労働契約承継法について
労働契約承継法(*)は、商法等における会社分割制度の導入に伴い、分割をした会社の権利義務が分割によって承継する会社または新規に設立する会社に包括的に承継されることとなることを踏まえて、労働者保護の観点から、労働契約の承継等についての特例を定めるために制定されました。
◎ 労働契約承継法は、会社分割に伴う労働契約の承継について、会社法の特例として、労働者や労働組合等への通知や協議や異議申出の手続、効力等を定めています。
会社分割を行う場合は、労働契約承継法の規定に従わなければなりません。
(*)正式名称は、「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」です。
会社分割の場合に労働契約が承継されるか否かは、従事している業務と分割契約書等の定めにより、次のように定まります(承継法第4条・第5条)。
例:製造部門と小売部門を経営しているP社が小売部門を分割してQ社に承継させる場合
*労働者Aと分割会社(P社)との労働条件は、そのまま承継会社等(Q社)に承継されることになります。
*分割契約書等・・・吸収分割のときは「分割契約書」、新設分割のときは「分割計画書」のことです。
労働協約は、その適用を受ける労働組合員が承継会社等に承継される場合、原則として、会社分割の効力が生じた時に、当該承継会社等と労働組合との間で、当該労働協約と同一内容の労働協約が締結されたものとみなします(承継法第6条)。
上記の例において、労働者Aが労働協約の適用を受け、かつ、Q社に承継される場合は、P社だけでなく、Q社においても同一内容の労働協約が締結されたものとみなされます。 → 詳細についてはこちら(PDF:1,248KB)の10ページをご覧下さい。
*承継会社等・・・吸収分割のときは「承継会社」、新設分割のときは「設立会社」のことです。
◎ 会社の分割を行う際は、労働組合等との協議を行ってください。 → 後述を参照
◎ 承継される事業(分割される事業)に従事する労働者及び承継される事業に従事していないが、分割契約等にその労働契約を承継する定めのある労働者に対しては、個別の協議も行ってください。
→ 後述を参照
◎ 承継される事業(分割される事業)に主として従事する労働者、それ以外の労働者であって承継会社等に承継される労働者及び分割会社との間で労働協約を締結している労働組合に対しては、書面で個別に通知を行ってください。
→ 後述を参照
詳細についてはこちら(PDF:1,248KB)の3、11、13ページをご覧下さい。
なお、会社分割ではなく、事業譲渡に伴い労働者を移籍させようとするときは、対象労働者から個別に労働契約関係の移転に関する同意を得なければならないこととされています(民法第625条)。
また会社分割と同じく、事業譲渡のみを理由とする解雇や労働条件の不利益な変更はできません。
* 労働条件の変更をする場合は、労働契約法の定めに従ってください。
詳細についてはこちら(PDF:433KB)をご覧下さい。
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