厚生労働省

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定例事務次官記者会見概要

(H20.12.25(木)14:03〜14:15 省内会見場)

【広報室】

《次官会議等について》

(次官)

本日の事務次官会議ですが、政令が2本かかっております。薬事法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令と、その同じものの施行令関係でございます。平成18年の6月に薬事法の一部を改正する法律が交付されましたが、その施行期日を来年21年6月1日と定めるというのが一つ。もう一つはこの実施に関しまして、医薬品販売業の許可証の交付等に関する規定等の整備を行うという関係の政令案を今日かけております。私の方からは以上です。

《質疑》

(記者)

この程、21年度予算案がまとまりましたが、それについての受け止めをお願いいたします。

(次官)

21年度予算編成に当たって大きな課題が2つありました。一つは2,200億円のシーリングをどのようにクリアするかという点。もう一つは平成16年の年金改正によって目標となっておりました、基礎年金の2分の1の国庫負担をどう実現するかという点です。現下の経済情勢、あるいは経済見通し等を見て、なかなか税収の厳しいところでしたが、総理の強い主導、あるいは財務当局の御尽力によりまして、基礎年金の国庫負担2分の1が来年4月から実施できるということになり、大変大きな前進だと思っております。それから、シーリングにつきましては、皆様御承知のように、道路特定財源の一部、あるいは、従前特別保健福祉事業資金の清算という形での財源の捻出ということで、これもクリアすることができました。そういう意味では非常に厳しい情勢の中ではありましたが、一つの予算編成の形になったと思っております。

(記者)

今日で年内の会見が最後になりますが、今年一年を振り返られての感想と、来年、特に厚生労働省として特に力を入れたい分野、課題等がありましたら教えてください。

(次官)

今年一年を振り帰りますと、いろいろな課題が次々と起こってきて、また、その課題の対応を次々と行っていったという年だった思います。

課題関係でいいますと、年明け早々は、前の年から引き続いておりましたが、C型肝炎訴訟関係の立法絡みの話ですとか、更には、中国からの輸入冷凍ギョウザの問題、そして、4月からは長寿医療制度の施行に絡む様々な問題と。年金記録関係につきましては、3月末までのねんきん特別便ですとか、4月から10月にかけて年金受給者、年金加入者、全体に対する通知ですとか、そういう作業が進んできました。一方で、標準報酬月額の遡及訂正問題への対応が求められています。それと並行して、雇用や予算編成作業等々があったわけです。そういう課題に追われつつ、一つ一つそれに対応していったのかなということが一つです。

直接仕事とは関係がありませんが、11月に元厚生次官御夫妻が殺害され、元厚生次官の奥様が傷害を受けたということにつきましても大変ショックな事件でした。まだ、この事件の背景、真相は私にとってはなお不明な点が多いという気がしておりますが、これは今年を振り返りまして、あるいは私の人生を振り返りましても非常に衝撃的な事件だったと思っております。

明るい側面ということについては、厚生労働行政のこれからの在り方が議論されたこと。「社会保障国民会議」が官邸主導で置かれまして、様々な分野について非常に意欲的な提言が行われました。「厚生労働行政の在り方懇談会」で更に厚生労働行政の在り方が詰められまして、これは年度末に向けて最終報告になります。そういう事で、先に向けての布石も同時に打たれて来た一年だったと思います。来年は、そういう先に向けての提言を踏まえて、厚生労働行政の再構築というのでしょうか、将来に向けて確実な一歩を踏み出すような年にしたいと思っております。

(記者)

老齢、母子加算廃止の取消を求めた、広島の訴訟なのですが、自治体側の全面勝訴のようですが、次官はどのように受け止められておりますか。

(次官)

生活保護の在り方については、憲法の理念に基づいて国民の健康で文化的な最低限の生活を保障するものという機能が第一だと思っております。制度の在り方について、訴えられた方は一つの疑問を持って、訴えられたのだと思いますが、その結果につきましては現行制度の中身でよろしいということになりました。いろいろなそういう方々の声も聞きながら、運用面においてより皆様に納得してもらえるような生活保護制度というものに心掛けて行くことが大事かなと思っております。

(記者)

