社会保険庁
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「社会保険庁は変わります」宣言

平 成 1 6 年 1 1 月 2 6 日
社会保険庁長官 村瀬 清司

はじめに


 
社会保険庁の事業運営のあり方等については、先の通常国会における年金改正法案の審議やマスコミの報道等において、
利用者の立場や目線に立ったものとなっていないのではないか
個人情報保護の重要性について十分に認識していないのではないか
国民の皆さんからお支払いいただいた保険料や税金を保険給付以外に安易に使っているのではないか

などの様々な御指摘をいただきました。
また、9月には、社会保険庁の幹部職員が収賄容疑で逮捕されるという不祥事があり、国民の皆様の信頼を著しく損ねる結果となったことは誠に遺憾であり、心よりお詫び申し上げます。

公的年金制度等の社会保険制度は、国民の皆様から信頼をいただいてこそ成り立つものであり、損なわれた信頼を回復するために、こうした御指摘等の一つひとつをしっかりと受けとめ速やかに変えるべく、社会保険庁の抜本的な改革に着手しました。

具体的な取組としては、まず9月に、国民サービスの向上、予算執行の透明性の確保、個人情報保護の徹底、保険料徴収の徹底、組織の改革の5つの柱にわたる業務改革メニューとして「緊急対応プログラム」を策定しました。
今後、「緊急対応プログラム」に掲げた80の事項について、民間の発想や感覚を思い切って導入しながら、実施可能なものから逐次速やかに着手してまいります。

こうした中で、11月6日から12日までの年金週間には、社会保険事務所における年金相談について、初めて土日にも実施するとともに、平日における相談時間も午後7時まで延長しました。
また、大変厳しい状況にある国民年金の徴収について、納付率を平成19年度までに80%にするという目標の実現に向けて、新たに、社会保険事務所ごとに具体的な行動計画を策定するとともに、毎月の納付率の状況を公表するという取組にも着手しました。

この機会に改めて「社会保険庁は変わります」宣言として、今後、社会保険庁が具体的にどのように変わっていくかを国民の皆様に明らかにし、職員一人ひとりの手によって、これらの取組を確実に成し遂げていくことをお約束いたします。

1 国民サービスの向上


 (1)「サービス推進課」(仮称)の新設

 国民の視点に立ったお客様志向の社会保険サービスを実現するため、来年1月に社会保険庁総務部に「サービス推進課」(仮称)を新設(従来の地方課を発展的に改組)し、国民の皆様から寄せられる御意見等をサービスの改善につなげる組織を挙げての取組を推進します。

 (2)年金相談時間の拡大
 高齢化や年金への関心の高まり等により急増している年金相談について、働いている方等も相談を受けやすくし、待ち時間も短縮します。
 このため、既に、昼休み時間帯における相談、年金週間における平日夜間と休日の相談などを実施してきましたが、さらに、
@ 12月6日より、毎週月曜日に相談時間を延長するとともに、
A 来年1月22日より、休日における年金相談をモデル的に実施するほか、
B 今年度中に予約制による相談もモデル的に実施し、

これらの利用者の状況を分析した上で、来年度から本格的な実施を図ります。

 (3)年金相談体制の拡充
既に、混雑の著しい社会保険事務所を中心として、年金相談窓口を増設していますが、年金相談に専門に対応する年金相談センターの増設(平成16年度中に2ヶ所増設)や年金電話相談センターの増設(平成16年度中に13ヶ所増設)を行います。

当面の対策として、これらの取組を速やかに実施するとともに、年金相談にわざわざ行く必要を極力なくすため、以下の取組を進めていきます。

 (4)年金個人情報の提供の推進
年金の加入状況や受給見込額について、今年度中に公的個人認証サービス等の活用による本人確認を行いつつ、インターネットで365日24時間受け付けるサービスを開始し、さらに17年度には年金加入状況について即時に回答する仕組みを整備します。
また、毎年度、すべての被保険者の方に対して、保険料の納付記録等をお知らせする仕組みを構築することとし、まず17年度には国民年金第1号被保険者に対するサービスを開始します。

 (5)年金裁定請求書の事前送付(ターンアラウンド方式)の実施
年金裁定請求書には様々な事項を記入することが必要ですが、来年度より、年金支給年齢に達する直前に、社会保険庁が保有している情報をもとに、年金裁定請求書にあらかじめ基本項目や年金加入履歴を印字したものを送付する、ターンアラウンド方式を実施し、請求される方の御負担を軽減します。

 (6)各種通知書等の見直し
年金の各種書類については、「記入が難しい」、「記載内容が分かりにくい」等の御意見をいただいていることから、書類への記載を分かりやすくするため、今年度中に各種通知書等の総点検を実施し、計画的な見直しを進めます。

 (7)社会保険事務所等における電話・窓口応対の改善
社会保険事務所等における電話や窓口での応対態度の改善を図り、御相談いただいた方に対して、必要な情報を親切・適切・丁寧に説明するとともに、気持ちよくサービスを利用していただくための取組を進め、お客様志向の社会保険サービスを徹底します。

2 予算執行の透明性の確保

 (1)調達コスト削減目標の設定
 事務費の徹底した経費削減を行うため、予算の執行に当たっては、調達委員会において、その必要性を十分に精査し無駄を排除するとともに、今年度中に調達コストの削減目標数値を設定します。

 (2)社会保険オンラインシステムの最適化計画の策定
 国民の皆様の年金等に関する個人情報を管理している「社会保険オンラインシステム」について、今年度に実施しているシステムの刷新可能性調査の結果を踏まえ、来年度中に効率的で効果的なシステムを構築するための最適化計画を策定します。

