<第7回ASEAN日本社会保障ハイレベル会合について>(大臣官房国際課)
(はじめに)
平成21年8月31日(月)から9月3日(木)に、第7回ASEAN日本社会保障ハイレベル会合が東京の三田会議所で開催されました。
会合には、ASEAN10か国から、社会福祉、保健医療の各政策を担当するハイレベル行政官を中心に次官級2名を含め計41名が出席しました。日本側からは、大阪大学大学院 中村安秀教授、日本社会事業大学 植村英晴教授、長崎大学 野崎慎仁郎教授をはじめとして、多くの障害分野の専門家にもご協力いただきました。
(会合の経緯)
厚生労働省では1996年のリヨンサミットにて日本が提唱した世界福祉構想に基づいて、1997年より2002年まで東アジア社会保障行政高級実務者会合を開催し、2003年よりASEAN地域に焦点を当て、ASEAN10ヶ国から社会福祉と保健医療政策を担当するハイレベル行政官を招聘し、継続的にハイレベル会合を開催しています。2003年以降、これまでにASEAN諸国からのべ244人の行政官を招聘しています。
(会合の議論)
今回の会合では、『「共生社会」の構築(障害者の自立、自己実現と社会参加)〜福祉と保健、医療システムの連携を通じて〜』をテーマとして、障害児の福祉及び保健サービスに焦点を当て、福祉と保健の連携、将来のあり方に関する共通の問題点や、国レベル、地域レベルで今後実施しうる活動について参加国間で情報・経験の共有が図られました。また、日本における政策の紹介として、横浜市の協力の下、障害児の福祉・保健サービスの現場視察を行うことにより、施策の実践について理解を深めることができました。
会合の総括では、グループスタディの成果を統合し、本会合全体として、障害が持つ多様性の認識と尊重、障害児も含めた共生社会実現のために「社会保障」の概念を理解する重要性等について合意するとともに、以下に示す提案がとりまとめられ、今後のフォローアップのための枠組みとして示されました。
【地域的な取り組み】
- 障害児への取り組みのベストプラクティスの共有化や、実務家、専門家への技術的、実践的及び財務的な観点からキャパシティビルディングを促進する
- 国家的な及び地域的な障害児のデータベースを作成することを目的として、障害児のデータ収集システム(方法、分析及び活用法)を強化するための、例えば母子手帳を1つの参考として活用するなどして、政府高官のためのキャパシティビルディングワークショップを開催する
等
【国家的な取り組み】
- 障害児への対応により経験を有する他の国からASEAN加盟国の特定の国に対して必要に応じて技術援助を促進する
- 保健省、福祉省及び関連省庁のセクタをまたいだ連携を促進し、国家メカニズムやフレームワークの開発を通じて、フォーカルポイントを特定する
- 医師、医療専門家、ソーシャルワーカー、福祉従事者を含めた統合的なトレーニングの包括的なアプローチを促進する
等
最後に、各国参加者等から、本会合は非常に有意義なものであり、今後とも引き続き本会合が開催されること、会合がより発展することへの期待が表明されました。また、2010年の会合のテーマは、社会的弱者に対する保健・福祉サービス、2011年の会合のテーマは保健・福祉分野の人材開発とすることが確認されました。