厚生労働省


延滞金軽減法及び遅延加算金法の成立について

 平成21年4月24日、「社会保険の保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」(延滞金軽減法)及び「厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律」(遅延加算金法)が成立いたしました。

○ 延滞金軽減法
事業主等の経済的負担の軽減に資するため、社会保険の保険料等に係る延滞金の割合を一定期間軽減する措置を講ずるもの。


○ 遅延加算金法
年金記録の訂正がなされた上で受給権に係る裁定が行われた場合において、本来の支給日より大幅に遅れて支払われる年金給付の額について、特別加算金を支給するもの。


以下、両法律の内容について紹介いたします。

I 延滞金軽減法について

1.法律の趣旨
 本法律は、現下の厳しい経済社会情勢にかんがみ、社会保険の保険料等の納付が困難となっている事業主等の経済的負担の軽減に資するため、社会保険の保険料等に係る延滞金の割合を納期限又は納付期限から一定期間軽減する措置を講ずるものです。

2.法律の具体的内容
 <現行の取扱い>
 事業主は、毎月の厚生年金保険料を翌月末までに納付することとなっている。
 保険料を納期限までに納付しない事業主については、社会保険事務所から督促状が送付される。督促状の指定した期限(納期限から約3週間後)までに納付しない場合には、保険料額につき年14.6%(日歩4銭)の割合で納期限の翌日から納付の前日までの日数によって計算された延滞金を支払わなければならない。
 一方、国税の延滞税の利率は、一定期間(源泉徴収税の場合、納付告知から3ヶ月)の日数については軽減されている。

<改正の内容>
 現下の厳しい経済社会情勢に影響を受け、厚生年金保険料等の支払いに困窮している事業主等に配慮し、納期限から一定期間の日数については、延滞金利率を軽減する。

<軽減利率と軽減割合>
 国税徴収の例にならい、納期限から3ヶ月については、14.6%でなく、「前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率+4%」の割合(平成21年は4.5%)で計算する。

<延滞金利率を軽減する保険料の範囲>
 広く事業主が負担・納付義務を負っている点で厚生年金保険料と同趣旨である、健康保険料、児童手当の拠出金、船員保険料、公務員共済の保険料、労働保険料等とする。
 なお、労働保険料については、年1回の徴収であることや、申告方式であることに鑑み、軽減する期間は2ヶ月とする。

<施行日>
 平成22年1月1日

厚生年金保険料の延滞金の見直し(図)

II 遅延加算金法について

1.法律の趣旨
 本法律は、 年金記録問題の重大性及び緊急性にかんがみ、かつ、公的年金制度に対する国民の信頼を速やかに回復するため、年金記録の訂正がなされた上で受給権に係る裁定が行われた場合において本来の支給日より大幅に遅れて支払われる年金給付(時効特例法により支払う年金給付等に限る。)の額について、その現在価値に見合う額になるようにするため、特別加算金を支給するものです。

2.法律の具体的内容
<特別加算金の支給>
1 社会保険庁長官は、受給権者等について、年金記録の訂正がなされた上で施行日以後に受給権に係る裁定又は再裁定が行われた場合において当該裁定により支払うものとされる過去分の年金給付(時効特例法により支払う年金給付等に限る。)の全額を基礎として、本来の支払日から実際の支払日までの間の物価の状況を勘案して政令で定めるところにより算定した額(特別加算金)を支給する。
 ※ 特別加算金の額は、物価スライドの考え方を勘案し、過去分の年金給付の全額を遅延年数で除した額に各年の物価変動率(対前年の物価変動率がマイナスになる年はゼロ)の累積を乗じて得た額の合計額となるような計算方法を、また、その端数処理については、1円未満切捨てを、政令で定めることを予定。
2 特別加算金は、施行日前に1の裁定又は再裁定が行われた者(死亡の場合はその配偶者等)に対しても支給する。ただし、既に過去分の年金給付が支払われた者に対する特別加算金の支給は、当該者の請求により行う(公布日から施行日の前日までに過去分の年金給付が支払われた者は、請求したものとみなす。)。

<費用>
1 特別加算金は、年金特別会計から支出する。
2 特別加算金は、年金給付とみなして、国庫負担等に関する規定を適用する。

<年金業務体制の整備>
 国は、適正な年金記録に基づく年金給付の支給に係る業務が円滑かつ迅速に遂行されるよう、人材の確保その他必要な体制の整備を図るものとする。

<その他>
 特別加算金の支給に関し、受給権の保護(年金担保貸付の返済に充てることは可能とする。)、公課の禁止、不正利得の徴収、時効等について、所要の規定を設ける。

<施行日>
 公布の日(平成21年5月1日)から起算して1年を超えない範囲において政令で定める日から施行する。

○ お問い合わせ先  年金局年金課


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