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化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律における「化学物質の分配係数(1-オクタノール/水)の測定方法及びその結果の取扱い」改正案に寄せられた意見に対する考え方・対応

No 意見 意見に対する考え方・対応
「OECD Test Guideline(OECD理事会決定「C(81)30最終別添(1)」)107」を「JIS Z7260-107:2000」に変更されたい。
(理由)
(1)上記OECD Test Guideline 107は、技術的内容を変更することなく、JIS Z7260-107:2000(分配係数(1−オクタノール/水)の測定−フラスコ振とう法)として発行されている。同等内容である日本語のJISの利用がはるかに利便性がよい。
(2)日本工業標準調査会では、「強制法規の技術基準に係る解釈基準例として採用しうる規格としてのJISの整備を一層図っていく必要がある(*)」とされ、前記JISはこのような意図で策定されたものである。(*)21世紀に向けた標準化課題検討特別委員会報告書(日本工業標準調査会 平成12年5月)
日本工業規格Z7260−107(2000)「分配係数(1−オクタノール/水)の測定−フラスコ浸とう法」は、「OECD Test Guideline(OECD理事会決定「C(81)30最終別添(1)」)107」を翻訳し、技術的内容を変更することなく作成したと認められるため、1-オクタノールと水との分配係数の測定法として、当該日本工業規格によることを認めることとしたいと考えております。
本文下から3行目、「原則として」に関して、OECD Guideline(以下GL)によれば、解離性物質はあくまでも解離抑制して分配係数(以下logP)を測定することが要求されています。しかしながら強酸性、強塩基性あるいは両性の解離性物質の解離抑制は実質不可能です。従って、このような場合は実環境で求められうるpH条件下(例えばpH4、7または9)でlogPを測定すればよいものと解釈いたします。上記の「原則として」という記述はこのような取り扱いを意図したものと解釈してよろしいでしょうか?
また、logPが-2以下の化合物についても本方法を適用できると考えてよろしいでしょうか?
(理由)
強酸性、強塩基性あるいは両性の解離性物質の濃縮挙動も通常の解離性物質と同様にlogPの支配を受けるものと考えられます。そして非解離性状態が原理上得られなくても上記の手順で測定したlogPが予め定められた基準を満たせば低濃縮性を容易に類推できると考えます。また、logPが-2以下で絶対値が得られない場合であっても、濃縮性を評価するためには十分な値が得られると考えます。
「OECD Test Guideline(OECD理事会決定「C(81)30最終別添(1)」)107」は、酸性物質や塩基性物質の場合には、緩衝液を用いてその解離を抑制して測定を行うものであり、当該Test Guidelineは、それ以外の条件には対応していないものと考えております。
また、当該Test Guidelineでは「分配係数の常用対数logPowの値が−2〜4(場合によっては5まで)の範囲は、ここに記載された方法で測定することができる」とされています。しかしながら、logPowの値が−2以下の場合でも、化審法における「化学物質の魚介類の体内における濃縮度を判定するための知見として取り扱う」ことに関しては、可能と考えております。
本文最終行、「OECD GL 107」に関して、logPの評価法として別にOECD117があります。測定の妥当性が示せればこの117の結果も同様に取り扱われることを希望します。また、現在OECDでその検討が行われている「pH metric method」や「Slow stirring method」について言及する必要はないでしょうか?
(理由)
OECD GL 107以外の関連GLの位置づけについても何らかの指針が必要と考えるため。
「OECD Test Guideline 117」の測定の妥当性が示せれば、同様に取扱いが可能と考えております。
また、「pH metric method」や「Slow stirring method」については、今後のOECDでの検討状況を踏まえ、その適用について検討を行っていきたいと考えております。
これまでにlogPの測定指針として取り扱われてきた次の文書の取り扱いはどのようになるのでしょうか?これらの規定を無効にするなどの対応が必要ではないでしょうか?
(1)「化学物質の分配係数(1-オクタノール/水)測定方法について」(昭和62年3月31日 基礎産業局化学品安全課)
(2)「(続)化学物質の分配係数(1-オクタノール/水)測定方法について」(昭和63年1月26日 基礎産業局化学品安全課)
(理由)
当該文書にはOECD GLの1995年版に規定の無い種々の記述がなされており、運用に混乱を招く恐れがあるため。
ご指摘を踏まえ混乱を生じることのないよう、当該課通知によらず、「OECD Test Guideline(OECD理事会決定「C(81)30最終別添(1)」)107」又は日本工業規格Z7260−107(2000)「分配係数(1−オクタノール/水)の測定−フラスコ浸とう法」によることとするよう周知したいと考えております。
「魚介類の体内における濃縮度を判定するための知見」として分配係数を取り扱うことは、より経済的な測定法の採用ということで大変意味のある法改正と存じます。また測定法として、フラスコしんとう法及びHPLC法が検討されると伺っていますが、より多くの新規化学物質が広範に対象とされることを祈念いたします。
私どもとして、問題となるのは『水に可溶で水中で解離又は会合し、界面活性を有しない新規化学物質』とありますが、有機顔料は水にも脂にも溶けにくい性質(以下難溶性物質と表現)を持っています。
果たして、有機顔料がHPLC法を含めたlogPowの測定対象になれば問題ないのですが、ならなかった時はどういう扱いになるのでしょうか? もし現在の化審法の新規届け出に必要な試験項目に生態影響試験項目が追加される事態になれば費用の面や評価時間の点で、大変な規制強化となります。
難溶性物質で細胞膜を通過できない大きさの粒子ならば、いわば砂状物質と解釈し少量段階(生産量10t以下)であれば安全と見なすとなればいいのですが、現実問題としてどう取り扱われるか業界として大問題です。
私が独自にまとめた経産省のハザードデータベースよりの添付資料「化審顔料調査」にあるように、生産量の多い有機顔料9品目について、難分解ではあるが低蓄積性と評価されています。世界の有機顔料は構造的には700〜1000物質近く存在すると思いますが、有毒性と評価されたものは聞いたことがありません。難分解性物質が総新規届け数の中にどれくらいのウェートを占めるのでしょうか?
有機顔料とlogPowの問題は世界的な問題ともなっています。添付資料「ECJarticle.pdf」をご参照ください。
現在、有機顔料、染料は単なる着色剤から情報材料用途の基材として脚光を浴びて、新規開発の必要性が叫ばれております。難溶性新規化学物質も合わせてご検討いただくようお願い申し上げます。
今回の意見募集の対象外ではありますが、貴重なご意見として参考にさせていただきます。


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