厚生労働省

  • 文字サイズの変更
  • 小
  • 中
  • 大

定例事務次官記者会見概要

(H20.11.13(木)14:02〜14:19 省内会見場)

【広報室】

《次官会議等について》

(次官)

今日の事務次官会議の関係ですが、厚生労働省の案件はかかっておりません。ご質問がありましたらどうぞ。

《質疑》

(記者)

昨日の厚生労働行政の在り方懇談会で、奥田座長が「マスコミの厚生労働省のたたきは異常だ、報復してやろうか、スポンサーを降りる」という発言されているのですが。他の委員からは批判したらスポンサーを降りるというのは言い過ぎではないかという指摘もあったのですが、次官としてはこの座長の発言についてどう思われますか。

(次官)

奥田座長が、座長に選ばれましたとき、第1回の厚生労働行政在り方懇談会の場で三つ大きな問題を指摘されました。その一つに、厚生労働省の広報関係のことを言われたわけであります。マスコミ等でいろいろな批判があるけれども、批判が表面的、感情的なものがあるのではないか、しかし、日本としては少子高齢化が避けられませんし、財政の問題もありますし、いろいろ解決しなくてはならない問題があるのですが、その問題の本質が十分報道されていない、厚生労働省の広報の在り方に問題があるのではないかという意見だったと思います。座長として三つ述べた内の一つの話です。昨日の発言は、確か「個人的には」と言いながらしゃべった話ではなかったかと思いますので、個人としてお話になった話を私がコメントするのは適当ではないと思っております。

(記者)

最近、景気の悪化で、大学生の中で一方的に内定を取り消される学生が増えているのですが、厚生労働省としても全国調査を行われるようですが、企業への指導等を含めどのように対応して行くかお聞かせください。

(次官)

夏からのアメリカ発の経済的な問題が、そういう若者の雇用の話にまで及んできているようなので、まだ報道でしか確認できていない部分が多いのですが、これは真剣に受け止めなければいけないと思っております。バブル崩壊後の就職氷河期の問題も、今なお若者の雇用に一つの傷跡が残っておりますので、同じようなことが繰り返されないような努力を是非したい。職業安定法に基づきまして、内定を取り消したような場合には報告を受けることになっております。聞いてみますと報告はまだ4件しかないという話でございます。ただ、報道関係ではもっと広がりそうな感じになっておりますので、これはきちんと実態を把握して、いわゆる通常の窓口機関から企業等に対して、雇用の確保についていろいろな要請をしていきたい。それから今回の補正予算、その他でも若者の雇用についていろいろな対策を行っていますので、今の内定取消とは直接は関わりがありませんが、若者の雇用関係について力を入れていきたいと思います。また、内定を取り消したような場合には学校当局にも情報が入ると聞いておりますので、学校当局の方とも連絡を取ってできるだけの努力をしたいと思っております。

(記者)

奥田さんの発言に関連して、補足的に確認したいのですが、奥田座長があのような発言をされたわけですが、次官としては厚生労働省が一連の不祥事で信頼を失った原因というのがどこにあるとお考えなのかということと、昨日の厚生労働行政の在り方懇談会の中でも委員から、不祥事に危機感を持って始めた会議なのに、その危機感があまり共有されていないのではないかという指摘をされていましたが、会議が迷走気味ということに関しての次官のお考えをお聞かせいただけますか。

(次官)

