厚生労働省

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このサイトは、2009年に発生した新型インフルエンザ(A/H1N1)に関する情報提供のために厚生労働省が制作し、新型インフルエンザ発生時の参考資料として当面掲載しているものです。
このサイト内で「新型インフルエンザ」と記載しているものは、基本的に新型インフルエンザ(A/H1N1)を指しており、掲載している情報も主に発生当時から2011年3月31日までのものであることにご注意ください。
インフルエンザに関する最新の情報は、2011年4月1日から厚生労働省ホームページのインフルエンザ情報サイト(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/index.html)に順次掲載してまいりますので、以前の新型インフルエンザ対策関連情報サイトをお気に入り登録されている方は、ご変更をお願いいたします。

ASEAN+3保健大臣新型インフルエンザ緊急会合
共同閣僚声明
(2009年5月8日、タイ・バンコク)

ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、中国、日本、韓国の保健大臣は、2009年5月8日、アジアにおける新型インフルエンザを防ぎコントロールするための効果的な方策について熟考するため、タイ・バンコクに集った。

2004年1月28日にタイ・バンコクで採択された、家きん疾病の現状に関する共同閣僚声明及び、同年11月26日にタイ・バンコクで採択された、鳥インフルエンザの防止及びコントロールに関する共同閣僚声明を想起し、

パンデミックが迫っており、緩和のために世界、地域、国家の結束した努力及び早急かつ適切な対応が求められる、世界の様々な国や地域で急速に拡大するインフルエンザA (H1N1)の人から人への感染に危機感を募らせ、

国際保健機関(WHO)、その他の国連のシステム及び国際機関の尽力とリーダーシップ、インフルエンザA (H1N1)ウィルスの発生により影響を受けるWHO加盟国の透明性と迅速な対応を評価し、

この地域では鳥インフルエンザ(H5N1)が依然として主要な脅威であり、引き続き政治的なコミットメント、効果的なサーベイランス及び対応が求められることを懸念し

インフルエンザAのH5N1株がパンデミックを生じさせる潜在的可能性に対する懸念を表明し、また情報及び臨床検体(clinical specimens)やウィルスを含む関係生物製剤をWHO協力センターに提出するよう加盟国に促した、WHO総会58.5及び59.2の決議を想起し、

WHO総会60.28で求められた、H5N1や人でのパンデミックの可能性があるその他のインフルエンザウィルスの共有及び公平で公正な利益共有に関する政府間会合を決着させる必要性を強調し、

インフルエンザA (H1N1)のウィルスの、人と人、人と動物の間の感染の拡大、ウィルスの変異の可能性は、完全な警戒と効果的な防護、発見及び時宜を得た対応が求められることを認識し、

「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態」が宣言の根拠となる国際保健規則(IHR、2005)にWHO加盟国が従う責務、及びIHRの効果的な実行に必要な国家の中核的能力の強化の重要性を認識し、

アジア太平洋新興感染症戦略(APSED)の下で既に行われている方策や、継続されている努力、オーストラリア国際開発省(AusAID)の支援を受けたASEAN+3新興感染症プログラム、日本による抗ウィルス薬及び個人防護具の備蓄、米国国際開発庁(USAID)による多部門のパンデミックへの備えを認識し、

人混みを避ける(social distancing)、咳エチケット(respiratory etiquette)、手洗い及び家庭内の換気等の、個人や社会がとっている公共的な方策が、今のところパンデミックインフルエンザにより引き起こされる病気を減らし又は遅らせるために最も現実的な方策であることを認識し、

国際的な渡航の動きは速く、多くの人が世界の様々な地域を訪れ、現在のパンデミックの状況では、渡航制限はウィルスの拡大を止めるのにほとんど効果がない一方で、世界的・地域的社会に混乱を引き起こし、現在のグローバルな経済停滞に多大な負の影響を与えることを証拠が示唆していることを認識し、

国家当局のガイドラインに沿って、発熱とインフルエンザ様の症状がある人々は国際渡航を遅らせ、また国際渡航の後に症状がある人々は適切な治療を受けることが、賢明であることを認識し、

パンデミックインフルエンザは、現在の限られた保健資源の中では、医療サービスの需要を著しく増加させ、厳密な咳エチケット(respiratory etiquette)と衛生処置と共に、家庭での症例管理(医療機関で治療するための患者の紹介及びトリアージ、医療機関における感染のコントロールを含む保健スタッフの保護、死亡率や更なる罹患率を減らすための最も効果的な介入に専念するため、暴露の危険に応じた抗ウィルス薬や個人保護具使用の優先付け)を行うための国の明確な手続を必要とすることを懸念し、

他の地域もインフルエンザワクチンを製造するための技術を取得し始めたが、世界的なワクチン製造能力の多くがヨーロッパと北米に位置しており、これは世界的なパンデミックに対応するには不十分であり、この地域では、パンデミックワクチンへの効果的なアクセスが主要な問題であることを懸念し、

