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参考資料2−1

構造改革特区推進のための基本方針

平成14 年9 月20 日
構造改革特区推進本部決定

 昨年6月に構造改革の基本戦略である「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針(平成13年6月26日閣議決定)」を策定し、これを起点として広範な構造改革を進めてきたところであるが、この流れをさらに進展させるべく、地域の自発性によって進展の遅い分野の規制改革を進めるために「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002(平成14年6月25日閣議決定)」において構造改革特区の導入が決定されたところである。
 すでにこれまで426件の地方公共団体や民間事業者等から構造改革特区の具体的な提案がなされており、これらを踏まえて今後早急に制度の具体化を図っていく必要がある。そこで、政府は、制度の具体化に当たって踏まえるべき制度の目的、取組みの方針等について、本基本方針を定める。

1 .構造改革特区の目的

 経済の活性化のためには、規制改革を行うことによって、民間活力を最大限に引き出し、民業を拡大することが重要である。現下の我が国の厳しい経済情勢を踏まえると、一刻も早く規制改革を通じた構造改革を行うことが必要であるが、全国的な規制改革の実施は、さまざまな事情により進展が遅い分野があるのが現状である。こうしたことを踏まえ、地方公共団体や民間事業者等の自発的な立案により、地域の特性に応じた規制の特例を導入する特定の区域を設け、当該地域において地域が自発性を持って構造改革を進めるために、構造改革特区を導入する。
 構造改革特区の導入により、特定の地域における構造改革の成功事例を示すこととなり、十分な評価を通じ、全国的な構造改革へと波及して、我が国全体の経済の活性化が実現するとともに、地域の特性が顕在化し、その特性に応じた産業の集積や新規産業の創出等により、地域経済の活性化にもつながる。

2 .構造改革特区推進のための取組みの方針

(1)地方公共団体や民間の「知恵と工夫の競争による活性化」
 国があらかじめモデルを示して全国の均衡ある発展を目指す制度から、地方公共団体や民間事業者等がそれぞれの地域の実態に合わせて規制改革を通じた構造改革を立案し、自立した地方がお互いに競争していく中で経済社会の活力を引き出していけるような制度へと、発想の転換を図る。そのために、「規制は全国一律でなければならない」という考え方から、地域の特性に応じた規制を認めるという考え方に転換を図る。

(2)「自助と自立の精神」の尊重
 構造改革特区の目的は、地方公共団体や民間事業者等の自発的な立案により地域の特性に応じた規制の特例を導入することであるため、地域がそのような潜在力を自由に発揮できる仕組みとするためには、「自助と自立の精神」が必要である。このような観点から、個別の規制に特例措置を設けることによって、構造改革特区内外において発生する可能性がある弊害を防止するための措置が必要となる場合には、特例措置の内容に応じ、地方公共団体が主体的に対応することを原則とする。 また、地域の「自助と自立の精神」を生かすため、構造改革特区においては従来型の財政措置を講じない。

(3)可能な限り幅広い規制を対象
 (1)、(2)のような理念を踏まえ、地方公共団体や民間事業者等の自発的な立案を可能とするよう、可能な限り幅広い規制を対象とする。 また、特区において地域の特性を踏まえて特例措置を設けることが可能な規制については、あらかじめ幅広くリストとして明示しておき、地方公共団体が構造改革特区の立案をするに当たっては、それらの中から選択できるようにする。さらに、このリストについては、地方公共団体等からの提案に基づき規制の特例措置を新たに追加できるようにする。

(4)内閣における手続き、決定プロセスの一元化
 経済の活性化のために地域において講じられる施策は、さまざまな分野にわたる政策を総合したものであり、また、現在地方公共団体や民間事業者等から出されている提案をみると、一の構造改革特区において複数の省庁のさまざまな規制の特例措置を組み合わせて実現するものが多いこと等から、申請の受付やどの地域を構造改革特区にするのかについての判断は内閣において一元的に行うものとする。

(5)特例措置の評価の実施
 構造改革特区において講じられた規制の特例措置については一定の期間後に評価を行い、その結果に基づいて必要な措置を講じる。

3 .今後のスケジュール

(1)地方公共団体や民間事業者等から受付けた提案を整理し、構造改革特区における対応について、内閣官房を中心として内閣一体となって検討を行い、その検討の結果を、10月上旬を目途に開催される第3回構造改革特区推進本部において、「構造改革特区推進のためのプログラム」として決定を行う。同プログラムにおいては、地方公共団体や民間事業者等からの提案における規制の特例措置に関する要望に対する政府としての対応を決定するものとし、法律、政省令、通達等幅広い規制を対象とする。

(2)「構造改革特区推進のためのプログラム」の決定を受けて、2.の方針を実現するために必要な規制の特例措置をとりまとめた法案の立法作業を行う。


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