厚生労働省


障害者の住まいの場の確保について(国土交通省との連携)

(障害保健福祉部企画課)

厚生労働省は、障害の有無にかかわらず、国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目指し、障害者の地域生活の支援を推進することとしています。

このため、現在グループホームやケアホームの整備をはじめ、障害者の住まいの場の確保等について、国土交通省と連携した取組を行っており、本年11月には地方公共団体向けに厚生労働省・国土交通省の連名で「障害者の住まいの場の確保のための福祉部局と住宅部局の連携について」の通知を発出し、現在実施している両省の施策について広く紹介するとともに、各地方公共団体においても、福祉部局と住宅部局の連携を図り、これら施策について取組を強化するようお願いしました。ここでは、本通知の内容を中心にご紹介させていただきます。


1.グループホーム・ケアホームの整備促進について

グループホーム・ケアホームは、障害者の地域での自立した生活を進めるため重要な役割を果たしています。障害福祉計画においても、全国でグループホーム・ケアホームを平成17年度の3.4万人分から平成23年度に8.3万人分に増やす予定であり、今後更に整備を促進していくことが求められています。

(1)身体障害者をグループホーム・ケアホームの対象とすることについて

グループホーム・ケアホームについては、これまで知的障害者及び精神障害者を対象としてきましたが、平成21年10月から身体障害者も利用することができるよう見直しを行いました。

併せて、身体障害者を対象とするグループホーム・ケアホームについても公営住宅を活用することができるよう公営住宅法の省令の改正を行いました。


(2)公営住宅のグループホーム・ケアホームとしての活用

公営住宅におけるグループホーム・ケアホームとしての活用を促進するためには、地方公共団体における住宅部局と福祉部局の連携が重要になります。このため国土交通省から地方公共団体向けに「公営住宅のグループホーム事業への活用に関するマニュアル」を作成・配布し、住宅・福祉部局間の連携についての考え方を示すとともに、公営住宅の活用の促進をお願いしています。

(3)グループホーム・ケアホームの整備費助成

厚生労働省では、グループホーム・ケアホームの整備を促進するための整備費の助成やグループホーム・ケアホームを実施するに当たっての借上げに伴う敷金・礼金の助成を、事業者に対し行っています。また、国土交通省では、平成21年度から、公営住宅をグループホーム・ケアホームとして利用するための改良工事費について、助成の対象としています。


2.公的賃貸住宅の入居促進について

(1)公営住宅への入居促進

低廉な家賃で入居できる公営住宅は、障害者の地域生活の場として積極的な役割が期待されています。このため、障害者の単身入居を可能とするよう入居要件の緩和や優先入居、障害者向けの公営住宅の供給が実施されています。また、高齢者や障害者の生活特性に配慮しバリアフリー化された公営住宅と、生活援助員による生活相談・緊急時対応等のサービスを併せて提供するシルバーハウジングプロジェクトも実施されています。さらに、公営住宅が不足する地域において新たに公営住宅の供給を行う場合にあっては、障害者の優先入居を想定し、施設等に近接する既存民間住宅を活用した公営住宅の供給も可能とされており、今後このような形での公営住宅の供給の促進が期待されています。


(2)安心住空間創出プロジェクト

建替事業等の実施を計画している公営住宅など公的賃貸住宅団地や福祉施設等が不足している地区に存する公的賃貸住宅団地については、余剰地や余剰スペースに福祉施設を積極的に誘致・導入するとともに、バリアフリー化の促進を図り、多様な世帯が安心して暮らすことができる住空間の整備を進めています。

なお、公的賃貸住宅の整備と合わせて福祉施設を整備する場合には、国土交通省の補助金の活用が可能となっています。

3.民間賃貸住宅への入居の円滑化について

(1)居住支援協議会の積極的な活用

『住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律』に基づき、障害者等の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関し必要な措置について協議するため、地方公共団体の住宅部局及び福祉部局、宅地建物取引業者や賃貸住宅を管理する事業を営む者の団体、居住に係る支援を行う営利を目的としない法人等からなる居住支援協議会を組織することができることとしており、地方公共団体に対しても本組織の積極的な運用をお願いしています。


(2)あんしん賃貸支援事業

障害者等が入居可能な民間賃貸住宅の確保を進めるため、地方公共団体、支援団体(NPO・社会福祉法人等)及び仲介事業者等が連携して入居可能な民間賃貸住宅の登録情報の提供及び居住支援を行う「あんしん賃貸支援事業」を平成18年度から実施しています。本事業の推進を図るため、地方公共団体向けに平成20年2月1日付けで「あんしん賃貸支援事業の推進を図るための住宅施策と福祉施策の連携について」の通知を発出するなど、より一層、障害者の民間賃貸住宅への円滑な入居を図るため、本事業の周知の徹底及び積極的な活用についてのご協力をお願いしています。

(3)公的な家賃債務保証制度

障害者等の入居を受け入れることとしている賃貸住宅に対し、未払い家賃の債務保証を(財)高齢者住宅財団が実施しています。平成21年度から、対象となる障害者の範囲を拡充するとともに、滞納家賃に係る保証月数を延長しており、今後さらに本事業の活用が期待されています。

〈障害者の対象〉

 身体障害者(現行)1〜4級→(改正)1〜6級

 精神障害者(現行)1〜2級→(改正)1〜3級

〈保証月数〉

  (現行)家賃の6ヶ月→(改正)家賃の12ヶ月



4.住宅のバリアフリー化の支援について

障害者が安全な住まいに安心して暮らすためには、住まいのバリアフリー化を促進することも重要であり、住宅のバリアフリー改修について、税制及び交付金による支援を行っています。



トップへ