戻る  前ページ  次ページ

3.器具・容器包装及びおもちやの規格基準案関係

(器具・容器包装及びおもちやの共通事項)
1)全般について

(193) 規制対象物質をDEHP、DINPに限定せず、使用頻度の高いフタル酸エステル6種類全部を規制対象とすべきである。

(194) 容器及びおもちゃとも規制の対象がどうしてDEHPを含有するPVCのみなのか。もしくはDEHPあるいはDINPを含有するPVCのみなのか。規制対象はフタル酸エステルを含有するPVC全てとすべき。

(195) フタル酸エステル類を含有するポリ塩化ビニルに関する器具及び容器包装の規格基準(案)及びフタル酸エステル類を含有するポリ塩化ビニルに関するおもちゃの規格基準(案)に反対する。

(196) 禁止措置の決断は、環境にも人の健康にも利益をもたらすこととはならないだろう。

(197) 抜本的対策として、PVCを使用禁止にすることが、最良の方法なので、食品衛生法7条、10条の規格基準に「ポリ塩化ビニルを使用してはならない」と定めるべきである。

(198) PVC製品(特に軟質PVC)は、他のプラスチック以上に添加剤を多用し、また、可塑剤をはじめそれらの添加剤が溶けだし易い性質を持っている。可塑剤を変えたとしても、その可塑剤もまた大量に溶出することには変わりがない。
食品用途の器具容器包装・おもちゃへのPVCの製造自体を規制するよう要望する。

(199) 食品用器具及び容器包装やおもちゃに使用されるPVCは、可塑剤を大量に配合するのが普通で、酸化防止剤等の溶出についても、他のプラスチック類より量が多いと聞くが、本来食用ではない添加剤を摂取することは好ましくないので、PVCは食品用器具及び容器包装、おもちゃに向いた素材ではないと考えられ、長期的な視点に立って、こうした素材の規制を検討するよう要望する。

(200) PVC製品に限って規制するような感があるが、合成樹脂製のもので、DOP(DEHP)、DINPを含むものを使用してはならないとなるのではないか。

(201) 規制の対象を限定せず、「食品への使用」「全てのおもちゃ」とするべき。

(202) 規制される物質を含まない商品づくりを行う上で、可塑剤以外に塗料や接着剤、安定剤、酸化防止剤等に含まれている可能性があるのならば、それらに関しても選定する必要があるため、規制対象の2物質はどのようなものに含まれているかを確認したいと考える。2物質が使用されている可能性のある材料名を開示していただくよう要望する。

(203) 可塑剤の使用について米国が採用している適用範囲をはるかに越えて適用されるのではないか。

(回答)
 市販の弁当中に1食分でTDIに相当する程の量が検出された事例のあるDEHPと玩具に頻用されているDINPについて今回検討を行いました。
 DEHP及びDINP以外の化学物質の規制の必要性等については、その毒性や溶出性等の検討も含めて、今後の検討課題と考えますが、現時点において、食品中から検出される化学物質のデータ等も含め、他の化学物質について規制が必要との知見、PVC以外の製品へのDEHP、DINPの使用が問題であるとの知見、あるいはPVCを使用禁止とすべき所見は得られておりません。
 規制の対象は、科学的根拠に基づき妥当な範囲とすべきものと考えます。今回の規制により健康に悪影響が生じることは想定しえません。
 使用される材質の確認は基本的に各企業において実施されるべきものです。現時点では規制の対象範囲を拡大する考えはなく、PVCに含まれるDEHP及びDINPが規制の対象です。
 CPSCでは、法的な規制ではありませんが、フタル酸エステルを含有する玩具を流通させないよう業界団体に要請しております。

2)規制手法について

(204) リスク管理の観点から、本来リスク管理においては、許容リスクの値を設定し、この値に対して暴露量をとりきめることが適当である。したがって今回の措置がこのまま実施された場合には、今後製品のリスク管理を行う上ではなはだ不適当な前例となる可能性を憂慮する。

(205) 米国、欧州連合、及び日本におけるADIに対する共通の科学的総意は、本件製品に対して全面的禁止をするより、承認された溶出法を使用した規制を行うべきことを示唆するものである。

(206) 米国における経験では、これらの物質を排除するのではなく、むしろ適切な科学的根拠に基づいた手段で問題に対処することが可能である。

(207) 各フタル酸エステルが安全に使用できるという溶出移行基準値が科学的に確立しており、他の可塑剤の影響可能性に関する知識ははるかに少ないため、米国と欧州の規制への取り組み方は共に、正当な科学的根拠に基づいた製品の性能基準を開発するものであり、素材や製品を完全に禁止するものではない。

(208) 溶出・移行基準値と更にその基準値を検証する試験方法を組み合わせることにより、製品の性能基準が得られ、消費者たちも安心でき、製品の安全性を確認することができる。他の全世界にて行われている科学に基づいたリスク評価と規制からかけ離れたような、素材や製品に対する規制ではなく、このような製品性能基準を支持されたい。

(209) 例えば、米国や欧州においては、いずれも規制による取組は、当該材料若しくは製品を全面禁止するよりもむしろ、信頼できる科学を利用して製品性能基準を開発することである。フタレートを科学的に立証された移行レベル以内で安全に使用することができるように、このような取組を採用することができるだろう。

(210) ACSH、CHAPのような著名な科学学術団体が公表した結果によれば、すべてのフタレートは、移行の割合が提案の限度内であることを条件に、玩具や育児用器具で安全に使用できることが明確に示されている。したがって、これらの製品を全面的に禁止することについては、正当な根拠がない。

(211) DINPの使用禁止規制は理解、納得できるものではなく、DINPは使用禁止の規制から外すべきである。DINP使用禁止規制の根拠を開示されたい。

(212) 本件のような使用規制に繋がる論争は、いろいろな点で利害関係が発生し、何が基準でといった誰もが納得出来る「ものさし」がないと圧力団体からの押しつけに取られがちである。規制しなければならない妥当性、正当性が充分に認められない限り、DINPを規制対象から外すべきだと考える。

(213) 合成樹脂製のもので乳幼児が口に接触することをその本質とする玩具の製造には、DINPを含有するポリ塩化ビニルを使用してはならないという部分の削除が適正かつ妥当な判断と考える。

(回答)
 個々の事例の特性を踏まえた妥当な規制手法により規制は行われるべきものと考えています。溶出規制等他の手法が適当な場合には、当然、他の規制手法も検討します。得られたデータから、器具・容器包装については、油分により極めて容易に食品中にDEHPが移行し、かつ接触時間により移行量が増大することが明確であること、おもちやについては、in vivoにおける溶出をin vitroの試験結果から推定することが困難であると判断されること等から、溶出試験による規制は困難と考えられ、必要な範囲において使用規制を行おうとするものです。
 使用規制の対象範囲は、科学的根拠に基づき、必要な範囲に限定しており、全面的な使用禁止ではありません。
 各フタル酸エステルが安全に使用できるという溶出移行基準値が科学的に確立しているとは考えません。米国においてもおもちやについては業界にフタル酸エステル類の使用を避けるよう要請がだされ、欧州においては玩具と保育用品について6種類のフタル酸エステルの使用が禁止されており、我が国のみが世界とかけ離れた規制をしようとしているわけではないと考えます。
 一般論として、製品の性能基準の設定による規制にも種々の利点があることは確かですが、今回、適当な溶出試験・溶出基準の設定は困難であり、範囲を定めた使用規制が適当との判断に至っております。
 米国の報告においても75分以上のMouthingによる暴露がないことを前提として安全性が判断されておりますが、我が国の調査研究結果から、75分以上Mouthingする例の存在を無視し得ないものと考えます。
 DINPの規制の根拠は前述のとおり、妥当なものであり、規制対象から外す考えはありません。

3)条文について

(214) 食品衛生法上の表現と整合性をもたすため、規格基準中の「ポリ塩化ビニル」を「ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂」とするよう要望する。

(215) DEHP、DINPの規制であると考えるが、規格基準案の文章は「〜のポリ塩化ビニルをもって…製造してはならない」あるいは「のポリ塩化ビニルを使用してはならない」となっており、ポリ塩化ビニルが原因、あるいは、ポリ塩化ビニルそのものが禁止された様な印象を与えることから、規制の趣旨を正しく反映しないおそれがあり、修正されたい。

(216) 製造の禁止を規定しているが、輸入、譲渡、貸し渡し等の規制は、この法律に抵触しないのか。

(回答)
 「ポリ塩化ビニル」を「ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂」と修正します。
 「ポリ塩化ビニル」に可塑剤として用いられたDEHP及びDINPが規制の対象です。また、規制の対象範囲をPVC以外にまで拡大する必要もなく、PVCそのものの禁止ではないことも明確であり、修正の必要はないものと判断します。
 製造基準を遵守した製品であることが必要であり、輸入、譲渡等においても規格基準の遵守が必要です。なお、個人的輸入や個人間の貸し渡しは法規制の対象外となります。

