ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 医薬品・医療機器 > 血液事業の情報ページ > 主な通知 > 薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律について

薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律について


薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律について〔安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律〕
(平成14年7月31日)
(厚生労働省発医薬第0731011号)
(各都道府県知事あて厚生労働事務次官通知)
 「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律」については、平成14年4月5日第154回国会に提出され、参議院における一部修正を経て、去る7月25日可決成立し、本日、平成14年法律第96号として公布されたところである。
 近年、バイオ、ゲノム等の様々な科学技術を駆使した医薬品、医療機器等が開発され、その製品も多様化している状況の中で、それぞれの製品の特性に応じて品質、有効性及び安全性を確保していくことが求められている。また、医薬品、医療機器等について、市販後安全対策の一層の充実を図るとともに、企業形態の多様化等への対応、国際的な整合性の確保等の観点から、現行の承認・許可制度の見直しを行う必要がある。さらに、血液製剤については、非加熱製剤によるHIV感染問題等を踏まえ、その安全性の向上に加え、安定供給の確保を図るための法的な枠組みの整備が求められている。
 このため、薬事法(昭和35年法律第145号)及び採血及び供血あつせん業取締法(昭和31年法律第160号)の一部を改正し、医療機器に関する規制の見直しや生物由来製品の特性に着目した安全確保のための措置を講ずるとともに、医薬品、医療機器等の承認・許可制度の再構築を行い、あわせて安全な血液製剤の計画的な供給の確保等を図ることとした。
 今回の改正は、医薬品、医療機器等の安全性の確保及び安全な血液製剤の安定供給を図る上できわめて重要な意義を有するものであるので、下記の改正要旨に十分留意の上、関係者に対する周知徹底等、その円滑な施行について特段の配慮をお願いすべく、通知する。
第一  薬事法関係
 医療機器に係る安全対策の見直し
1  医療機器のリスクに応じた分類制度の創設
 多種多様な医療機器につき、人体に与えるリスクに対応した安全対策を講ずるため、国際分類等を踏まえ、以下の3つの類型に分類することとしたこと。
(1)  適正な使用目的に従って適正に使用したにもかかわらず、副作用又は機能障害が生じた場合に、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある医療機器を、「高度管理医療機器」とすることとしたこと。
(2)  適正な使用目的に従って適正に使用したにもかかわらず、副作用又は機能障害が生じた場合に、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがある医療機器を、「管理医療機器」とすることとしたこと。
(3)  適正な使用目的に従って適正に使用したにもかかわらず、副作用又は機能障害が生じた場合に、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものを、「一般医療機器」とすることとしたこと。
2  管理医療機器に係る第三者認証制度の導入
 国における承認審査の重点化の一環として、管理医療機器のうち厚生労働大臣が適合性認証基準を定めた品目については、現行の厚生労働大臣による承認制度に代えて、公平・公正な第三者認証機関による基準適合性認証を受けることとしたこと。
3  高度管理医療機器等の販売業及び賃貸業への許可制の導入
 医療機器の販売及び賃貸における安全対策をより一層推進していく必要性にかんがみ、現在、一部、都道府県知事への届出制とされている医療機器の販売業及び賃貸業のうち、高度管理医療機器及び特定保守管理医療機器に係るものについては、都道府県知事の許可制としたこと。
4  医療機器に係る治験制度等の充実
 医療機器に係る治験制度等について、現行の医薬品に係る治験等の例と同様に、治験の実施に係る有害事象報告制度の導入、臨床試験の実施基準の設定等、制度の充実等を図ることとしたこと。
5  その他
(1)  法律上の「医療用具」の名称を「医療機器」に変更医療機器の多様化及び高度化の実態等を踏まえ、薬事法上、従来、「医療用具」としていた法律上の名称を「医療機器」に変更することとしたこと。
(2)  医療機器に係る表示事項の充実 医療機器本体並びに直接の容器及び被包への表示事項について、医療機器の高度化及び複雑化、中古品の流通実態等に対応した安全対策の充実を図るため、必要な見直しを実施することとしたこと。
