厚生労働省

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労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A

1 総論

Q1−1:例外事由3号のイ及びロについて、「期間の定めのない労働契約を締結することを目的としている場合」であることを要件とするのはなぜですか。

A: 例外事由3号のイは、長期勤続によってキャリア形成を図るという我が国の雇用慣行が一定の機能を果たしていることに基づくものであり、また、例外事由3号のロは、企業内での人材育成が行われている中で、長期勤続を通じた技能・ノウハウの継承が行われていることに基づくものです。
 このように、3号のイ及びロは、いずれも労働者が長期にわたり同一の企業で雇用されることを前提としていることから、「期間の定めのない労働契約を締結することを目的としている場合」に限って例外事由として認めることとしています。

Q1−2:求人広告などに例外事由に該当することの説明を長々と書く必要があるのであれば、求人広告のスペース上困ると思いますが、どのように対処すればよいのですか。

A: 65歳未満の上限年齢を設ける場合については、高齢法第18条の2の規定により、これまでと同様に、求人広告紙面等の制約により詳細な情報の提供が難しい場合などには、求職者の求めに応じて、遅滞なく、書面等で年齢制限の理由の提示をすることが可能です。また、65歳未満の上限年齢以外の年齢制限を設ける場合は、こうした義務はありませんが、同様に理由の提示が行われることが望ましいと考えられます。
 ただし、理由の提示の方法如何にかかわらず、例外事由に該当しない理由で、求人広告への掲載により、労働者を募集することは雇用対策法第10条違反となります。

Q1−3:「若手募集」「中高年歓迎の企業特集」などの特集を設定している求人メディアに広告を掲載することは可能ですか。もし、その特集に広告を掲載することがよいのであれば、その広告は例外事由(3号のイ)に該当している必要がありますか。

A: 求人メディアに掲載される個々の求人広告は、年齢不問とするか、例外事由のいずれかに該当する必要がありますが、それを集めて求人情報誌としてどのように編集してプレゼンテーションするかについては、直接雇用対策法の規制の対象となるものではありません。ただし、プレゼンテーションと相まって広告自体が年齢制限しているとの誤解を与えるものは、法の趣旨に照らし適当ではないものと考えられます。

Q1−4:応募資格を「年齢不問」とした上で、「学生歓迎」「35歳未満の方歓迎」等の併記をすることは認められますか。

A: 「学生歓迎」は年齢制限に当たりませんが、「35歳未満の方歓迎」は、実質的に年齢制限を行っていることと同じであり、35歳以上の方の応募を妨げるおそれがあることから法の趣旨に照らし適当ではないものと考えます。

Q1−5:広告内に「スタッフ全員が20代のフリーター」等という、その企業の現状を表すキャッチコピーやスタッフの写真等を表示することは認められますか。

A: 「スタッフ全員が20代のフリーター」と表示することは年齢制限に当たりませんが、スタッフが20代でなければならないとの誤解を求職者に生じさせるおそれがないように努めていただく必要があります。

Q1−6:年齢不問とした上で、「20代が主役の会社です」といった表現を記載することは問題ないでしょうか。

A: 「20代が主役の会社です」という表現は、20代の社員が多いことを表現しているとも解されますが、会社が20代を他の年齢層に比べて優先して募集しているとの誤解を求職者に生じさせるおそれがないように努めていただく必要があります。

Q1−7:違法な企業が公表されることもありますか。

A: 違法な企業は、助言、指導及び勧告の対象となります。制裁的な公表措置はありませんが、例えば、情報公開法に基づく情報公開請求があった場合は、その具体的内容にもよりますが、資料が存在する場合には、企業名が公開されることもあり得ると考えます。

Q1−8: 年齢不問とした上で、特定の資格を有する者を募集・採用する場合であって、当該資格の受験資格が年齢制限をしている場合には、当該募集・採用について年齢制限をしていることになるのでしょうか。

A: 資格の受験資格が年齢制限をしている場合であって、当該資格を有することを労働者の募集・採用の要件とすることは法違反にはなりませんが、当該資格が募集・採用を行う企業独自のものであり、かつ、当該資格の取得が採用と密接不可分であるといった場合には、年齢制限をしていることになります。

