厚生労働省


介護職員処遇改善交付金について

(老健局介護保険計画課)

1 介護職員を取り巻く現状

高齢化の進展に伴い、介護ニーズが増大するなかで、サービス提供を担う介護人材を確保することは重要な課題です。しかしながら、介護職員については、離職率が高い、人材確保が難しい等の状況にあり、これは介護職員の賃金が低い等の処遇の問題が一因であると考えられます。

○ 離職率をみると、介護職員は全産業平均を上回る高水準にあります。

○ 有効求人倍率をみると、産業計では1倍を下回り、人員過剰の状況である一方、介護職員では1倍を上回り、人員不足の状況が続いています。

○ 賃金をみると、経験年数、平均年齢等の要素の違いがあり、単純な比較はできませんが、介護職員の賃金水準は産業全体と比較して低い傾向にあります。

離職率の状況(介護職員全体)

○ 介護職員全体の離職率については、全産業平均と比較すれば、高い傾向にある。

○ 全産業平均においては女性労働者の離職率が高い傾向にあることから、女性労働者の比率が高いことが、介護職員全体の離職率を高める原因の1つになっていると推測される。

他職種との有効求人倍率の比較

○ 介護関係職種の有効求人倍率は2008年12月の2.53をピークに、2009年9月時点の1.34まで低下しているが、1倍超えて推移している。


職種別にみた有効求人倍率

介護職員の賃金(一般労働者)

経験年数、平均年齢等の要素の違いがあり、単純な比較はできないが、

(1) 一般労働者については、介護分野の賃金水準は産業全体と比較して低い傾向にあり、

(2) 一般労働者であるホームヘルパーや福祉施設介護員の賃金は、医療福祉分野における他の職種の者と比較して低い傾向にある。


一般労働者の男女比、平均年齢、勤続年数及び平均賃金







2 介護職員処遇改善交付金

上記のような状況をふまえると、他の業種との賃金格差を縮め、介護における雇用を安定させることにより、優秀な人材を確保していくことが重要です。こうしたことから介護職員の処遇改善を進めていくことを目的とした「介護職員処遇改善交付金」が創設されました。


【概要】

○ 「介護職員処遇改善交付金」は、介護職員の処遇改善に取り組む事業者に対して、平成21年10月から平成23年度末までの間、計約3,975億円(全国平均で介護職員(常勤換算)1人当たり月1.5万円に相当する額)を交付するものです。

○ 原則として、介護職員、介護従業者、訪問介護員等として勤務している職員が対象です。(なお、看護師など他の職務に従事していても、介護職員として勤務していれば対象にできるなど柔軟な活用が可能となっています。)

○ 交付金が介護職員の賃金改善に確実に充てられるよう、事業者は都道府県に申請する際に賃金改善計画を策定することとしています。

○ 交付金は、原則として交付金の申請があった月に提供した介護サービスから対象になりますが、当初については、平成21年12月中に申請いただいた事業者に限り、10月サービス提供分からさかのぼって交付します。

○ また、介護職員が将来展望をもって介護の職場で働き続けることができるよう、能力・資格・経験等に応じた処遇が適切になされることが重要です。平成22年度以降は、こうしたキャリア・パスに関する要件等を加えることを予定していますが、平成22年度当初の申請時には適用しないこととしています。

介護職員処遇改善交付金

(1)目的

21年度介護報酬改定(+3%)によって介護職員の処遇改善を図ったところであるが、他の業種との賃金格差をさらに縮め、介護が確固とした雇用の場としてさらに成長していけるよう、介護職員の処遇改善に取り組む事業者へ資金の交付を行うことにより、介護職員の処遇改善を更に進めていくこととする。

(2)交付方法

(1) 都道府県が基金を設置して実施する。
(支払いは国保連に委託)

(2) 財源:国費10/10

(3)事業規模合計約3,975億円

<介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均1.5万円の賃金引上げに相当する額>
※21年度は地方における準備等を勘案し、21年10月サービス分から実施し、2.5年分を予算計上


【申請状況】

○介護職員処遇改善交付金について、平成21年12月末までに申請を行った事業所の割合は、全国平均で約80%となっています。(10月9日時点は約48%、10月30月時点は約72%、12月15日時点は76%でした。)

介護職員処遇改善交付金の都道府県別申請率

○ 全国平均でみると介護職員処遇改善交付金の申請率は80%(09年12月末時点)







3 今後について

○ 長妻厚生労働大臣は、「交付金は当初の予定通り実施し、平成24年度以降も、介護職員の処遇改善に取り組んでいく」旨の方針を示しているところであり、引き続き政府として介護職員の処遇改善に関する取り組みを進めていくところです。


※ 介護事業所のみなさまにおかれましては、介護職員処遇改善交付金のより一層のご活用をお願いいたします。本交付金の申請手続きなど、詳しくは各都道府県の介護保険担当課までお問い合わせください。


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