(3)  医療機器修理業の位置付けの明確化等 製造業の一類型とされてきた修理業について、法律上位置付けることとしたこと。
 バイオ、ゲノム等の様々な科学技術に対応した安全確保対策の充実
1  生物由来製品の定義と感染リスクに応じた分類
 多種多様な生物由来製品につき、感染リスク等に対応した安全対策を講ずるため、以下の2つの類型に分類することとしたこと。
(1)  人その他の生物(植物を除く。)に由来するものを原材料として製造される医薬品、医療機器等のうち、保健衛生上特別の注意を要するものを、「生物由来製品」とすることとしたこと。
(2)  生物由来製品のうち、市販後において当該製品による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置を講ずることが必要なものを、「特定生物由来製品」とすることとしたこと。
2  原材料の採取及び製造から市販後に至る各段階における生物由来製品の安全確保生物由来製品については、その感染リスク等を踏まえ、原材料の採取及び製造から市販後に至る各段階において、一般の医薬品、医療機器等における各種基準に加え、以下に掲げる付加的な基準等を定めることにより、一層の安全確保を図ることとしたこと。
(1)  保健衛生上の観点から定める品質等基準において、原材料採取の方法等につき、生物由来製品の特性等に応じた付加的な基準を設けることとしたこと。
(2)  製造段階においては、構造設備、製造管理及び品質管理の方法について、生物由来製品の特性に応じた付加的な基準を設けることとしたこと。
(3)  適正に使用するための措置として、直接の容器及び被包、添付文書等に、生物由来製品である旨等の付加的な表示を行うこととしたこと。
(4)  感染症定期報告制度を導入し、生物由来製品の製造販売業者等は、原材料の感染症に係る情報収集、分析及び評価を行い、その結果を厚生労働大臣に定期的に報告しなければならないこととしたこと。
3  特定生物由来製品に係る更なる安全措置
 特定生物由来製品については、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため、2に掲げるもののほか、以下に掲げる対策等を講じることとしたこと。
(1)  適正に使用するための措置として、医師その他の医療関係者は、特定生物由来製品の有効性、安全性等の情報につき、患者等に対し適切な説明を行い、理解を得るように努めなければならないこととしたこと。
(2)  市販後段階の安全確保措置として、HIV等の感染因子の混入が判明した場合に、その時点において遡及調査を速やかに講ずることを可能とするため、関係者が必要な記録の作成、保存等をしなければならないこととしたこと。
 市販後安全対策の充実と、承認・許可制度の見直し
1  製造販売行為と市販後安全対策に着目した許可体系の構築
 市販後安全対策の一層の重要性、国際整合性の確保等の観点から、医薬品、医療機器等を市場に提供するに当たっての厚生労働大臣の関与について、自ら保有する製造所において製造するとともに卸売販売業者等に販売する行為により構成される現行の製造業から製造販売行為(製品を出荷・上市する行為)を分離し、製造所の保有を前提としない業の許可体系を構築することとしたこと。具体的には、医薬品、医療機器等の種類に応じた区分ごとに、それぞれ厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、業として、当該医薬品、医療機器等の製造販売をしてはならないこととするとともに、当該許可の更新の基準、品質管理及び市販後の安全管理を行う総括製造販売責任者の設置に関し必要な事項を定めるなど、所要の規定を整備することとしたこと。
2  製造販売承認制度の導入を始めとする承認制度の見直し
(1)  製造販売業の許可制度の創設に合わせ、個別の医薬品、医療機器等を市場に出荷又は上市するに当たっての厚生労働大臣の関与について、製造販売業者が市場に出荷又は上市することについて承認する仕組み(製造販売承認)に改めることとしたこと。具体的には、現行の医薬品医療機器等の製造の承認を製造販売の承認に改め、承認に係る審査の方法、承認を受けた者の義務等に関し所要の規定の整備を行うこととしたこと。
3  その他
(1)  製造業に係る規制の見直し
 現行の製造業からの製造販売行為の分離、製造販売承認制度の仕組みの導入及び承認審査制度の充実に伴い、製造業を許可区分ごとの許可制とし、品目追加に係る許可の廃止、製造業に係る許可要件の見直し等を実施することとしたこと。
(2)  承認時に求められる諸条件に係る法的担保の強化
 高度な製造技術を維持する必要性、市販後安全対策の重要性等にかんがみ、製造販売業許可を取り消された場合、品質管理及び製造管理に係る定期的な査察を受けなかった場合等を承認の取消し要件に追加することにより、承認時に求められる諸条件の維持に係る法的担保を強化することとしたこと。
