参考資料5 |
はじめに
I 地方分権改革の基本的考え方等
1.基本的考え方
(1) | 21世紀にふさわしいシステムの実現に向けた課題 |
(2) | 新たな環境変化への対応 |
(3) | 分権型行政システムの在り方 |
(1) | 国と地方の役割分担の適正化:ナショナル・ミニマムの達成からローカル・オプティマムの実現へ |
(2) | 地域における行政の総合化の推進 |
(3) | 地方の創意工夫の発揮と知恵とアイディアの地域間競争 |
(4) | 地方における自立的な財政運営が可能なシステムの形成 |
(5) | 国の決定についての地方の参画の確保 |
II 事務事業の分野別の基本的な見直し方針
(1) | 地域における保健・医療・福祉の一層の総合化の推進 |
(2) | 民間企業、NPO等の多様な主体の幅広い参画による共助社会の構築 |
(3) | 社会保障行政の執行体制に関する国の関与の廃止、縮減(必置規制等) |
(4) | 知恵とアイディアの地域間競争を視野に入れた、国の関与の見直しによる地方の自主性・自立性の強化 |
(5) | 社会保険分野における国・地方の関係(国民健康保険等) |
(6) | 地方支分部局と地方の新たな関係の構築(地方労働局等) |
(1) | 初等中等教育に対する国の関与の見直し(弾力化措置の実体化) |
(2) | 義務教育に関する国と地方の経費負担の在り方の見直し |
(3) | 機動的、弾力的な教員の人事・給与体系の構築 |
(4) | 国・地方の役割や関与の在り方に応じた財政的措置の見直し |
(5) | 義務教育費国庫負担金の手続き簡素化に向けた検討 |
(6) | 総合行政の観点からの教育用施設の有効活用 |
(7) | 生涯学習、社会教育分野における国の関与の抜本的見直し |
(8) | 必置規制的なものの全般的、経常的な検証と見直し |
(1) | 事業主体としての国と地方の役割分担の明確化 |
(2) | 維持・更新重視の観点を踏まえた公共事業関係長期計画等の見直し |
(3) | 直轄事業に係る国と地方の関係の明確化 |
(4) | 補助事業等における国と地方の関係の明確化 |
(5) | 社会資本の管理に係る国の関与の縮小 |
(6) | 個別の公共事業分野における課題 |
(7) | 21世紀の社会資本整備に係る国と地方の役割分担の抜本的な見直しの検討の提案 |
(1) | 時代の変化に沿った農林水産業振興政策の見直し |
(2) | 地域間競争を促す国の中小企業政策等の在り方について |
(1) | 警察制度 |
(2) | 消防制度 |
別表 国と地方の事務事業の見直しに関する諸課題
(別表1) 社会保障分野
(別表2) 教育文化分野 略
(別表3) 公共事業分野 略
(別表4) 産業振興分野 略
(別表5) 治安その他分野 略
地方分権改革推進会議は、昨年7月9日の初会合において、小泉内閣総理大臣から、地方分権の一層の推進を図る観点から、「国と地方公共団体の役割分担に応じた事務及び事業の在り方並びに税財源の配分の在り方、地方公共団体の行財政改革の推進等行政体制の整備その他の地方制度に関する重要事項」について調査審議を行うべき旨の諮問を受けた。
当会議は、小泉内閣総理大臣からの諮問を受けた事項のうち、当面、国と地方の役割分担に応じた事務事業の在り方から重点的に審議することとした。事務事業の在り方に関連して整理が必要な財政措置は調査審議の対象として取り上げるが、全体の税財源の配分の在り方については、事務事業の在り方に関する審議動向を踏まえながら検討することとした。まずは事務事業の在り方について審議を行い、事務事業の見直しに応じて、税財源の配分の在り方を審議することが適当であると考えたことによる。
この審議方針を踏まえ、昨年は、関係者からのヒアリング等、計16回にわたる会議を開催し、事務事業の見直しに当たっての基本的な認識、重点的に審議を行うべき分野や論点について一定の整理を行い、12月12日に中間論点整理を公表した。
本年に入ってからも、引き続き事務事業の在り方の見直しに重点を置いて審議を進め、これまでに本会議8回、小委員会8回、本会議・小委員会合同会議2回の計18回にわたる会議を開催し、また、2月26日には静岡県での地方視察を実施した。
小泉内閣総理大臣からの諮問は、政府の構造改革の一角を占める地方分権改革という視点から、国全体のパラダイムの転換につながる「この国の在り方」を問うものにほかならない。現在及び将来の国民の幸福のために、21世紀に適合した行政システムとは何か、が問われていると言えよう。
明治政府以来の国と地方の役割分担は、国の決めた政策に従って、地方が政策を実施していくという、地方を国の執行機関とみなすものであった。こうした役割分担に基づき内政全般に張り巡らされた中央集権型システムは、国を挙げて欧米先進諸国にキャッチアップすることに傾注した時代には機能したにせよ、右肩上がりの高度経済成長が終わり財政状況が深刻化するとともに、もはや部分的な繕いでは維持し得ず、全面的な見直しを不可避なものとしている。しかし、関係者からのヒアリングを通じて判明したことは、従来の国と地方の役割分担に基づく中央集権型システムが、未だ各行政分野の根幹として残されているということであった。
我々は、昨今の中央省庁の混乱した対応振りを見るにつけ、何よりも国が、国でなければ行い得ない国政上の重要課題について責任を果たし、国民の信頼を回復していくことが必要であると考える。そのためには、「地方にできることは地方に委ねる」との原則に基づき、内政全般にわたる国と地方の役割分担を適正化し、国は責任を持つべき国政上の重要課題に重点を移し、地方で解決できる問題は各地方の自己決定・自己責任に委ね、各地方が本来的に持っている活力を発揮できるようにしていかなければならない。21世紀に適合した行政システムとは、国が決めた政策を地方に実施させるものではなく、各地域の自助と自立の基盤の上に、国と地方が対等・協力の立場で協働し、構築していくものでなければならない。なお、地方分権改革を推進するに当たっては、改革は緒に付いたばかりであり、制度改革と同時に、国と地方の双方の関係者に染み付いた行政運営についてのこれまでの意識の改革も重要であることを付言しておきたい。
この中間報告は、このような我々の基本的な認識の上に立って、関係者からの再度のヒアリングの実施や審議の結果を踏まえ、昨年12月の中間論点整理で取り上げた分野や論点についての整理を更に一歩進め、分野ごとの論点についての基本的な改革方向の整理を行ったものである。
I 地方分権改革の基本的考え方等
(1)21世紀にふさわしいシステムの実現に向けた課題
平成7年に設置され、平成13年にその使命を終えた地方分権推進委員会の勧告に基づく一連の制度改革によって、我が国の国と地方の関係は大きく変容した。中央集権型システムから、分権型システムへの転換が進められたのである。機関委任事務制度の廃止をはじめとする諸制度の改革によって、国と地方の関係は、それまでの「上下主従」の関係から「対等協力」の関係へと変わり、地方公共団体の自己決定権は拡大し、その結果、それまで見られなかった個性ある施策や工夫も各地で見られるようになってきている。