(器具・容器包装の規格基準案関係)
4)対象物質について

(217) 案は、PVCに添加されるフタル酸エステルのみ想定しているが、輸入品のプラスチック製容器包装の中では、ポリプロピレンにも添加されている。独自に調査したところ、イタリア製のスパゲッティ包材からフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)エステルDOPを検出し、中身のスパゲッティからも1.2 ppmのDOPが検出された。包材にはPPと表示がされており、材質はポリプロピレンであると確信している。従って、案が指し示す「器具及び容器包装の安全」について、輸入品等も含めて慮れば、すべてのプラスチック材質を対象とするよう要望する。

(回答)
 食品中のフタル酸エステル類の分析についてはコンタミネーションや汚染経路の解明等の課題があります。現時点においては、ポリプロピレンを規制の対象にすべきと判断しえる情報は入手できていません。

5)規制手法について

(218) 今回の措置が、ハザード及び暴露量による科学的なリスク評価をその根拠としながらも、実際の措置においてはフタル酸エステル類が製品に含有していること、また、製品から溶出することが規制対象となっており、これではリスク評価が判断に反映されていないと思われる。

(219) FDAは、他の食品について、いくつかの制限を設けてDEHPの使用を認める一連の規則を定めている。例えば、DEHPは3%までの量で、食品に接触することを意図したアクリル樹脂に使用してもよいことになっている。こうした規制の取組は、高脂肪性食品に用いられる食品包装用途でのDEHPの使用を禁止する今回の案への有効な代案となるだろう。食品と接触する物品中のDEHPの量を規制するか、又はこれらの物品からのDEHPの溶出に限界を設けることによって、案が想定しているものと同じ結果を達成することができるだろう。

(220) 極めて敏感な用途に関しては禁止するよりも溶出・移行基準を設けるという措置の方がはるかに管理が行き届くと考える。

(221) DEHPの器具、包装容器への規制は接触時間、接触面積などによるべきで一律規制は行き過ぎである。TDIを基準にするなら今回のように一律に決めないで、例えば、接触時間、接触面積などを規定すべきである。

(222) 油脂、脂肪性食品の定義は、現行の蒸発残留物試験の項の定義と一致させることを要望する。

(223) DEHPを40%以上含有するPVC製品は、もともと現行規格では脂肪性食品に不適の製品(n-ヘプタン蒸発残留物150 ppm以上)であるのに、どういう目的で試験されたのか伺いたい。また、現行規格でも、脂肪性食品に対する規制(蒸発残留物/n-ヘプタン)があるのだから、現行規格に合格(150 ppm以下)していても、TDIを超え危険だという実証がないのに、なぜ使用禁止まで至ったのか。

(224) 手袋やホースのような器具の現行規格基準は、4%酢酸/蒸発残留物合格だけとなっている事が問題であり、従って脂肪性食品と接触する器具に対しては、容器包装と同様にn-ヘプタン/蒸発残留物規格を制定するだけで良かったのではないか。

(回答)
 今回の措置は、リスク評価に基づき、各種のデータから最も適当な規制手法を検討したものです。
 今回の規制の対象はDEHPを含有するPVCであり、DEHPの食品への移行が極めて容易に起きること等が判明しており、接触時間や接触面積等による規制が実効を上げられるとは考え難く、また、適当な溶出試験・溶出基準の設定は困難であり、範囲を定めた使用規制が適当との判断に至っております。
 無用な混乱を避ける観点から、油脂、脂肪性食品の定義は、現行の蒸発残留物試験の項の定義と一致させることが適当と考えます。
 このため、規格基準案には以下の趣旨を盛り込むこととする予定です。
「油脂、脂肪性食品を含有する食品の器具及び容器包装には、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)を含有するポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂を使用してはならない。ただし、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)が溶出又は浸出して食品に混和するおそれのない場合はこの限りでない。」
 DEHPを40%以上含有するPVCの容器包装は、現行の規格基準においても油脂及び脂肪性食品の容器包装としては不適となることが考えられますが、器具についてはDEHPを40%以上含有するPVC製品であっても規格基準に適合する可能性があります。また、n-ヘプタンによる蒸発残留物150 ppmから単純計算するとわずか約6.7cm2が食品に接触するとTDIを超える計算になります。
 器具の規格基準については、今後とも検討を進めることを予定しています。

6)規制の対象範囲について

(225) 脂質が少なくても食品が長時間接触していた場合は食品中の脂質が容器に吸着し、可塑剤の溶出を促進すると考えられる。したがって、対象外とする範囲を定める場合は「脂質を全く含まない食品」に限定されるべきである。

(226) 器具、容器包装のうち「油脂、脂肪性食品」用と限定されているが、実際の作業現場で、脂肪性食品とそれ以外用とに器具をきちんと使いわけることはむずかしいと思われる。昨年6月14日に出された食品化学課長名の通知ではDEHPを含有するPVC製手袋の食品への使用を避けるよう指導」と食品全般が対象になっており、今回の改正案はその点では後退している。脂肪性食品の定義も昭和48年の環境衛生局長通知では「食品中又は食品表面の油脂含量がおおむね20%以上であって、乾燥した固形食品以外の食品」とされ、油脂が使用されていても該当しないものも出てくる。また、油脂以外にもPVC手袋と消毒用アルコールの併用でDEHPのおにぎりへの移行が確認されている(平成12年度厚生科学研究)ことから、「食品への使用を避ける」とすることが必要である。

(227) 脂質の少ない食品用の器具及び容器包装を対象外とすることを検討されているようであるが、用途外に利用されることは十分あり、さらに容器包装は食品の消費後に再利用されることもままあり、用途外の使用は避けられないと考えられ、全ての食品用器具及び容器包装を対象とするよう要望する。

(228) 案では、「油脂、脂肪性食品の器具及び容器包装」に限定し、「食品に混和する恐れのない場合」を但し書きで除外しているが、可塑剤のフタル酸エステルは、溶出しやすいので限定すべきではない。

(229) 電子レンジが気軽に使われる時代であり、さまざまな食品があるので、溶出・浸出のおそれがあるかないかについては慎重に検証されたい。

(230) 器具・容器包装の規制案は、対象が、油脂含有量がおおむね20%以上の「油脂及び脂肪性食品」に用途を限定されていることがまるで不十分である。厚生省の科学研究でも、コンビニ弁当の調理施設や国立医薬品食品衛生研究所の調査などから消毒用アルコール等をふきつけたPVC製手袋からも、DEHPがご飯等へ高濃度で溶出することや、油分20%以上の脂肪性食品には入り難い「切り干し大根」などの油分の多い総菜等へも高濃度で溶出することが明らかになっているにもかかわらず、今回の改正には反映されていない。個々の総菜の油分も把握されていないばかりか、今回、問題の焦点になった切り干し大根の油分さえも把握されないでこんな改正案を出すのはあまりにもお粗末である。昨年6月の通知の元になった大阪の国立医薬品食品衛生研究所の病院給食の調査でDEHPが高く出たメニューは、PVC手袋で付け合わせのスパゲッティを取り分けた際などのケースがあったと思われるが、油分だけでなく使用温度や接触時間等の要因も大きいこともわかっているはずである。

(回答)
 規制の対象は、「油脂、脂肪性食品を含む食品の器具及び容器包装」とすることを予定しています。
 消毒用アルコールといった濃度の高いアルコールではDEHPの食品への移行が認められましたが、20%エタノールの試験での溶出性は高いものではないことが確認される等、種々の検討結果から、油分を含む食品との接触が最大の問題であることが明確になっています。
 接触時間等の要因も考慮し、今回は溶出規制という手法ではなく、使用規制という手法を採用しました。溶出して食品への移行の懸念が少ない分野まで規制することは適当ではないと考えます。
 DEHPを含有する器具・容器包装については、ユーザーへの適切な情報提供に努めるよう指導することを検討しています。

7)条文について

(231) 第3 器具及び容器包装 A 器具もしくは容器包装又はこれらの原材料の一般規格の項で規定するよりも、第3 器具及び容器包装 D 材質別規格 2 合成樹脂個別規格 (2)「ポリ塩化ビニルを主成分とする合成樹脂」の項で規定することを要望する。

(232) 「溶出または浸出して食品に混和するおそれのない場合はこの限りではない」と言う除外規定により、使用許可の範囲を決めるのではなく、「油脂脂肪性食品にダイレクトコンタクトする器具及び容器包装についてはフタル酸ジ(2−エチルへキシル)を含有するポリ塩化ビニルを使用してはいけない」と禁止範囲を明確化し、それ以外については規制しないという内容の告示にするよう要望する。

(回答)
 現状の規格基準の構成では、D材質別規格は試験への適合を求める形式になっており、今回の内容は必ずしも整合しません。
 適用範囲の明確化は必要と考え、「溶出または浸出して食品に混和するおそれのない場合はこの限りではない」旨規定することを予定しています。油分を含む食品に直接接触する容器等であっても、食品への溶出防止措置が講じられていれば、使用は差し支えないものであり、御提案の表現では不必要な規制強化につながるものと考えます。

8)その他

(233) 先に業界への配慮あり(リスクマネジメント)ではなく、器具・容器包装に規制案については、もう一度科学的な評価(リスクアセスメント)からやり直すべきだと思われる。その際、緊急措置として、平成12年6月の塩ビ手袋についての禁止措置(通知)を器具・容器包装全部に広げるよう要望する。

