大臣官房総務課調整連絡係
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第12回厚生労働省政策会議 議事要旨
I 日時:
平成22年4月1日(木)17:00〜18:20
II 場所:
衆議院第1議員会館 第2会議室
III 出席者:
長妻大臣、細川副大臣、長浜副大臣、山井政務官、足立政務官ほか
IV 議題
・独立行政法人雇用・能力開発機構法を廃止する法律案について
V 議事要旨(○は出席議員、●は厚生労働省側)
冒頭、細川副大臣から本日の議題の紹介の後、長妻大臣から挨拶が行われた。
1.次期通常国会提出予定法案について
資料1−1〜1−3に基づき、説明後、質疑。
○雇用・能力開発機構の廃止については、事業仕分け等で評価されていること等からやむを得ないが、独立行政法人についての厳しい判断、特に、職員の処遇の問題について、高齢・障害者雇用支援機構及び勤労者退職金共済機構への職員全員の再就職が難しいと思われるが、再就職されない人への対応はどのように考えているのか。民主党政権として、組織は廃止するが人の雇用はしっかり面倒見なければならない。具体的に職員が何人いて高障機構や勤退機構にどれだけ行くのか、それによりどれだけの職員が残るのか、そういった検討は民間では当たり前のことである。厚労省は人を大事にする機関である。そこは丁寧に対応していかなければならない。詳しく説明頂きたい。
○地域職業訓練センターの譲渡の仕方はどうなるのか。また、雇用促進住宅については、なぜ暫定業務となっているのか。暫定業務となっている意味も含めて、取り組み方、今後のあり方を説明願いたい。
○これまでいくつかの法人が統合されてきたが、いずれも焼け太りで中身が変わっていないと批判されてきた。今回はどうなのか。ポリテクセンターやポリテクカレッジは十分に目的を果たしているのかという批判もあったし、天下りや現役出向者についても批判されていたが、予算の削減や天下り防止に対する取り組み状況について、合併先の高障機構も含めて説明頂きたい。
●先程お配りした機構のスリム化に関する資料を確認頂きたい。職員数については21年度3,689人から22年度3,560人までスリム化した上で、平成23年度の新機構移管時には2,844人とする。削減内容については、財形業務の勤労者退職金共済機構への移管により22名の職員を移管することや、ポリテクセンターについて、新しい法人に移管する分と、都道府県に移管するものがある。昨年の都道府県に対するヒアリング実施時に、条件が合えば14県が受け入れてもいいと回答しており、仮に14施設を移管した場合、約250名の職員が移管されることとなる。雇用問題については、退職者不補充による自然減等で対応することとしており、最大限配慮していきたい。また、御指摘のあった地域職業訓練センターについては、国から地方公共団体に運営を委託しているが、雇用・能力開発機構の廃止に伴い、地方公共団体に移管の交渉を行うこととしている。移管にあたっては、受け入れ易い条件を決めて、都道府県の負担とならないよう取り組んでまいりたい。雇用促進住宅については、平成19年閣議決定の「規制改革推進のための3カ年計画」により、遅くとも平成33年度までにすべての処理を完了することとされていることから、それまでの期間の暫定業務としている。焼け太りではないかという批判については予算の徹底した削減に加え、能開機構の役職員の公務員OBを廃止し、0人としたところである。高障機構についても今後できる限り減らしていく。
○2,844人と都道府県への移管250人と勤退機構への移管22人では、3,560名にならない。それ以外はどうするのか。そこを具体的に説明頂きたい。
●その他は定年退職等による自然減が150名、常勤嘱託職員の非常勤化が359名で、概ね全体の削減数となる。
○職業能力開発促進センターについては、都道府県への譲渡の条件を示されていないが、どうなるのか。また、国から都道府県が譲渡を受ける場合は課税されるのか。
