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パート労働の課題と対応の方向性
(パートタイム労働研究会最終報告のポイント)


【I パート労働の現状と問題点】

(パート労働者の増加)
・週35時間未満雇用者は1205万人(全体の2割。20年前は1割)
・パート等非正社員の増加(H9〜13年 200万人増)  正社員雇用の減少(170万人減)
(パート増加の背景)
(需要側の要因)
(1)コスト削減要請
(2)サービス経済化
(3)今後の少子高齢化
 →女性・高齢者等の有効活用
(供給側の要因)
(1)女性・高齢者等短時間を指向する層の就業意欲の高まり
(2)若年層を中心とした就業意識の変化
(方向性)
今後の基本コンセプトは企業・個人とも「働き方についての柔軟性・多様性の確保」
 幅広い社会構成員がライフステージに応じ、ゆとりを持って働く社会へ

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(問題点)
(1) パートの基幹的役割が増大している中での問題点
 正社員とパートの大きな処遇差の中で、正社員からパートへのシフトが加速、正社員雇用への入り口が狭まるなどの労働市場のアンバランス。

(2) フルタイム正社員かパート非正社員かの二者択一では多様なニーズに対応できず







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(課題)
・多様な働き方の拡大は不可逆的な流れ
・ただし、労働市場全体の著しい不均衡や処遇条件低下とならない道筋が必要

 少子化の下で、より多くの層が経済的に自立し、社会の支え手となり得るためにも重要。
 →処遇均衡には、正社員の働き方や処遇も含めた雇用システム全体の見直しが必要
【II 雇用システムの変化の方向→柔軟で多様な働き方を選びとれる社会へ】

1 正社員も含めた雇用システムの多元化 (「中間形態」の形成)
・「拘束性の高いフルタイム正社員 か 補助的パート」の二者択一からの脱却
・「中間形態」には、残業、配転などの拘束性は少ないが、基幹的な仕事をするフルタイム社員、基幹的パート双方が含まれ、その中ではフルもパートも統一的に雇用保障・処遇を行う
2 さまざまな働き方を納得して選択できる「働きに応じた処遇」の確立
・評価のウエイトは、いわば生計費等の「必要に応じた処遇」から「働きに応じた処遇」に変化の方向
・こうした流れは 基幹的役割を担いつつあるパートにとって望ましい方向
3 ライフステージに応じて多様な働き方を行き来できる連続的な仕組みの構築
・まず、正社員において 育児・介護・自己啓発等ライフステージに応じたフルとパートの行き来を活発化
 ⇒ 本格的な短時間就業(ex.短時間正社員)が一つの働き方として確立
 ⇒ 補助的パートから入職する層も 意欲・能力に応じて、短時間正社員等に移れる仕組み

【III 政策の方向性】

(基本的考え方)IIの仕組みづくりを政策的に促すための条件づくり
○ 正社員の働き方、処遇も含めた全体の雇用システム全体の見直しに向けた労使の主体的合意形成(ワークシェアリングの議論の活用)

○ 多様な働き方が「望ましい」形で広がっていくための制度改革等の着実な実施
 



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  └
☆企業の選択肢を拡大する方向での制度改革の要素
(派遣労働者の拡大、有期労働契約の拡大など就業形態多様化を可能とする制度改革)

☆多様な働き方の下での雇用保障や処遇についての公正なルールの確保の要素

└→ 両面を有機的に組み合わせ、総合的なパッケージとして進めることが重要

(具体的方向性)上記「多様な働き方の下での雇用保障や処遇についての公正なルールの確保の要素」を中心に
○パートについての日本型均衡処遇ルールの確立
【日本型均衡処遇ルールの考え方】

(1) フルかパートかの違いだけで、現在の職務・責任のみならず、異動の幅、頻度などで判断されるキャリア管理実態の違いも明らかでない場合は、処遇の決定方式を合わせ、その決定方式の下で各人をどう評価するかは企業のルールに委ねる。
 (パートの中でこうしたケースに該当する者は全体の4〜5%)

(2) 合理的な理由があり、処遇決定方式を合わせられない場合でも現在の職務が同じで あれば、処遇水準の均衡に配慮すべき。具体的には、処遇水準の均衡に向けて、パートにも能力向上等に応じた処遇の仕組みを作るなどの配慮が必要。
 (ちなみに正社員と同様の仕事をしているパートが納得できると考えている水準はパ ート、正社員、事業所いずれからみても、正社員の約8割が平均値)

目指すべきルールの法制化を視野に入れつつ、ガイドライン策定によりルールの具体的考え方の社会的浸透・定着を図ることが重要(最終報告で別添ガイドライン案を提示)。また、その実効性を高めるための事後的救済措置の充実等が重要。

○多様な働き方を行き来できる連続的な仕組みの促進

 フルタイム正社員とパート非正社員の間のバイパス→「短時間正社員制度」の導入支援。

○働き方に中立的な税・社会保険制度の構築

・ 収入が一定額を超えないようにする「就業調整行動」はパートの低賃金を助長。

・ 税については、パート収入が一定額を超えると手取りが逆に減る現象はすでに解消。
 正しい理解の普及。

・ 社会保険制度については、パートの年金保障の充実、就業調整行動が起こりにくい制度となるよう、パートへの適用拡大の方向で検討すべき。


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