厚生労働省


鳥インフルエンザと新型インフルエンザ

健康局 結核感染症課

ほとんどの人が免疫をもたず、感染力が強い新しい型のウイルス。

そんなウイルスが出現する可能性があります。

実際に出現すると、世界的な感染爆発(パンデミック)を引き起こし、わたしたちの健康だけでなく、経済活動をはじめとする社会機能にも大きな被害を与えるかもしれません。

国はそのような事態への備えを、国家的な危機管理のテーマと位置づけ、さまざまな対策を講じています。

では、新型インフルエンザ対策とはどのようなものなのか、基本となるポイントを見てみましょう。

鳥インフルエンザとは?

水鳥はインフルエンザウイルスと
共生しています

インフルエンザの原因となるウイルスには様々な種類がありますが、自然界においては、ヒトを含むほ乳類や鳥類に分布しています。ただし、保有している水きん類(アヒルやカモなどの水鳥)の多くには症状は出ません。それが家きん類(ニワトリや七面鳥など)に感染して症状が出現すると、ニワトリなどでは時に強毒性を示して死を招き、高病原性鳥インフルエンザとよばれます。

鳥インフルエンザは人に感染するの?

病鳥や死鳥に直接触わらなければ
感染の恐れは基本的にありません

2008年6月19日現在、WHOに報告されたヒトへの鳥インフルエンザ(H5N1)感染症例数は385人ですが、それは鳥インフルエンザウイルスによって死んだ鳥や病鳥と濃厚な接触をするといったケースにおいてだけです。毛をむしったり、調理をしたり、そんな接触があった場合に限られているのです。

ただし、鳥から感染した人が家族に感染させたのではないかと疑われるケースもいくつかあります。

世界における鳥インフルエンザ(H5N1)発生状況はこちらをご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html

国内ではまだ、鳥インフルエンザの人への感染事例は出ていませんが、鳥との接触には注意が必要です。具体的にどのような注意を行うべきかは、こちらのサイトをご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/05.html

鳥インフルエンザから新型インフルエンザへ

ウイルスはごく短期間でも
変異してしまいます

ウイルスは変異することで、鳥に感染するタイプのものが、他の動物にも感染するようになることがあります。鳥から人への感染が繰り返されると、ウイルスが人の体内で増えることができるように変異してしまい、さらに人から人へ容易に感染できるように変異する可能性もあります。人と鳥のインフルエンザウイルスが豚のなかで、いわば合体することもあるといいます。新型インフルエンザウイルスはこうした経緯によって発生するだろうと予想されています。

鳥インフルエンザと新型インフルエンザの関係

新型インフルエンザによる被害想定は?

いつ発生するのか、重症度はどの程度か
正確に予測することはできません

新型インフルエンザの感染力や病毒性は予測できません。いつ発生するのか、その予測もできないのが実態です。しかし、いったん新型インフルエンザが発生すれば、ほとんどの人が免疫をもっていませんから、急速な感染の拡大を警戒しなければなりません。都市への人口集中や、ジェット機に代表される高速大量交通機関の発達などから、短期間で地球全体にまん延する可能性もあります。ウイルスには国境などないも同然なのです。

また、過去のパンデミックの状況をみると、感染によって多数の重症患者や死を招く可能性も否定できません。もちろん一方では、ワクチンや薬剤の進歩による効果に対して期待を寄せる声もあります。

国の被害想定一覧

感 染 者

人口の4分の1である3,200万人が感染

受 診 者

医療機関を受診する患者数は最大で2500万人

入院患者

53万人から200万人

死 亡 者

17万人から64万人

※これはあくまで推定ですから、これ以上の被害が生じる可能性も否定できませんし、対策の適切な実行により少ない被害にとどまるかもしれません。

過去の新型インフルエンザパンデミック

流 行 年

通   称

死亡者数(世界)

1918−1919年
(ウイルス型H1N1)

スペインインフルエンザ

4,000万人

1957−1958年
(ウイルス型H2N2)

アジアインフルエンザ

200万人以上

1968−1969年
(ウイルス型H3N2)

香港インフルエンザ

100万人以上

どんな準備ができるのか?

薬剤・ワクチンと公衆衛生的な対応の
組み合わせが有効だと考えられます

人から人へ容易に感染する新型インフルエンザが発生すると、世界的な感染爆発(パンデミック)の阻止は大変困難だと考えられています。そのため、国はもとより自治体も企業も、また個人や家族のレベルにおいても、最悪の状況を想定して、今から対策を講じておく必要があります。

対策は大きく2つに分けることができます。

詳しいことを知りたい方は、下記のリンク先をご覧ください。

(1) 新型インフルエンザウイルスに対する薬剤やワクチンの製造・備蓄

・パンデミックワクチン

・プレパンデミックワクチン

・抗ウイルス薬

・医療対応について

(2) 感染拡大を阻止・抑制する公衆衛生的な対応の準備

・ウイルスの国内進入を可能な限り阻止

・感染拡大を防止

・社会機能の破綻を防止

・個人・家庭で準備しておきたいこと

・職場のレベルで準備しておきたいこと


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