(234) 袋以外の器具容器包装の規制に関し、その時の配布資料を見る限り、どのような審議過程を経て今回の規格基準案になったのか理解できない。予防原則、各国との整合性、その他資料にない根拠でもって決まったのか。

(235) DEHP及びDINPの使用を規制する措置に反対する。今回の規制措置の根拠がTDI値以下でありながら、最近の風潮(バッシング)等で安易に結論を下しいると思われる。

(回答)
 今回の規格基準案は入手し得た科学的根拠に基づくもので、先に業界への配慮や最近の風潮があったわけではありません。
 現時点において、DEHPを含む器具・容器包装すべてを使用禁止する必要はないものと判断します。
 油分を含む食品との接触により、DEHPが容易に食品に移行し、経時的に移行量が増加することが明確になり、手袋が問題ではなく、その材質が問題であることは資料からも明白です。

(236) 但し書きの溶出の許容限度は、材質の許容限度と連動した数値とすることを要望する。(溶出の許容限度が材質の許容限度より格段に厳しくなることは避けることを要望する)

(回答)
 ただし書きは、あくまでも例外的に溶出しない場合には使用を認めようとするもので、判定基準が材質試験と連動する性質のものではありません。この場合における溶出試験は材質試験に不適なもののみに実施することが想定される溶出しないことを確認するための試験となります。

(おもちやの規格基準案関係)
9)対象物質について

(237) 軟質PVCは、他の素材と比べても多種多様な添加剤を必要とするプラスチックであり、それら添加剤の溶出の危険が避けられないことから、乳幼児のおもちゃには軟質PVCを使用すべきではない。

(238) おもちゃの素材がPVCである必要はなく、布や木などたくさん考えられるので規制しても何ら問題ない。乳幼児の使用するおもちゃにはPVCを使わないという規制が望まれる。

(239) 今の案では、TDIに達しないPVC製に替わって金属製・土器/陶磁器製・木製・紙製・わら製など危険・非衛生的かもしれない様な製品の利用を助長し、衛生・安全面でかえってマイナスであると考える。

(240) DEHP、DINPのおもちゃ規制について、おしゃぶり時間やPVC製品中のDEHP、DINP含有量を規制すべきであり、PVC製品を一律に排除すべきではない。

(241) 摂取量や規制の対象になる化合物はどういう基準で決められたかが明確ではない様に思われる。

(242) 一連の規制の対象物質になっているものは、大量に消費されているものが多いが、少量でも毒性の強いものはある。数量の多少でリストにあげ、規制するのはおかしいのではないか。

(243) 圧倒的な数の国際的な科学的根拠は、塩ビ製玩具に可塑剤として使った場合のDINPの安全性を裏付けている。

(244) 規制の根拠となっている諸データは国際的な科学データからみて、規制しなければならない正当性が認められない。DINPは規制の対象に含めるべきでなく、国際的に認められている妥当な科学データを基に、規制の根拠を示されたい。

(245) 今回のDINPの規制は、欧米諸国に比べ厳しすぎる内容である。科学的根拠に基づく規制なら、グローバルスタンダード的な共通の「ものさし」で判断すべきである。今回の規制の根拠となっている諸データ(ハザードデータ、被曝量の推定)に、国際的に評価して、規制しなければならない妥当性、正当性が認められない。

(246) 今般の玩具等を使用した実験が限られた範囲のものであり、実際に生じるリスクについては、いまだ不確定要素が多く、さらなる詳細な調査が必要である。

(回答)
 DEHPあるいはDINP以外の化学物質、あるいはPVC以外の素材の安全性等については、必要に応じ、今後検討しますが、現時点においては、PVCのおもちや全般への使用を禁止すべきとの情報も得られていません。また、一方、PVC以外の素材が危険・非衛生的であるとの情報も得られていません。
 今回の規制は、TDIを超える暴露が懸念される範囲での規制であり、PVC製品の一律排除ではありません。
 おもちやに頻用され、かつ、国際的にも検討が進められている2種類のフタル酸エステル類について優先的に検討することにしました。毒性が強く、健康への悪影響が懸念されるものがあれば、今後検討を行います。
 我が国における調査検討の結果に基づいた判断であり、米国の委員会での結論も75分以上DINPを含む玩具をしゃぶる場合の危険性を指摘しております。
 国際的にもEUにおいては既にDINPの玩具への使用は規制されており、米国においても法的な規制はありませんが、使用自粛の勧告がなされております。
 関係するデータは、薬事・食品衛生審議会での審議を経ております。リスク評価においては、いくつかの前提条件を置く必要があること等から、おもちや由来のDEHPあるいはDINP暴露により、実際に生じるリスクについて不確定要素が存在することは事実ですが、一定のリスクがあることは判明しており、規制を実施することは妥当と考えます。

10)対象品目について

(247) 法第29条第1項に規定される「おもちゃ」として、規第25条に示される品目の改訂を要望する。この規定は、半世紀ほど以前の規定と思われ、現在のおもちゃの実態の区分を表示しておらず、再検討されたい。

(248) 現行の規格基準は1972年に制定されたものであり、規制対象とするおもちゃが素材も形態も多様化している今のおもちゃとかけ離れている。

(249) 改正案の表現では、広く解釈される恐れがあるので、「乳幼児が口に接触することを本質とするおもちゃ」をはっきり例示するべきである。

(250) 特定の玩具に対してフタレートの使用禁止を行うことは、どの製品が対象製品となるのかという混乱を生じる。ヨーロッパでは、禁止措置をとられた国々において、適用製品についてどのような定義を用いた場合でも、このような問題が起きている。

(251) おもちゃの規格基準で、「合成樹脂製のものの製造には、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)を含有するポリ塩化ビニルを使用してはならない。」と規定しているが、医療用の輸血バッグ等は、使用が認められている。したがって、DINPと同様に幼児が口に接触する場合に限定した方が良いと判断する。

(252) 玩具の内部に使用するPVCに関しては、実際に子供の口には入らない構造の場合、規制の対象より除外するよう要望する。

(回答)
 食品衛生法によるおもちやの指定の範囲等は今後の検討課題と考えます。また、規制の対象範囲について誤解が生じないよう、通知やQandAの作成等により明確化を図る予定です。
 暴露評価の結果等から食品衛生法の規制の対象となる合成樹脂製のおもちゃについてもDEHPを含むPVCの使用は規制すべきものと判断されます。
 なお、乳幼児が接触するおそれがない部分については規制の対象外となります。

(253) 「乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃ」と「他のおもちゃ」と分けて規制し、その理由を「おしゃぶりと他のものとではMouthing行動が異なる」(平成11年度厚生科学研究)からとしているが、この調査研究で「おしゃぶり」とされているものはシリコン製や天然ゴム製のおしゃぶり乳首であり、PVCおしゃぶりは他のおもちゃに分類されているとのことである(平成12年度厚生科学研究)。また、食品衛生法第29条で「乳幼児が接触することによりその健康を損なうおそれがあるおもちゃ」を指定しているが、時代遅れの内容のままであり、その一部分である「乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃ」は何をさすのか規定がない(規第25条)。子ども達の生活を考える時、おもちゃの好みやMouthing・Chewing時間はきわめて個人差の大きいものであると考えられる。PVC製のおしゃぶり乳首は市販されていないということであるならば、むしろ他のおもちゃからの取り込みを予防することが重要であり、分けて規制する必要性はないと考える。

(254) DINPの規制は「乳幼児が口に接触することを本質とするおもちゃ」が対象となっているが、乳幼児は何でも口にするので、限定すべきではないと考える。

(255) DINPは乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃのみが規制の対象とされているが、どのようなおもちゃであっても、なめても安全な材質とすべきであり、全てのおもちゃを対象とするよう要望する。

(回答)
 おしゃぶりと他のものとではMouthing行動は明らかに異なり、「乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃ」と「他のおもちゃ」を分けて規制することは極めて合理的です。
 厚生科学研究等のMouthingの調査研究において、いわゆるしゃぶることを目的とした「おしゃぶり」については、シリコーン製や天然ゴム製のものが使用されていることが確認され、PVC製のものの使用例は確認されていません。平成12年度の厚生科学研究の報告書においては、一般にいう「おしゃぶり」を「おしゃぶり乳首」と記載しています。一方、例えば、ソフトビニール製でおしゃぶり様の形状のものが一体となったおもちや(これを平成12年度の厚生科学研究の報告書では「PVC製おしゃぶり」と記載しています。)があった場合には「玩具」に分類しています。
 また、一般にいう「おしゃぶり」であってPVC製のものについては、乳幼児のMouthing行動の観察調査において観察された場合には、平成12年度の厚生科学研究の報告書の分類でいうところの「おしゃぶり乳首」として集計されることとなっておりました。
 「乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃ」については、Mouthing時間が極めて長くなることがあり得ることが判明し、長時間のMouthingを前提とした検討も行いました。他のもののMouthing時間に関するデータからは、懸念されるようなDINPの暴露は生じ得ないものと判断されます。
 現時点において、PVC製のおしゃぶりが市販されているとの情報はありませんが、市販されないことを確実にするため規制措置を講じようとしているものです。
 おもちやの指定の範囲等については今後検討すべき事項も存在すると考えますが、「乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちゃ」の意味は明らかと考えます。なお、必要に応じ、通知やQandAの作成により、誤解が生じないようにする所存です。