Q1−9:労働者派遣に関してはどのように扱われるのでしょうか。

A: 労働者派遣に関して、派遣元事業主が行う派遣労働者の募集・採用についても、雇用対策法第10条の適用があります。
 なお、紹介予定派遣に関して、派遣元事業主と派遣労働者が期間の定めのある労働契約を締結する場合においても、派遣元事業主が行う職業紹介により派遣先と派遣労働者が期間の定めのない労働契約を締結することが予定され、その旨が求職者に予め明示されているときは、例外事由の第1号並びに第3号イ及びロの「期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合」に該当します。

Q1−10:年齢不問とした上で、「○○業務の経験○年以上」とすることは可能でしょうか。

A: 年齢不問の求人である場合、労働者に業務経験を求めることは問題ないことから、経験年数を定めることは可能ですが、その求める経験年数について合理的な理由がなく、かつ、非常に長い期間が設定されている場合などは、事実上の年齢制限をすることが意図されていると解されるため、法の趣旨に照らし適当ではありません。

Q1−11:「年齢不問。35歳未満の方は職務経験不問。35歳以上の方は営業経験がある方」という表現は可能でしょうか。

A: 年齢不問の求人である場合、業務の経験者を求めることは問題ありませんが、「35歳以上は経験者に限る」とした場合、35歳未満の者と35歳以上の者で条件が変わり、年齢による制限が実質的に行われていると考えられることから、このような表現は法の趣旨に照らし適当ではありません。
 ただし、例外事由の第3号のイによる年齢制限をする場合には職業経験不問とする一方、第3号のロによる年齢制限をする場合には経験者を募集するといったように、同時に複数の例外事由により条件を変えて年齢制限を行うことは可能です。

Q1−12:「年齢不問。ただし、35歳未満の方歓迎。」という表現は可能でしょうか。

A: 「35歳未満の方歓迎」とした場合、35歳未満の求職者を年齢を条件に優遇するものと解されるため、35歳以上の求職者の応募を妨げるおそれがあります。そのため、このような表現は法の趣旨に照らし適当ではありません。
 ただし、「60歳以上の方歓迎」とする場合については、その趣旨が例外事由3号のニに該当するため、適法なものと解されます。

Q1−13:求人情報誌の求人に「エルダー歓迎 ※40歳以上歓迎マーク」や「シニア歓迎 ※60歳以上歓迎マーク」「50歳以上歓迎マーク」などをつけることはできないのでしょうか。

A: 歓迎マークの意味するところは、他の年齢層に比べて歓迎・優遇するとの趣旨ですので、他の年齢層の求職者の応募を妨げるおそれがあり、このような表現は法の趣旨に照らし適当ではありません。ただし、「60歳以上歓迎マーク」については、その趣旨が例外事由3号のニに該当することから、適法なものと解されます。

Q1−14:例外事由の「期間の定めのない労働契約」には、有期労働契約を更新し雇止めをする場合は含まれないのでしょうか。また、募集の際に年齢不問としていながら、雇止め年齢を60歳未満とするとの規定を就業規則に定めている場合、その規定は違法となるのでしょうか。

A: 例外事由の「期間の定めのない労働契約」は、契約として期間を定めていないことが必要であり、有期労働契約を更新し続ける場合であっても、個々の契約は期間の定めのある労働契約であることから、例外事由の「期間の定めのない労働契約」には当たりません。
 また、募集の際に年齢不問としていながら、60歳で雇止めをするとの規定を就業規則に定めている場合には、就業規則それ自体が直ちに雇用対策法第10条違反となるものではありません。しかしながら、当該就業規則に基づいて60歳以上の者を採用しない場合には、採用において年齢制限を行うこととなることから、雇用対策法第10条違反となります。

2 例外事由(1号)

Q2−1:「40歳から60歳まで募集」のように下限年齢を定めてはいけないのですか。

A: 期間の定めのない労働契約を締結することを目的としている場合であって、かつ、定年の定めがある場合には、募集・採用において定年年齢を上限とすることは、違法にはなりません。一方、下限年齢を定めることは、例外事由に該当しないためできません。

