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献血時の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病対策について

平成17年4月4日
(照会先)
医薬食品局血液対策課
電話 03-5253-1111(内線2903)

献血時の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病対策について


 標記については、平成17年3月31日に開催された薬事・食品衛生審議会血液事業部会運営委員会・安全技術調査会合同委員会において以下の結論がまとめられた。
 また、厚生労働省では、上記委員会の結論を踏まえ、4月1日付で別添(PDF:18KB)のとおり、日本赤十字社及び各都道府県に対し、通知した。

1 英仏滞在者の暫定的な献血制限の方針の経緯

 (1)3月7日のクロイツフェルト・ヤコブ病等委員会の報告を受け、運営委員会において、予防的観点から、英仏滞在1日以上(1980〜96年)の者の献血を制限する暫定的方針を示し、安全技術調査会の意見を聞いて実施することとした。
 (2)献血者減に対しては、献血の呼びかけ強化や適正使用推進で対応する方針。

2 日本赤十字社の調査による献血者減への影響見込み

 (1)地域間に影響の格差がある(全国5.5%減、東京9.8%減程度)。
 (2)赤血球の在庫水準は季節で変動する。
 (3)地域格差・季節変動があっても、全国で平均4%減までであれば在庫水準をかろうじて維持できる。

3 輸血によるvCJDの発症リスク(別紙)

  英仏滞在者の献血により、vCJD発症者が出る推計値(最大に見積もった場合)は両国で異なる。
 (1)英国滞在者の影響: 年 0.01〜1 人程度
 (2)仏国滞在者の影響: 年 0.0005〜0.05人 程度

4 医療におけるリスク 対 vCJDの発症リスク

 (1)献血規制により在庫切れによる目前の出血死に係るリスクが発生する可能性がある。(年間の交通事故の死傷者は約8万人)
(1)地域格差: 東京の不足を全国でカバーするには限界がある。
(2)季節変動: 季節的な不足時期に重なると影響が増幅。
 (2)事故等の突発的大量出血患者の死亡等の当面のリスクと将来のvCJD発症のリスクの比較衡量。

5 暫定的な措置の実施について

 (1)安全性に最大限配慮し、英仏滞在者献血制限の方針は維持。
 (2)一方、在庫切れに係るリスク、在庫水準を常に見極め、英仏滞在1日以上の献血制限の実施タイミングを総合的に判断。
(1)英国滞在者の制限は、可能な限り速やかな実施
(2)仏国滞在者の制限は、新たな献血推進策による在庫水準の状況を見ながら慎重に実施。
 (3)(2)の措置で、献血者減は全国で3.6%、東京で6.7%程度
 常に全国の在庫水準等を把握し、供給量が危機的状況に陥る状況を早期に捉え、必要に応じ、英国滞在者の献血制限の内容を再検討する。




(参考)リスク計算の概略

  英国 フランス
vCJD患者数/人口 154人/6000万人 9人/6000万人
潜在的感染リスク者数 5900人(推計) 340人(推計)
渡航者数(80-96年) 364万人 393万人
渡航者中の潜在的感染リスクのある人数(最大値) 360人(推計) 22人(推計)
潜在的感染リスク者が献血に来場する確率/年 約20人 約1人
潜在的感染リスク者の血液によりvCJD発症者が出る可能性/年 0.01〜1人(注) 0.0005〜0.05人 (注)

 (注)
(1)値の上方値: 英・仏滞在期間短期の場合でも、1980年〜96年まで17年間英国に居住した人と同じ感染確率と仮定して計算した推定値。
(2)数値の下方値: 英仏の滞在(居住)期間に応じてリスクが高くなるとし、平均的に1ヶ月程度滞在したと仮定した場合の推計値(1980年〜96年の17年間のうち、1ヶ月程度滞在した場合、(1)に下式から求めた1/100を乗じて算出。)。
 (1/17(年) ×1/12(月)×2(プリオン遺伝子型の欧米人と日本人の差))

 これらのリスクの試算は、英国での潜在的感染者の推計値による感染確率(3/13,000人 10〜30歳)( Journal of Pathology 203,733-739 (2004))を、フランスにあてはめ、それらを基礎に英仏滞在者経験者の中の潜在的感染リスクを計算。さらに、彼らが献血に来る確率から計算したワースト・ケースの推定である。

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