(256) おもちゃでない、玩具まがいのものにも子どもたちは手を出すので、さらなる規制が必要である。

(回答)
 ご指摘のものは食品衛生法の対象外と考えますが、今回の規制措置により、DEHPあるいはDINPによる多量な暴露が生じる可能性は極めて少なくなると判断されます。

11)対象年齢について

(257) この規格基準で表現される「乳幼児」の表現が、6歳未満、或いは未就学児と解されているが、これを「3歳未満児」と改正されたい。諸外国等でも乳幼児の範囲を3歳未満としてきており、「なめる、しゃぶる」という乳児の行為を対象に、有害物質の経口摂取による危険性を回避するのが食品衛生法の考え方と思料され、今後実態に合わせて改訂すべきである。

(258) EUにおける措置は3歳児以下の子供が口に入れる玩具のみが対象であり、科学者たちは他の玩具については懸念を表明していません。

(259) 現在、EUでは一部の軟質PVC玩具へのフタレートの使用を暫定的に規制しています。この規制は、3歳未満用の玩具にのみ適用されており、政治家や科学者たちは一貫して3歳以上の子供への問題はないという確認をしている。

(260) 対象年齢を現行の6歳以下から業界並みに14歳以下に引き上げる必要がある。

(261) 欧州議会で欧州委員会のLiikanen委員が次のように述べていることを、厚生労働省は(また審議会の委員も)もっと重視すべきと思う。「欧州委員会は、この提案の適用範囲を拡大して指定された6種のフタレート以外の可塑剤も包含するように、あるいは口に入れる目的以外の玩具も網羅するよう求める修正を、受け入れることは出来ない。また欧州委員会は、提案の範囲を拡大し年長の子ども用玩具も包含するよう求める修正も、受け入れることは出来ない。私たちはこれら種々の提案が、科学委員会の見解に明示されたリスクに基づいても、あるいは予防の原則の適用によっても、正当化できないものと考える。」つまり、子どもの玩具全体を対象としたフタレートの規制は、少なくとも欧州連合では正当化できないものと考えられている。また、禁止令永続化は閣僚理事会の意見相違により実施できておらず、相変わらず暫定的禁止令が3ヶ月毎に更新されている。

(回答)
 食品衛生法の規定は「乳幼児が接触することによりその健康を損なうおそれがあるものとして厚生労働大臣が指定するおもちや」で、乳幼児は未就学児と解されますが、これまでのおもちやの規制の対象範囲を拡大しようとするものではありません。
 規制の対象範囲等については、必要に応じ、今後検討すべきものと考えますが、現時点で規制対象範囲を3歳未満に限定することが妥当であるとの根拠も得られていません。
 また、食品衛生法が乳幼児と規定しているにも関わらず、対象年齢を引き上げるべき根拠も得られておりませんし、今回の規制対象は玩具全体を対象としたものでもありません。

12)規制手法について

(262) DEHP、DINPの摂取に伴う健康上のリスクを回避する目的で、TDIを基準に判断しているわけであり、濃度規制であるべき。したがって「材料中に含まれるDEHP、DINPについて、基準値を超えて使用してはならない」とすべきである。

(263) そのままで、または何らかの処理をして浸出量がTDI以下になるPVCは規制される理由がない。もしDEHP、DINPの毒性が問題なら、「抽出量が(規定の方法により)規定量以下であること」とすべきである。

(264) 試験に基づいたアプローチ方法は、消費者達に大きな安心感を与えると考える。メーカーもフタレートの移行に関する試験を喜んで広範囲に行うだろうし、試験を行った製品は確信を与えることができるだろう。

(265) 禁止ではなく、ある制限を通じたより慎重な取組をしていただくことをお願いする。

(266) まずリスクアセスメントを科学的に実施し、その結果により許容される暴露の目標を決め、規制していくべきではないか。

(267) 提案の採択手続きを中止し、3歳未満用製品に対する移行試験を目指した欧州連合の方針を支持いただきたい。

(268) TDI値とは、人が一生毎日摂取し続けても問題のない量であり、その値を設定するに際しても安全係数をいれ安全性に十分配慮していると理解している。そのようなTDI値を基に規制をする以上、その物を使ってはならないという規制方法には行き過ぎがあると思う。当然「溶出量がいくら以下」というような規制をすることが適当と思われる。「溶出量がいくら以下」というような規制にできなかった理由を教示されたい。

(269) 玩具中のフタル酸エステル可塑剤は基準溶出・移行値以内であれば、おしゃぶりや軟質のがらがらなど口に入れる玩具についても安全に使用できるとCSTEEは明言している。これらの基準値はCSTEEが毒性データを分析した上で設定したものである。

(270) 最近、欧州連合と米国は、乳児が塩ビ製品を口に入れてしゃぶる行動を模倣するため立案された、Head-over-heels(HOH)法をDINP溶出量を判定するために採択した。CSTEEの報告は、全てのフタレートは玩具及び乳児用品に、たとえ長時間口の中に入れておくものであっても、その溶出量が提案された限界以内であれば安全に使用できると明確に述べている。

(271) EUの規制では、可塑剤の移行に関する玩具試験を行うためのEU統一試験方法の導入が保留となっていた。EUでは、各種のフタレートが安全に使用できうる科学的に証明された移行の数値について既に合意に達している。また、15の加盟国の中では、全員が合意できるような試験方法を仕上げるための手続きが開始されている。この試験方法は、ヨーロッパ委員会の試験所を通じて実証されており、同委員会の科学委員会の支持を得ているものである。この試験方法は3年間にわたる試験の結果によって出されたものであり、その試験結果は、アメリカ独自の試験によっても支持されている。ヨーロッパ委員会は、今後この共通の試験方法を用いた玩具試験に基づき、容認された移行限界値の範囲内でフタレートの使用を認める長期的な規制という従来考えられていた方向へ進むことが予想されている。

(272) CSTEEは、溶出量が提案された限界内であれば、たとえ長時間口に入れておく目的のものでも、6種類の主要フタレートは玩具及び乳児用品に、安全に使用できると明確に報告している。CSTEEはそれぞれのフタレートに対して毒性データの評価を行い、それに基づいて溶出限界を特定することまで行った。溶出試験法の正当性が認められ、引き続いてCSTEEによる承認も行われており、欧州委員会は長期的規制について、これら溶出限界内でフタレート使用を許可する方向で続行すると思われる。

(273) 欧州委員会は欧州科学委員会がもともと提案した溶出基準値を基礎とした規制案を急いで進めていく予定である。同様の取組をお願いする。さもなくば、自由貿易の妨げになるばかりでなく、まだよく知られていない代替材料を使用することを製造メーカーに強いることになる。

(274) フタル酸エステルにより可塑化した塩ビ製品において可塑剤の溶出・移行を確実に基準値以内にするために必要なのは繰り返しと再現が可能な試験方法である。HOH法といわれる溶出・移行試験方法がCSTEEと欧州委員会に検証・承認された。

(275) 欧州では、約2年前から仮処置をとりながら科学的かつ再現性ある抽出試験法を開発しつつあり、その結果がほぼまとまりHOH法として公開されている。貴省の報告において、これに相当する抽出試験法を開発したのは結構だが、なぜ、はるかに先行している欧州の実状を調べ、協同しなかったのか。欧州と米国はHOH法で統一の機運にあり、もし日本が独自の方法をとれば永久に不統一な試験法が並存する不自由が考えられ、研究資源のムダ使いと考える。

(276) 玩具からのフタレート溶出測定法は、欧州委員会の共同開発センターが開発したものであり、報道記事からCSTEEはもちろんのこと、欧州委員会もこの測定法の開発と、溶出限界による規制に戻ることに、関心を持っていることを明らかにしていると考える。これは欧州委員会主導の測定法開発であり、政府筋から情報が得られたはずと思う。

(回答)
 おもちやについては、in vitro の溶出試験では用量相関的なデータがあり、in vitroの試験結果とin vivoでの実際の溶出には乖離があること等から、in vitroの溶出試験の結果からin vivoにおける溶出を推定することが困難であることが明確になりました。
 また、おしゃぶり等については長時間Mouthingすることが明確になったことから、想定される溶出量からDEHPとDINPを規制し、食品衛生法の規制を受ける合成樹脂製のおもちやについては、おしゃぶりよりもMouthing時間が短く、DEHPのみを規制することとしております。
 今回の規制措置は全面使用禁止ではなく、必要な範囲での使用規制を行おうとするものです。
 DINPを含むサンプルをChewingした場合の口腔内溶出試験の結果は、13.77〜241.04μg/10cm2/kgと極めて幅の広い分布を示しており、現状においては、in vitroの試験によって口腔内の溶出を推定することは困難と言わざるを得ません。
 海外の状況については今後とも留意して情報収集を行いますが、現時点においてはEUにおいてもおもちやへのフタル酸エステル類の使用が規制されており、溶出規制ではありません。
 今回、我が国において実施可能な、規制の趣旨に合致する適当な材質試験及び溶出試験を検討しております。