Q2−2:定年を定めている場合は、求人票に上限年齢として記載しなければならないのですか。

A: 定年を定めている事業主が、当該定年制の対象となる労働者を募集・採用する場合には、当然に当該定年年齢を下回ることを条件とすることになることから、当該定年年齢を記載することが必要です。また、その場合には、高年齢者雇用安定法第18条の2第1項に基づき、求人申込書に定年の定めによる年齢制限であることを示すことが必要になります(当該定年年齢が65歳未満のものである場合に限る。)。

Q2−3:職務の習熟に一定の期間が必要な場合、現行の年齢指針のように定年年齢に一定の期間を差し引いて年齢の上限を設定することは可能でしょうか。

A: 定年年齢から必要とされる職務の習熟期間を差し引いて上限年齢を設定することはできません。募集している職務について既に十分な職務経験を有する者が応募することも想定されるとともに、求人に「職務の習熟に●●年程度の期間が必要」である旨を明記すれば、一律に年齢で制限をする必要はないと考えます。

Q2−4: 定年後の継続雇用制度を導入している場合は、当該継続雇用制度の最高雇用年齢を上限とすることは可能ですか。

A: 労働者と事業主との間で期間の定めのない労働契約を締結し、ある一定の年齢に達した時点で自動的に労働契約が終了する制度が定年制であり、企業が定年を定めている場合には、当然に定年年齢で契約が終了することとなることから、この契約が終了する年齢を上限として募集・採用することを、例外事由の第1号に定めています。
 継続雇用制度については、定年には当たらず、雇用形態等が変わることもあることから、その最高雇用年齢を上限として年齢制限をすることはできません。

3 例外事由(2号)

Q3−1:法令の規定により年齢制限が設けられている場合とは、どのようなものがありますか。

A: 例えば、労働基準法第62条に規定する危険有害業務であるため、満18歳に満たない者を使用できないことから、18歳以上に限定して募集・採用を行う場合などがあります。
 これ以外にも、満18歳に満たない者の警備業務の禁止(警備業法第114条)や満18歳に満たない者の深夜業の禁止(労働基準法第61条)などが該当します。

Q3−2:労働基準法第56条により、使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならないと規定されていますが、この法令の規定による年齢制限は求人申込みの際に申込みの書面等に記載する必要がありますか。

A: 労働基準法第56条に規定される最低年齢については、社会通念上、当然に認識されている規定であると考えられ、かつ、高年齢者雇用安定法第18条の2に定める理由の提示義務の対象外でもあることから、この規定による年齢制限については、求人等に記載する必要はありません。

Q3−3:深夜業についても、年齢制限を記載する必要がありますか。深夜業については、どのように表記をしたらいいでしょうか。

A:  労働基準法第61条において満18歳に満たない者の深夜業が原則禁止とされていることから、深夜業についても、下限年齢を記載する必要があります。ただし、深夜業の制限については、労働する時間帯により抵触するかどうかが変わるものであることから、深夜の労働する時間帯とその時間帯で許容される上限年齢を併記することが必要となります。具体的には、「午前1時〜4時までは深夜業のため18歳以上」などの記載を加えていただくことが望ましいと考えます。

Q3−4:パチンコ店員・ゲームセンター店員関係の求人を募集する時、下限年齢について留意すべき点はありますか。

A: 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年7月10日法律第122号)は、いわゆるパチンコやゲームセンター店等の営業を「風俗営業」として規定しております。同法には、風俗営業を営む者がしてはならない行為として、「営業所で、18歳未満の者に客の接待をさせ、又は客の相手となってダンスをさせること。(同法第22条第3項)」、「営業所で午後10時から翌日の日出時までの時間において18歳未満の者を客の接する業務に従事させること。(同法第22条第4項)」、「営業所で20歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること(同法第22条第6項)」等が定められています。
 したがって、こうした内容の求人を募集する場合、例外事由第2号に該当するため、下限年齢を記載する必要があります(その際、労働する時間帯によって抵触するかどうかが変わる場合があることにも留意が必要です。)。
 なお、当該店員が一般的に行っている接客・受付業務(いわゆるホールスタッフ、カウンタースタッフ等)、器具の修理・交換作業、店内清掃作業については、同法第22条第3項で言うところの「客の接待(歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと(同法第2条第3項)」をする業務には当たらないと考えますが、同法第22条第4項の接客業務に該当する場合があり得ますので、注意が必要です。

