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資料III-1 政府、与党等における各種提言

○21世紀に向けての社会保障(平成12年10月 社会保障構造の在り方について考える有識者会議)

II 持続可能な社会保障

1.支え手を増やす

(支え手を増やす)

  •  年齢や性別、障害の有無にかかわらず、国民誰もがその意欲に応じて社会に参画できるようにすること、働く意欲を持つ者が働くことができる社会としていくことが求められている。

  •  このため、性別や年齢、障害を理由に、働くことを妨げられることのないような環境整備を進める必要がある。女性の就労については、雇用機会の確保と男女の均等を徹底すると同時に、育児や介護などのために就労が阻害されることのないよう、保育、介護サービスの確保や育児休暇、介護休暇をとりやすく、職場復帰しやすい雇用環境の整備、雇用慣行の見直しなどの対策が必要である。

  •  21世紀初頭には我が国の総人口が減少に転じ、まさに21世紀が「人口減少の世紀」となる中で、意欲に応じ働くことができる社会としていくことは、社会保障の負担の担い手を増やし、給付と負担のバランスをとっていくことに寄与することになる。

(個人の選択に中立的な制度の構築)

  •  また、社会の諸制度は、就労に中立的であることが望ましく、少なくとも就労することで不利な扱いとなる制度については、その見直しが必要である。特に、社会保障制度や税制においては、この観点が重要である。

  •  税制や社会保険で被扶養配偶者としての扱いを受ける収入の前後で、就業を調整する実態がみられる。

  •  さらに、パートタイマー、派遣労働者等就業形態は多様化してきているが、これらの者については、現在の社会保障制度においては、被用者保険の対象の外におかれることが多く、就業形態によって社会保障制度における取扱いに差が生じることを考えると、これら雇用形態の多様化に対応できるよう、制度を見直すべきである。



○社会保障改革大綱(平成13年3月 政府・与党社会保障改革協議会)

二 改革の理念

(五)就労形態の多様化や女性の生活実態の変化などに対応し、個人の生き方の選択によって不合理な取扱いが生じない公正な社会保障制度を目指す。

2 働く女性が能力を十分に発揮できるよう、雇用差別の禁止、女性の積極的な活用など、雇用環境の整備等を推進する。

4 社会保障制度について、パートタイマー等雇用形態の多様化に対応した制度の見直し、女性の就労など個人の選択に中立的な制度への見直しを進める。

5 老後の生活については、公的年金を基本としつつ、勤労収入、私的年金、貯蓄等の自助努力を組み合わせて必要な経費を賄うこととする。この観点から、高齢者の経済状況や男女の就業実態の変化等を踏まえて、年金給付の在り方などについて検討する。また、企業年金や民間保険などの民間部門の活用策を推進する。



○今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針(平成13年6月26日 閣議決定)

第3章 社会保障制度の改革−国民の安心と生活の安定を支える

1.国民の「安心」と生活の「安定」を支える社会保障制度の確立

(3)時代の要請に応える

 個人のライフスタイル、就労形態、家族形態の多様化が急速に進んでいる。特に、女性が働くことが当たり前になってきている。この変化に現在の社会保障制度は十分に対応しきれておらず、働く意欲のある女性や高齢者の就業、パート労働、派遣労働などに不利な面が残されている。現行制度の持つ「非中立」的な効果を緩和し、国民にとって多様な選択を可能にする制度への転換を進め、国民の能力発揮を支えることが、男女共同参画社会、生涯現役社会への道を拓く。


2.社会保障制度全体に共通する課題

(3)女性、高齢者の社会参画の拡大、就労形態の多様化への対応

 働く意欲と能力のある女性や高齢者の就業を抑制しないよう、年金、医療、税制等の制度 設計の見直しを進めるとともに、仕事と家庭の両立を図るため、労働法制の見直しを一層進める。特に、世帯単位が中心となっている現行制度を個人単位の制度とする方向で検討を進め、女性の就業が不利にならない制度とする。
 また、労働移動の活発化、就労形態の多様化などに対応して、派遣労働に対する規制改革を推進するとともに、パート労働、派遣労働に対する社会保障制度の適用を拡大するとともに、ポータビリティーを容易にするなど中立性を高めセーフティーネットの機能を強化する。
 さらに、高齢者は資産や所得等の経済状況が極めて多様であり、年齢で一律に社会的弱者とみなすのではなく、経済的な負担能力に応じた応分の負担を求めるとともに、高額の所得や資産を有するものに対する社会保障給付のあり方を見直す。



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