大臣官房総務課調整連絡係
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第15回厚生労働省政策会議 議事要旨
I 日時:
平成22年4月21日(水)17:30〜18:40
II 場所:
衆議院第1議員会館 民主党A会議室
III 出席者:
長妻大臣、細川副大臣、足立政務官、山井政務官ほか
IV 議題
私のしごと館について、障害者の虐待防止の取組等について
V 議事要旨(○は出席議員、●は厚生労働省側)
冒頭、足立政務官から本日の議題の紹介の後、細川副大臣から挨拶が行われた。
1.私のしごと館について
資料1及び資料2に基づき説明後、質疑。
○私のしごと館の展示物等の価格リストについて、発注先に明細を是非出させてほしい。
●本日、発注先に確認しようとしたが、担当者が不在だったので、改めて確認したい。ただし、相手が民間なので、こちらに強制する権限もなく、明細を出してもらえるかどうかはわからない。
○別紙1を見ると、平成元年の懇談会がしごと館設立の契機となっているということだが、この懇談会のメンバーにはマスコミも入っている。15年もかけて検討を重ねてきたしごと館事業が失敗策だということになると、この懇談会メンバーも含め、関わった方々がどう考えているのか、責任を追及するとは言わないが、総括しておくべきではないか。また、PwC社の調査は、1,600万円をかけて有識者会議から調査させたことになっているが、二重に検討を行っており、無駄である。検討の仕方を見直すべきではないか。
○とりあえず有識者の検討会をつくって、それをまた丸投げする。そういうことにお金を使うのは無駄ではないか。相変わらず審議会をつくってアリバイ作りをするというやり方が変わっていないのではないか。霞が関は日本最強のシンクタンクであるはずであり、専門的なことについては専門家に意見を聞くとしても、検討会に丸投げすべきではないのではないか。これでは、責任が不明確になる。それが無駄遣いの温床になっているのではないか。
●厚生労働省の中で担当した者がきちんと総括して、こういう無駄遣いが行われないようにするべきということか。
●事実関係としては、PwC社には基本的には調査業務を委託し、有識者会議の議論の素材となる調査結果を報告してもらった。方針の確定まで丸投げしたわけではない。有識者検討会は、平成20年12月の閣議決定でコスト最小化という前提で売却を含めた有効活用の検討を行うこととされたことを受け、地元の自治体や経済団体なども加わって検討してもらった。
○検討会を開くのであれば、調査会社に委託しなくても済むような専門知識のある人を選ぶべきではないか。厚生労働省や雇用・能力開発機構は、自分たちで調べようと思えば調べられるはず。しごと館を視察した感想として、非常に立派な建物であり、単に売却して更地にするのではなく、何かいい方法で、有効に活用してもらいたいと思った。このため、パブリックコメントについても提案した。PwC社の結論は、研究施設や教育施設など、誰でも思いつくもので、当たり前すぎる。お金をかけなくてもできたのではないか。
○最低売却価格はあるのか。
●鑑定評価額はすでに決まっており、独法評価委員会においてもその価格で売却の承認を得ている。できるだけ有効活用を図る方向で対応したい。
○叩き売りにはならないのか。鑑定価格以下の入札しかなかった場合はどうするのか。
●基本的に鑑定価格以上の価格で売却する。鑑定価格以下の場合は、再度入札を行う。
2.障害者の虐待防止の取組等について
資料3及び資料4に基づき説明後、質疑。
○一点だけ補足したい。昨年の臨時国会に自民党・公明党・みんなの党が虐待防止法案を提出し、継続審議となっている。私共も、別紙2に資料がある虐待防止法案を平成21年に当時の野党で共同提案している。自公案と我々の案は少しスキームが違っている。違う点は、我々の案は、虐待の通報は市町村に設けるセンターで一元的に受けて、企業内虐待は労働局、施設内虐待は都道府県に報告するというスキームを考えていた。自公案はこのあたりが異なっていた。虐待防止については、現在、障がい者制度改革推進会議で議論されている。また、来週27日からは自立支援法の見直しを検討する部会も設置され、この中でも何らかの形で議論が行われるのではないか。
○虐待は今日も起きていると考えた方がいい。議員立法が難しいということであれば、閣法で一日も早く成立を目指し、虐待の防止や介護者の支援を行うべきである。知的障害の方に性的虐待を行い、子どもができていたという事件などひどい虐待がいくつもある。政府に対してというよりは、仲間である各議員に訴えたい。是非、この思いを共有できればと思う。
○このところの知的障害者の施設での虐待の有り様は目に余る。私もそのように感じており、しっかり対応していく必要がある。今の状況は、障害者虐待については、野党案が出ている状況である。これまでの経緯を言うと、児童虐待からスタートして、子どもに対する虐待防止法ができ、その後、高齢者虐待防止法ができた。いずれも議員立法で、高齢者については、その法案の附則に、障害者の虐待防止法制についても検討すると書かれていた。これを受ける形で、昨年の通常国会に、自公案が提案され、我々も当時の野党としてもきちんと法案を作り提出した。その後、衆議院が解散され廃案になった。我々は、当時ヒアリングをしていた中で、病院、とりわけ精神科病院での虐待も定義に入れるべきではないかという議論をしていた。自民党は病院側のヒアリングをしておらず、残された論点になっていた。当時、自公と協議していたが、当時の与党は定義の議論として踏み出せず、附則で検討することとすることにしようとしていた。病院関係者等のヒアリングもしっかりやらないといけない。この会議でのヒアリングなども考えていく必要があると思う。