しかしながら、我が国の地方分権改革は、これらの改革の推進主体であった地方分権推進委員会が最終報告で述べているように、その理想からみれば、ようやくベース・キャンプを設営した段階にすぎない。残された課題は多く、行政分野ごとの国と地方の役割分担は明確とは言い難い。また、国の通達による統制は廃止されたものの、事務そのものの義務付け・枠付け、補助要綱による規制や、組織・職員に関する必置規制はまだ多数存在している。さらに、地方税財源の充実確保のための改革はまだ本格的な着手に至っていないと言ってよい。
たとえば、都道府県の予算における人件費のかなりの部分は国の法令によって支出が義務付けられているとともに、国の直轄事業においては、その経費の一定割合の負担が地方に義務付けられている。また、類似した事業や施設についても、所管する省庁が異なるために、統合や一元化ができない分野も決して少なくない。制度創設時の前提がなくなり、当初の使命が達成されているにもかかわらず、いまだ廃止されずに存続しているものも見られる。これらの点の改革なくして、21世紀にふさわしい分権型行政システムの構築はあり得ないと言えよう。
(2)新たな環境変化への対応
地方分権推進委員会の後を承けて設置された地方分権改革推進会議は、更なる地方分権の推進をめざし、残された課題を解決すべく改革に取り組んでいる。ただし、改革を取り巻く環境は、これまでとは大きく異なってきており、これからの改革は、このような環境の変化を踏まえて推進される必要がある。
一方では、これまでの改革によって、集権的なシステムによる束縛から解き放たれた地方公共団体が自主的な試みを展開しようとする機運が見られるようになった。また、現在進められている市町村合併は、分権の担い手としての市町村の在り方を大きく変えようとしている。
他方、国と地方の財政の危機的状況は一段とその深刻さの度合いを深めてきており、構造改革の要請も強い。地方分権推進委員会も最終報告で述べているように、これからは「国に救済を求めてみても、国にはもはやこれに応える余裕がない」状態が続くであろう。人口の少子化・高齢化の急速な進行も、将来の社会経済に大きな影響を与えることが予想される。これからの分権改革は、このような新たな環境や国と地方の厳しい財政状況を前提として推進されなくてはならない。
(3)分権型行政システムの在り方
当会議がめざしているのは、このような新たな環境の下で、国と地方との役割分担を明確にし、地方公共団体が、地域住民のニーズに応えて自主的、自律的かつ効率的に行政運営を行い得るように、自己決定、自己責任の原則に基づいた自立的な行政システムを構築することである。
このような分権型行政システムを構築することは、言うまでもなく、今日、厳しい財政状況の下で、国地方を問わず求められている行政改革や行政のスリム化にも資することになる。現在は、国の地方に対する関与・規制が、それを維持するための巨大で非効率な行政機構を作り上げているとともに、国による規制によって地方公共団体の自主的な行政改革も制約されているからである。
国と地方の役割分担を明確にし、地域住民が、自分たちが受けるサービスと納める税との関係を容易に理解できるような、そして、住民の意思を反映し、創意工夫に基づいた行政運営を行うことができ、住民が行政運営の的確性について関心をもち監視できるような、要するに、受益と負担の関係が明確で、住民にとって改革の効果を実感できるシステムを形成するならば、地域における行政運営の効率化も推進されることになるはずである。地方公共団体の自己決定は、単に国の法令によって義務付けられた事務の実施方法に関するものだけではなく、事務そのものの採択に関する決定であるべきであり、それに必要な負担の受容を含めて、地域住民が充分な情報に基づいて決定できるものでなければならない。
こうした行政システムを実現するためには、国の役割を国際的な事項や全国的統一が必要な制度に関する事務、全国的視点に立って行わなければならない事務に限定し、正に「民間でできることは民間で」、「地方でできることは地方で」行うという考え方に従って、公と私、国と地方の役割分担を明確化するとともに、これまで国主導で運用されてきた右肩上がりの「成長」を前提とした行政システムを改め、現在あるものを活用しその質を高めていく「持続可能な」システムへの転換を図ることが必要である。
また、「国土の均衡ある発展」の名の下に国の関与や規制が正当化されるべきではなく、自立できる条件の下で、それぞれの地方公共団体が、知恵と工夫を競い合う生産的な競争を通して、地域の個性と活力を発揮し、質の高い社会の形成に資するシステムが構築されなければならない。
当会議は、これまで重点審議事項として、事務事業の見直しに取り組み、昨年12月に発表した「中間論点整理」においては、「国と地方の役割分担の明確化・・・問われている『この国の在り方』」、「生活者である国民の視点を踏まえた地方分権改革・・・地域のニーズに応える、住民自治の総合的政策選択システム」、「財政の持続可能性(サステイナビリティー)の回復、確立・・・地方公共団体の自立した財政運営の確立に向けた地方分権改革」、「公共サービスの多様化と住民自治の強化・・・公私協働の仕組みの構築」、「地方分権改革による地域社会における社会的公正の実現・・・共生と共創」を事務事業の見直しの基本的な考え方として掲げた。
この中間報告で示す改革の理念と方向は、これらの基本的な考え方を、その後の審議を通して、更に深め、洗練したものである。
ところで、当会議は、中間論点整理を発表して以来、現行制度の問題点を明らかにし、更なる事務事業の見直しを求めて、各省庁に対してヒアリングを行った。そこでの各省庁の主張の多くは、国としてすべての国民に対して最低限の行政サービスを保障する責務がある、すなわちナショナル・ミニマムの保障は国の責務であり、国の事業によって地域は利益を受けていることから、それに応じた負担を求めることも理にかなうというものであった。また、既に地方の裁量の余地は広く、地方の自主性は制約されていないという主張も見られた。
しかし、当会議がヒアリングから得た心証は、省庁の側に努力も見られるものの、まだ国と地方の役割分担は明確ではなく、地方の行う事業に対して、法令による、あるいは補助金等を通した国の関与や規制が多数の分野で存在しているというものである。各論において詳述されているように、課題として取り上げた多くの分野で、関与や規制が存在しているとともに、先の改革において、国と地方が対等な関係にあることが確認されたにもかかわらず、省庁の側の、企画立案を行うのは国であり、地方公共団体はそれを執行する機関に過ぎないという意識や、地方公共団体に対する不信感は払拭されていない。
こうした国による関与・規制が行われるのは、国の責務の存在とともに、地方の依存体質にもよるという指摘が各省庁からしばしばなされたが、そのような体質が見られるとすれば、それは、現行のシステムが作り出したものであり、国による関与や規制の存在こそが、地方公共団体の行政運営における自主性、自律性を制約し、自発的な改革や効率化を妨げ、国への依存心を作り出していると考える。
以上の認識を踏まえて、当会議がめざす地方分権改革の方向は以下のとおりである。
(1)国と地方の役割分担の適正化:ナショナル・ミニマムの達成からローカル・オプティマムの実現へ
事務事業を分担する場合には、まず基礎的な自治体を、次いで広域自治体を優先し、広域自治体も担うに適していない事務のみを国が担うべきであるという「補完性の原理」に基づいて、それぞれの事務に適したレベルの地方公共団体ないし国がその事務を担うことを原則とすべきであり、現在、多くの分野で見られる、国が企画し、地方が実施するという仕組みや、国と地方の役割分担が不明確な事務事業は見直されなくてはならない。