 (3)年金福祉施設等の売却
 被保険者の方の福祉の増進のために設置してきた厚生年金病院、厚生年金会館等の年金福祉施設等については、今後、保険料を投入いたしません。また、平成17年度からの5年間に売却を進めます。

 (4)社会保険事務局等の賃料の見直し
 民間の賃貸ビルに入居している各都道府県社会保険事務局等について、現在の賃料が適切かどうか今年度中に十分な検証を行い、その結果をもとに価格交渉や移転を行うなど、コストの徹底的な削減を図ります。

3 個人情報保護の徹底


国民の皆様の個人情報を確実に保護し、漏えいを防止するためのシステムを整備します。
既に、端末操作に必要なカードについて、担当職員ごとにカード番号を固定化し、本人識別のパスワードを登録する仕組みとしましたが、今年度中に被保険者記録へのアクセスがあった場合には監視できるようにするなどのシステム整備を完了します。

4 保険料徴収の徹底

 (1)要因別収納対策の推進
 国民年金保険料の平成15年度の納付率は63.4%であり、依然として厳しい状況にありますが、平成19年度には納付率を80%に回復させるという目標の達成に向けて、

@ 負担能力がありながら納付義務を果たしていただけない方には、本年10月より市町村から提供されることとなった所得情報を活用しながら、強制徴収を実施し、
A 所得の少ない方には、同様に所得情報を活用して免除制度の周知を図り、
B 若い方向けには、口座振替の勧奨や、本年度からコンビニ・インターネットでも保険料が納められるようになったことを周知するなど、

未納の原因に応じた対策を着実に推進します。
また、来年4月からは、若年の学生・無業者の方々などは保険料を追納できる「納付猶予制度」や、1月分でも前納すれば保険料が割引となる「口座振替割引制度」が導入され、平成18年7月からは、免除制度について、現在の全額免除、半額免除に加えて、所得に応じて3/4または1/4免除の段階を追加した「多段階免除制度」が導入されますので、これらの周知を図っていきます。

 (2)社会保険事務所ごとの年度別行動計画の策定・推進
平成19年度の納付率80%を確実に達成するため、新たに社会保険事務所ごとに各年度の目標納付率や具体的な納付督励対策を掲げた行動計画(アクションプログラム)を策定しました。
行動計画に基づく取組状況については、毎月、本庁に報告させ、十分な進捗管理を行うとともに、今後も毎年度、達成状況を確認・検証した上で、実効性のある次年度の行動計画を策定します。

5 組織の改革

 (1)人員配置の地域間格差の是正等
 社会保険事務局や社会保険事務所については、平成11年度までは各都道府県の組織であったことから、全国を見渡せば、現在のところ、業務量に応じた職員配置とはなっていません。
 このため、今年度中に各社会保険事務局・事務所ごとの業務別業務量を算出した上で、最適な人員配置を実現するための人員配置見直し計画を策定し、来年度から地域間格差の是正に着手します。また、来年度より、本庁と地方庁、地方庁間の人事交流を大幅に拡大します。

 (2)外部委託の拡充
 現在、社会保険庁が実施している業務について、今後とも、社会保険庁だけで実施していくことは非効率です。「民間でできることは民間に委ねる」ことを基本として、国民年金保険料の収納業務や年金相談業務等について、外部委託の思い切った拡大を進めます。


 (3)お客様志向の意識の徹底
 お客様志向の社会保険サービスを実現するためには、職員の意識改革を徹底することが必要であり、近く、職員行動規範を策定するとともに、今年度中に職員研修の体系やカリキュラムの抜本的な見直しを行います。

 (4)各事務局・事務所間の競争の促進
 社会保険事務局や社会保険事務所ごとの様々な事業実績を公表して競争を促し、やる気を刺激することにより、より効率的・効果的な事業の実施を実現します。

おわりに

以上のような様々な取組を民間の発想や感覚を大胆に導入して進めるために、経済界の御協力もいただき、民間から2名の最高顧問をお迎えするとともに、庁内に設置した改革推進本部に、サービス向上改革・システム改革・保険料徴収改革の3つの課題を担当する3名のプロジェクトリーダーや、予算執行の透明性の確保を担当するアドバイザリースタッフ、個人情報保護を担当する顧問弁護士を配置しました。
さらに、12月上旬までには、民間や地方などから総勢20名の改革意欲に富むスタッフを集め、改革プロジェクトの実施体制の整備を完了させます。今後、このような新たな体制の下で、改革のためのさらなる取組を進めます。

また、9月には、社会保険庁に「社会保険事業運営評議会」を設置し、保険料拠出者や学識経験者の方々に御参集いただき、当面は月に1回、社会保険庁の個々の事業運営の適切さや効率性を外部の目からチェックしていただいています。運営評議会での御指摘もいただきながら、業務運営の改善に日々努めてまいります。

さらに、10月から、「長官への手紙、長官へのメール」を開始し、「国民の声」報告体制を整備したところ、多くの皆様から業務の改善やサービスの向上などについての貴重な御提言をいただいています。今後、こうした御提言も積極的に活用させていただきながら改革を進めてまいります。

また、社会保険庁の在り方について基本に立ち返った議論を進めていただく場として、8月に内閣官房長官の下に「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」が設置されました。有識者会議においては、社会保険庁の組織の在り方についても御議論いただいており、来年の夏を目途に最終的なとりまとめを行っていただきます。

今、社会保険庁改革は動き出しました。国民の皆様からいただきました様々な御批判が一日も早く過去のものになり、国民の皆様から信頼される社会保険庁に生まれ変わるために、全職員が心を一つにして改革の取組に邁進してまいります。


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