不祥事の問題と報道の問題は切り離して考えるべき話だと思っております。

いろいろありますが、社会保険庁の年金記録問題に端を発したものついては、これはおそらく日本の行政の中でも、年金制度に加入した時から亡くなるまでというと一人について60年、70年、人によっては80年記録を保管する、それを今の人間で言えば、若い人は入っておりませんが1億人を超えてずっと保管をしていかなくてはいけないということですので、日本の行政の中でもこういう行政はたぶんないのだろうと思います。それだけ、ある意味で記録管理は難しい問題でありますし、また、大事な問題でもあります。一方、その間に第二次大戦があったり、戦後復興があったり、それから、給付につきましても大きな変動があったり、高度経済成長の頃は非常に良かったわけですが、第一次、第二次石油ショックであるとか、先般のバブル崩壊後の不景気であるとか、様々な経済変動があり、かなり多くの人がいろいろな職を転々とすることもあるわけです。そういうことをすべて正確に把握するのはそれなりの体制を組んで、きちんと行っていかなければいけないことでありますが、他に例を見ない仕事です。これを残念ながら記録問題という不備が出ましたので、これについては事後的ではありますが、一つ一つ点検をしながらその穴を埋めて行きたいということです。これが不祥事に対して対応していくことです。 後期高齢者医療でもいろいろ議論がありましたが、これは私は不祥事とは思ってはおりません。制度の趣旨が十分に理解されない、あるいは説明不足であったというのでしょうか、よく報道等で「高齢者に負担させるのは気の毒ではないか」ということを言われたりしますが、おそらくそれは、「その分を若い人に負担させるのだ」ということを言って議論としては完結するわけですが、残念ながらそこまでの議論がされないで途中の段階で止まっているところがある。それが奥田座長が最初に言った、表面的、感情的なところに留まって、事の本質が伝わっていないのではないかという、厚生労働省の説明の仕方が悪いという意味で言われたわけですが、そういう問題もあるのではないかと思っております。

ですから、不祥事については不祥事に応じて、政策については政策に応じてきちんと説明し、対応していくというのが基本だと思っております。

厚生労働行政の在り方懇談会がスタートしましたのは、不祥事だけということではないと思っております。厚生労働行政の在り方懇談会は、当時の福田総理大臣が五つの安心プランの話をした時に出てきた話であります。五つの安心プランの中には雇用の安心であるとか、医療の安心であるとか、少子化関係の安心であるとか、そういうような政策と並んで、国民生活に密着する厚生労働行政がきちんとしなければいけないという意味で言われたのだと思います。決して不祥事対応といういう意味で福田総理は言われたわけではないと理解しております。そういう意味で、厚生労働行政の在り方懇談会は、単に不祥事がどうかという議論に留まることなく、先般、社会保障国民会議でも報告が出たわけでございますが、社会保障の課題はたくさん出ているわけです。こういう課題を処理するに相応しい体制に切り替えていって、行政のあり方として国民の信頼がもてるように、そういう意味では広報のあり方も含めて、平素のいろいろな意味での反省というのでしょうか、奥田座長の言葉で言えば、第1回目にPDCAサイクルを回せということをおっしゃられていたわけですが、そういう意味で計画をして実施をして、ちゃんとできているか反省をして、チェックをして、改善をしてということを、組織の行政執行の中に繰り返して行っていくべきだということです。その厚生労働行政の在り方を議論しているわけで、不祥事の問題だけが発端だということではありません。

(記者)

先程の次官の年金記録問題に関するご認識というのは、原因が第二次大戦であったり、戦後の混乱であったり、あるいは、オイルショックといった外部の要因、あるいはそれによって加入者が職を転々としたことだとも受け取れるのですけれども、そういう認識で間違いありませんか。 

(次官)

そうではなくて、そういう中で事実を正確に把握しなければいけないという行政だということであります。ですから、その把握が、転々とした人の転々がきちんと届出がなければ把握はできませんし、そういういろいろと変化のあることを常に正確に把握しなければいけないという意味で変化の例を申し上げただけであります。一方、事務処理については、昔は手書きで記録を管理していたわけでありますが、科学技術の発達に伴ってコンピューター化を進めるとか、更に今も情報化に伴って改善ができるわけですが、そういうものを駆使していくことによって昔に比べれば記録管理は、大分合理的にできるようになってきたわけであります。そういう努力もしていかなければいけません。ただ、その中には、切り替え時における転記ミスがどうだったかとか、あるいは、届出が正確か正確ではないかのチェックが十分だったとか様々な要素があるわけであります。それは、昨年、総務省におかれた検証委員会でも検証されて報告がされておりますし、それから、そういう形でできないものについては、第三者委員会でいろんな形で斡旋ができているわけであります。また、今度の遡及改ざん問題に関しては、大臣の下に調査委員会で確認しているわけであります。様々な要素があると思いますが、その様々な要素がある中で、なかなか他の行政とは違う要素もあるということを申し上げただけであります。

