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参考資料1

平成14年7月12日

厚生労働大臣
  坂口  力 殿

社会保障審議会医療分科会
    会長  鴨下 重彦


東京女子医科大学病院の特定機能病院としての取扱等について

 昨年3月に東京女子医科大学病院において発生した、心臓手術を受けた女児が、手術中に人工心肺装置が一時的に所定の作動をしなかったことにより術後3日後に死亡した事故は、高度の医療を提供する医療機関として承認を受けた特定機能病院において発生したのみならず、更に、手術を担当した医師が業務上過失致死罪、証拠隠滅罪の疑いで逮捕される等医療に対する国民の信頼を揺るがす誠に遺憾な事件であった。
 今回の事件の発生を契機として、東京女子医科大学病院における安全管理のための体制の確保に加え、事故後の対応の状況を含めて、これまで5回にわたり審議を重ねてきたところであるが、今回の事件では、
 (1) 医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)第9条の20第1号ハ及び「医療法の一部を改正する法律の一部の施行について」(平成5年2月15日付け厚生省健康政策局長通知)第1の5に定められた、医療事故等の院内報告制度が機能しておらず、安全管理委員会への報告が行われていなかったこと及び職員の研修や指針の整備が不十分であったこと
 (2) 遺族等からの指摘があるまで医療事故に関する事実関係等について原因の究明や遺族等に対する説明がなされなかったこと
 (3) 当該手術に多くの関係者が関与していたにもかかわらず、事実関係が隠ぺいされた上、隠ぺいを目的とした諸記録の改ざんが行われていたこと
などを始めとして、病院の運営管理に当たり、種々の問題点が明らかになったが、これらは医療機関・医療関係者としてあるまじき事実である。
 このように、今回の事件が、医療界全体に対する国民の信頼と期待を揺るがしたこと等を重く受け止め、東京女子医科大学病院からは特定機能病院の承認を辞退する旨の申入れがなされているところであるが、特定機能病院としての同病院に対する厳重な処分を行う等下記の措置を講ずるべきとの結論に至った。なお、東京女子医科大学病院においては、本件も含め、医療事故等が発生した際には、事実関係等について患者や家族が納得できるよう適切な説明を行う等今回の事件の反省を踏まえた適切な対応を取ることが必要である。
 併せて、厚生労働大臣は、医療安全対策は医療政策における最も重要な課題であるという認識の下、本年4月に取りまとめられた「医療安全推進総合対策」等に基づき、安全確保のための着実な取組を推進し、安全で安心できる医療を確保することで、医療制度に対する信頼を一日も早く回復することを望むものである。



 東京女子医科大学病院に対しては、医療法(昭和23年法律第205号)第29条第4項第4号の規定に基づき、特定機能病院の承認の取消が相当であること。


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