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過去の報告書等における少子化要因の分析

「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」
(平成6年12月16日 文部省・厚生省・労働省・建設省)

○女性の職場進出と子育てと仕事の両立の難しさ
 ・ 各年齢層において、女性の労働力率が上昇
 ・ 不十分な子育て支援体制等から、両立が困難
○育児の心理的、肉体的負担
 ・ 理想とする子ども数を持とうとしない理由として、育児の心理的、肉体的負担に耐えられないこと
 ・ 晩婚化の要因として、家事、育児への負担感や拘束感が大きいこと等
○住宅事情と出生動向
 ・ 大都市圏を中心に、住宅事情が厳しい地域で出生率が低い傾向
○教育費等の子育てコストの増大
 ・ 子どもをもつ世帯の子育てに要する経費は相当に多額
 ・ 教育関係費の消費支出に占める割合も近年増加
晩婚化の進行
 男女とも晩婚化による未婚率が増大。昭和50年頃からどの年齢層においても未婚率が上昇。特に25歳から29歳までの女性の未婚率が飛躍的に増大(昭和50年20.9%→平成2年40.2%)。
夫婦の出生力の低下
 合計特殊出生率が低下(昭和60年2.17→平成元年2.05)。
 今後、晩婚化の進行が止まっても年齢的限界から子どもを生むことを断念せざるを得ない人が増加し、出生率は低下傾向が続くとの予測もある。

(参考)
<子育て支援の重点施策>
 ・ 仕事と育児との両立のための雇用環境の整備
 ・ 多様な保育サービスの充実
 ・ 安心して子どもを生み育てることができる母子保健医療体制の充実
 ・ 住宅及び生活環境の整備
 ・ ゆとりある学校教育の推進と学校外活動・家庭教育の充実
 ・ 子育てに伴う経済的負担の軽減
 ・ 子育て支援のための基盤整備


「少子化に関する基本的考え方について」(平成9年10月人口問題審議会)

社会の成熟化に伴う個人の多様な生き方の表れ
固定的な役割分業意識と雇用慣行、それを支える企業風土の存在
快適な生活の下での自立に対するためらい
現在及び将来の社会に対する不安感

固定的な雇用慣行と企業風土、男女の役割分業
母親の孤立、それに伴う孤独感や不安感
長時間通勤等の勤務形態
利用しやすい育児サービスがないこと
結婚や子育てにかかる機会費用の上昇
育児の負担感、仕事との両立の負担感

女性の経済力の向上
性の自由化、家事サービスの外部化
子どもを持つ意義の変化
世間のこだわりの減少
独身の自由への欲求
個人の結婚観、価値観の変化

親との同居の下での快適な生活
結婚前の生活水準の維持
親から自立して結婚生活を営むことへのためらい など

未婚率の上昇(晩婚化の進行と生涯未婚率の上昇)

育児に対する負担感、家事・育児と仕事との両立に対する負担感

子育てに関する直接的費用と機会費用の増加

子どものよりよい生活への願望  など





平均出生児数(2.2人)と平均理想子ども数(2.6人)の開き

 平均出生児数と平均理想子ども数は昭和50年代前半以降ほぼ同水準で推移していることから、この開きは、厳密には近年の出生率の低下の直接的要因とは言えないが、人口減少社会への対応のあり方を検討する際に考慮すべき事項。

(参考)
<少子化の要因への対応>
 ・固定的な男女の役割分業や仕事優先の雇用慣行の是正
 ・子育てを支援するための諸施策の総合的かつ効果的な推進


「夢ある家庭づくりや子育てができる社会を築くために(提言)」
(平成10年12月少子化への対応を考える有識者会議)

 若い男女が、親から自立して働きながら新たな家庭を築き、子どもを育てていく、という責任ある喜びや楽しさを経験することを困難にするような社会経済的・心理的な要因
子育てと仕事の継続との両立が難しいなどのため、子どもを持つことをやむを得ずあきらめる
若い男女特に女性にとって結婚や育児に伴う負担の重さが大きく意識される状況があるため、結婚自体をためらう
若い世代の未婚者の増加
 (人々が積極的に希望した結果ではなく、様々な葛藤を伴う選択の結果という面が大きい。)

(参考)
<環境整備すべき内容>
 ○働き方に関する事項
  ・ 男女の固定的な性別役割分業の見直し、職場優先の企業風土の是正
  ・ 職場における仕事と育児の両立支援の取組みの充実 など
 ○家庭、地域、教育のあり方などに関する事項
  ・ 家事や育児への男女共同参画の推進
  ・ 子育てを社会全体で支援するという国民的合意の確立、環境整備
  ・ 男女共同参画の視点や子育ての大切さ・楽しさの広報啓発、体験機会の提供
  ・ 需要や生活スタイルの変化等に対応した保育等子育てサービスの整備
  ・ 学歴偏重教育の是正、奨学金の拡充等による経済的自立のための環境整備
  ・ 子育ての経済的負担を社会的に支援する税制や社会保障制度のあり方の検討
<推進体制>
  ・ 内閣総理大臣が主宰する「国民会議(仮称)」の設置
  ・ 閣僚レベルの取組み体制の整備


「少子化対策推進基本方針」(平成11年12月少子化対策推進関係閣僚会議)

○結婚に関する意識の変化
○固定的な性別役割分業を前提とした職場優先の企業風土
○核家族化や都市化の進行等

⇒仕事と子育ての両立の負担感の増大、子育てそのものの負担感の増大

○晩婚化の進行等による未婚率の上昇

○夫婦の平均出生児数と平均理想子ども数の開き

(参考)
<基本的施策>
1.固定的な性別役割分業や職場優先の企業風土の是正
2.仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備
・ 育児休業を取りやすく、職場復帰をしやすい環境の整備
・ 子育てのための時間確保の推進 など
3.安心して子どもを産み、ゆとりをもって健やかに育てるための家庭や地域の環境づくり
・ 母子保健施策の推進
・ 児童虐待への対応 など
4.利用者の多様な需要に対応した保育サービスの整備
・ 必要なときに利用できる保育所等の受入枠の整備等
・ 利用者の視点に立った多様な子育て支援サービスの普及促進 など
5.子どもが夢を持ってのびのびと生活できる教育の推進
・ 柔軟な学校教育制度への改革 など
6.子育てを支援する住宅の普及など生活環境の整備
・ 良質な住宅の整備 など


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