001  〜  3,960,000  71,900  35,900 
D12 3,960,001  〜  5,030,000  83,300  41,600 
D13 5,030,001  〜  6,270,000  95,600  47,800 
D14    6,270,001円以上 その月におけるその利用者に係る支援費基準により算定した額 その月におけるその利用者に係る支援費基準により算定した額

備考
 上表にかかわらず、暫定措置として、次に掲げる額から別表1により算定した額を控除した額を負担基準月額の上限とする。
施設区分 入所後3年未満の者 入所後3年以上の者
入所者 通所者 入所者 通所者
指定身体障害者更生施設 32,000円 16,000円 53,000円 26,500円
指定身体障害者授産施設 32,000円 16,000円 53,000円 26,500円
指定身体障害者療護施設 96,000円 48,000円 96,000円 48,000円
指定知的障害者更生施設 32,000円 16,000円    
指定知的障害者授産施設 32,000円 16,000円    
指定知的障害者通勤寮 16,000円  

 (3) 居宅生活支援費の利用者本人分(障害児を除く)及び扶養義務者分(案)

税額等による階層区分 上限月額
負担基準額
居宅介護
30分当たり
デイサービス
1日当たり
短期入所
1日当たり
生活保護法による被保護者
(単給を含む)

0 

0 

0 

0 
A階層を除き当該年度分の市町村民税非課税 0  0  0  0 
C 1 A階層及びB階層を除き前年分の所得税非課税の者 当該年度分の市町村民税所得割非課税
(均等割のみ課税)
1,100  50  100  100 
C 2 当該年度分の市町村民税所得割課税 1,600  100  200  200 
D 1 A階層及びB階層を除き前年分の所得税課税の者であって、その税額の年額区分が次の額である者     30,000円以下 2,200  150 300  300 
D 2 30,001 〜  80,000円 3,300  200  400  400 
D 3 80,001 〜  140,000  4,600  250 500  600 
D 4 140,001 〜  280,000  7,200  300  700  1,000 
D 5 280,001 〜  500,000  1O,300  400  1,000  1,400 
D 6 500,001 〜  800,000  13,500  500  1,300  1,800 
D 7 800,001 〜 1,160,000  17,100  600  1,700  2,300 
D 8 1,160,001 〜 1,650,000  21,200  800  2,100  2,800 
D 9 1,650,001 〜 2,260,000  25,700  1,000  2,500  3,400 
D10 2,260,001 〜 3,000,000  30,600  1,200  3,000  4,100 
D11 3,000,001 〜 3,960,000  35,900  1,400  3,500  4,800 
D12 3,960,001 〜 5,030,000  41,600  1,600  4,000  5,500 
D13 5,030,001 〜 6,270,000  47,800  1,900  4,600  6,400 
D14   6,270,001円以上 その月におけるその利用者に係る支援費基準により算定した額 その月におけるその利用者に係る支援費基準により算定した額 その月におけるその利用者に係る支援費基準により算定した額 その月におけるその利用者に係る支援費基準により算定した額
※1 上表は、利用者本人分及び扶養義務者分それぞれに適用する。
※2 利用者負担額がその支給量に応じて著しく増大しないよう、負担能力に応じた階層区分ごとに、居宅生活支援の利用者負担総額について、本人及び扶養義務者それぞれに1月当たりの上限を設定する。


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