4 例外事由(3号のイ)

Q4−1:「新規学卒者と同等の処遇」とは、具体的にどのようなものですか。また、新規学卒者と全く同じでなければならないのですか。

A: 「新規学卒者と同等の処遇」とは、昇給、キャリアパス等の採用後の処遇が新規学卒者と同等であることをいいます。
 しかしながら、新規学卒者と新規学卒者以外の者で能力、経験等を考慮の上、初任給が多少違うことなどはあると考えられるので、全く同一であることまで求めるものではありません。

Q4−2:長期勤続によるキャリア形成を図る観点での募集・採用であれば、「25歳未満」でも、「30歳未満」でも、「40歳未満」でもよいのですか。

A: 例外事由(3号のイ)は、(1)若年者を採用し、長期勤続によるキャリア形成を図る我が国の雇用慣行を一定程度尊重する必要があるほか、(2)現下の雇用情勢にかんがみれば、フリーター等の若年者に雇用機会を与えるために年齢制限を認めることに一定の合理性がある場合も考えられることから設定したものであり、基本的には、35歳未満の若年者を想定したものです。
 しかしながら、長期勤続によるキャリア形成を図る観点での募集・採用であって、経験不問かつ新規学卒者と同等の条件であれば、「40歳未満を募集」という求人も認められる場合があり得ます。ただし、長期勤続によりキャリア形成に要する期間が定年までの勤続可能期間に比べて短い場合には、この例外事由に該当しません。
 また、「30歳未満を募集」、「25歳未満を募集」といった年齢制限の上限年齢が低い求人については、改正後の雇用対策法第7条及び第9条に基づく「青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針」に基づき、若者の応募機会の拡大等の観点から、若者が広く応募できるよう、努めていただくことが必要です。

Q4−3:正社員以外でも期間の定めのない労働契約で雇用されるものであれば、例外事由(3号のイ)に該当しますか。また、有期労働契約の対象となる者であっても、更新を繰り返すことを前提とする場合は、該当しますか。

A: 長期勤続によるキャリア形成の観点から、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用される場合であれば、「正社員」などの名称の如何を問わず、該当します。
 一方、有期労働契約の対象となる者については、更新を繰り返すことが想定される場合も含め、期間の定めのない労働契約には該当しないものであるとともに、そもそも長期勤続によるキャリア形成の観点から雇用されるものとは考えられないことから、この例外事由には該当しません。

Q4−4:単に「来年3月卒業予定の者」という条件を付すケースは、年齢制限をしていることになるのでしょうか。これが年齢制限に該当しないとすれば、フリーターなどの若者にとって、応募機会が狭くなってしまいませんか。

A: 「来年3月卒業予定の者を募集」のように、年齢制限を付さずに新規学卒者のみを募集・採用する場合は、年齢制限をした募集・採用には該当しません。
 しかしながら、改正後の雇用対策法第7条及び第9条に基づく若者指針に基づき、新規学卒者以外の若者にも門戸が開かれるように努めていただくことが必要です。
 なお、「学校卒業後3年以内の者」という記載は、年齢制限ではありませんが、「平成●●年4月2日以降に生まれた者」という記載は、年齢制限に該当します。

Q4−5:職業経験不問とは、募集・採用を行う職種についての職業経験を問わないということでしょうか。

A: 例外事由(3号のイ)については、長期勤続によるキャリア形成の観点から、新規学卒者と同等に扱われる者の募集・採用を行う場合に年齢制限を認めるものであり、現に募集・採用を行おうとする職種に就いた経験を不問とするというだけでは足りず、職業に就いた経験を不問とするものでなければ、例外事由に該当することにはなりません。
 なお、職業経験不問とする募集に対し、職業経験のある者が応募すること、職業経験のある者を採用することは、もちろん差し支えありません。