今日、「厚生労働行政の在り方懇談会」の中間まとめが正式に出たのですが、その中には、現場に若い職員を出すとか、そのような提言も盛り込まれていて、中間まとめで実施できるものからどんどんやっていくようにという内容だったと思いますが、厚生労働省としてはどのようなタイムスケジュールで、どのような項目を優先的に実施していこうとお考えでしょうか。

(次官)

先般、中間まとめの報告原案ができました時に、厚生労働省全部局を集めた形で、私をヘッドにしてプロジェクトチームを発足させました。そこで提言されているものに対して、テーマとか分野ごとに若干の検討チームのようなものを作って具体化を図りたいと思っております。今、例に挙げられました、地方経験を積んでいくというような指摘については、可能なら、今でもある程度行っているわけでありますが、来年4月の実施に向けて早々に、人事関係については人事の検討会議というのを持っておりますので、その検討会議を今日にでも開いて人事関係については議論を進めたいと考えております。多分野に亘っておりますので、分野ごとに検討チームを作ってやっていく。人事については出来るだけ早くやって、4月には実績を出していくようにしたい。4月といいいますのは、4月まで遅らせるという意味ではなくて、4月が人事異動の時期なものですから、最初の時期に間に合うようにやっていきたいと思っております。

(記者)

今年最後なので社会保険庁の年金改ざんの概括的なことをお伺いしたのですけれども、先日、日本年金機構の採用基準が発表され、野村委員会の後継の委員会がスタートしたのですけれども、野村委員会の報告書に社会保険庁の体質について厳しく言及しているところがありまして、そこについて次官がどうお考えなのかということをちょっと伺いたくて、いわゆる三層構造が社会保険庁の中にあったというところで、「社会保険庁は、その種の構造的な問題を打破する立場にあったけれども、それを怠りながら自分たちの責任を免れる論理に使うことは許されるものではない。」という記述があります。この記述について、三層構造というのを自分たちの責任に免れるように使うかというものがあったかという点が1つと、日本年金機構に移行してからこうした体質のようなものが払拭できるのかという2点お伺いしたいのですが。

(次官)

三層構造という言葉がどういうところから言い始められたというのは、実は私は正確によく分かりませんが、総務省に検証会議がおかれて、松尾さんが委員長だったと思いますが、去年の秋まとめられたあの報告書の中では三層構造の問題が指摘されております。これは、人事の構造が、地方採用の人、社会保険庁採用の人、あるいは、厚生省採用の人、そういう中でそれぞれの間の情報交換、あるいは意見交換、そういうものが少なかったという意味で三層構造と言われております。あともう一つは、松尾委員会では、組合の問題を併せて言っております。組合の問題が時の55年体制というのでしょうか、そこまで書いてあったかどうかは分かりませんが、政治体制との関係もあって、かなり大きなウェイトがあったというようなことも出ていたと思います。それは、松尾委員会では、まさに反省すべき点ということで指摘されている点でありまして、我々は、まさにその報告書を謙虚に受け止めて反省しなければいけない、または改善しなければいけないということであります。三層構造問題というのを言い訳に使っているという意識は私自身はありませんで、問題として指摘されて、その問題の指摘を素直に受け止めているというのが私自身のつもりであります。

それから、この問題を解決するという意味合いも込めて、それから、現場をいろいろ見聞しそういう情報を肌身で感じていれば防げた問題があるかもしれないという意識を持ちまして、先程ちょっとご質問がありましたが、若い時から現場研修をさせる、現場経験をさせるということであります。社会保険事務所は一年後には日本年金機構になってしまいますが、そういうところも含めて若い人の現場経験をさせることが、その指摘された反省を活かす道の一つということであります。

それから、日本年金機構では、そういう問題意識を踏まえて、人事については全国的な形で考えるということで、いわゆる都道府県採用とかということではなくて、人によって様々な状態はあるとは思いますが、全体を考えて大きなブロック単位で異動するとか、全国単位で異動するとか含めてそういう三層構造が生まれない人事の仕組みを考える。これは年金再生会議でも指摘されております、それを受けて日本年金機構の組織運営の方針にも固めていくことになろうと思います。そういう形で活かしていきたいと思っております。

(了)


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