(記者)

その中で社会保険庁の記録問題に関して、内部管理の占めるウェイトというのをどう考えていらっしゃいますか。

(次官)

私自身は、その時その時については、与えられた条件の中で多くの人は一所懸命やってきたのではないかと。焼夷弾が落ちて火事になっている中で年金記録を持ち出して守ったという話もありまして、担当者、担当者の中ではいろいろ一所懸命やってきたと思います。ただ、一万何千人という職員の中に全てがそういう意味で、同じような意味で評価されるかどうか分からないところがありますので、それは、今回の大臣の下におかれました調査委員会での確認とか、全体的な流れについては総務省におかれました検証委員会での確認とか、第三者の目をもってチェックをしてもらっているところであります。改善すべきものは改善し、将来に向けて安心できるような体制にしなければいけないと思っております。

(記者)

次官が今与えられた職に対して多くの人は一所懸命やっているとご説明されるわけですけれども、その一方で起きた結果に対して多くの国民が不安に思っている状況があると思うのです。それに対する在り方懇談会の切り込みが不足しているのではないかという指摘があるのですが、それに対してはどのように思われますか。

(次官)

厚生労働行政の在り方を考える時に過去をどう反省して将来に向けていくかというのは、一つの整理だと思います。社会保険庁の問題については、昨年、総務省におかれました検証委員会でもある意味でその検証が済んでいるわけです。そういうのを踏まえて社会保険庁は、来年いっぱいで無くなって、医療保険の方はもう既に公法人化しておりますし、それから、年金部分についても同じように再来年一月から変わっていくわけです。新しい体制を作っていく、そこはそういう反省といろいろな国会での議論を踏まえて、かつそれが過去のと同じような問題を起こさないように、新しい体制を注意して作り上げていこうということであります。今回、設立委員会ができましたのは、その設立委員会で新しい年金問題の実施体制を作っていくことになるわけであります。そこはそこで議論をして進めていっているのではないか。厚生労働省の関わっている仕事の中で、年金記録問題は、ある意味でかなり手厚く、いろんな形で、検証委員会等で検証し、改善の方向が出てきているわけであります。それでは医療の問題であるとか、介護の問題であるとか、少子化の問題であるとか、そういうものについて体制が十分なのであろうか、そこについての議論というのは、まだ十分に行われているわけではないと私は思っております。この在り方懇談会では、そういう議論の足らないところも含めて国民の生活に密着している行政がどうあるべきか幅広く議論してもらうことかなということでございます。

(記者)

中国での臓器移植の件で、警察等が少し動いているという話もあるのですが、厚生労働省としての見解と今後何か厚生労働省としてされるつもりがあれば予定を教えていただきたいのですが。

(次官)

臓器移植は大変難しい問題だと思います。もう10年以上前になりますでしょうか、臓器移植法ができまして、本来なら3年くらいで見直しをしていこうということになったかと思いますが、国会の方には、議員立法で3案、確か継続していたと思いますけれども、なかなかその先が進んでいない。いろんな議論があるわけでありますが、今の仕組みを更に改善しなくてはいけないという問題意識というのは共有されているけれど、出口の方がまだなかなか固まらない状況であります。私は、まず臓器移植問題については、国内の法体制、これは生命に対する考え方のようなものが深く関わりますので、党議拘束に向かないということで、個々人の国会議員の良心に基づいて判断をしてもらうということでやっているわけでありますが、その体制についてさらなる改善ができることということ、まずそれが必要なことだと思います。それから、犯罪に繋がるようなことが行われていれば、これはもう言語道断でありますので、そこについては、これは警察当局の方の仕事になるわけでありますが、きちんと対応してもらうことを期待しております。

(了)


トップへ