厚生労働省

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定例事務次官記者会見概要

(H21.07.2(木)14:00〜14:13 省内会見場)

【広報室】

《次官等会議等について》

(次官)

厚生労働省関係の案件はありませんでした。

《質疑》

(記者)

昨日発表された年金の受給資格を満たしているのに年金をもらえていない人が三万人いるという調査結果が出ましたが、今後これに関して、更に大規模な調査をするお考えがあるかお聞かせ下さい。もう一つ、情報公開の在り方ですが、昨日社会保険庁が急遽重要な情報を発表したいという話になりましたが、昨日は08年度の公的年金の運用結果など重要な発表もあったわけで、何か重要な情報と併せて発表しようとしたのかと勘ぐられても仕方がないような形での発表になったのですが、情報公開の在り方について今後どうお考えなのかお聞かせ下さい。

(次官)

年金の関係につきましては、オンラインに記録されているデータを基に、そのデータで年金受給権が発生しない人達について調べたわけであります。二年前に調べたのですが、確か七十万件くらいあったと思います。その中の一部をサンプル調査して、オンライン上の年金に結びつかない記録はどういう内容なのかということを調べました。調べるに当たって、それぞれの人に会って、その人の記録を確認したりしながら中身を調べていったところ、年金受給権に結びつかない人もありますし、七十歳までの間、国民年金の保険料を納められますので、それを納めれば年金の受給に結びつく人も出てきます。あるいは、年金受給資格があって、それを自分も知っていながら申請していないという人もいましたし、受給資格を持ちながら自分が年金の受給資格をもっているかわからないという人もいました。オンラインの記録上、年金の受給資格があるのに、気がついてなかったという人については、基礎年金番号で統合されてなく、他の記録と併せて年金受給権に結びつくケースもありましたし、そうではなくて、サラリーマンの妻のようなケースで、カラ期間と合わせて結びつくものもある。カラ期間というのはオンラインのデータ上は出てきませんので、オンラインの記録からは読み取ることができないものでありますが、そのカラ期間と加入期間を合わせると年金の受給権に結びつく、そういう人もいたということであります。オンライン上結びつかない人の記録は一体どういう中身かということで、1600件位のサンプル調査をしましたが、全体で七十万件位ありますから、それの対応を考えていかないといけない、ということであります。せっかく年金受給権があるのにその年金に気がつかないというのは、年金制度の在り方から言っても、また年金加入者にとりましても望ましい形ではありません。そういう人達に対して何らかの形で注意を喚起することを、個別の注意の喚起ですとか、一般的な広報ですとか、そういうことを通じて年金受給権がある人には必ず年金が受給できるようにしていくような手立てを講じていきたいと思っています。
それから、昨日、様々な発表が重なって、如何だったかという御質問でありますが、サンプル調査については、かねてから民主党の方からも調査をして発表をするようにという要請がありましたので、整理ができた段階でできるだけ早くということで対応したものであります。私としては、発表できる段階でできるだけ早くという意味での対応でありますので、その点については御理解をたまりたいと思います。個々の発表について、可能な工夫というのは必要だと思いますので、広報室を通じて、一般的な意味での注意を、各部局にも今日あった話を踏まえてお伝えをしたいと思います。

(記者)

先週、異例のタイミングで人事が決まりましたがこれについての受け止めをお願いいたします。

(次官)

今国会に厚生労働省関係の法案がたくさんかかっております。私どもとしては、長い間継続になっている法案を含めて何とか審議をしていただきたいというのが基本的な気持ちですので、人事の時期というのは国会での審議が山を越える時がタイミングではないかということで、タイミングを含めて大臣と相談をしていました。局長以上の人事については官邸での人事検討会議にかけてから諸手続を進めていきますが、そういう意味では先週金曜日の大臣の発表は極めて異例な形であったと思います。強いて理由を言えば、私と坂野社会保険庁長官は安倍内閣時代に、時の厚生労働大臣だけではなく、官房長官ですとか、あるいは官房長官からは総理の名前も出て就任を要請されたのですが、ある種の政治任用だったのではないかと思います。坂野さんも同じようにそういうことではないかと思います。政治任用ですので、この任用をどう処理するかということを予め総理と相談しておきたいというのが大臣の気持ちだったのではないかと思います。この人事が固まりませんと、その下の人事が決まりませんので、政治任用だった人については、同じようなプロセスで、政治任用を解いていくことについても官邸に相談したいと思われたのではないかと思っております。また「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」の中で、役所の体制についても議論がありまして、その中で医系技官の人事、事務官の人事についてポストの固定化ということについても弾力的な対応が必要だという指摘がありました。厚生省時代から含めて、厚生労働省の歴史の中で初めて、医政局長、昔は医務局長と言っておりましたが、そのポストに事務系が就きます。あるいは、保険局長のポストに医系技官が就くということですので、大きな人事の考え方の軸になる部分について総理に御報告しておきたいと思われたのではないかと思います。発表そのものは異例だったと思っておりますが、予め総理と相談して、決めて、それにつながる人事を考えるという意味では一つの手順だと大臣がお考えになったのではないかと思っております。