○地域の職業訓練についてはどのように守っていくのか。青森のコンピュータカレッジについては利用率が高く厚労省が示した目標もクリアしている。都会と違い、こういった施設がなく、廃止されると地元の職業訓練への影響は大きい。受け入れやすい条件を整備するということだが、自治体と意見交換を行った上で決めているのか。自治体の意向も十分に聞いてほしい。自治体においてしっかりと運営できることが前提として、条件を考えてほしい。
○地方に行けば行くほど訓練所がない状況である。新しいものを造るのであれば、今あるものを活用したほうがコストもかからない。利用率が低い施設もあるだろうが、頑張っているところには支援していただきたい。地域によっては訓練できないところがあるということを理解してほしい。
○職員の権利義務を承継しないケースは初めてである。名簿による採用方式や、再就職の支援については、今後事業仕分けもある中で大きな前例となり、各独立行政法人は改編、廃止にあたり非常に不安となる。当該事例が今後他法人に拡大していくのではないか。
●移管条件については、資料No.1−2(4)に、譲渡の特例等について記載しているが、国立病院の移管に倣い、職員の引受割合に応じた移管条件を設けている。条件については法案成立後具体的に都道府県に示していく。地域職業訓練センター等については、地域の雇用対策や人材育成に成果を挙げているということであり、都道府県に対しては受け入れやすい条件を整備し移管することとしている。昨年12月に通知したときは、全国の地域センター等の協議会に説明し、1月には都道府県担当課長会議の場でも説明したところである。移管条件については、自治体に直接お伺いし説明したい。また、地域に職業訓練機会がないというご指摘については、平成22年度は22万人の公共職業訓練を計画していることや、基金訓練でも21年度10万人、22年度15万人を計画実施することとしており、訓練機会の確保に努めたい。職員の雇用問題については、自然減で対応する等最大限の配慮を行ってまいりたい。
○税金の対応は。
●都道府県に移管するため、訓練施設ならば非課税と考えている。
○3年目以降の運営費補助は。
●機能維持を前提として、5/10補助とすることを考えている。
○意見として2点ある。地方のコンピュータカレッジについては、しっかり頑張っており、当該施設を職業訓練の拠り所にしている。移管に際しては、国が支援して頂きたい。もう1点は、職員の雇用についてである。鳩山政権は「命を大切に」をモットーとしている。労働は暮らしの中での命である。能開機構については批判もあるが、職員は職業能力開発において国民のサービスのために頑張ってきた人達である。モチベーションを高めるためにも、労働契約については安易に考えるべきではない。しっかりと処遇を考えるべきである。職務の充実が国民の信頼を果たす。
○小泉、竹中ラインで社会保障費が減となり、いろいろ困っている人たちがいたが、それを防ぐという意味で、21年度二次補正において介護訓練を実施したところである。しかし、ある県において受けないと言った県があった。同じ国民でありながら同じ恩恵を受けないのはおかしいではないかと県に確認したところ、能開機構にお願いしているとの回答であったが、能開機構側は介護訓練は行わないという回答であり、空中分解を起こしている。国民が同じ権利を有していながら、その恩恵に与らない県が生じるのはなぜか。また、技能検定1級、2級を総合した単一等級があり、能開機構において若干絡んでいると思われるが、能開機構の廃止後はどこで、どのように扱われるのか、教えて頂きたい。
○ポリテクセンター等の移管条件は悪くないと思う。移管を希望する都道府県が14にとどまっているのは、それだけ財政が厳しいからなのか、都道府県にも同じようなものがあり、受け入れる必要がないからなのか、その原因について教えてほしい。
○能開機構を廃止することで、お金が浮くこととなるが、就労が効果的に促進される就労支援の代替案を出すことが大切である。介護分野でよくあるが、例えばトライアル雇用を拡大することで、経営者は補助を受け、採用する企業も増えていく。ハコモノを減らした分、起死回生のアイデアを示して頂きたい。
