改正臓器移植法の一部が施行され、平成22年1月17日から「親族への優先提供の意思表示」が可能になります
臓器移植とは、重い病気により心臓や肝臓などの臓器の機能が低下し、他の治療法がない場合に、臓器提供者の臓器を移植し、健康を回復しようとする医療です。
平成21年7月に臓器の移植に関する法律(以下「臓器移植法」という。)の一部が改正され、平成22年1月17日より 順次施行されることとなっています。
臓器移植法の改正内容は、以下のとおりです。
1.臓器摘出の要件の改正(平成22年7月17日施行)
移植術に使用するために臓器を摘出することができる場合を次の(1)又は(2)のいずれかの場合とする。
(1) 本人の書面による臓器提供の意思表示があった場合であって、遺族がこれを拒まないとき又は遺族がないとき(現行法での要件)。
(2) 本人の臓器提供の意思が不明の場合であって、遺族がこれを書面により承諾するとき。
2.臓器摘出に係る脳死判定の要件の改正(平成22年7月17日施行)
臓器摘出に係る脳死判定を行うことができる場合を次の(1)又は(2)のいずれかの場合とする。
(1) 本人が
A 書面により臓器提供の意思表示をし、かつ、
B 脳死判定の拒否の意思表示をしている場合以外の場合
であって、家族が脳死判定を拒まないとき又は家族がないとき。
(2) 本人について
A 臓器提供の意思が不明であり、かつ、
B 脳死判定の拒否の意思表示をしている場合以外の場合
であって、家族が脳死判定を行うことを書面により承諾するとき。
3.親族への優先提供(平成22年1月17日施行)
臓器提供の意思表示に併せて、書面により親族への臓器の優先提供の意思を表示することができることとする。
4.普及・啓発(平成22年7月17日施行)
国及び地方公共団体は、移植術に使用されるための臓器を死亡した後に提供する意思の有無を運転免許証及び医療保険の被保険者証等に記載することができることとする等、移植医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとする。
5.検討(平成22年7月17日施行)
政府は、虐待を受けた児童が死亡した場合に当該児童から臓器が提供されることのないよう、移植医療に従事する者が児童に対し虐待が行われた疑いがあるかどうかを確認し、及びその疑いがある場合に適切に対応するための方策に関し検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
(参考)現行法と改正法との比較
現行法(改正前) | 改正法 | 施行日 | |
---|---|---|---|
親族に対する 優先提供 |
○当面見合わせる (ガイドライン) |
○臓器の優先提供を認める | 平成22年1月17日 |
臓器摘出の 要件 |
○本人の書面による臓器提供の意思表示があった場合であって、遺族がこれを拒まないとき又は遺族がないとき | ○本人の書面による臓器提供の意思表示があった場合であって、遺族がこれを拒まないとき又は遺族がないとき
又は○本人の臓器提供の意思が不明の場合であって、遺族がこれを書面により承諾するとき |
平成22年7月17日 |
臓器摘出に 係る脳死判定 の要件 |
○本人が A 書面により臓器提供の意思表示をし、かつ、 B 脳死判定に従う意思を書面により表示している場合 |
○本人が A 書面により臓器提供の意思表示をし、かつ、 B 脳死判定の拒否の意思表示をしている場合以外の場合 又は ○本人について A 臓器提供の意思が不明であり、かつ、 B 脳死判定の拒否の意思表示をしている場合以外の場合 |
|
小児の取扱い | ○15歳以上の方の意思表示を有効とする (ガイドライン) |
○家族の書面による承諾により、15歳未満の方からの臓器提供が可能になる | |
被虐待児への 対応 |
(規定なし) | ○虐待を受けて死亡した児童から臓器が提供されることのないよう適切に対応 | |
普及・啓発 活動等 |
(規定なし) | ○運転免許証等への意思表示の記載を可能にする等の施策 |
このうち、平成22年1月17日から可能となる親族への優先提供の意思表示の方法など、制度内容の詳細については、決まり次第、当ホームページや(社)日本臓器移植ネットワークホームページにおいてお知らせいたします。