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部分開示の方法に関する判断基準(法第6条関係)(別添4)

第1 不開示情報が記録されている場合の部分開示(第1項)

1 「開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合」

 1件の行政文書に複数の情報が記録されている場合に、情報ごとに、法第5条各号に規定する不開示情報に該当するかどうかを審査した結果、不開示情報に該当する情報がある場合を意味する。
 開示請求は、行政文書単位に行われるものであるため、法第5条では行政文書に全く不開示情報が記録されていない場合の開示義務を定めているが、本項の規定により、行政機関の長は、開示請求に係る行政文書に不開示情報が記録されている場合に、部分的に開示できるか否かの判断を行わなければならないことになる。

2 「容易に区分して除くことができるとき」

  1. (1) 当該行政文書のどの部分に不開示情報が記載されているかという記載部分の区分けが困難な場合だけではなく、区分けは容易であるがその部分の分離が技術的に困難な場合も部分開示の義務がないことを明らかにしたものである。
     「区分」とは、不開示情報が記録されている部分とそれ以外の部分とを概念上区分けすることを意味し「除く」とは、不開示情報が記録されている部分を、当該部分の内容が分からないように墨塗り、被覆等を行い、行政文書から物理的に除去することを意味する。
     例えば、文章として記録されている内容そのものには不開示情報は含まれないが、特徴のある筆跡により特定の個人を識別することができる場合には、識別性のある部分を区分して除くことは困難である。また、録音されている発言内容自体には不開示情報が含まれていないとしても声により特定の個人を識別できる場合も同様である。
  2. (2) 文書の記載の一部を除くことは、コピー機で作成したその複写物に墨を塗り再複写する等して行うことができ、一般的には容易であると考えられる。なお、部分開示の作業に多くの時間又は労力を要することは、直ちに、区分し、分離することが困難であるということにはならない。
     一方、録音、録画、磁気ディスクに記録されたデータベース等の電磁的記録については、区分して除くことの容易性が問題となる。例えば、複数の人の発言が同時に録音されているがそのうち一部の発言内容のみに不開示情報が含まれている場合や録画されている映像中に不開示情報が含まれている場合では、不開示情報部分のみを除去することが容易ではないことがあり得る。このような場合には、容易に区分して除くことができる範囲で、開示すべき部分を決定することになる。
     なお、電磁的記録について、不開示部分と開示部分の分離が既存のプログラムでは行えない場合は、「容易に区分して除くことができない場合」に該当する。

3 「当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。」

 部分的に削除すべき範囲は、文書であれば、一般的には、文、段落等、表であれば個々の欄等を単位として判断することをもって足りる。
 本項は、義務的に開示すべき範囲を定めているものであり、部分開示の実施に当たり、具体的な記述をどのように削除するかについては、行政機関の長の本法の目的に沿った合目的的な裁量に委ねられている。すなわち、不開示情報の記録部分の全体を完全に黒く塗るか、文字が判読できない程度に被覆するか、当該記録中の主要な部分だけ塗りつぶすか等の方法の選択は、不開示情報を開示した結果とならない範囲内において、当該方法を講ずることの容易さ等を考慮して判断することとなる。その結果、観念的にはひとまとまりの不開示情報を構成する一部が開示されることになるとしても、実質的に不開示情報が開示されたと認められないのであれば、行政機関の長の不開示義務に反するものではない。

4 「有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りではない。」

 「有意の情報が記録されていないと認められるとき」とは、説明責任が全うされるようにするとの観点から、不開示情報が記録されている部分を除いた残りの部分に記載されている情報の内容が、開示をしても意味がないと認められる場合を意味する。例えば、残りの部分に記載されている内容が、無意味な文字、数字等の羅列となる場合等である。
 この「有意」性の判断に当たっては、同時に開示される他の情報があればこれも併せて判断されるべきである。
 また、「有意」性の判断は、請求の趣旨を損なうか否か、すなわち、開示請求者が知りたいと考える事柄との関連によって判断すべきものではなく、本条では、個々の請求者の意図によらず、客観的に決めるべきものとしている。

第2 個人識別情報が記録されている場合の部分開示(第2項)

1 「開示請求に係る行政文書に法第5条第1号の情報(特定の個人を識別することができるものに限る。)が記録されている場合」

 法第6条第1項の規定は、行政文書に記録されている情報のうち、不開示情報ではない情報の記載部分の開示義務を規定しているが、ひとまとまりの不開示情報のうちの一部を削除した残りの部分を開示することの根拠条項とはならない。
 個人識別情報は、通常、個人を識別させる部分(例えば、氏名)とその他の部分(例えば、当該個人の行動記録)とから成り立っており、その全体が一つの不開示情報を構成するものである。他の不開示情報の類型は各号に定められた「おそれ」を生じさせる範囲で不開示情報の大きさをとらえることができるのとは、その範囲のとらえ方を異にするものである。
 このため、法第6条第1項の規定だけでは、個人識別情報については全体として不開示となることから、氏名等の部分だけを削除して残りの部分を開示しても個人の権利利益保護の観点から支障が生じないときには、部分開示とするよう、個人識別情報についての特例規定を設けたものである。
 「特定の個人を識別することができるものに限る。」こととしているのは、「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」(法第5条第1号本文の後半部分)については、特定の個人を識別することとなる記述等の部分を除くことにはならないので、他の不開示情報の類型と同様に不開示情報が記録されている部分を除いた部分につき開示することとなるためである。

2 「当該情報のうち、氏名、生年月日その他の特定の個人を識別することができることとなる記述等の部分を除くことにより、公にしても、個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるとき」

 個人を識別させる要素を除去することにより誰の情報であるかが分からなくなれば、残りの部分については、通常、個人情報としての保護の必要性は乏しくなるが、個人識別性のある部分を除いても、開示することが不適当であると認められるものもある。例えば、カルテ、作文等の個人の人格と密接に関連する情報や個人の未公表の研究論文等開示すると個人の権利利益を害するおそれがあるものである。
 このため、個人を識別させる部分を除いた部分について、公にしても、個人の権利利益を害するおそれがないものに限り、部分開示の規定を適用することとしている。

3 「当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。」

 法第6条第1項の規定により、部分開示の範囲を決定するに当たっては、個人識別情報のうち、特定の個人を識別することができることとなる記述等以外の部分は、個人の権利利益を害するおそれがない限り、法第5条第1号に規定する不開示情報ではないものとして取り扱うことになる。したがって、他の不開示情報の規定に該当しない限り、当該部分は開示されることになる。
 また、法第6条第1項の規定を適用するに当たっては、容易に区分して除くことができるかどうかが要件となるので、個人を識別させる要素とそれ以外の部分とを容易に区分して除くことができない場合には、当該個人に関する情報は全体として不開示となることになる。
 なお、個人を識別することができる要素は、法第5条第1号イからハまでのいずれかに該当しない限り、部分開示の対象とならない。

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