「補完性の原理」は、一般には、国から都道府県へ、都道府県から市町村への事務権限の移譲を促す原理として言及されることが多いが、既に多くの事務を担っている我が国の都道府県、市町村の場合、特に行政課題の広域化と専門化が進んでいる今日では、地方分権推進委員会の最終報告が示唆しているように、市町村で担いきれない事務については都道府県あるいは国へ移譲するなど、それぞれの事務の性質に応じて担い手としてふさわしいレベルの地方公共団体や国へ事務権限を配分すること、すなわち役割分担を適正化することが望ましい。この原理に基づいて、まずは国と地方公共団体との間で役割分担を適正化する必要がある。
これまで国の省庁からは、国の責務は、すべての国民が保障されるべき最低限の行政サービスの水準であるナショナル・ミニマムの達成であり、現状は、まだその水準に達しておらず、それが国の地方への関与・規制が必要な理由であるという主張がしばしば聞かれた。そして、ナショナル・ミニマムは時代とともに内容が変遷していくものであり、時代とともにその内容を見直すことが必要であると述べられてきた。しかし、国民の生活水準が欧米諸国に比べてまだ低く、キャッチアップが国民に共通した目標であった時代はともかく、世界有数の経済大国となった今日にあっては、この考え方自体が見直されるべきであろう。
当会議は、我が国は既に多くの分野でいわゆるナショナル・ミニマムを達成しているという前提に立ち、地方公共団体は、それぞれ地域住民のニーズに応えて、地域ごとに最適の施策の組合せを探求し、その実現に努力すべきであると考える。このようなそれぞれの地域が選択する、地域ごとの最適状態を「ローカル・オプティマム」と呼ぶならば、これからの時代に、我が国が追求すべき行政上の目標は、ナショナル・ミニマムの達成からローカル・オプティマムの実現へと転換されるべきである。
(2)地域における行政の総合化の推進
地域社会は、多様な人々の構成、社会的・文化的条件、自然環境等において、それぞれが個性をもち、そしてそれらの要素が結び付くことによって構成されている社会である。地域において住民の生活を支える公共的なサービスは、それぞれ相互に密接に関連し合った総合的な性質を有している。行政サービスは、教育、福祉、都市計画、環境等の分野に分けられているが、それは歴史的、便宜的な理由によるものであり、それぞれが明確に区分され得るものではないし、その分野も境界も時代によって変わり得るものである。
したがって、地方公共団体が、地域住民のニーズに応じて最適の組合せで、総合的かつ柔軟に政策を立案し、事業を実施していくためには、地方公共団体において、可能な限りこのような行政の総合化を実現できることが望ましい。それには、現在、省庁ごとに存在している国の関与・規制を縮減し、国の縦割り行政から解放することによって、換言すれば、「ミニ霞ヶ関」からの脱却を図ることによって、行政の総合化を推進できるシステムを形成しなければならない。
幼稚園と保育所の統合問題(いわゆる「幼保一元化」)にせよ、都市下水道と農業集落排水の統合にせよ、地方において一元的に実施することが可能であり、その方が合理的と考えられる事業は少なくない。制度自体の一元化が望ましいが、それが国と地方の関係における事務事業の見直しの範囲を超えるものであるならば、最低限、地方において合理的な事務事業の実施体制を採用できるようにすべきである。
(3)地方の創意工夫の発揮と知恵とアイディアの地域間競争
行政の総合化に加えて、地方公共団体が、真に地域住民の意向を汲んで創意工夫に富んだ政策を形成し、施策を選択、実施できるシステムを形成すべきである。
地域社会はそもそも地域に住む人々が相互に助け合い、自分たちの住む地域を維持しよりよくしていこうとする「共助」を原理とする共同体であった。共同体を維持していくために必要な様々な公共サービスについて、住民が知恵を出し合って決め、住民の負担によって供給していく。これが住民自治の原点である。
社会の進歩は生活を豊かにし便利さをもたらしたが、反面、画一的で硬直的な行政システムを作り上げた。共通の目標を追求するキャッチアップの時代にはそれが有効なときもあったが、キャッチアップを達成した時代にあっては、地域が住民自治を基本にして創意工夫し、自らの住む地域の発展を図る自律的なシステムが適している。
それによって、たとえばそれぞれの地域がNPOや民間企業との適切な役割分担と連携を行うなど、地域の実情に適した効率的な公共サービスの供給が可能になるとともに、住民の受益と負担が結び付くことによって、創意工夫の結果を実感できるようになる。負担の軽減という形で、改革の成果の還元を受けることも可能になるであろう。
このように、それぞれの地域が、創意工夫の知恵やアイディアを発揮できるシステムとすることによって、その地域の活力が発揮されるだけではなく、相互にその知恵やアイディアを競い合うことによって、国全体としての活力も生まれてくると言えよう。したがって、こうした創意工夫を妨げ、発展への意欲を阻害する国の関与や規制については、不断の見直しが必要である。
(4)地方における自立的な財政運営が可能なシステムの形成
各地方公共団体は、自己決定・自己責任の原則に基づき、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるように、厳正な執行を行うことが求められている。
地方における公共サービスの受益と負担の乖離が、ともすれば国への依存心を生じさせる誘因になっているとも指摘されている。地方において、受益と負担の関係を明確化することによって、地域で住民が負担との関係で歳出水準について合理的な判断を行い、資源の適正配分が図られるシステムを構築していくことが必要である。
こうした観点から、まず、国の関与を縮小し、地方の権限と責任を大幅に拡大する。これを踏まえ、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分の在り方を三位一体で検討すべきである。
地方公共団体が国に陳情、要請を繰り返すよりも、自ら努力して財政を効率化し、政策に創意工夫を重ねる方が地域住民にとって合理的となる仕組みにすることが、自立可能性のある地方財政の確立に寄与し、ひいては、国・地方を通ずる財政構造改革に大きな役割を果たすものと考えられる。
(5)国の決定についての地方の参画の確保
国と地方が「対等協力」の関係にあることを前提として、国が地方に関わる制度の創設・変更、計画の策定・変更、負担の決定等を行う場合、また、地方の個別事務事業に関わる決定等を行う場合には、地方の考え方を踏まえた決定等が行われるように、地方に発言の機会ができる限り確保されなければならない。その際の決定は、透明で公正な手続きに従って行われることが望ましい。
これまでは、国の優位を前提として、所管する省庁が一方的に制度の創設や個別事務事業の決定を行い、地方公共団体にその受容を求める場合が多かった。非公式な協議や情報提供は行われるようになってきているが、地方の利害に関わる決定への参画が確保されていくことが望ましい。
分野別の基本的な見直し方針等は、後述するところであるが、各行政分野の個別事項の審議を通じて浮かび上がってきた、事務事業の見直しに当たっての一般的な指針は、以下のとおりである。
(1)事務事業の新たな変化への対応