13)試験法等について

(277) 製品の製造で、DEHP、DINPを原料として全く使用していないが、ごく微量が混入してくる場合は、どの様に解釈すればよいのか。

(278) 同一の製造ラインで用途の異なる塩ビ製品を製造することがあり、DEHP・DINPの含有量の許容範囲を設けるべきである。

(279) DEHPの許容限度(非意図的使用量、コンタミ)については、適正に切り替え処置を講じた生産状況を配慮した数値を要望する。(具体的数値は後日提出する。)

(280) DEHPの試験方法案で、材質試験は溶解法と抽出法の2通り案が出ていたが、2通り行うのか、どちらか1つに決めるのか教えていただくよう要望する。また、DINP の試験方法や、試験の際の定量限界値も確定次第開示されたい。

(281) この2物質の国内及び海外(特に香港及びタイランド)の指定検査機関を開示されたい。

(282) 検査を依頼される試験所はすべて民間で運営されており、顧客である依頼主の製品に対してどこまで厳格な検査が行われたかを検証する術がない。

(回答)
 材質試験は抽出法で設定します。DINP の試験方法も当然通知で示します。材質試験を行い、DEHPあるいはDINPが0.1%以下であれば、使用していないと判断されます。
 国内の指定検査機関については、「全国食品衛生行政担当者名簿」(社団法人日本食品衛生協会)で確認することができます。
 また、海外の機関は指定検査機関に指定しておりません。
 なお、食品衛生法に基づく指定検査機関の要件としては、(1)一定水準以上の検査設備を有し、かつ一定条件に適合する製品検査の専門技術者を一定数以上有していること、(2)業務を適切かつ円滑に行うのに必要な経理的基礎を有すること、(3)役員等の構成や試験業務以外の業務を行っている場合にはその業務の内容が、製品検査の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること、などが定められており、業務の適正を確保するために厳しい規制が行われているところです。

14)国際関係等について

(283) 提案は時期を得たものではなく、正当なものでもないと考える。また、貿易に対する不当な障壁を構成するものと考える。

(284) 欧州における現在の状況と、その科学的知見の最近の発展から考えて、日本で提案された措置は根拠のないものであり、国際貿易への重大な脅威になる可能性があると考える。したがって、不完全な知見に基づくものであり、環境あるいは公衆衛生に何のメリットも与えない未熟且つ軽率な決定を差し控えるようお願いする。

(285) 個人輸入のおもちゃについては、どうするのかという問題がある。

(286) 国内の製造に関してのみの規制なのか。おもちゃは圧倒的に輸入物が多いので、輸入品に対する監視の目を強化するよう要望する。

(287) おもちゃにおいてDEHP(及びDINP)を含有する製品の多くは海外からの輸入品であり、実際に海外からの製品輸入をどう規制されていくのか。更に合成樹脂に含有されている可塑剤がDEHP(及びDINP)でないことの確認をどうやるのか。現実的対応として無理があると考える。

(288) 業務用ディスポーザル手袋は、ほとんどが輸入品であり、海外への通達で目的が十分達成できるのではと考える。加えて、おもちゃについても、業務用手袋と同様、海外からの輸入品が大半である。したがって、海外への通達実施で十分と考える。

(289) 現在日本で生産されている乳幼児向けおもちゃの中でDEHP、DINPを使用しているものがどれだけあるのか。ほとんどのPVC製おもちゃは海外品ではないのか。規制しなければならないとの考えならば、輸出国に対して、通達すべきであり、いたずらに国内を締めつけるべきではない。その本質からいっても、器具及び容器包装同様その危険性が定かではなく、且つその規制が緊急性を帯びたものでもない現状では、不必要な規制と考える。

(290) この様な規制は、EUで3才以下の乳幼児向けおもちゃに対するフタル酸エステルの暫定的使用禁止措置があるだけで、他に例がなく、改正に反対する。

(291) 欧州において、3歳以下の子供が口の中に入れるように意図された玩具に関するフタル酸エステル類使用の禁止は、玩具からの可塑剤の溶出・移行を計測するための信頼が高く再現可能な方法が開発されるまでの間(各フタル酸エステルの溶出基準値を設定する規制が導入されるまで間)の単なる臨時的な措置である。

(292) 欧州では、DINPを含む3歳未満の子供用製品に対する暫定禁止措置が、ADIの値と容認可能な溶出測定法の開発を待つ間、予防的な措置として実施されている。今やこの情報は全部そろっており、これら製品の禁止措置に正当な理由がないことは明らかである。これら状況に照らして、欧州連合は暫定的措置を間もなく見直すものと予測されている。

(293) 欧州で、禁止令が3ヶ月毎に更新されるのは、信頼できる玩具からの溶出試験法が開発されるまでの暫定的なものであるということ。溶出試験法の承認後は、緊急禁止令を解除し、溶出限界による規制に戻るというのが、CSTEEが描いている路線と思う。もちろん環境団体側はこれに反対するものと見られるが、今回はCSTEEの路線に従うことになると思われる。欧州の緊急禁止令の前に、欧州連合加盟8ヶ国が玩具へのフタレート使用を制限する一方的措置を実施、あるいは実施する意思を示したことは事実であるが、欧州委員会が暫定的緊急禁止令を解除すれば、少なくとも欧州連合加盟国の禁止令は、将棋倒しに崩れると見られる。

(294) EUでは、PVC製のおもちゃは法律で規制されているとのこと。EUでは安全が証明されないものは規制されていると聞く。EUのような考え方で対応することを要望する。

(295) 欧米諸国の規制と比較すると、厳しすぎる方向となっている。グローバルスタンダード的な共通の「ものさし」で、諸事決して行くことが要求される昨今の状況にかんがみ、おもちゃへのDINPに対する規制は、除外すべきだと考える。

(296) DINPが規制案に取り上げられた理由が不明である。DINPは、欧米では規制されていないと聞くが、どうして日本だけ取り上げたのか理由を伺いたい。

(297) DINP及びDEHPの使用を禁止する提案をされていることにつき、この提案は現存する最良の科学的情報、及び米国と欧州における現在の規制への取組方法に相反するものである。また、科学的に正当でないと考える。

(298) おもちゃの規格基準で、DINPを含有するPVCの使用を禁止するのは、国際的に進められている調査研究及び溶出試験の結果を含めて総合的に判断するように、延期すべきである。

(299) おもちゃのフタル酸エステルの安全性に関しては、既に欧州のCSTEE、米国のCPSCで評価がなされているが、今回の日本の評価は、それらとどのように関連し、どのようなデータの違いを見出し、どのような結果の違いを出したのか。少なくとも米国では禁止の法律はできていないし、欧州でも一般のおもちゃにまで禁止を広げていない。それぞれの国内事情もあるとは思うが、ある程度の国際的な擦りあわせは必要ではないか。

(300) おもちゃに関するフタル酸エステルの安全性については、欧米でも評価がなされているが、極めて限定的な一部の例外を除いて禁止という例はないはずである。今回の日本の決定(案ではあるが、)は、欧米とはデータが違うのか、そしてそれが何故結果の違いを生み出したのか。

(301) 欧州の規制当局は、この問題につき「禁止」ではなく、「管理」するという立場をとっていることも注目する必要がある。米国においては、特定の食品と接触する用途についてDEHPの使用は規制されているが、玩具に関して規制はない。玩具製造者が自主的にDEHPのおしゃぶりやがらがらといった玩具の製造に関し、DEHPの使用を制限する基準を定めているだけである。米国において玩具製造時に使用される主要な可塑剤であるDINPに関する規制の必要性については現在検討されているが、最近の検討委員会における議論からは、規制は必要ないとの方向が伺える。

(302) 最近の米国、欧州におけるDINPの健康への影響評価に関する報告では、DINPは子供の健康への影響は少ないと評価されているが、今回の規格基準の改正ではフタル酸ジイソノニルの使用を禁止しようとしており、評価に大きな食い違いがある。したがって、国際的に進められている調査研究及び溶出試験を調査し、その結果を含めて総合的に規格基準の改正を判断すべきである。

(303) 昨年7月に欧州議会で緊急禁止令の永続化が決議されたのは事実であるが、緊急禁止令採択の適法性が蒸し返され、委員会の当初提案から大幅に変更されている。確かにフタレート範囲を当初提案の6種から全てのフタレートに変更するなど、環境団体側に有利なところもあるが、採択された欧州議会方針書(POSITION OF EUROPEAN PARLIAMENT)では、逆に当初委員会が提案した「今後の科学的知見に照らし、本規定を採択後4年以内に見直す」という部分が「2年以内」に(付帯事項が幾つも付いたが)変更されている。また、一番大きな変更点は、「(12)もしフタレート溶出測定法が開発され、その技術が科学委員会により実用を承認された場合、欧州委員会が本指令の条項を見直すための、強力な根拠となる」という条項が盛り込まれたこと。これは論争を玩具のフタレートにリスクがあるのかどうかの「出発点」に戻そうとする科学委員会の意思が反映されたものであろう。

