[雇用管理における透明性・納得性の向上]
ルール1 パート社員の処遇について常用フルタイム社員との違いやその理由について十分な説明を行うこと。 |
○仕事の内容やキャリア管理の仕方の具体的な違い、それに伴う処遇の違いなどについて、採用時やパートから求められたときに説明し、パート社員の納得性を高めるよう注意を払って下さい。
ルール2 処遇の決定プロセスに、パート社員の意思が反映されるよう、工夫すること。 |
○パート社員に適用される就業規則の制定・改訂にあたっては、パート代表者の意見を聞くことが事業主の努力義務となっています(パート法第7条)。
○賃金改定の際にも、労働組合を経由して、あるいは職場で直接意見を聞くなどの手順を踏むよう工夫して下さい。
ルール3 パート社員についても、仕事の内容・役割の変化や能力の向上に伴って、処遇を向上させる仕組みを作ること。 |
○パート社員についても常用フルタイム社員と同じような視点で「やる気」を引き出すような処遇制度上の配慮が必要です。パートの昇進昇格制度のある事業所は約3割です(21世紀職業財団調査 平成13年)。
※パート社員の資格制度導入事例
「『発注業務を担当できるようになったら、この資格等級に昇格できる』など、明確な昇格基準を設定し、昇格に伴って時給がアップする制度をパート社員にも導入しました。資格制度の導入でパート社員も仕事のレベルアップに励むようになり、コストアップ以上の成果が出ています」(小売)。
※合理的理由:異動の幅、頻度などキャリア管理実態の違いが明らかであること 注)図の濃い部分は、ルールの内容についてより強く実行が求められることを意味します。 |
[雇用管理区分間の行き来を可能にすること]
ルール4 パート社員の意欲、能力、適性等に応じて、常用フルタイム社員(あるいは短時間正社員)への転換の道を開くこと。 |
○パート社員が常用フルタイム社員になることを希望した場合には、これに応募する機会を優先的に与えることが事業主の努力義務となっています(パート法第8条に基づく「事業主が講ずべき雇用管理の改善等のための措置に関する指針」)。
○パート社員の正社員登用制度のある事業所は約3割で、それら事業所において、最近3年間に登用された人数は一事業所あたり平均3.6人となっています。
[雇用管理における公正なルールの確保]
ルール5 フルかパートかの違いだけで、現在の仕事、責任が同じであり、また異動の幅、頻度などで判断されるキャリア管理実態の違いも明らかでない場合は、処遇決定方式を合わせること。 |
○雇用管理区分が違えば、仕事の内容、責任、働き方が違うのが普通です。しかし、以下のようなケースもあります(21世紀職業財団調査 平成13年)。
Q: | 常用フルタイム社員は長期的キャリア形成を前提とした職能に基づく賃金制度、パートは別の賃金制度を適用しています。特に若手のころに仕事も責任も同じという場合がありますが、問題となりますか。 |
A: | 異動の幅、頻度などからみて、確かにキャリア管理の実態が違うと説明できるかどうかが決め手になります。その違いも説明できなければ、パートの納得を得るのは困難と考えられます。 |
ルール6 ルール5に照らして、処遇決定方式を異にする合理性がある場合でも、現在の仕事、責任が同じであれば、処遇の水準の均衡に配慮すること。 |
○異動の頻度、幅などキャリア管理の実態は常用フルタイム社員と明らかに違うとしても、現在の仕事がほと んど同じであれば、処遇水準の均衡を図ることが必要と考えられます。
○ただ、その方法としては、直ちに、パート社員の処遇水準を引き上げるのでなくても、
○どのくらいなら均衡がとれていると判断されるのかはもちろん一概には言えません。ただ、ちなみに平成1 3年の21世紀職業財団調査によると、正社員と同様の仕事をしているパートが納得できると考えている 水準は、パート、正社員、事業所いずれも、平均的には正社員の約8割と回答しています。