(記者)

今のお話で医政局長と保険局長が初めてということで、ハレーションなく仕事を進めていくにはどうしたらいいかということについてのお受け止めをお願いいたします。

(次官)

私自身もどういう人事が良いかあれこれ考えておりましたが、保険局長のこれからの大きな仕事は、診療報酬の改定です。歴代保険局長は様々な形で努力をしておりますが、医系技官という違った経歴を持つ方が、そのセンスを踏まえて従前の壁を乗り越えるような診療報酬改定を行っていただきたいと思っております。また、医政局長は今まで医系技官がずっと就いておりましたが、後任の阿曽沼氏はこれまでの経歴の中では医政局が三度ほどありまして、今の局長級では一番医政局の仕事に通じた人間です。医者とか看護師とかの職種間での仕事の配分ですとか、様々な業務分担の在り方、医師不足に対する対応等の課題がありますが、これについて、医者という資格を持った人とは違った立場で従来の医政局の壁を乗り越えてもらいたいと思っております。それから、「厚生労働行政の在り方に関する懇談会」の中で、医療と介護についての連携ということが言われておりました。今、私も詰めているところですが、医療と介護の連携となりますと保険局と医政局と老健局になりますが、その三局が連携をして診療報酬改定で何を考えるか、先々の介護報酬改定で何を考えるか、その連携を踏まえていくためにとりあえず、今年は何をするか、あるいは先に向けてどういうことを行っていくかということを、三局に連携して行っていただきたいと思っております。三局長の連携ですので、私は事務次官も中に入って三局の連携を束ねて行くことが必要と思っておりますが、そういう意味では、保険局長の経験のある水田氏が次官になりますので、保険局長での経験を生かして、医政局長の外口氏が保険局長になって新しい視点、阿曽沼氏にも新しい視点、介護保険の介護報酬改定した宮島老健局長の四者が連携をとっていただくと、今よりはパワーアップした形で仕事が進められるのではないかと思っております。

(記者)

社会保険庁長官についてですが、今まで五年間は民間から長官が来て改革にあたってきましたが、今回の年金の話を含めて、改革はまだまだな気がするのですが、今回、内部昇格という形に戻ったことに関してはどのように受け止めていらっしゃいますか。

(次官)

私と坂野さんは一緒に就任しましたが、私の方が先に退官をして坂野さんは年末までやっていただくことになるのではないかということを、少なくとも去年の段階では坂野さんともそのような話をしておりましたし、そういうつもりで坂野さんもやっていただいていたのではないかと思います。ただ、大臣も会見の中で言われておりましたが、激務の中で若干健康面で御本人が不安を感じていることもありまして、無理はお願いできないということになりました。社会保険庁の残っている期間は今年の十二月までですので、この短期間に改めて民間の誰かに頼むとか、役所を辞められた誰かに頼むことができるかとなると、わずか数ヶ月の人事というのは大変難しい人事です。そういう中で年金制度に明るい年金局長は即戦力的な意味で社会保険庁長官をやってもらえるだろうということで、渡邉年金局長を当てるということにしました。この人事も、村瀬前長官、坂野さんと民間、あるいは他省庁の人にトップになっていただきましたので、そのプロセスもある種の政治任用ということでしたので、そこも含めて大臣が総理の了解を取られたということです。

(記者)

先ほど、次官が医政局長、保険局長それぞれ従来の壁を越える診療報酬改定、壁を越える仕事をしてほしいということを申されましたが、従来の壁の意味することはどういったことでしょうか。

(次官)

私自身思うところがありますが、「それを言ってしまうとおしまい」というところがありまして、お答えするのが非常に難しいのです。保険局にも医政局にも課題があって、それぞれの担当局長は一生懸命努力をしてきていると思いますが、前回の診療報酬改定でも、あるいは、医政局関係の課題についてもなお課題が残っております。それを新しい視点でやっていただくことで、従来より評価の高い仕事をしていただけるのではないかということです。具体的に思うところはありますが、今の段階では言ってしまうとおしまいじゃないかということで御容赦願いたいと思います。

(了)


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