Q4−6:募集・採用に当たって、必要な免許資格を要件とすることはできないのですか。

A: 事業主が年齢にかかわりなく募集・採用を行うためには、事業主が「職務に適合する労働者」であるか否かを個々人の適性、能力等によって判断することが重要です。
 このため、改正雇用対策法施行規則第1条の3第2項では、職務の内容、当該職務を遂行するために必要とされる労働者の適性、能力、経験、技能の程度など労働者が応募するに当たり求められる事項をできる限り明示していただくことを求めています。
 したがって、職務に必要とされる技能等として免許資格を要件とすることはできますが、職務経験を必要とする免許資格(例:ファイナンシャルプランナー1級等)を要件とすることは、職業経験不問とすることを求めている例外事由(3号のイ)の要件を満たさないことになることから、できません。

Q4−7:「経験者優遇」や「経験があれば尚よい」と記載することはできますか。

A: 第3号イの趣旨が、企業内で長期的に育成を図るために若年者等を募集・採用するためのものであることにかんがみれば、職業経験の有無を条件に加えることは適当ではなく、よって本例外事由に基づく年齢制限を行う場合は、「○○の経験者募集」、「○○の経験を有する者」といった求人条件を定めることはできません。また、「○○経験者優遇」や「経験があれば尚よい」といった求人条件についても同様です。

Q4−8:募集・採用の年齢に下限を定めることはできないのですか。

A: 例外事由(3号のイ)に該当することを理由として年齢制限をして募集・採用を行う場合には、下限年齢を定めることはできません。
 ただし、当該募集・採用について、他の例外事由(2号など)にも該当する場合には、当該例外事由を理由として下限年齢を定めることができます。

Q4−9:高校卒業以上の者を募集したい場合に、例えば「18歳以上」という年齢制限を行ってはいけないのですか?

A: 例外事由(3号のイ)に該当することを理由として年齢制限をして募集・採用を行う場合には、他の例外事由(2号など)にも該当する場合を除き、下限年齢を定めることはできず、「18歳以上」という年齢制限はできません。
 事業主が年齢にかかわりなく募集・採用を行うためには、事業主が「職務に適合する労働者」であるか否かを個々人の適性、能力等によって判断することが必要です。このため、改正雇用対策法施行規則第1条の3第2項では、職務の内容、当該職務を遂行するために必要とされる労働者の適性、能力、経験、技能の程度など、労働者が応募するに当たり求められる事項をできる限り明示していただくことを求めています。
 仮に、募集しようとする職務を遂行するために、例えば「高校卒業以上」の能力、技能等が必要とされるのであれば、「高校卒業以上」という条件を付して募集すれば足りると考えられます。

Q4−10: 職業経験不問とすることが要件とされていますが、パソコンの基本操作などは実務経験を求めていなければ認められますか。

A: パソコンの基本操作など、職業に就いたことのない人でも取得することが可能である技能については、その技能を有する人を対象に募集・採用することは可能です。ただし、その技能が職業経験を通じてのみでしか獲得できないものである場合には、例外事由に該当せず、年齢制限はできません。

Q4−11: 職業経験不問とすることが要件とされていますが、実務経験を要する資格について「○○資格あれば尚可」、「○○有資格者は優遇します」との表現は認められるでしょうか。

A: 「経験者優遇」や「経験があれば尚よい」といった表現と同様に、求人条件として定めることは法の趣旨に照らし適当ではありません。

Q4−12:「○歳位」や「○歳前後」といった表現を付しつつ年齢制限を行ってもよいのですか。

A: 個々の例外事由の趣旨が「例外的に年齢制限が認められる場合として必要最小限に設けられているもの」であることにかんがみれば、そのような表記をして募集することは法の趣旨に照らし適当ではありません。求職者に誤解を招くおそれがないよう、表現を明確化させる必要があります。

5 例外事由(3号のロ)