○今、児童養護施設の実態調査をやっていて、もうすぐ結果がでる。障害児については、実態把握をやったことがあるか。
●障害児施設については、児童福祉法で対応しているが、きちんとした実態把握はできておらず、課題と考えている。
○実態調査をやっていただくことで、防止効果もあると思うので、検討いただきたい。
●現在、推進会議で議論しているということだが、当事者の方は、今すぐやって欲しいという感じなのか。もうちょっといいものにしたいので、急がないという感じなのか。
○一度、推進会議のテーマにあがって、議論が行われている。その時には、早急にという意見よりも、虐待の定義や通報義務の対象等中身の議論が行われている。今国会ですぐにという感じではないという印象を受けた。
○施設の虐待もあるが、一般就労をしている方についてもある。トライアル雇用で雇用されたが、トライアルの期間が切れたら解雇されたという事例もある。議員をしていた自治体では、ファミレスで台所用漂白剤に顔をつけられたという例や、お金をポケットに入れられて盗んだといわれたという例も聞いており、悔しい思いをされている。就労を止めている方の事例をヒアリングも含め、聞いていければいいと思うが、どのように進めればいいのか。
○ヒアリングは、すごく難しい。施設や企業にいる方であれば、それが無くなったらどうなるだろうと考えてしまう。本当のことを聞くのは難しく、変に擁護にまわってしまったりするのが実情。ヒアリングをしても実情が聞けるかどうかというと難しい。
●この問題は難しいと思うが、実際におこっているので、実態把握をすることは大事。何か検討できるか。
●障害者で働いている方の支援はハローワークでやっており、離職した方についても、ハローワークに報告が出てくる。離職者が多いところを分析することを考えてみることはできるのではないかと思う。トライアルの助成金の話がでたが、一方で、助成金があるために就職できている方もいる。功と罪がある。トライアルの期間が切れて多くの方が離職しているような事例はおかしいと思うので、そのような事例を把握するやり方は検討したい。
○障害者の虐待防止法の対象となるものとして、企業内というのは新たな考え方だと思う。児童虐待防止法、高齢者虐待防止法の狭間にあったものだと思う。そうであれば、就労場所での虐待を把握していくことを考えないと難しいと思うが、把握は難しいのか。
●18歳未満の方は児童虐待防止法で、家庭内、施設内が対象となっている。高齢者も同様である。その中間のものがなかったので、障害者虐待防止法においては、施設・家庭内に職場も含め仕組みを御議論いただいていたと承知している。
○就労場所での虐待を把握する方法を考えなければ、活かされないと思う。
○虐待は影に隠れていて表に出ない。ジョブコーチが職場を巡回していて見つけたり、様子を見ておかしいので話を聞いて判明する場合もある。ハローワークもやっているが、権利擁護の方法として、自治体が一番いいと思うが、就職先に介在できるような取組を制度化する方向で持って行くべきではないか。
○虐待防止ではないが、自立支援法に関わる問題として、知的障害者の入所施設の方から自立支援法の新体系移行について、厳しい目標が出されているという声が届いている。2月の予算委員会での質疑の際に、大臣が新体系移行を推進すると答弁したことが波紋を呼んでいる。推進するという言葉が一人歩きしている。また、3月4日の担当者会議で、地域移行を1割進めるという目標が提示され、更に混乱している。1割の移行を進めるというのは強制ではないと言っていただきたい。現場からは、民主党は本当に自立支援法を廃止するつもりがあるのかという声もあがってきている状況。よろしくお願いしたい。
○私も全国でいろいろと話をする機会があり、御意見をいただいているが、整理して明確にしておきたい。自立支援法は廃止して、25年8月までに新法を作るという方針を出されている。一方、これまで、自立支援法ができてから、5年間の移行期間を設けて新しい体系に持っていこうと進めていた。移行に関して、報酬の上乗せや激変緩和措置等も講じてきた。今、新体系への移行を進めるという方針を緩和すると、新体系に移行しなくてもいいという流れになる。そうなれば、新しい制度を導入する際に、さらに移行期間を設けることになると思う。そうなれば、しばらくは何もできなくなる。本意ではないが、自立支援法の新体系には移行していただいて、その後の新制度の準備をしていただく形にしないと更に混乱する。皆さんにおかれても、このような説明をお願いしたい。
○反論する訳ではないが、制度改革推進会議等の議論を待っていられないという声があるので、どうするかということだと思う。新しい制度ができるまで待つというのではなく、現行法の改正も含め、できるものをやるというスタンスを作っていくべきではないか。先ほど、実態把握のためのヒアリングは難しいと申しあげたが、先日の視察の話をすると、そもそも、実習にきた学生がやり方がおかしいのではないかと相談したことで発覚した。第三者の目は大事だと思った。
○障害者の虐待に関して、妊娠をしているということで発覚したものがあったが、性的虐待が他にどのぐらいあるのか。妊娠しないとわからないのではないか。的確に証明ができずに泣き寝入りが多いのではないか。
●大変深刻な問題。実態を踏まえながら、しっかりと対応していきたい。
3.その他
資料5及び資料6を配付。