(304) 玩具に関する五大市場の一つとして、日本政府による全面禁止措置の採択は間違いなく、この地域の玩具製造業に重大かつ広範囲な影響を引き起こす。

(305) 案は、世界中のどこの国の規制とも矛盾し、日本とその国民に貿易及び経済上の不利益を強いることとなるだろう。

(回答)
 科学的根拠に基づき、一定のリスクが判明した以上、措置は可及的速やかに実施すべきものと考えます。本件措置により、公衆衛生の一層の確保が期待されます。また、正当な科学的根拠に基づく規制措置であり、貿易に対する不当な障壁とはなりません。
 個人輸入のおもちゃについても、販売の用に供し、又は営業上使用するものについて輸入する場合には食品衛生法の規定が適用されます。
 国内製造品のみならず輸入品にも規定は適用されます。輸入時には届出が必要であり、また、適宜抜取り検査を実施する等、適切な輸入監視に努めているところです。
 日本の国内法を海外に直接適用することはできません。規格基準による規制が必要と判断されますし、国内製造については規制せず、輸入品のみ規制することは国際条約上不可能です。
 EUでは、暫定措置ではありますが、DINPも含め、おもちゃ等に対するフタル酸エステルの規制が既に行われており、我が国の措置が特別に厳しいわけでもないと考えています。EUにおいては種々の検討が進められているようですが、現在、規制は継続中です。
 米国でもフタル酸エステル類をおもちやに使用しないよう勧告が出ています。
 現在の規制手法でも国民の健康を守る上で必要な措置は講じられていると考えます。
 今回の措置は、我が国において実施した乳幼児のMouthing時間に関する調査研究と口腔内でのDINPの溶出に関するデータに基づいています。乳幼児のMouthing時間等については、各国の生活習慣等により異なります。
 今回の措置は、食品衛生法の規定が適用されるおもちやに対するものであり、おもちゃすべてを対象としているわけではありません。

(その他)
15) 猶予期間について

(306) 告示後の猶予期間を要望する。

(307) 規制対象品の在庫品問題もあり、猶予期間は少なくとも数年、3、4年は必要。

(308) 規制対象品の在庫品が流通していることから猶予期間が必要。

(309) 景気低迷の続いている日本の経済状況で、コストアップとなる規制をこの時期に実施するのは良くない。実施の時期について検討を要望する。

(310) 今回の改正の告示を、延期されたい。今回の改正が告示された場合、その時点での流通での混乱から、即座に返品行為につながることが予測される。相当の猶予期間がなければ、市場での製品の転換、基準改正の周知或いは生産の準備(生産を海外に依存し、或いは海外生産品の輸入)が出来ず、この期間の延期がおろそかにされた場合、企業の被る被害は、企業の存続にかかわる大問題となることから十分ご留意いただきたい。

(311) 今回の措置により規制を受ける事業者の多くは中小企業が多く、この措置により大きな経済的打撃を受けることが予想される。そのため、経過措置を含め運用について慎重な配慮をされることを要望する。

(312) フタル酸エステル類を含有するPVCに関する器具及び容器包装の規格基準(案)、及びフタル酸エステル類を含有するPVCに関するおもちゃの規格基準(案)について、適切でないと思われるが、規制される場合にあっては中小企業の多い業界の現状にかんがみ、経過措置を含め特段の配慮が必要と思われる。

(回答)
 告示後1年程度の猶予期間を設けることを予定しています。
 なお、規制対象品については、それが市場にある場合には早期に市場から引き上げられることが望ましく、関係者の配慮をお願いします。
 一定のリスクが判明している以上、規格基準の告示自体を延期することは適当ではないと考えます。

16)国際協調

(313) 海外では規制されていないと聞いているが、グローバルな時代に日本だけが法規制する根拠はあるのか伺いたい。海外を納得させる根拠はあるのか。

(314) 世界各国と歩調を合わせた取り進めが日本国民の望むところではないか。

(315) 科学的根拠に基づく規則なら、グローバルスタンダードな共通の尺度で判断すべきである。

(316) 国際的に、欧米諸国に比べても今回の規制は厳しすぎるように思う。科学的根拠に基づく規制ならば、全世界共通の「ものさし」に従って判断するべきである。

(317) 今回の規制は欧米諸国に比べ厳しすぎる内容と思う。

(318) 国際的に評価して規制しなければならない妥当性が認められない。

(319) 欧米諸国と足並みを揃え、国際的に評価して通用するものでなくては意味がない。日本単独の規格とするのではなく、全世界に通用する規格となることを望む。

(320) 欧米の規制の状況を再度調査、確認の上、規制緩和の方針に逆行する、今回の措置を再考されるべきだと考える。

(321) 今回の規格基準改正(案)は、欧州連合の暫定的緊急禁止令を形式的に真似ようとしているだけで、何故このような禁止令が出たのか、また現在この暫定禁止令を巡って何が行なわれているのか、理解していないため生まれたものと考えざるを得ない。今になって日本で欧州連合と同じようなことをする意味はない。フタレートについては世界的に規制を緩和する傾向が最近明確になっている。今後、欧州連合がフタレート問題をどうするのか見極めてから、その規制に倣うべきだと考える。

(322) 米国と欧州における最近の科学的知識の発展、そしてこれら政府による全面禁止措置ではなく制限措置をとった事実に基づくと、改正案は、正しいものではなく、早まった判断と考える。

(323) 国際的論争に耐えるだけの情報を収集し、またそれだけの実質的審議をすべきである。一度決まってしまうと簡単に変えられないというのは、官僚組織が出す結論の特徴で、独り善がりの考えを簡単な審議で決めてしまい、後で世界中から攻撃され、笑い者にされないようにすべきである。

(回答)
 EUではおもちやに関するフタル酸エステル類の規制が実施されており、暫定措置としながら現在まで継続されています。毒性と暴露評価に基づき規格基準案を作成しており、規制の根拠に問題はありませんし、必要な範囲に限定した措置であり、厳しすぎる措置でもありません。
 国民の健康を守るために必要な範囲内の措置であり、不当な規制強化でもありません。
 海外の状況については、今後とも留意して情報収集を行いますが、EUでは現に規制が実施されており、リスクが判明した以上、規制までに必要以上の期間を設けることは適当ではありません。
 規制に必要な情報は既に収集しております。当然、新たな情報が得られれば、必要に応じて規制措置の再検討を行います。

(324) わが国だけが他国の安全基準やアセスメントと異なる厳しい規制をすることは、近隣諸国からのPVC製品の輸入の障壁となり、貿易摩擦の原因となるおそれがある。輸入品を確実に管理するためにも、今回のアセスメントの内容を他国に理解させ、安全確保の方法を強調して取れるように十分な協議が必要である。

(325) 日本では、塩ビ性おもちゃはほとんど製造されていないと聞いているが、輸入品について規制をするのか。国際問題にはなるのではないか。ヨーロッパでは、暫定的な措置が行われているが、DINPの安全性が確認されたので規制が解除されるという話を聞いている。

(326) 諸外国との意見交換はなされているのか。

(回答)
 在京大使館への説明会、WTO通報等により事前の周知を図っています。

(327) この種の問題については、賛否両論が渦巻いて混乱の状況にあり、この混乱を避け、冷静に、公平な判断をするために、国際的に基準を定め、取り進めようと、政府、民間問わず国際的な合意があるものと理解している。厚生労働省においても、このグローバルスタンダード的な慎重な取り進めにしたがうよう要望する。

(328) 今回の規制案は結論を急ぎすぎた様に見受けられ、一旦この件は進行を停止し、世界でもっとも進んだ検討をしているEUと緊密な連絡をとって最新情報を入手し、規制案は白紙に戻すなりある期間を置いて十分資料が集まった時点で再検討するなりの方法を取るべきである。

(329) 科学的根拠に基づく規制ならグローバルスタンダード的な共通の「ものさし」で判断すべきではないか。

(回答)
 冷静、公平な判断であると考えております。また、国際基準作成に向けた具体的な動きがあれば、データの提供等の協力を行う考えですが、現時点では、そういう具体的な動きも承知していません。
 特に器具・容器包装については現実に食品汚染が生じており、可及的速やかに法的規制を行うことが適当と考えます。
 国際規格が作成される動きがあれば、我が国もデータの提供等応分の協力を行う所存です。

(330) 国際交流がますます盛んになる中、海外諸国との調整が必要ではないか。EUもおもちゃについて暫定的禁止措置を実施しているが、対象は3才以下で口に入ることを意図したおもちゃに限っており、現在検討中の溶出試験法が確立されれば、溶出量での規制に変わる可能性がある。また、米国は予防的措置のみで、業界の自主基準に任せている。このような欧米の動きに反して、日本だけが使用禁止に踏切ることに対して、海外の関係業界から懸念の声が上がっている。米国のCERHRやEUのCSTEEの見解及び現在進められている試験・評価の実態を調査され、国際的にも納得が得られるように慎重に対応されたい。

(331) 改正の概要(2)でフタル酸ジ(2−エチルヘキシル)あるいはフタル酸ジイソノニルを使用してはならない。とあるが、科学的根拠やこの規格基準を改定するにあたっての具体的理由と必要性を明示した上で、尚且つ代替品は何が良いかを具体的に言明した上でないとWTO通報等の手続きを行うことは、如何なものかと思われる。

