厚生労働省

  • 文字サイズの変更
  • 小
  • 中
  • 大

アトピー性疾患の疾患感受性遺伝子同定に関する研究

<創薬基盤研究>


研究目的:日本人アトピー性皮膚炎、花粉症の患者家系と症例対照サンプルを用いて、疾患感受性遺伝子同定と網羅的発現解析により疾患パスウェイを同定する。これにより診断、治療のテーラーメード医療の可能性を探る。

研究成果
アトピー性皮膚炎では1番および15番染色体に連鎖領域を見出した。連鎖領域の関連遺伝子SMAD3を見出した。1番染色体連鎖領域近傍の有力候補遺伝子であるフィラグリンの機能喪失型変異はアトピー性皮膚炎患者の10%以上に検出され、発症リスクを2〜5倍高めることを見出した。 スギ花粉症のゲノムワイド関連解析で関連遺伝子X(補体関連遺伝子)を同定した(P<0.001)。プロテオーム解析により舌下免疫療法により変動するタンパク質を同定した。そのうち1つのタンパク質は好塩基球におけるヒスタミン遊離抑制作用があり、有力なアレルギー標的分子候補と考えられた。網羅的遺伝子発現解析により花粉飛散時にスギ花粉症患者7割程度で著増・著減している遺伝子群を同定し、テーラーメード医療実現の可能性を見出した。

今後の計画
アトピー性皮膚炎:遺伝子組み替え動物などによりSMAD3遺伝子を含むアトピー性皮膚炎発症の病態を解明する。フィラグリンの機能喪失変異を持つ乳幼児に対して早期からの治療的介入を行う臨床試験を行う。

花粉症:関連遺伝子Xの花粉症における病態での役割を解明する。花粉症患者の7割程度において花粉飛散時に共通して大きく変動する遺伝子群を指標とした既存薬の臨床試験を行う。ヒスタミン遊離抑制作用があることが分かった花粉症舌下免疫療法特異的タンパク質(特願2008-053768)を指標とした治療効果をマウスで確認し、続いて臨床試験でヒトにおける有効性を確かめていく。

研究概要

トップへ