制度創設時の前提が失われた事務事業については、原則として廃止する。現在においても必要と考えられる事務事業については、現在の社会経済状況にふさわしいものに見直したうえで、国と地方の役割分担を適正化すべきである。
(2)社会資本整備の役割分担の見直し
社会資本の整備に関しては、個別社会資本分野ごとに整備状況は異なるが、全般として、これまでの長期計画に基づく建設により、制度創設時の目的を相当程度に達成したものと考えられ、今後は、その建設は真に必要なものに限り、むしろその維持管理、更には更新に対応していくことが必要である。
このためには、社会資本の整備に関しては、国と地方の役割分担を見直していかなければならない。国の直轄事業の範囲について、その選択と集中を進めて地方に委ねる方向で見直すとともに、国が建設し、地方が管理しているものは、建設主体と管理主体の同一化を図るとともに、費用負担も見直すべきである。
(3)関与・規制の廃止、事前から事後への転換等
事務事業に関する制度について、組織・担当職員・手続き等に関して微細にわたって規制する事前規制、いわば「入り口及びプロセスの規制」から、遵守事項・達成すべき目標等を示し、適正な監視や評価によってその達成を誘導する事後統制、いわば「出口規制」への転換を図るべきである。
特に必置規制については、組織の執行機能確保の面から必要性、代替手段の有無を点検し、機関必置は必要最小限度に、担当職員必置ないし担当職員の資格要件は原則として廃止すべきである。
(4)同種の事務事業の統合化等
同種の事務事業については、事業の重複による非効率を解消し、事業の現場での機動性を向上させるため、各省庁間の所管を超えて統合化を図る方向で見直すべきである。それが困難な場合であっても、最低限、地方の行政レベルでの総合化ないし地方独自の対応が可能となるように改善すべきである。
(5)補助金等の廃止等
補助金等について、一定の年限を経過し、使命を終えたものは、原則として廃止する。事務事業の実施が必要とされるものについても、同化定着・定型化しているものや人件費補助に係るものについては一般財源化を図るほか、現在においても必要とされる補助金等についても、それに伴う規制を最小化し、より一層の統合化等を図るよう見直すべきである。
(6)新たな規制や負担の決定への地方の参画の確保
国の事務事業の執行に際し、国が地方に対して何らかの規制を行い、あるいは負担を求める場合には、その決定に当たって、関係地方公共団体との協議等を要件とする等、地方の参画を確保すべきである。
II 事務事業の分野別の基本的な見直し方針
当会議は、内政全般にわたり、国と地方の役割分担に応じた事務事業の在り方について、関係者から再度のヒアリングを行ったうえで、検討を行ってきた。これまでの審議を踏まえ、当会議として、地方分権改革の視点から、「社会保障」、「教育・文化」、「公共事業」、「産業振興」、「治安その他」の主要5分野別に、以下のような基本的な見直し方針を示すとともに、こうした方針に沿った個別具体の見直し策、見直し方針を工程表形式で別表にまとめたところである。今後の審議においては、この基本的な見直し方針とそれに沿った別表の具体策等について、関係者等と協議を行いつつ、更なる検討を加えていくことにしたい。
1.社会保障
――地域主義、地域福祉の一層の推進に向けて――
社会保障制度は国民の安心と生活の安定を支える制度であるが、経済の停滞と少子高齢化を背景に、その制度への信頼が揺らぎ、サステイナビリティが疑問視されるに到っている。制度を支えるのは人であり、安心も安定も人々の支え合いによって初めて達成されるものであることから、社会保障制度への信頼はそれを支える人々、支え支えられる「共助社会」への信頼にほかならない。かかる共助が実現され実感される場は、国よりも、まずはそれぞれの地域社会であることを考えれば、21世紀の我が国社会保障を支える鍵の一つが地域にあることは、明らかであると思われる。
これまでの分権改革の流れの中で、社会保障関係の事務事業の多くは既に地方に移管され、「地域主義」――住民に身近な地域において必要なサービスをきめ細かく提供できる体制作り――の推進も図られてきているところである。しかし、事務事業の実施は地方に委ねられていても、地方の裁量の余地は限られているのが現状である。
国が企画立案した制度・施策を国の指示どおりに地方に実施・執行させるのみでは、真の地域主義とはいえない。制度の基本的枠組みは国の法令で定められるものとしても、その実施に当たっては、それぞれの地域の実情、特性、そしてなにより地域住民の判断と選択を踏まえた実施が可能となるよう、多くの判断権、裁量権を、それを担う責任と共に地域に委ねていく姿勢こそが、これから求められる地域主義である。またそのためには、地方にも責任を担っていけるだけの体制の確立が求められるところである。
社会保障分野における今後の分権改革は、真の地域主義推進を掲げつつ、21世紀の我が国社会保障制度を維持していくために、国と地方の連携はいかにあるべきかという観点に立って進められなければならない。地域社会における共助の枠組みと、それを支える住民の意欲と参画がなければ、少子高齢化の下で現行制度は閉塞せざるを得ない。
全国ベースではない、それぞれの地域社会のイニシアチブに根ざした制度運営、身近な場での受益と負担、権限と責任の明確な対応関係を踏まえた行政執行を可能とすることによって、将来の社会保障制度を支える共助社会の実現に資すべく、当会議として、以下の提言を行うものである。
(1)地域における保健・医療・福祉の一層の総合化の推進
地域における行政の総合化の推進は、今後の分権改革における大きな指針である。
地域ごとの実情を踏まえ、住民のニーズに即応した行政体制は、国ではなく地方公共団体によって初めて構築され得るものであることから、国はこうした地方の取組みに対する関与を極力控えるべきである。のみならず、長年の慣行や国の指導の下で築かれてきた、国に準拠した地方の行政体制の刷新を図るべく、国としても積極的に普及活動に努めるべきである。
社会保障の分野では、保健、福祉等の人々の暮しに密接に関連する行政サービスは、原則として全て、最も身近な行政主体である市町村において一体的に提供する方向で見直しを進めつつ、一層の総合行政化の推進に努めるべきである。国は、こうした総合化を阻害している国の制度、国の関与を積極的に見直すとともに、成果を挙げている具体的事例の紹介等の活動を通じて、それぞれの地域の選択と判断で総合化が進められるような環境整備を図るべきである。
各地域においては、制度の趣旨は踏まえつつも従来の縦割り型システムに拘泥することなく、住民、利用者の視点に立った行政推進に向けて、地域における保健・医療・福祉施策の総合化を積極的に推進するべきである。各種相談窓口の一本化によるワンストップサービスの提供等に努め、お役所仕事の悪しき慣行ともいうべきいわゆる「たらい回し」の生じることのないようにすべきである。
具体的には、例えば、保健所、福祉事務所、児童相談所、身体障害者更生相談所等の設置に関しては、各都道府県の判断で自由に統合して設置することができることの周知、徹底に国は努めるべきである。その際、成果を挙げつつある幾つかの具体的事例を、前提となる当該地域の実情や住民の評価とともに紹介して事例のメニュー化を図る等の工夫に努めるべきである。