Q5−1:「2分の1」という数字の根拠は何ですか。

A: 特定の年齢層の労働者数が同じ年齢幅の上下の年齢層に比べ1/2以下であれば、技能・ノウハウの継承という観点から支障が生ずる場合があることから、年齢制限を行うことに合理的な理由があると考えています。

Q5-2:「2分の1」という要件等については、ハローワークへの求人の際に、要件を満たしている証拠を示さなければならないのでしょうか。

A: 要件を満たしていることを証明する書面等をハローワーク等の窓口で逐一提示することまでは求めませんが、要件を満たしている旨を求人において明示する必要があります。
 要件を満たしていないことが疑わしい場合には、ハローワークから資料の提出や説明が求められることがあります。さらに、要件を満たしていないことが明らかになった場合には、助言、指導及び勧告等の措置の対象になります。

Q5−3:30歳から49歳までに限定するのはどうしてですか。

A: 企業における雇用管理の実態を踏まえると、企業の人員構成のうち、中間的な層が少ない場合には、技能・ノウハウの継承に支障が生じる可能性があるものと考えられるため、企業における従業員のおおむね中間の年齢層として「30歳から49歳まで」の範囲を定めています。
 また、

(1) 長期勤続によるキャリア形成を図るために若年者等を募集・採用する場合には、例外事由3号のイを適用することができること、

(2) 技能・ノウハウの継承の観点から、新たに高年齢者に限定した募集・採用を行うことは考えにくいこと

からも、「30歳から49歳まで」としています。

Q5−4:年齢幅を「5歳から10歳」の幅に限定するのはどうしてですか。

A: 募集・採用における年齢幅を「5歳から10歳」の幅に限定しているのは、

(1) 技能・ノウハウの継承に支障を生じるのは、ある特定の年齢の従業員が少ないというのみでなく、一定の年齢幅にわたって従業員が少ない場合であると考えられること

(2) 一方で、従業員が少ない年齢層の幅が相当程度広い場合には、年齢制限を必要最小限とすべきことを考慮すると、年齢不問として募集・採用すべきであること

を理由としています。

Q5−5:正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの有期労働契約の社員(契約の更新が繰り返され、継続的に雇用されている社員を含む。)の募集・採用について、これらの社員を例外事由(3号のロ)における構成員数の算定の対象とすることはできますか。

A: 正社員とパート・アルバイトなどの有期労働契約の社員が同一の職種内に存在している場合については、パート・アルバイトなどの有期労働契約の社員を技能・ノウハウの継承の観点から雇用されるものとして解することが難しいことから、これらの社員を例外事由に係る労働者数の算定の対象とすることはできません。
 ただし、正社員がいない職種において、期間の定めのない労働契約を締結しているパートタイムの社員がいる場合には、当該社員を例外事由に係る労働者数の算定対象とすることが可能です。

Q5−6:求人に具体的な仕事内容が記されている場合には、「職業分類の小分類」にこだわらず、「営業職」「販売職」「管理職」など、大分類・中分類に相当するような表現を用いることは認められますか。

A: 例外事由(3号のロ)に該当するものとして年齢制限を行うのであれば、厚生労働省又は総務省の『職業分類』の小分類を参考にしつつ、これに相当する具体的な職種の名称やその職種に該当する仕事内容に従事する者を募集・採用する旨が求人広告内に何らかの形で明示されることが必要であると考えます。

Q5−7:中小零細企業等において、一人の労働者が複数職種の業務を行っている場合、どの職種をもとに「特定の職種における労働者」を判断したらいいのでしょうか。職種を特定することが難しい場合もどのように考えたらよいでしょうか。

A: 労働者の募集・採用を行う際には、求める労働者の職種を特定することになりますが、一人の労働者が複数の職種の業務を行っている場合には、技能・ノウハウの継承が必要となる主要な職種を特定し、募集・採用をすることになります。
 また、職務の内容が多岐にわたり、職種の特定が難しいものについては、具体的な職務の内容を求人等に明記することで代替することもできますが、その場合であっても、その職務が技能・ノウハウの継承を必要とするものであることが明らかでなければなりません。