(3)  原薬等登録原簿制度の導入
 原薬等の製造企業等の知的財産としての製造情報等を最終製品の製造業者、製造販売業者等から保護するとともに、承認申請のための添付資料の簡略化を図るため、当該製造情報等について、原薬等の製造企業等が原薬等登録原簿に登録することができる仕組み(いわゆるマスターファイル制度)を導入することとしたこと。
(4)  体外診断用医薬品に係る承認制度の見直し
 人体に対する直接的なリスクが低いと考えられる体外診断用医薬品のうち厚生労働大臣が基準を定めた品目については、医療機器と同様、診断情報に係るリスクに基づく類型化を行うとともに、当該類型ごとに、承認を不要とし、又は第三者認証制度を導入することとしたこと。
 その他
1  医療機関が行う臨床研究に係る薬事法上の適用関係の明確化
 医師及び医療機関が主体となって行う臨床研究のうち承認申請を目的とするものについては、企業が未承認の薬物、機械器具等を提供することを可能とし、現行の治験と同様の取扱いとするとともに、治験届の提出の義務付け等所要の規定を整備することとしたこと。
2  科学技術水準の向上等を踏まえた既承認製品の承認内容の見直し
 医薬品における日本薬局方と同様、医療機器においても規格基準を制定すること等により、製造販売承認が行われて以降の科学技術水準の向上等を的確に既承認製品に反映させる仕組みを導入することとしたこと。
3  未承認の医薬品及び医療機器に係る特例輸入制度の見直し
 未承認の医薬品及び医療機器に係る特例輸入制度の対象として、現行の医薬品のほか、医療機器を加えるとともに、特例承認に際しては、薬事・食品衛生審議会の意見を聴くこととする等の見直しを実施することとしたこと。
4  企業責務の強化と医薬関係者による協力
(1)  製造販売業者は、保健衛生上の危害が発生又は拡大するおそれがあることを知ったときは、必要な措置を講じなければならないこととしたこと。
(2)  薬局開設者、病院又は診療所等の開設者、医薬品、医療機器等の販売業者等、医師、歯科医師及び薬剤師等は、(1)の措置に協力するよう努めなければならないこととしたこと。
(3)  薬局開設者、病院又は診療所等の開設者、医師、歯科医師及び薬剤師等は、医薬品及び医療機器による副作用や感染症等の発生を知った場合において、必要があると認めるときは、厚生労働大臣に報告しなければならないこととしたこと。
5  行政による指導権限及び罰則の強化
(1)  製造販売業の創設に伴い、製造販売業者に対する立入検査等を行う根拠を整備とともに、許可要件の遵守違反等の事例に対する改善命令等を行うことができることとしたこと。
(2)  いわゆる法人重罰規定を整備し、承認なく医薬品、医療機器等の製造販売を行った場合その他の特に重大な違反行為が行われた場合につき、当該違反行為をした者に対して罰則規定を適用するほか、その法人に対して、1億円以下の罰金刑を科することとしたこと。
6  市販後安全対策に係る薬事・食品衛生審議会の機能強化
(1)  厚生労働大臣は、副作用報告等の状況を薬事・食品衛生審議会に報告し、必要に応じ、その意見を聴いて、保健衛生上の危害発生又は拡大防止に必要な措置を講ずることとしたこと。
(2)  薬事・食品衛生審議会は、保健衛生上の危害発生又は拡大防止に必要な措置について調査審議し、厚生労働大臣に意見を述べることができることとしたこと。
7  医薬品に係る分類の見直し
 薬局開設者等が医師、歯科医師等の処方せんなくして販売できない医薬品の分類として「処方せん医薬品」を新たに設け、「要指示医薬品」を廃止することとしたこと。
8  日本薬局方に関する規定の見直し
 現行法上、2部構成となっている日本薬局方について、現在の科学的水準を踏まえた構成が可能となるよう、所要の規定の整備を行うこととしたこと。
第二  採血及び供血あつせん業取締法関係
 総則
1  題名の改正
 この法律の題名を「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」に改めることとしたこと。
2  目的の改正
 この法律の目的を、血液製剤の安全性の向上、安定供給の確保及び適正な使用の推進のために必要な措置を講ずるとともに、人の血液の利用の適正及び献血者等の保護を図るために必要な規制を行うことにより、国民の保健衛生の向上に資することに改めることとしたこと。
3  血液製剤の国内自給に係る基本理念
 基本理念として、血液製剤について、安全性の向上、国内自給の原則及び安定供給、適正使用並びに施策に関する公正の確保及び透明性の向上を規定することとしたこと。
4  関係者の責務
 国、都道府県及び市区町村、採血業の許可を受けた者(以下「採血事業者」という。)、血液製剤製造業者等並びに医療関係者の責務をそれぞれ規定することとしたこと。
 基本方針等
1  基本方針 厚生労働大臣は、血液製剤の安全性の向上等を図るため基本方針を定めるとともに、少なくとも五年ごとに再検討を加え、必要があると認めるときは変更することとしたこと。