○新法人はどのくらいの規模になるのか。天下りOBの役職員はどうなるのか。また、法人の名称が、いかにも迂遠な、何をやっているのか分からない名称である。世間では「機構」と「特定」とは信用されない傾向がある。昔は職業訓練校と言えば誰もが知っていた。ポリテクセンターだと分からない。国民に分かりやすい名前となるよう検討するべきである。今後、独立行政法人や公益法人の改革をしていくものと思うが、名称についても、日本の伝統を大切にしてほしい。
○地元にもポリテクセンターがあるが、条件を含めて、移管は難しいと言っていた。実態調査をお願いしたい。機能の維持は当然だが、実績を上げたところは運営費が担保される等の措置を講じてほしい。
○雇用勘定からの運営資金を543億円に縮減したとしても、これで一般財源が浮いて厚生労働省の予算として自由に使える訳ではないのではないか。別の形で使える方策を全省的にきっちり考えるのならよいが、無理をして期待する財源作りとはならないのではないか。少し実態を調査するべきである。
●介護訓練について都道府県により受講できる県とできない県があるという話であるが、そのような事例があれば遺憾である。介護訓練については21年度に公共職業訓練として約2万6千人の訓練を計画実施しており、介護福祉士においては3,700人、ヘルパー1級で6,000人、2級で14,000人を実施し、地域に訓練機会が行きわたるよう実施している。また、基金訓練でホームヘルパー2級相当の訓練を1万人計画しており、色々な訓練機会を併せて今後も出来るだけ実施していきたい。技能検定については1級、2級そして単一等級などの仕組みを設けており、合格者は20数万人に及んでいる。これについては中央職業能力開発協会と都道府県職業能力開発協会が主となり実施しており、雇用・能力開発機構は職業訓練による技能レベル向上という役割を持っており、連携しながら対応している。ポリテクセンターの移管については、移管希望都道府県が14都道府県と説明したが、17都道府県については雇用のセーフティネットとして国が行うべきであり、移管を希望しないという考えであり、それ以外は未定ということである。他の代替策については、トライアル雇用も実施しており、また、地方に基金を創設し、重点雇用創造事業として企業で働きながら訓練を受講する形式で、年間6万人規模で対応している。雇用の減少とならないようしっかり取り組んでいきたい。新法人の規模については、高障機構が職員数約700名、予算は年間約300億円であり、能開機構との統合後、23年度は職員数が約3,500名、予算が約850億円となる。役員等については、能開機構が現在6名、うち公務員OBは0名、高障機構は7名、うちOBは1名である。職員については、現在、能開機構が3,560名のうち公務員OBは0名であり、高齢・障害者雇用支援機構は716名のうち、OBは3名となっている。名称については、高齢者と障害者を引き続き扱うことに加え、求職者を扱うということで、さまざまな検討をし、このような名称とした。ポリテクセンター等の移管については、実態を把握しつつ、県の意見をよく聞きながら移管交渉を進めてまいりたい。実績を配慮すべきとの点については、就職率が重要であり、能開機構の就職率は約75%、県は平均で約60%である。今後、数値目標の設定を含め、対応したい。能開機構の運営費543億円は雇用保険2事業からの支出である。縮減されて一般会計で使えることとはならないが、予算全体のスリム化に繋がる。
○独立行政法人の見直しはこれから全省庁で行う。特別会計で浮いた分をどのように使うかを、来年度までに考えるのなら非常に有効だが、こういう検討がない中で、国会で責任をもって予定していない法案を通せるのか。政策会議は閣議決定するかどうかを決めるところではないが、もう少し議論が必要なのでは、という意見である。
●少し経緯を話すと、事業仕分けでも抜本的スリム化を図ることとされ、仙谷大臣や官邸等とも大きな議論の中、1月の段階では検討中であった。しかしながら、能開機構については「負の遺産」と言われており、この国会で廃止法を出さなければ機構を残すことになり、残すとなれば鳩山内閣はまた批判を浴びる。残すわけにもいかないし、スリム化を図ると地元からたたかれるという両面を持っており、針を穴に通すように非常に難しい。来年度からの求職者支援制度の受け皿ともなるが、この法案が出ないと求職者支援制度も動かなくなる。こうした状況を踏まえ、これは検討を続けたい。