Q5−8:「特定の職種における労働者数」の算定の対象の単位について具体的にどのように判断すればよいのですか。

A: 特定の年齢層の特定の職種の労働者の数が相当程度少ないかどうかを判断するに当たっては、企業単位で判断することが原則となりますが、人事管理制度上、一部の事業所で募集・採用などの雇用管理を独立して行っている場合には、当該雇用管理を統一的に行う複数又は単一の事業所を単位として判断することも認められることとしています。
 具体的には、雇用保険における「適用事業所」はこれに該当するものと考えて差し支えありません。また、上記の要件を満たす限りにおいて、複数の適用事業所や複数又は単一の雇用保険の非該当施設において募集及び採用を行う場合についても、これを単位として判断するものと考えて差し支えないこととしています。

6 例外事由(3号のハ)

Q6−1:「芸術又は芸能の分野における表現の真実性等の要請がある」とは具体的にどのような場合をいうのですか。

A: 放送番組、映画、劇場等において音楽、演芸などの提供が行われる場合をいいます。具体的な例としては、俳優や演劇等の役者、芸術作品におけるモデルの募集・採用が挙げられます。
 なお、特定の年齢層を対象とした商品の販売やサービスの提供等を行う業務について、当該年齢層の顧客等との関係で当該業務の円滑な遂行を図る要請がある場合(例:若者向けの洋服を販売する店員、イベントコンパニオン等)については、「芸術又は芸能の分野における表現の真実性等の要請がある」に該当しないため、年齢制限を行うことはできません。

7 例外事由(3号のニ)

Q7−1:60歳以上の高年齢者に限定して募集・採用する場合が例外として認められるのは、なぜですか。

A: 60歳以上の高年齢者については、60歳定年を迎えて継続雇用をされずに、離職する方がいるほか、高年齢者の再就職は他の年齢層に比べて困難なことが多いことから、60歳以上の者に限って募集・採用する場合には年齢制限をすることを許容し、高年齢者の雇用を促進することとしています。

Q7−2:「65歳以上を募集」のように、年齢の下限が60歳を上回っていても認められますか。

A: 60歳以上の者に限って募集・採用する場合には年齢制限を行うことを許容するとしている趣旨は、高年齢者の雇用の促進にあります。したがって、例えば「65歳以上を募集」のように、60歳を上回る年齢を下限として募集・採用することは、高年齢者の雇用の促進という趣旨に合致することから例外事由(3号のニ)に該当します。

Q7−3:「60歳から70歳までを募集」のように、年齢の上限を定めることは認められますか。

A: 高年齢者の雇用を促進するため、60歳以上の者に限って募集・採用する場合には年齢制限をすることはできますが、例えば、「60歳以上63歳未満」のように年齢の上限を定めることを可能とすると、高年齢者のうちでもより高齢で再就職が一層困難な年齢層の者の応募の機会を奪うことになり、高年齢者の雇用の促進というこの例外事由の趣旨に合致しなくなることから、年齢の上限を定めることはできません。

Q7−4:「特定年齢層の雇用を促進する国の施策の対象となる者に限定して募集・採用する」とは具体的にどういうことなのでしょうか。

A: 「特定年齢層の雇用を促進する国の施策の対象となる者に限定して募集・採用する」とは、特定の年齢層の雇用の促進を目的とした助成金を受給することを前提として、事業主が募集・採用の対象を当該特定の年齢層に制限することをいいます。
 例えば、特定求職者雇用開発助成金を受給するために、特定の年齢層の者(60歳以上65歳未満の者、漁業離職者求職手帳所持者であって45歳以上の者等)に限定して募集・採用する場合が挙げられます。

8 その他

Q8−1:加齢に伴う体力、視力等の低下が大きな影響を及ぼし、ひいては労災事故の危険が増大する業務が存在することは事実であり、以前の年齢指針のような例外事項を設けるべきではないでしょうか。

A: 加齢による体力等の低下の度合いについては、個人差が大きく、年齢により一律に制限を設けることを許容することは適切ではありません。御指摘のような危険を回避するためには、むしろ求人において業務の具体的内容と必要な身体能力等を明示することが重要となります。


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