また総合行政を行う上で必要な施設利用や人員配置に関し、妨げとなっていると認められる国の関与は、極力廃止、縮減すべきである。いわゆる必置規制に関係するものであるが、総合行政化の推進の観点からもこうした関与を積極的に見直していくべきである。
特に、多様化する福祉行政に取り組む職員の任用資格要件に関しては、実情に即した対応ができるように見直すとともに、様々な行政部門との交流、人材登用が可能となるよう検討を進め、社会保障分野を越え教育行政、警察行政との連携も進めていくべきである。例えば、児童虐待等に関しては、現在、都道府県・指定都市に設置されている児童相談所を中心としてその対応がなされているが、より住民に身近な市町村を主体とし、学校や警察などとも十分な連携をとれるような仕組みに改める方向で検討を行うべきである。
また、これまで種々の議論がなされてきた幼保一元問題についても、現在、地方の行政現場で進められつつある実質的な一元化の一層の推進に向けて、福祉関係職員たる保育士と学校教員たる幼稚園教諭の資格の一元化等を検討すべきである。
他方、こうした総合化への取組みに当たって、各地方は、地方の実情を踏まえた合理化、効率化策についても常に心掛けるべきである。総合化に伴う管理部門の統合等による効率化は勿論のことながら、総合行政化のための行政体制の見直しに際し、地域の実情に応じた事務等のウエイト付け、優先順位付けにより、縦割り型の下で生じ易い平板で一律な経営資源の配分を見直していくべきである。そのためにも、透明で分かり易く評価可能な行政評価システムの構築が、各地域においても望まれるところである。
(2)民間企業、NPO等の多様な主体の幅広い参画による共助社会の構築
社会保障の各種サービスは、既に多様な主体によって供給されているところであるが、利用者の利便向上や各地域の多様な取組みが可能となるよう、一層の民間活力の活用や、NPO等の様々な主体との連携強化に向けた取組みを行うべきである。
近年におけるNPO活動の盛り上がりは、「公は官のみのものにあらず」ということを国民に実感させるに到っている。我が国においてNPOが今後どこまで発展、成熟していくかは別としても、かつてのように官と民の境目に拘っていては、社会保障行政は立ち行かない。
この問題は「官から民へ」という規制改革の流れの中で多くの検討がなされているが、分権改革の立場からも、国による地方への関与が民間主体の参画を妨げていないかとの観点、さらに、単に民間や市場へ委ねるということではなく地方公共団体と多様な民間主体、そして地域住民の協働による共助社会の構築を進める観点から、見直しを進めていくべきものと考える。
既に近年、保育所、ケアハウスといった社会福祉施設の運営が民間企業等の社会福祉法人以外の主体にも解放され、また、それを前提としてそれら施設の公設民営化も進められつつあるところであるが、国は、事例の積み上げを踏まえつつこの流れを一層推進していくべきである。また地方においては、措置から契約への大きな流れの中で、利用者の視点に立ってサービス多様化のための環境整備を図るとともに、客観的な評価や情報提供によって、利用者自らの選択を通じたサービス水準の確保が図られるよう努力すべきである。
(3)社会保障行政の執行体制に関する国の関与の廃止、縮減(必置規制等)
地方公共団体が多くの行政の執行機関、実施機関としての側面を持つことは事実であるが、国と対等の行政主体であり、決して単なる執行機関ではない。
社会保障制度の企画立案は国の役割であるとしても、それを地方の行政現場においていかなる体制で実施するかについては、法の目的、制度の趣旨を踏まえた上で、その多くの部分を地方公共団体が自ら判断すべきものである。
しかしながら、法の目的、制度の趣旨の貫徹を目指す余り、国が地方における執行体制、即ち組織立てや職員の資格・配置に到るまで、法令によってきめ細かく義務付け、地方公共団体の独自性の発揮や創意工夫の余地を大きく制限している事例が、未だに数多く認められる。
その結果、国の地方に対する関与は煩瑣なものとなり、地方は単なる執行機関となりかねない。全国一律は担保されるが、個性のない地方行政の下で、地域の実情や住民の声は反映されない。国の指示、指導どおりに行うことが目的化し、本来の法制度の目指す目的、その成果の達成度合いに対する評価は十分行われないこととなる。
国の関与の抜本的見直しにおいて、地方が執行機関としての側面を強く有するものであるからこそ、執行体制や実施手法に関する地方の裁量は極力幅広く認められるべきであり、いわゆる必置規制に代表される組織や人員に関する国の義務付けは極力廃止、縮減に努めるべきである。
現在進められつつある、地方に置かれる審議会や身体障害者福祉司等の職員に係る必置規制の見直しを一層推進し、また総合行政化の切り口からも、前述したように行政機関や任用資格等への国の関与を抜本的に見直していくべきである。
また、かねてより議論されてきている保健所長の医師資格要件については、これを廃止すべきである。保健所に医師が必須であることは明らかであるが、所長が医師でなければならない必要性は、必ずしも認められない。組織のマネジメントと保健、医療に関する専門性とを兼ね備えた人材が居ない場合には、所長はマネジメントに優れた者を充て、医師をそのスタッフに置くという選択肢を地方に認めるべきである。
なお、国・地方を通じて、行政は法の下にあるのであり、法によって行政に委ねられた裁量権を地方が行使するとしても、法の趣旨・目的を逸脱してはならないのは自明のことである。むしろ、裁量権と共に地方は責任も引き受けるものであり、従来、国の指示どおり行っていたことで免れていた説明責任や成果に対する評価に地方は晒されることとなるが、かかる責任を負い評価を受けることによって、初めて自己決定、自己責任に基づく自立した地方行政の確立が可能となるものと考えられる。
(4)知恵とアイディアの地域間競争を視野に入れた、国の関与の見直しによる地方の自主性・自立性の強化
地方に対する国の広範な関与を見直し、地方の自立を促すことで、市場における価格競争とは異なる競争の実現を、地方行政の場で図っていくべきである。
昨年6月のいわゆる「骨太の方針」(「今後の財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」)においても、「今後は、『均衡ある発展』の本来の考え方を活かすためにも、『個性ある地域の発展』、『知恵と工夫の競争による活性化』を重視していく方向へと転換していくことが求められる」と述べている。当会議としては、こうした考え方も踏まえつつ、地域住民の選択に基づくローカル・オプティマムの実現や、知恵とアイディアの地域間競争の促進を図っていく方向で、国の関与を見直していくべきであるとしたところである。
社会保障制度の根幹にかかる部分は国が負うべきものとしても、真に必要最低限のもの以外は可能な限り地方の判断、地方の裁量に委ね、地方の責任において行政を展開し、それを住民が評価していく体制に移行していかなければならない。国は等しからざるを憂い勝ちだが、地域間の差異は、それが地域の実情を踏まえ、地域住民の優先順位に則ったものである限り、その地域の個性であり、それがあって初めて地域間の競争ということも可能となる。
具体的には、国が種々の法令、補助金要綱等によって地方に義務付けている施設設置基準、職員配置基準等の「最低限の基準」について、その必要性を見直していくべきである。また、我が国社会が少子高齢化の下で大きく変容を遂げていく中にあって、かかる見直しは経常的に行われなければならない。
