資料V-5-1 年金受給権の一身専属性に関係する法律条文
国民年金法第24条(受給権の保護)
厚生年金保険法第41条第1項(受給権の保護)
民法第896条
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資料V-5-2 基礎年金制度の導入と年金分割
資料V-5-3 民法の離婚時の財産分与の規定等
民法762条第1項(夫婦別産制)
民法768条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。 2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。但し、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。 3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。 |
民法の一部を改正する法律案要綱(平成8年2月26日、法制審議会総会決定) 第六 協議上の離婚 二 離婚後の財産分与
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資料V-5-4 横浜地裁相模原支部平成11年7月30日判決の概要
○ 本件は、64歳の妻が、同じく64歳である夫に対し、離婚及びこれに伴う財産分与等を求めた訴訟であり、妻の請求において現に夫が受給している特別支給の老齢厚生年金等も分与財産の対象とされた。 ○ 判決は、夫が現に受給している特別支給の老齢厚生年金と夫が勤務する会社の厚生年金基金の基本年金及び加算年金等の合計額を年額540万円余りと認定した上で、これから妻の65歳からの年金支給見込額年額46万円を控除した494万円の4割相当額(約198万円)を扶養的財産分与として妻に分与することとし、夫にその受給する年金の一部(月額16万円)を妻の死亡まで一般の定期金債務の形式で支払うことを命じた。 |
(注)本件の控訴審では、本件婚姻関係が完全に破綻しているとまで認めるのは相当でないとして、本判決を取り消し、離婚請求を棄却している。(東京高判平成13年1月18日)
資料V-5-6 高齢者の所得階層別、所得に占める社会保障給付割合
資料V-5-7 諸外国における離婚時等の年金の取扱い(年金分割等)
国名 | 対象 | 分割方法 | 分割手続 | その他 |
ドイツ |
○ 法定年金(所得比例年金) ○ 企業年金や個人年金も含めて分割 |
○ 年金期待権の分割(原則的な方法)
○ 債権的な年金分割
○ 当事者の取決めによる年金分割
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○ 離婚は、裁判手続(離婚判決)を経てのみ可能となっており、年金分割もこの手続きの中で行われる。 ○ 当事者間で取決めを行う場合も家庭裁判所の許可が必要。 |
○ 本年の改正法により、婚姻中の夫婦についても、年金分割が可能とされた(25年以上の婚姻期間を持っているカップルが対象とのこと)。これは、義務的措置ではない |
イギリス |
○ 付加年金 ○ 企業年金等も対象 |
○ 財産分与における年金受給権の整理については、
○ 分割する割合は裁判所の命令によって定められる ○ 分割対象は婚姻期間中に限定されない |
○ 離婚には裁判手続が必要だが、内容について当事者間に争いがない場合は、簡易な手続きで行われる。 ○ 年金分割は、離婚に伴う財産分与の一環で行われる。 ○ Earmarking、Sharingは裁判所の命令により行われる |
○ 基礎老齢年金は、年金分割の対象となっていないが、離婚した場合でも再婚していなければ、元配偶者の保険料納付記録に基づく基礎年金を受給できる |
カナダ |
○ 所得比例年金 |
○ 1年以上婚姻している夫婦が離婚の届け出をした場合、婚姻期間の間に獲得した年金権が等分に分割される(Credit-Splitting) ※ ただし、州の家族法で年金分割を行わない取決めを認めているものがあり、その場合分割は行われない。 |
○ 法律上の婚姻での離婚の場合は、離婚の届出により特別な手続を必要とせずに分割 ○ 事実婚の場合は、年金分割の申請が必要。 |
○ 婚姻関係が継続していても、夫婦両方が退職年齢(60歳以上)に達していれば年金権を等分できる(Pension Sharing) |
アメリカ |
○ 年金分割の仕組みはない 婚姻期間が10年以上の場合、離婚した場合でも元配偶者の保険料納付記録に基づく配偶者年金(被保険者本人の年金額の50%)が支給される |
資料V-5-8 年金分割の方法