2  献血推進計画
(1)  厚生労働大臣は、基本方針に基づき、毎年度、翌年度の献血推進計画を定めることとしたこと。
(2)  都道府県は、基本方針及び献血推進計画に基づき、毎年度、翌年度の当該都道府県における献血の推進に関する計画(都道府県献血推進計画)を定めることとし、これを定め、または変更したときは、遅滞なく、これを厚生労働大臣に提出するとともに、公表することとしたこと。
3  献血受入計画
 採血事業者は、基本方針及び献血推進計画に基づき、毎年度、都道府県の区域を単位として、翌年度の献血受入計画を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならないこととしたこと。
 採血
1  採血業の休廃止の許可
 採血事業者は、その許可に係る事業の全部又は一部を休廃止しようとするときは、採血所ごとに、厚生労働大臣の許可を受けなければならないこととしたこと。
2  有料での採血等の禁止
 何人も、有料で、人体から採血し、又は人の血液の提供のあっせんをしてはならないこととしたこと。
3  採血事業者の業務規程
 業務規程の作成その他の採血事業者の義務及び厚生労働大臣等の採血事業者に対する監督に関し必要な事項を定めることとしたこと。
 血液製剤の安定供給
1  需給計画
 厚生労働大臣は、基本方針に基づき、毎年度、血液製剤の種類ごとの需給見込み、原料血漿の確保目標量等を内容とする血液製剤の安定供給に関する計画(以下「需給計画」という。)を定めるともに、需給計画の作成又は変更に関し必要な事項を定めることとしたこと。
2  血液製剤の安定供給の確保
(1)  採血事業者等は、原料血漿の配分及び血液製剤の製造等に当たっては、需給計画を尊重しなければならないこととしたこと。
(2)  製造業者等の実績報告及び厚生労働大臣の製造業者等に対する監督に関し必要な事項を定めることとしたこと。
(3)  採血事業者は、血液製剤の製造業者等以外の者に原料血漿を配分してはならないこととしたこと。
 その他
1  薬事・食品衛生審議会への附議
(1)  二の1、2(都道府県献血推進計画を除く。)及び3並びに四の1等については、あらかじめ、薬事・食品衛生審議会の意見を聴くこととしたこと。
(2)  厚生労働大臣は、第一の二の2の(4)に係る報告(血液製剤に限る。)について、薬事・食品衛生審議会に報告し、必要な措置を講ずることとするほか、採血事業者は、危害の発生等の防止のために必要と認められる情報を製造業者等に提供することとしたこと。
2  罰則
 採血事業者等が、採血の業務に関して知り得た人の秘密を正当な理由がなく漏らしたときに罰則がかかることとし、その他罰則について必要な事項を定めることとしたこと。
第三  附則
 施行期日
1  公布日から起算して3年以内の政令で定める日から施行することとしたこと。ただし、第一の二、第一の四の1(薬物に係るものに限る。)及び第二(三の2を除く。)等については、公布日から起算して1年以内の政令で定める日から、第二の三の2については、公布日から起算して1月を経過した日から施行することとしたこと。
 検討規定
1  政府は、施行後3年を目途として、改正後の法律の規定の施行の状況を勘案し、医薬品、医療機器等の使用による保健衛生上の危害の発生又は拡大を適確に防止するための安全性の確保に係る体制及び血液製剤の製造に関する体制の在り方を含め、改正後の法律の規定について、検討を加え、必要に応じ、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとしたこと。
2  政府は、血液製剤をはじめとする生物由来製品による健康被害及び採血事業者の採血により献血者に生じた健康被害の救済の在り方について、速やかに、検討を加え、その結果に基づいて法制の整備その他の必要な措置を講ずることとしたこと。
 主な経過措置
1  旧薬事法により製造業の許可及び製造の承認を受けている者は、その品目について、新薬事法により製造業の許可、製造販売業の許可及び製造販売の承認を受けたものとみなすこととしたこと。また、旧薬事法により輸入販売業の許可及び輸入の承認を受けている者は、その品目について、新薬事法により製造販売業の許可及び製造販売の承認を受けたものとみなすこととしたこと。なお、許可の有効期間は、旧薬事法による許可の有効期間の残存期間とすることとしたこと。
2  施行日において現に存在する製品が旧薬事法の表示に関する規定に適合しているときは、施行日から起算して2年間は、新薬事法の規定に適合しているとみなすこととしたこと(第一の二の2の(3)を除く)。

ホーム > 政策について > 分野別の政策一覧 > 健康・医療 > 医薬品・医療機器 > 血液事業の情報ページ > 主な通知 > 薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律について

ページの先頭へ戻る