例えば、現在の国の規制では保育所には必ず調理施設を置かなければならないとされている。児童に家庭の雰囲気を味わわせるため、あるいは離乳食等の保存の問題から、保育所には調理施設が必須とのことであるが、昨今の社会情勢や食品保存・流通技術の向上を踏まえれば、その関与の必要性が必ずしもあるとは思われない。公立保育所の機動的な設置・運営や民間主体の積極的参入を図る観点からも、当会議としては、かかる国による最低基準の義務付けは見直し、地方の判断に委ねるべきものと考える。
(5)社会保険分野における国・地方の関係(国民健康保険等)
年金・医療保険等の社会保険分野において、現在、制度の抜本的な見直しが進められている。この分野における国と地方の役割分担は、多くが国の事務である中で、国民健康保険と介護保険については、市町村の事務とされているところである。
介護保険は、福祉と医療の総合化とのコンセプトの下で作られ、総合行政化の流れに沿ったものであり、また、措置から契約への流れの中で利用者の視点に立った行政展開を図りつつ、サービスの供給と保険勘定の管理を共に市町村が行うという新たな試みが、どういった実績を上げるか注目されるところである。
介護保険に関する国の関与は、基本的には「技術的助言」が中心であり、優れて市町村独自の取組み、受益と負担の明確な関係付けの下での運営が可能な仕組みとなっている。しかし、制度発足から間もないこともあり、国による過度の「技術的助言」への不満の声も地方にはあるようであるが、これは制度の成熟化に伴い是正されていくべきものと考えられる。
国民健康保険は、医療制度改革の議論における焦点の一つとなっている。市町村は、国民健康保険の実施主体として、これまで国民皆保険の一翼を担ってきたところであるが、産業構造の変化や過疎化の進展により小規模保険者が増加し、医療費の高額化とも相俟って、過半数の市町村において保険経理は赤字が常態化してしまっている。保険として成り立たせるために、現在、広域化に向けた取組みとともに保険者の統合・再編を視野に制度の見直しが検討されているところである。
市町村を国民健康保険の実施主体とすることを前提として種々の助成、補填措置により対処をしても、問題の本質的解決とはならず、当会議としては、現在進められている制度見直しにおいて、市町村の現状を十分踏まえて検討が行われることが必要であると考える。
(6)地方支分部局と地方の新たな関係の構築(地方労働局等)
国と地方の関係を論じる際、霞ヶ関にある中央省庁と都道府県、市町村の関係を念頭に議論されるのが常であるが、国の機関たる地方支分部局と地方との新たな関係の構築をも視野に入れた上で、これからの国と地方の関係を議論すべきものと考える。
社会保障分野においては、先の第1次分権改革における地方事務官制の廃止に伴い、地方労働局、地方社会保険事務局という新たな地方支分部局が誕生している。この制度改革によって、これまで国家公務員でありながら県庁内で勤務していた地方事務官が、こうした新たな地方支分部局に移され、その結果、県庁内で処理できていた事柄が、国の機関たる地方支分部局にも行かなければならないこととなった。
他方、こうした国の地方支分部局の見直しには、分権改革だけではなく、ほぼ同時期に行われた中央省庁再編の理念も込められているところである。即ち、省庁再編に際しては、中央省庁の権限をできる限り地方支分部局に委任し、諸手続きが当該地方支分部局において完結するよう措置するものとされており、地域機関に対する中央からの分権と、行政の地域における完結の方針が強く打ち出されているところである。
特に昨今の雇用情勢を背景に、雇用・労働に関する国と地方の密接な連携が求められており、地方労働局と地方公共団体の間における緊密な情報交換や求人情報の地方公共団体への提供などを通じて、両者の有機的で効率的な関係の構築が強く望まれる。当会議としては、新しく生まれた機関であり課題も多い代わりに過去の係累の少ない地方労働局を一つの具体例として、国の機関と地方との新たな関係の構築に向けての努力を促したい。また、地方の要望も踏まえつつ、まずは、高齢者、障害者などを対象とした地域性の強い施策を展開する上で必要な職業紹介については、県も一定の役割を担うことができるよう制度の見直しを検討すべきと考える。
さらに、各地方支分部局においては、地方公共団体が地方支分部局限りで問題の解決が図られるよう、地方と連携・協力することを推進するべきである。
我が国は、バブルが崩壊し、失われた十年ともいわれる時代を経て、21世紀に入っても、依然として厳しい経済財政環境の下にある。国民は、現在の社会経済システムがこれまでのように上手く機能しないでいるのを見て、将来への不安感を抱えて、萎縮している。地方分権改革が目指す分権型社会は、住民一人一人が、自分の生活している地域に関心をもち、生活者である自分たちの支え合いによって安心感と豊かさを実感できる地域社会を創造していくことともいえる。21世紀という時代が、社会経済各般の構造改革を、その重要な一翼を担う地方分権改革を求めている。
我々の使命は、「地方にできることは地方に委ねる」という原則に基づき、国と地方の役割分担を明確化し、国は、国でなければ果たし得ない役割に徹し、地方は、地域住民の自主的な選択によって、そのニーズに応えられる公共サービスを提供する総合行政の主体としての役割を果たし得る存在にしていくことにある。
住民に身近な公共サービスについて、必要以上の国の関与・規制から地方を解放し、地域の個性を尊重し多様性を許容することを通じて、各地域の創意工夫による地域間の競争、受益と負担の明確化による行財政の効率化への誘因効果など、地方の活性化や行財政能力の向上が期待できることになる。
この中間報告は、国と地方の役割分担に応じた事務事業の在り方の見直しについて、今後のあるべき国と地方の行政を実現するために、内政の全般にわたる基本的な改革方向の整理を行い、当会議としての見解をとりまとめたものである。今後、更に関係省庁との協議を行い、当会議としての意見のとりまとめをしたいと考えている。
事務事業の見直しを踏まえ、国・地方の役割分担に応じた税財源の配分の在り方については、地方における自立的な財政運営が可能なシステムの構築に向けて、今後検討を進めることにしたい。また、地方行政体制整備についても、全ての市町村において市町村合併に向けた真剣な検討が行われ、具体的な成果につながることを期待するとともに、新しい行政体制の在り方を今後検討する予定である。
当会議に課せられた課題は、新しい時代における「この国の在り方」ともいうべきグランド・デザインを思い描きつつ、広く地方分権改革を推進することにほかならない。分権型社会の実現のためには、多くの課題が残されており、その実現は容易ではないが、現在及び将来の国民の幸福のために、あるべき姿に近づくことができるよう、引き続き最大限の努力を傾注していきたいと考える。
社会保障分野における 取組み方針 |
直ちに検討・措置すべき課題 | 今後の課題 | 将来的な課題 | |
I 地域における保健・医療・福祉の一層の総合化の推進 | ○ 総合化等が可能な範囲の周知徹底 ○ 総合化・統合化事例の集積と紹介 ○ 教育・警察行政との連携・人事交流 |
○ 児童虐待等についての市町村の役割の強化 | ||
幼保一元化問題 | ○ 事例の紹介、厚労・文科省間協議の継続 | ○ 幼稚園教諭・保育士の資格の一元化等 | ○ 幼稚園・保育所の制度の一元化 | |