(332) 欧米で玩具へのフタレートの使用禁止或いは自主規制措置が取られているのは、フタレートの悪影響が明らかになった為ではなく、判断に必要な科学的データが不足している為に、これらが得られるまでの一時的な予防的措置として実施されているものである。これに反し、今回、日本では、一見科学的であるが実に非科学的な根拠によって禁止措置が取られたものであり、真摯に、かつ科学的に検討を進めている欧米からの反発は必至であると考える。

(333) 日本政府が特定用途についてDINP及びDEHPの使用禁止を提案していると知り、大変驚き、また懸念している。この提案は欧州における現在の規制方向と著しく対照的であるばかりか、科学的に根拠がないものである。

(回答)
 WTO通報等により諸外国に対して事前の周知を図っていますが、WTO通報の手続きにおいて特段の問題は生じておりません。
 欧州では既に6種類のフタル酸エステル類の玩具への使用規制を実施しています。

17)その他

(334) 告示は骨子を示すものにとどめ、運用の細部については、欧州の識者も主張している「ボランタリーコミットメント」的自主規制にゆだねることを検討されたい。

(335) 欧米では「可塑剤含有量」をFDAなど(例:含有量3%以下に制限)により産業側で充分に規制した上で「可塑剤の生産」を継続させ、そのことによって「可塑剤の有用性」を社会に認知してもらっている。わが国でも、「法制化」ではなく、「厚生労働省」、「経済産業省」、業界団体等がそのような行政指導、自主規制・基準をもって広く安全性を訴えるようにされたい。

(回答)
 必要以上の規制を行う考えはありませんが、試験方法等は通知で明確化すべきものと考えます。
 法的規制は、必要と考えられた範囲内で実施しようとするものであり、それ以外の部分について、業界団体等が自主基準等を作成されることは何等問題ないものです。

(336) 油脂、脂肪性食品の器具及び容器包装に関しては、昨年の手袋問題以降、業界の自主規制が徹底されており、現実としてもDEHPの食品への移行量も激減している事実から今後も「業界の自主規制」の継続で十分と考える。

(337) PVC製手袋から、市販弁当等の食品へのDEHPの移行はもともと溶出を促進する不適切な処置(エタノール消毒等)が原因であった。この点については、昨年の厚生省による使用自粛の通達により、その効果はでており、新たに規制を設ける必要はないと考える。

(338) 平成12年度に実施されたDEHPの食品への移行量は手袋問題発生以前の1/22に激減し、貴省通達後に製造された手袋を使用すればTDIを上回るDEHPの暴露は起こり得ないと結論されている。昨年の通達で十二分にその効果が現れており、食品器具規制の必要性は無いと考えるが、この様な状況でも規制しなければならない理由如何。

(339) 現時点において、食品への移行量も問題になるレベルでないことから判断すれば、規格基準の改正内容は早計であると考える。

(340) 手袋へのDEHPの使用禁止措置により、市販弁当中のDEHP濃度は22分の1に減少したとの報告があり、一方、玩具業界もDEHPの使用の自粛を行っているとのことだが、今なお禁止しなければならない程危険性が危惧される状況にあるのか。玩具も手袋も輸入品が多くを占める状況と考えられるが、メーカーだけでなく輸入業者や販売業者への自粛の申し入れでこと足りるのではないか。

(341) 乳幼児に対する安全という特別な観点からの「予防原則の適用」ということであれば、対象を「口に接触することをその本質とするおもちゃ」から「おしゃぶり」と限定して、「製造・販売業界の自主規制の要請」が適当なところではないか。

(342) DEHPについて、EUでの評価ではより厳しい評価が出ていることもあり、また幼児に対する安全性という特異な状況を考えて、より安全性を確保したい(予防原則の適用)ならば、「おしゃぶり等口に長期間入れる目的のおもちゃに限定して、製造・販売業界に向けて自粛の自主規制の要請」が適当ではないか。おしゃぶりにはほとんどDEHPを用いられていないことを考えれば妥当なところではないか。

(343) 幼児に対する安全性という特異な状況を考えて、より安全性を確保したい(予防原則の適用)ならば、「おしゃぶりのように口に長期間入れしまう可能性のあるおもちゃに限定して、製造・販売業界に向けて自粛の自主規制の要請」が適当ではないか。

(344) PVCおもちゃの改正案が厚生科学研究を反映させた向きが強いのに対して、器具・容器包装の改正案は、厚生科学研究の結果を軽んじ過ぎている。

(回答)
 自主規制では徹底されるかどうかといった問題があり、法的な措置の方が望ましいと考えます。特に、器具・容器包装については、1食でTDIに達するような食品への移行が生じたという事実もあり、法的規制が適当と考えられます。また、玩具については業界団体による自主規制が既に行われており、法的規制の導入には特段の問題は生じないはずです。
 器具・容器包装に関する規格基準案は厚生科学研究の成果に準拠したものです。むしろおもちやに関する規格基準案の方が厚生科学研究以外のデータや解析に準拠して判断しております。

(345) ある特定の意図がまず存在して、その意図の方向に無理やり引っ張っているように感じられる。国民に公正な説明が出来ることが必要不可欠だと考える。

(346) 「規制する」ことを前提に、調査結果の解釈が行われており、一方に偏向した非科学的な判断であり、承服できかねる。

(347) 今回の規制が一部の組織および人達の不安に対応するためだとするなら、矛盾に陥っている。リスク管理の面からTDIを否定する様な規則は良くないし悪い前例になる。

(348) 今回の規制(案)が、いわれもなく塩ビを忌避する世の中の風潮に迎合してなられるのであれば大問題である上、将来にわたり禍根を残すものと認識せざるをえない。是非とも、あくまで科学的、冷静にご判断いただくようお願いする。

(349) TDIを否定されるのであれば、これは単に一部の組織および人たちの主張に対応するためとなり、客観的な科学的根拠に基づくものとは言えないと考える。

(350) リスクに関する調査が不十分であってもなお、規制を急がなければならない「緊急性」の根拠を示されたい。

(351) 有用な製品は安全な範囲で(即ち今回はTDIを超えない範囲で)うまく使用することを考えることが重要で、TDIがゼロに近い場合は禁止でもやむを得ないが、そうでない場合は・・・以下として使用範囲を規制するのが基本的考え方ではないか。(より良い代替品がある場合この限りでないが)

(352) 食品に接触する素材においては、フタル酸エステル類は脂質の含有量の少ない食品よりも脂質の高い食物へより多く移行することはよく知られている。欧州におけるフタル酸エステル類とその他の添加物の使用は溶出・移行基準値で決定されるもので、素材中のこれらの含量は製品性能基準を満たすものとなっている。

(353) 食品と接触する素材について、フタレート溶出は高脂肪食品で多いが、欧州では食品接触素材から排除するのではなく、溶出限界によって管理されている。溶出量が限界を超える可能性がある場合は、メーカーは高分子可塑剤またはアジピン酸系可塑剤を使用する傾向がある。

(回答)
 客観的な科学的データに基づいて評価した結果であって、規制することを前提として検討を行ったわけでもありません。また、TDIを否定しているわけでもありません。
 規制すべきとの判断が行えるだけの情報は入手しており、リスクに関する調査が不十分とは考えていません。
 器具・容器包装については、油分により極めて容易に食品中にDEHPが移行し、かつ接触時間により移行量が増大することが明確であること等から、溶出試験による規制は困難と考えられ、必要な範囲において使用規制を行おうとするものです。
 全面禁止ではなく、例えば、油分を含む食品以外への使用は規制しておらず、規制の対象外においては使用して差し支えないものです。

(354) 今回の基準改正は、科学的根拠に基づくものか。

(355) 規格基準については、科学的な根拠に基づく規制を考えてのご検討の程、お願い申し上げる。

(356) 法律や規則は、信頼できる科学的根拠に基づいていなければならない。

(357) 今回の判断は、客観的な科学的根拠に基づいているとは思えない。どうしてこのような将来に禍根を残す判断をしたのか。

(358) 害のあるものを規制するのは理解できるが、今回の規制のための科学的根拠が十分ではないのではないか。

(359) 判断基準となった科学的根拠は詳細に検討されたものであって、十分と考えているか。

(360) DINPやDEHPについても多数の科学的研究は、検討されている禁止措置を支持していない。

(361) DEHP、DINP共にその安全性を示す化学的データが提示されており、これらのデータに正しく基づく措置とすべきである。

(362) この特定用途におけるDINP及びDEHPの使用を禁止する案は、これらの可塑剤に関する多くの研究及び評価から正当化されていない。

(363) 今回の規制は科学的根拠に基づいた規制と聞いているが、最新データからの判断か。

(364) 世界共通で客観的かつ科学的な根拠に基づいているとは言えないと考えるが如何。まだ、十分とは言えない状況であれば、なぜそのような状況下で規制するのか教示されたい。