●能開機構は前政権においてかなり大胆な見直し案を出したがその後のあり方検討会でかなり骨抜きになっている。前政権で2度あって、民主党でも昨年5月、6月に党内事業仕分けを行いその後11月に事業仕分けがあった。4つあるが、今回の法案の内容と比較して、どこがどう違うのか、資料があれば分かりやすい。
○12月24日の閣議決定において、「国の産業政策・中小企業政策等との連携を強化し、雇用対策や、国際競争力強化に資するものづくり支援の一環として、国の責任において職業訓練を行う組織とする。」とされているが、総合大やポリテクセンター等がそのような組織となるかが全く見えない。地域職業訓練センター等は切り捨てて、大元がどのようになるかが全く分からない。そこの中身を出して頂きたい。
●ポリテクセンター等の自治体への譲渡については、交渉は今はまだできない。法案が成立すれば、2年以内に、自治体ともいろいろと交渉しつつ実施していく。予算については雇用保険2事業なので事業主負担であり、支出を減らせば2事業への支出となるが、7,000億の雇用調整助成金の有効な原資としても活用できる。法律が通る前と通る後でも円滑な移行に向け実態把握、説明など丁寧な取組をしてまいりたい。職業訓練については、イギリスのブレア首相が「1に教育、2に教育、3に教育」と言われている。日本では学校教育を思い浮かべがちだが、これは職業教育が重要であるという意味が含まれている。日本はヨーロッパに比べて取組状況にハンディがある。職業訓練については地方や民間教育機関に委ねるものは委ねていくが、国が行うべき訓練がある。国においては、今の総合大は十分機能していないが、これを強化して全国の指導員を集めてレベルアップを図り、強化していく。そして、理想としては、企業が今年は雇うのをやめようとしていたが、職業訓練の受講者を目の前にしたとき、救世主となるのでは、人件費を上回るような利益を企業にもたらすのではないかと思わせるような職業訓練を再構築する必要があり、これは成長戦略に繋がると考えている。現在、文科省と合同で職業訓練に関する研究会も実施しているところである。皆様には引き続きご指導頂きたい。
●派遣法についてご報告申し上げます。同法案については、この政策会議でもご議論いただき、労政審からも概ね妥当という答申をもらっておりましたが、与党内から異論があり、修正をしたいというご意見がありました。3党で調整をいたしましたが、整わないという状況となっていたところです。内容は事前面接の解禁について。最終的に、基本政策閣僚委員会に上げて検討ということになり、厚生労働省としては労政審の答申を最大限尊重すべきと主張し続けたが、削除という判断が下りました。長妻大臣としても、そういう判断ならやむを得ないということで、修正して閣議決定されました。すでに国会に提出しておりますが、修正があったということをご報告させていただきます。
○先日、厚労委員会で質問させて頂いたが、卵巣がんの友人の、その時にドキシルという薬の事が話題になった。今回ドキシルが昨年の4月に商品化されたわけだが、診療報酬の関係でこれまでDPC包括払いの対象外で、出来高でやっていたものが今日からDPC包括払いで丸めになったということで、非常に混乱をしているんだという連絡があった。これが1回40万くらいのもので、DPCでやると入院の場合はほとんど打てないのではないかということが言われている。卵巣がんの中でも非常に高価な薬で、今回であればDPCの点数自体を見直したうえで丸めになるのなら分かるが、卵巣がんの点数自体上がっていないというようなことで、今日製薬会社にも医者の方から電話が殺到しているという話だ。また患者の会の方からドキシルを打った方、一部外来でも打てる薬なので、外来で出来高でやればいいじゃないかという話があるらしい。患者の会で8人くらいの使用者の方に聞いたら、皆さん入院であると、まだあまり日本で若い薬なので入院で使うケースも多いということで、非常に混乱をしている。そういったことが生じているということで、善処をお願いしたい。