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平成27年度 入学式 学校長式辞

平成27年度長島愛生園附属看護学校入学式(38期生) 式辞

 

 

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38期生21人のみなさん、入学おめでとうございます。ご父兄の皆様おめでとうございます。心からお慶び申しあげます。来賓の瀬戸内市、入所者自治会、邑久光明園、岡山医療センター、瀬戸内市民病院及び河田病院の皆様、お忙しいところをおいでくださり誠にありがとうございます。

桜はまさに満開、山はのツツジは濃いピンクに彩られ、木々は目覚ましい勢いで若葉を広げています。学校の教員をはじめとして愛生園職員や入所者はそろって皆さんが入学されるのをお待ちしていました。

入学生の皆さんが看護師になると決めたのはさまざまの理由があり、この長島愛生園附属看護学校に入学することにした事情もいろいろであると思います。神谷美恵子先生のことをご存知でしょうか。1957年から72年まで長島愛生園で精神科の医師として勤務し、当時の皇太子妃殿下で、現在の皇后美智子様のご相談相手を務められたことでも有名です。神谷先生が医師になった動機は10代の終わりに東京のハンセン病療養所をたまたま訪れたときに患者さんと出会い、一生をこの人たちのために捧げることを決心したのです。そして40歳代半ばで長島愛生園に赴任し、自らの思いを遂げました。私を含め普通の人はそのような崇高な動機で自分の道を選ぶことはあまりありません。それでよいと思います。ただ皆さんは、この看護学校に入学したからには、看護師の資格を取り、看護師として一生働くのだということだけは忘れないようにしてください。

 

看護学校の教員、愛生園の職員は皆さんが立派な看護師となるようできる限りのことをいたします。今日来賓としておいでくださった実習先の病院の方たちにも協力していただきます。2年という短い期間で卒業し、看護師国家試験合格を目指すため、これから大変忙しい毎日になります。そんななかでおのずと知識と技術が身につき、豊かな人間性をもった看護師となることができます。必死で走り続ける中では何も考えることができないかもしれませんが、その中には多くの学びがあり、看護師として社会に巣立った後さらに成長するための基礎となるものがあることは間違いありません。

 

看護の本質はcareであるとよくいわれます。Cureは病気を治(なお)すという意味で医学を特徴づける言葉であるのに対して、看護は全人的な視点から患者を癒(いや)すものであるということです。長島愛生園は元々ハンセン病の治療が任務でしたが、すべての入所者でハンセン病そのものは治癒していて、現在は後遺症や高齢のための病気の治療と介護が主になっています。看護学生にとって看護の本来の姿であるcareということを学ぶよい場であり、卒業してここに就職すれば患者さんとゆっくり心を通わせ、看護の本来のあり方を見出すことができます。

ひとまず、皆さんは今日から看護師国家試験にむけてスタートをきります。ご家族の皆様、2年生の先輩の皆さん、実習先の先生方、そして地域の皆様、入所者の皆様、どうぞここにいる21人の看護学生のことを2年間温かく見守っていただきますよう、よろしくお願いいたします。

入学生のみなさん。2年後には最高に嬉しい春をむかえましょう。

以上入学式にあたって式辞といたします。

 

平成27年4月8日  

国立療養所長島愛生園附属看護学校学校長

藤田邦雄