(365) 最適な科学的根拠のある実験結果によって公正な判断をして欧米の模範になるように今回の決定を保留されるように再考を要望する。

(366) 全体として、安全サイドに立脚しすぎだと思われるので、科学的根拠に基づく見直しを要望する。

(367) 科学的とは「誰が、何時、何処で」実験しようが、「同じ結果、同じ結論」に至るということ。立場や思想や考え方が違うために「結果や結論」が変わるのは科学的な判断ではない。同じ資料から違う結論が出るのは、別の要素(例えば政治的要素)が入り込んでいるからである。

(368) 今後も増えていく科学的根拠の重みは、拙速かつ不十分な検討によるこれらの製品を禁止する決定は今まで国際的に行われてきた科学的研究を不当に扱うことを示すこととなるだろう。

(369) 後々の責任問題を考慮しすぎてDEHP、DINPを不当に規制過ぎることは大変遺憾である。今一度可塑剤の安全性について見直し・再検討を要望したい。今回の規格改正、あるいは今後の法制化については科学的根拠に基づいて事実を正しく認識し慎重に対処してもらいたい。

(370) 科学的根拠を基に、科学的判断による規制を要望する。今回の処置により、DEHP、DINPに対して、悪いイメージが社会全体に広がり、イメージが先行して、規制が加速拡大してしまうことを危惧する。一旦、悪いイメージがついてしまうと、それを払拭するには、長い時間が必要で、この規制がこのように大きな影響を引き起こすことを考えると、十分な科学的データを熟慮された結果、実施されるものであるべきと考える。今回の規制が、確かな科学的根拠のもと、科学的に熟慮され、実施されるものであることを要望する。そして、規制を実施されるに至った科学的な根拠及び考えを教示されたい。

(371) リスクアセスメントの考え方からして、今回の判断基準となった科学的根拠は十分と考えているか。十分であるとの考えであればその根拠を、また、不十分であればそのような状況の下でなぜ規制するのか教示されたい。

(372) DEHP、DINPの今回の規制措置は社会に誤った観念を生み出し、また経済的にも大きなマイナスの影響をもたらす懸念がある。

(373) 「塩ビ」を中心とした塩素化学製品や、その他の化学製品に対して、意図的にこれらを差別、排除しようとする団体及び個人が存在するという事実がある。本措置の実施が確たる根拠によらず行われることが、こうした特定の素材を差別、排除する活動を助長するものとなり、客観的な事実に基づいて真面目に環境や健康問題に取り組む活動を阻害することになると考える。

(374) 今回の改正案は食品器具、包装容器、おもちゃを生産するものにとってその生産活動自体が悪いという印象を与えかねない。また、DEHP、DINPを生産、販売している者にとってその主要品目である2品種が確たる証拠もないまま規制されるということは、死活問題である。この規制が実施され、その影響で事業が最悪の状態に追い込まれ、その後、安全性が確認された場合、「あれは間違いでした」では済まされない。この規制で影響の出るもの全体に責任をとるべきである。

(375) 誰もが納得する科学的根拠が明らかにされない状態での規制は、科学的根拠とは別な偏見に基づいた理由で、単に塩ビを中心とした塩素化合物製品を排除しようと妄信的に行動する一部団体やそれを面白おかしく論調するマスコミからの非科学的影響を受けた案としか考えられないのではないか。

(376) 今回の可塑剤に関する行政判断は、環境上の判断のみで行われているが、これは環境問題への取り組みとして、基本的に間違っている。環境問題発生の本質は経済活動の結果であって、経済問題と切り離された環境問題は存在しない。

(回答)
 現時点における科学的根拠に基づく措置であり、全面的な禁止ではなく、規制の対象範囲も科学的根拠に基づき妥当な範囲としております。今回の規制措置の科学的根拠については問題ないものと考えます。
 国際的にも既に規制を実施している国々もあります。
 安全サイドに立脚していることは事実ですが、乳幼児が接触するおもちゃの安全性を確保するという観点から妥当なものと考えます。
 新たな知見が得られれば、必要に応じ再検討を行いますが、製品の全面禁止ではなく、また、現時点において、国際的にも規制を実施している国々もあることにも留意されるべきと考えます。
 今回の規制の意図及び規制の範囲については、誤解を生じることがないよう明確化を図ります。
 公衆衛生確保のためには経済活動に対する一定の規制はやむを得ないものと考えます。
 当然、今回の措置に関する責任は国が負うものですが、一方、各企業の経営はそれぞれの経営者の責任で行われるべきものです。
 特定の団体等の影響を受けて実施しようとするものではありません。
 今回の措置は、食品衛生及びおもちやの衛生を確保するために講じようとしているもので、基本的に環境問題とは関係ありません。

(377) 今回の措置は経済効果もこれまでの長年の実績も無視した甚だ唐突な話だと考える。

(378) 一部異常に甘い部分はあるが、我が国の規制は欧米諸国に比べ非常に厳しいと言われる。ここ数年そういったウミがどんどん暴露されてきているが、そういった偏った規制(一部の権力者に都合のいいように運用される)については全く納得できない。我々一般国民の心配は、こういった科学的根拠に矛盾する規制により、ただでさえ不景気であり、流通が滞っている現代において、全く無意味な日常生活用品の値上げや民間企業への重圧は避けられたい(価格を上げるか、自腹を切っての安価対応に民間企業は進まざるを得ない)。

(379) 今回のDEHP、DINPの使用禁止規則は他海外諸国にも見出せない厳しい規則であり、DEHP、DINPの人に対する「安全性」の科学的データから見ても必要以上に厳しい規則と考える。規則の根拠の明確な開示と同時に、その代替材料についてのリスクアセスメントの方法、この規則にともなう経済性の負の影響について開示されたい。

(380) このような規制により、これまで培ってきた実績はおろか産業界への影響は計り知れないものと予想される。今回の規制は欧米諸国に比べて厳し過ぎると思われる。

(381) 国際的に権威ある学会で真剣な議論を経た論文であるのに、産業側の報告だからと言うだけで、「精査されてない」と決めつけたり、国立の機関で調査したからと言うだけで、国際的な学会の場で議論されていないものを「精査を経た権威あるデータ」として扱ったりすることはないよう要望する。

(382) 関連物質の毒性について、より科学的な評価をするために、今後も行政上必要な調査研究を要望する。

(回答)
 公衆衛生確保のためには経済活動に対する一定の規制はやむを得ないものと考えます。
 リスクが判明した以上措置を講じるべきであり、規制が民間企業に対する無意味な重圧ではないと考えます。また、円滑な施行に向けて施行までに猶予期間を設けることも予定しています。
 規制の範囲に相違等はありますが、EUでは6種類のフタル酸エステル類を規制する等、国際的にも規制が実施されている状況にあり、また、科学的根拠に基づき範囲を限定した規制であり、厳しすぎるということはないものと考えます。
 試験実施者の如何を問わず、学術雑誌に掲載された論文等、その内容が評価に足るものであれば、国際的な学会の場での議論されていないものであっても、当然、評価の対象とします。殊に、安全性に関する情報については、幅広く評価の対象とすべきものと考えます。
 今後も行政上必要な調査検討は実施します。

(383) 玩具や食品包装材におけるフタル酸エステルの使用に対するいかなる規制もこれらの製品のみならず、大きな打撃となる。全ての塩ビ製品に対する人民の信頼に壊滅的な影響を与える。

(384) 全面禁止ではなく、予防措置として採用すべき他の方法があるのではないか。

(385) 食品用、玩具用用途のものへの規制は、安全を考慮し、やむを得ないとしても、他の用途への規制の適用については、慎重に決めるべきだと考える。

(386) 厚生労働省が禁止措置をすれば、波及する影響は多大なものになることは間違いないと考えられる。「人に対しての影響はそれ程大きくない」と判断したから、限定用途での使用禁止措置だと理解するが、そうであれば、厚生労働省としても、他へ波及しないよう明確な措置を打ち出す責任があると考える。

(387) リスク評価は製品毎に実施され判断されるべきものであることを踏まえ、本措置の適用が一部の限定された製品を対象としたものであることを関係者に十分周知徹底することを要望する。さらに本措置に便乗した措置が各方面にて安易に行われないような配慮がなされることを要望する。

(388) 今回の規格基準改正の提案は到底納得できるものではないが、もし実行されるなら、その対象は規格基準案に示した物品にのみ限定され、他にはおよばないことを国民に周知徹底されたい。今回の案では「油脂、脂肪性食品の器具及び容器包装」と、「乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちや」を対象にしているが、市場では対象を拡大解釈する傾向がある。貴省としてもこの様なことは望んでいないと思うので、他の用途には波及しないよう何らかの対策を講じられたい。

(回答)
 食品等の衛生確保のために必要と判断された範囲内の規制措置であり、円滑な施行に向けて施行までに猶予期間を設ける等の措置は講じることを予定していますが、他への影響があるかもしれないということによってその実施を云々するということは問題外と考えます。
 今回の措置はDEHPあるいはDINPの全面禁止措置ではありません。今回の措置は、食品用器具及び容器包装並びにおもちやのみを対象としており、今回の措置が必要とされた根拠等については正確な情報提供に努めますが、他の分野において規制措置が必要か否かについてまで検討しているわけではなく、それぞれの分野において必要に応じて検討されるべきものと考えます。



トップへ
戻る  前ページ  次ページ