インフルエンザA (H1N1)を防ぎコントロールするための具体的な行動をとる緊急性を認識し、我々は、国レベルで、次の事項を約束する。

1.パンデミック行動計画を絶え間なく実行し、人と動物のサーベイランス活動と、効果的な対応システムを強化すること。

2.IHR(2005)の、特にサーベイランスと効果的な対応における、効果的な実施のための中核的な能力を強化すること。

3.関連当局による規則(protocol)を実施し、部門間(intersectoral)の効率的なコミュニケーションと活動、パニックや社会的混乱(disruption)を回避するための適切な対応に向けた効果的な公衆へのメッセージを確保すること。

4.影響を受けた国における国境間の疾病管理戦略の一つとして、「影響を受けた国(affected countries)」の代わりに「影響を受けた地域(affected areas)」を分類し、渡航と貿易への影響を最小化するための合意された基準を適用し、exit screeningの実施を検討すること。

5. ASEAN+3各国において、緊急に必要が生じた時に備え、必要な供給の域内での共有を容易にするシステムの構築を検討すること。

6.抗ウィルス薬及び必須医薬品、医療機器、個人防護具(PPE)について、潜在的なニーズを評価し、H1N1の拡大の動向の観点から、効果的な対応のために不可欠なレベルまで、国家の備蓄を増加すること。

インフルエンザA(H1N1)パンデミックへの効果的な対応に向けた、この地域における国々の、共通し協働した取組みの必要性を認識し、次の事項について約束する。

7.世界的及び地域コミュニティーにおける社会的・経済的混乱を回避するため、WHOの国際渡航に関する勧告を遵守すること。

8.「抗ウイルス薬及びパンデミック・インフルエンザ・ワクチンの生産に関する技術の移転を促進する」というWHO総会61.21決議を参照すること。

9.この地域における協力を発展(foster)させるため、

・ 感染状況に関するデータ・情報の十分かつ迅速な共有を確保し、国家間の効果的な対応に向けて、保健当局間のホットラインを創設し、

・ 要請に応じ適切な場合(where appropriate and upon request)、国家間(across countries)のoutbreakに関する合同の調査・対応チームを創設し、

・ インフルエンザA/H1N1の調査・確認、リサーチのための研究所の支援を充実(enhance)し、

・ インフルエンザに関する、生物医学、診療、ヘルスシステム及び感染症への対応における、効果的な政策的措置に関する根拠(evidence)を得るための政策研究を含めた共同リサーチを、現行の共同リサーチのネットワーク(*)への積極的な参加を通じて強化すること。

* ASEAN事務局のASEAN+3新興感染症(EID)プログラム
MBDS (the Mekong Basin Disease Surveillance network)
APIAIR/APEIR (the Asian Partnership on Emerging Infectious Diseases Research)

インフルエンザ・パンデミックへの効果的な対応における、国際的な結束の重要性を認識し、我々は、WHO、その他の国連機関及び国際的な開発機関、アセアンに、次の事項を求める(request)

10. WHO事務局長が、引き続き、世界的なパンデミックの最新情報(update)と、効果的な対応に関する指針(guidance)について、正確、透明でタイムリーな証拠を提供すること。

11. WHO事務局長が、専門家及び加盟国と協議して、パンデミック警戒レベルを決定する基準の最適化の可能性を検討すること。新たな基準は、感染性や疫学上の決定要因(1つのWHO地域のうち2国での事例数)だけではなく、臨床的決定要因(罹患率、死亡率)及びウィルス学/遺伝子配列の決定要因(高・低病原性)にも適用されること。

12. H5N1や、人でのパンデミックの可能性があるその他のインフルエンザウィルスの共有や、公平で公正な利益共有に関する政府間会合を決着させること。

13. WHO事務局長が、WHO全加盟国による、パンデミックワクチンに対する、公正で公平なアクセスの目標を支持し、地域及び他の途上国におけるインフルエンザワクチンの製造能力の増加を促進すること。

14.国際的な開発のパートナーが、アセアンにおける必須医薬品と個人防護具の備蓄水準の向上のため、必要性の評価に基づいた技術的・金融的な支援を提供すること。

15.アセアン事務局長が、薬品や、医療機器やその他の個人防護具の備蓄を、影響を受けた地域に、効果的でタイムリーに配置するための、ロジスティックに関する訓練を実施すること。

第62回WHO総会(WHA)が2009年5月18日から22日までジュネーブで開催されることに留意し、ASEAN+3保健大臣は、WHO総会参加者の協力と支援を得るため、この会合の成果への関心を高めるべく、協調して努力する。

中継のビデオ会議を通じて演説してくれたWHO、世界銀行、アメリカCDCに感謝する。

ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、中国、日本、韓国のASEAN+3保健大臣は、これによって、国民の福祉及び地域の平和、反映及び安定のために、これらの方策を完全に実行することを約束する。

2009年5月8日 バンコクで採択


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