II 民間企業、NPO等の多様な主体の幅広い 参画による共助社会の構築 |
・ 保育所の公設民営の促進 ・ 公設民営型ケアハウスの整備促進 ・ 水道事業に関する業務委託 ○ 公設民営に関する周知 |
○ 民間主体の一層の事業参入 | ||
III 社会保障行政の執行体制に関する国の関与の廃止、縮減 (必置規制等) |
○ 組織や人員に関する国の義務付けの全般的・経常的見直し | |||
行政組織に関する必置規制の見直し | ○ 児童相談所・児童福祉司を含めた児童福祉サービスの在り方についての検討 | |||
職員に関する必置規制の見直し | ○ 任用資格の在り方の見直し ○ 社会福祉主事に係る規定の在り方の見直し ・ 母子相談員に係る業務等の見直し ○ と畜検査員の在り方の見直し |
○ 保健所長の医師資格要件の廃止 | ||
審議会等に関する必置規制の見直し | ○ 審議会等を目的別に区分の上、必置規制を全面的に見直し | |||
IV 知恵とアイディアの地域間競争を視野に入れた国の関与の見直しによる地方の自主性、自立性の強化 | ||||
国が設定している各種最低基準等の見直し | ・ 医療法人の理事長要件の緩和 ○ 特別養護老人ホームのホテルコストの利用者負担 ・ 保育所に係る職員・施設基準の見直し |
○ 国が全国的に保障するサービス水準の全般的・経常的見直し | ||
○ 保育所の調理施設の見直し | ||||
地方がより主体的に事務事業を行うための関与の見直し | ○ 公立福祉施設の整備に対する負担規定の補助規定化 ○ 福祉事務所設置等の際の同意を要する協議の廃止 ○ 児童相談所の建築等に要する費用負担に関する同意を要する協議の廃止 ○ 市町村の判断のみで給付可能な補装具の種目の追加 ・ 知的障害者地域生活援助事業の開始に関する厚生労働大臣の事前協議の廃止 |
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V 社会保険分野における国・地方の関係 (国民健康保険等) |
○ 国民健康保険の保険者の在り方の見直し | ○ 介護保険の運営実績を踏まえた国の関与の在り方の見直し | ||
VI 地方支分部局と地方の新たな関係の構築 | ○ 行政手続の地域での完結 | |||
雇用労働分野における地方労働局と都道府県との連携 | ○ 雇用対策における積極的な情報交換等の推進 ○ 高齢者、障害者等地域性の強い施策に係る職業紹介についての都道府県への開放 |
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VII その他 | ||||
住民により身近な行政主体への権限の移譲 | ○ 知事資格の養成所等の指定等の権限の移譲 ○ 障害児の施設入所決定事務の市町村への移譲 |
社会保障分野における具体的見直し案等 |
I 地域における保健・医療・福祉の一層の総合化の推進
○ | 総合化等が可能な範囲の周知徹底【直ちに検討・措置すべき課題】 保健所、福祉事務所、児童相談所、身体障害者更生相談所等について、設置主体の判断により統合して設置することが可能である旨を周知徹底する。 |
○ | 総合化・統合化事例の集積と紹介【直ちに検討・措置すべき課題】 地方の総合行政の取組みについて、効果を上げている事例を紹介し、地方の取組みの参考に供する。 |
○ | 教育・警察行政との連携・人事交流【直ちに検討・措置すべき課題】 福祉行政が教育行政、警察行政などと連携を図りながら施策を進める必要性が高まっていることに鑑み、他の行政分野との連携、人事交流を積極的に進めることにより福祉行政の活性化を図る。 |
○ | 児童虐待等についての市町村の役割の強化【今後の課題】 件数が大幅に増加している児童虐待等については、現在、児童相談所を中心として対応がなされているが、児童虐待が地域の子育て不安解消への取組みと密接に関係すること等を踏まえ、市町村を主体として対応する方向で検討を行う。 |
〔幼保一元化問題〕
○ | 事例の紹介、厚労・文科省間協議の継続【一部措置済み】 地方の幼稚園・保育所の幼保一元の取組みの参考に供するために、一体的運営・施設の統合の事例の紹介を行うとともに、一体的運営等がよりしやすくなるよう、文部科学省と厚生労働省の間で、引き続き施設の共用化等についての協議を行う。 |
○ | 幼稚園教諭・保育士の資格の一元化等【今後の課題】 現在進められている両施設の一体的運営を一層促進しつつ、幼保の実質的な一元化に向けた環境の整備を図る観点から、幼稚園教諭・保育士の資格の一元化等について検討する。 |
○ | 幼稚園・保育所の制度の一元化【将来的な課題】 資格の一元化等の進展状況を踏まえ、幼稚園・保育所の制度の一元化について、地方の具体的要望等を聴取しつつ、検討を行う。 |
II 民間企業、NPO等の多様な主体の幅広い参画による共助社会の構築
○ | 公設民営に関する周知【一部措置済み】 公設民営を行っている自治体の事例を自治体に対して紹介するなどして、公設民営を行おうとする自治体の取組みを支援する。 |
○ | 民間主体の一層の事業参入【今後の課題、将来的な課題】 地方からの要望も踏まえ、NPO、株式会社などの民間主体の参入の促進のための方策について検討を行う。 |
III 社会保障行政の執行体制に関する国の関与の廃止、縮減(必置規制等)
○ | 組織や人員に関する国の義務付けの全般的・経常的見直し【直ちに検討・措置すべき課題、今後の課題、将来的な課題】 必置規制など組織や人員に関する国の義務付けについては、事務事業の執行体制や実施方法に関する地方の裁量は幅広く認められるべきであるとの考え方に基づき、廃止・縮減の方向で見直しを行う。 |
〔行政組織に関する必置規制の見直し〕
○ | 児童相談所・児童福祉司を含めた児童福祉サービスの在り方についての検討【直ちに検討・措置すべき課題】 児童福祉サービスの提供体制について、都道府県や指定都市に置かれている児童相談所や児童福祉司の在り方を含め、子どもを取り巻く環境の変化に対応し、社会保障審議会の議論を踏まえつつ検討を行う。 |
〔職員に関する必置規制の見直し〕
○ | 任用資格の在り方の見直し【直ちに検討・措置すべき課題】 身体障害者福祉司、知的障害者福祉司について、より一層の活用を図る観点から、任用資格の在り方について検討を行う。 |
○ | 社会福祉主事に係る規定の在り方の見直し【直ちに検討・措置すべき課題】 社会福祉主事のより一層の活用を図る観点から、規定の在り方について検討を行う。 |
○ | と畜検査員の在り方の見直し【直ちに検討・措置すべき課題】 牛海綿状脳症(BSE)の発生に伴い、食肉の安全性を確保するために獣医師が機動的にと畜検査に関われるようにと畜検査員の必置規制の在り方について検討を行う。 |
○ | 保健所長の医師資格要件の廃止【今後の課題】 保健所への医師の必置は維持しつつも、所長が医師でなければならないという資格要件を廃止する。 |
〔審議会等に関する必置規制の見直し〕
○ | 審議会等を目的別に区分の上、必置規制を全面的に見直し【直ちに検討・措置すべき課題】 都道府県等に置かれる審議会等を目的別に分けて以下のような見直しを行う。
(政策の企画立案に関する意見を述べる審議会等)
(第三者機関的な審議会等)
|
IV 知恵とアイディアの地域間競争を視野に入れた国の関与の見直しによる地方の自主性、自立性の強化
