薬食発0306第4号
平成24年3月6日
各都道府県知事 殿
厚生労働省医薬食品局長
「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」の一部改正について
輸血療法の適正化及び血液製剤の使用適正化については、「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」の一部改正について(平成21年2月20日付け薬食発第0220002号厚生労働省医薬食品局長通知)の別添1「輸血療法の実施に関する指針」及び別添2「血液製剤の使用指針」により示してきたところである。
今般、輸血医療の進歩に伴い最新の知見が集積されたこと及び「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」の一部改正について(平成24年3月6日付け薬食発0306第3号厚生労働省医薬食品局長通知)により同ガイドラインの一部が改正されたことに伴い、「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」の一部を改正し、別添1及び別添2のとおりとしたので、貴職におかれては下記に御留意の上、貴管内医療機関、日本赤十字社血液センター及び市町村に対し、周知徹底をお願いする。
記
1 趣旨
より一層の安全対策の向上及び適正使用の推進を図る観点から、「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」については、平成22年度から薬事・食品衛生審議会血液事業部会適正使用調査会において、改正に向けた検討が行われてきたところである。今般、輸血医療の進歩に伴い最新の知見が集積されたこと及び「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」の一部改正を踏まえ、各指針について所要の改正を行うものである。
2 主な改正内容
(1)「輸血療法の実施に関する指針」の一部改正関係
[1] 「V 不適合輸血を防ぐための検査(適合試験)及びその他の留意点 1. 検査の実施方法 1)血液型と不規則抗体スクリーニングの検査」において、頻回に輸血を行う患者については、1週間に1回程度不規則抗体スクリーニング検査を行うことが望ましいことを記載したこと。
[2] 「V 不適合輸血を防ぐための検査(適合試験)及びその他の留意点 2. 緊急時の輸血 2)血液型が確定できない場合のO型赤血球の使用」において、緊急時であっても、原則として放射線照射したO型赤血球を使用することを記載したこと。
[3] 「VII 実施体制のあり方 4. 患者検体の保存」において、「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン」の一部改正に伴い、患者検体の保存方法を変更したこと。また、輸血による感染か否かを確認する上で重要となることから、輸血前患者検体を保管することを明記したこと。
[4] 「VIII 輸血(輸血用血液)に伴う副作用・合併症と対策 1. 副作用の概要 1)溶血性輸血副作用 (2)遅発性副作用」において、遅発型溶血性輸血副作用(DHTR)の具体的内容を記載したこと。
[5] 「VIII 輸血(輸血用血液)に伴う副作用・合併症と対策 1. 副作用の概要 2)非溶血性輸血副作用 (1)即時型(あるいは急性型)副作用」において、輸血関連循環過負荷(TACO)の具体的内容を記載したこと。
[6] 参考として、強力な免疫抑制剤などを施行した場合におけるB型肝炎ウイルスの再活性化の記載を追加したこと。
(2)「血液製剤の使用指針」の一部改正関係
[1] 「II 赤血球濃厚液の適正使用 6. 使用上の注意点」において、保存に伴うカリウム濃度の上昇と、放射線照射に伴うカリウム濃度の上昇を区別して記載したこと。また、非溶血性副作用、ABO血液型・Rh型と交差適合試験、サイトメガロウイルス抗体陰性赤血球濃厚液に関する記載を追加したこと。
[2] 「III 血小板濃厚液の適正使用 2. 使用指針 f. 血液疾患(6)その他:ヘパリン起因性血小板減少症(Heparin induced thrombocytopenia; HIT)」において、明らかな出血症状がない場合には予防的投与は避けるべきであることを記載したこと。
[3] 「III 血小板濃厚液の適正使用 6. 使用上の注意点 7)ABO血液型不適合輸血」において、血小板濃厚液中の抗A、抗B抗体によって溶血が起こる可能性に注意することを記載したこと。また、患者の抗A、抗B抗体価が極めて高い場合、ABO血液型不適合輸血では十分な効果が期待できないことがあることを記載したこと。
[4] 「IV 新鮮凍結血漿の適正使用 6. 使用上の注意点」において、大量投与によるクエン酸中毒では、必要な場合にはグルコン酸カルシウム等カルシウム含有製剤を静注することを記載したこと。また、ABO血液型不適合の新鮮凍結血漿を使用する場合、新鮮凍結血漿中の抗A、抗B抗体によって溶血が起こる可能性に注意することを記載したこと。
薬食発0306第5号
平成24年3月6日
(別 記 1) 殿
厚生労働省医薬食品局長
「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」の一部改正について
血液行政の推進につきましては、平素より多大な御協力を賜り、厚く御礼を申し上げます。
今般、標記について、別添のとおり各都道府県知事あて通知したところです。
つきましては、貴職におかれましても、輸血療法の適正化及び血液製剤の使用適正化について特段の御理解・御協力をいただきますようよろしくお願いいたします。
(別 記 1)
社団法人 日本医師会会長
社団法人 全国自治体病院協議会会長
社団法人 日本歯科医師会会長
社団法人 日本看護協会会長
社団法人 日本血液製剤協会理事長
社団法人 日本病院会会長
社団法人 日本医療法人協会会長
社団法人 全日本病院協会会長
社団法人 日本精神科病院協会会長
社団法人 日本薬剤師会会長
社団法人 日本臨床衛生検査技師会会長
社団法人 日本医薬品卸業連合会会長
社団法人 国民健康保険中央会会長
社会保険診療報酬支払基金理事長
日本赤十字社社長
社会福祉法人 恩賜財団済生会理事長
全国厚生農業協同組合連合会会長
社会福祉法人 北海道社会事業協会理事長
社団法人 全国社会保険協会連合会会長
財団法人 厚生年金事業振興団理事長
財団法人 船員保険会会長
健康保険組合連合会会長
国家公務員共済組合連合会理事長
社団法人 地方公務員共済組合協議会会長
日本私立学校振興・共済事業団理事長
社団法人 日本衛生検査所協会会長
各地方厚生 (支)局局長
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構理事長
財団法人 日本医療機能評価機構理事長
財団法人 血液製剤調査機構理事長
日本医学会会長
日本外科学会会長
日本心臓血管外科学会会長
日本消化器外科学会会長
日本胸部外科学会会長
日本脳神経外科学会会長
日本整形外科学会会長
日本産科婦人科学会理事長
日本耳鼻咽喉科学会会長
日本泌尿器科学会会長
日本血液学会会長
日本救急医学会会長
日本麻酔科学会会長
日本消化器病学会会長
日本癌治療学会会長
日本臨床腫瘍学会会長
日本小児外科学会会長
日本輸血・細胞治療学会会長
(別添)
別添1 輸血療法の実施に関する指針[514KB]
別添2 血液製剤の使用指針[1,283KB]
参考1 輸血療法の実施に関する指針 新旧対照表[280KB]
参考2 血液製剤の使用指針 新旧対照表[305KB]
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