〔国が設定している各種最低基準等の見直し〕
○ | 特別養護老人ホームのホテルコストの利用者負担【直ちに検討・措置すべき課題】 特別養護老人ホームの個室化の推進を踏まえ、低所得者層に一定の配慮をしながら、ホテルコストを原則として利用者負担とする方向で検討を行う。 |
○ | 国が全国的に保障するサービス水準の全般的・経常的見直し【今後の課題、将来的な課題】 国が設定している最低基準等の見直しを行うことにより、国により全国的に確保するサービスの水準を引き下げ、地方の裁量の余地を拡大する方向で、関連する諸措置・諸制度の全般的・経常的見直しに努める。 |
○ | 保育所の調理施設の見直し【今後の課題】 保育所に調理施設の設置を義務付けている最低基準の見直しを行う。 |
〔地方がより主体的に事務事業を行うための関与の見直し〕
○ | 公立福祉施設の整備に対する負担規定の補助規定化【直ちに検討・措置すべき課題】 公立福祉施設の整備が地方の事務であることをより明確化するために、施設整備に対する国・都道府県の負担規定については、関係省庁と連携し、補助規定への変更について検討を行う。 |
○ | 福祉事務所設置等の際の同意を要する協議の廃止【直ちに検討・措置すべき課題】 町村が福祉事務所を設置する場合等の都道府県の同意を要する協議については、これを廃止する方向で検討を行う。 |
○ | 児童相談所の建築等に要する費用負担に関する同意を要する協議の廃止【直ちに検討・措置すべき課題】 児童相談所、児童福祉施設又は職員の養成施設の用に供する建物の建築、買収又は改造に要する費用の負担に関する厚生労働大臣の同意を要する協議については、廃止する方向で検討を行う。 |
○ | 市町村の判断のみで給付可能な補装具の種目の追加【直ちに検討・措置すべき課題】 身体障害者更生相談所の判定を要さずに市町村の判断のみで給付ができる補装具の種目の追加については、平成7年7月、平成13年6月に改正を行っているところであるが、その効果や現場の反応等を見極め、関係者の要望の集積を踏まえより一層の見直しを行う。 |
V 社会保険分野における国・地方の関係(国民健康保険等)
○ | 国民健康保険の保険者の在り方の見直し【一部措置済み】 小規模な国民健康保険の保険者については、保険者の広域化支援策が講じられているところであるが、現在進められている医療保険制度体系の在り方についての基本方針を策定する中で市町村の現状を十分踏まえて検討を行う。 |
○ | 介護保険の運営実績を踏まえた国の関与の在り方の見直し【今後の課題】 介護保険制度が成熟し、ある程度定着が図れた時点において、国が行っている指導・助言等の在り方についての見直しを行う。 |
VI 地方支分部局と地方の新たな関係の構築
○ | 行政手続の地域での完結【今後の課題】 地方支分部局における実質的決定権の拡大を図り、地方支分部局限りで地方公共団体の問題の解決が図られるよう検討を行う。 |
〔雇用労働分野における地方労働局と都道府県との連携〕
○ | 雇用対策における積極的な情報交換等の推進【今後の課題】 高齢者、障害者をはじめとする求人情報の地方公共団体への情報提供などを通じて地方労働局と地方公共団体の連携を強化する。 |
○ | 高齢者、障害者等地域性の強い施策に係る職業紹介についての都道府県への開放【今後の課題】 高齢者、障害者などを対象とした地域性の強い施策を展開する上で必要な職業紹介については、都道府県にも一定の役割を担えるよう制度の見直しを行う。 |
VII その他
〔住民により身近な行政主体への権限の移譲〕
○ | 知事資格の養成所等の指定等の権限の移譲【直ちに検討・措置すべき課題】 知事資格とされている栄養士、調理師、製菓衛生師に係る養成所等の指定等の権限について、都道府県における事務の効率的な執行等の観点から、これを国から都道府県に移譲する方向で検討する。 |
○ | 障害児の施設入所決定事務の市町村への移譲【直ちに検討・措置すべき課題】 障害児・障害者に係る事務について、市町村で一元的な実施を進める観点から、平成15年度から施行される支援費制度の実施状況を勘案しながら、障害児の施設入所決定の事務に係る権限を都道府県から市町村に移譲することを検討する。 |
議長 | 西室 泰三 | 株式会社東芝取締役会長 |
議長代理 (小委員長) | 水口 弘一 | 株式会社野村総合研究所顧問 |
委員 | 赤崎 義則 | 鹿児島市長 |
岩崎美紀子 | 筑波大学社会科学系教授 | |
岡崎 洋 | 神奈川県知事 | |
神野 直彦 | 東京大学大学院経済学研究科教授 | |
竹内佐和子 | 東洋大学経済学部教授 | |
寺島 実郎 | 株式会社三井物産戦略研究所所長 | |
森田 朗 | 東京大学大学院法学政治学研究科教授 | |
吉田 和男 | 京都大学大学院経済学研究科教授 | |
吉永みち子 | ノンフィクション作家 | |
※50音順 |
【平成14年】
開催日 | 会議名及び議題 |
1月29日(火) | 第11回本会議〔有識者ヒアリング:大住荘四郎新潟大学経済学部教授(ニュー・パブリック・マネジメントによる地方公共団体の経営改革)、フリートーキング〕 |
2月13日(水) | 第12回本会議〔有識者ヒアリング:(1)筆谷勇新日本監査法人代表社員(外部監査の現状と課題)、 (2)田辺国昭東京大学大学院法学政治学研究科教授(公共サービスの提供における地方公共団体の役割の見直し)、フリートーキング〕 |
2月28日(木) | 第13回本会議〔財務省ヒアリング(平成14年度予算等)、総務省ヒアリング(平成14年度地方財政計画、税制改正等)、フリートーキング〕 |
3月 5日(火) | 第14回本会議〔委員説明(神野委員、吉田委員)〕 |
3月12日(火) | 第15回本会議〔関係省庁意見照会結果の報告、義務づけ・枠づけ・必置規制・関与の見直し作業結果の報告〕 |
3月28日(木) | 第16回本会議〔地方3団体ヒアリング(1)(全国知事会、全国町村会)、経済団体ヒアリング(1)(関西経済連合会)〕 |
4月 4日(木) | 第17回本会議〔地方3団体ヒアリング(2)(全国市長会)、経済団体ヒアリング(2)(経済団体連合会、経済同友会)〕 |
4月 9日(火) | 第10回小委員会〔厚生労働省ヒアリング(社会保障)〕 |
4月23日(火) | 第11回小委員会〔文部科学省ヒアリング(教育文化)〕 |
4月26日(金) | 第12回小委員会〔農林水産省ヒアリング(公共事業、産業振興)〕 |
5月17日(金) | 第13回小委員会〔警察庁、国土交通省(1)ヒアリング(公共事業、治安・その他)〕 |
5月27日(月) | 第14回小委員会〔国土交通省ヒアリング(2)(公共事業)〕 |
5月29日(水) | 第15回小委員会〔環境省、消防庁ヒアリング(公共事業、治安・その他)〕 |
5月31日(金) | 第16回小委員会〔中間報告の総論・各論(社会保障・教育文化)についての審議〕 |
6月 6日(木) | 第17回小委員会〔中間報告の各論(公共事業・産業振興・治安その他)についての審議〕 |
6月10日(月) | 第18回本会議・第18回小委員会合同会議〔中間報告(素案)の審議〕 |
6月13日(木) | 第19回本会議・第19回小委員会合同会議〔中間報告(案)の審議〕 |
6月17日(月) | 第20回本会議〔中間報告(案)の審議〕 |