厚生労働省

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「女性医師等の復職支援」などについての予備調査(ヒアリング)結果と取り組み事例

〜より効果的な復職支援を目指して〜

プライバシー保護の観点から、離職医師や復職した方々に直接のインタビューができなかったため、彼らを支援している関係者の一部に対して予備調査(ヒアリング)を実施しました。その他、インターネットなど、公開情報も収集しました。その結果、「女性医師等の復職支援」についての課題を具体的に把握することができ、支援事業のための改善提案ができたと考えています。

以下は、今回の予備調査(ヒアリング)で得た情報や提言です。

(1) 医師といっても一旦離職すると、医療業務への復帰は難しい現状があります。これは、性別に関係がなく、離職期間が長くなるほど困難さは増します。従って、復職する・しないにかかわらず、まずは辞める人を出さないことが大事です。1週間、または1日に、1〜2時間の非常勤勤務としてでも、医療業務に携わり続けることが肝心です。

(2) それには、医師個人の意識に加え、周囲の支援が欠かせません。1人の医師が辞めれば、その分、他の人にしわ寄せが行くのは明らかですし、医療業界全体の品質レベルの維持を図るという観点からも協力し合う必要があります。

(3) それでも、さまざまな事情から、自分の希望とは違って、医業を辞めざるを得ない医師がいることも確かです。例えば、女性の医師の場合には、結婚・子育て・介護などのために“自分の意志に反する選択をせざるを得ない”事情が多く発生するようです。したがって、「医師の復職支援」では、「女性医師」にウェイトを置く必要がありそうです。

(4) 女性医師が増え続ける中で、上記のような事情で今後、離職者が増える可能性があります。医師の数は急には増やせないので、まず、減少を食い止める必要があります。そのために、短時間勤務や非常勤勤務は良い方法ですが、離職者が医療現場に復帰できる“きっかけ”を提供する仕組み(セーフティネット)も不可欠です。これは正に、アフターサービスの分野といえます。

(5) 離職した医師が全員、復職を願っているという情報はありませんでした。しかも、自ら関係者との連絡を絶つ傾向も見られます。従って、離職した後の動静を把握するのは困難です。しかし、自ら復職したい、あるいは復職のための相談をしたいと思ったときに、必要な情報にアクセスでき、連絡を取れる仕組みが必要です。また、離職した理由がさまざまであるように、復職を妨げる要因もさまざまでしょう。その意味で、現場に密着した多様な情報を持ち、相談に懇切丁寧に対応できる窓口(機関)の存在は不可欠です。

(6) 医師としての「勘」を取り戻すための研修も、個別の事情に合わせて設計し実施する必要があります。そのために柔軟な対応ができる機関を確保する必要があります。

(7) 以上を総合すると、「女性医師等の復職支援」をより組織的に、効率的に、継続的に行うべきと考えます。

(8) これらの活動が相まって、全国的な医師不足の解消や地域医療の強化などにつながるのではないかと考えます。

事例集

ヒアリングを通じて、アフターサービス推進室として参考となる事例と判断したものを紹介します。

予備調査(ヒアリング)で見付けた好事例集
  好事例 実施主体
(1) 県域や卒業大学にこだわらない復職支援活動
  • 東京女子医科大学の全国規模の病院ネットワーク(東京女子医大、日本赤十字社、恩賜財団済生会、メディカル・プリンシプル社)
  • 岡山大学病院の協力医療機関ネットワーク(岡山県、香川県など)
(2) 人生相談・個人面接・フォローアップ
  • 東京女子医科大学
  • 岡山大学病院
  • 筑波大学病院
  • 九州大学病院
(3) 病院または大学における相談機能
  • 東京女子医科大学 女性医師再教育センター
  • 岡山大学病院(県が県医師会に委託している女性医師相談窓口と連携)
  • 島根大学病院
(4) 保育など、日常生活も含めた相談用窓口
  • 岡山県医師会(県内の保育所、院内保育に関するデータベースを作成。県医師会および県のホームページからアクセス可能。名称や住所などの他に、保育所によっては、理念やスイミングなど特別サービスの紹介もある)
(5) 復帰先診療科の多様性
  • 岡山大学病院(制約なし)
  • 東京女子医大(制約なし)
  • 神奈川県(小児科、外科、内科、救急部門、麻酔科、産科・産婦人科の6つ)
  • 東京都(制約なし)
(6) 研修先病院での就業条件がないこと
  • 東京女子医科大学(日本赤十字社、恩賜財団済生会、メディカル・プリンシプル社)
  • 岡山大学病院
(7) 短時間正規雇用の活用
  • 岡山大学病院の定員外雇用
  • 東京女子医大の定員外雇用
  • 短時間勤務に対する神奈川県の人件費補助(最初の一年間のみ)
  • 自治医科大学病院
(8) 就労環境評価
(就労環境の底上げ)
  • (財)日本医療機能評価機構(評価体系(Ver.6.0)では、「就労管理が適切に行われている」評価項目の中に、「子育て支援などの離職防止・復職支援策を評価する」項目が新たに盛り込まれた
  • イージェイネット(「働きやすい病院評価」)
(9) 放課後学童保育
  • 東京都
  • 神奈川県(地域医療再生計画)
  • 岡山大学(長期休暇時のみ)
(10) 国立大学での復職支援
  • 岡山県が岡山大学病院に女性医師キャリアセンター運営事業を委託(「女性医師等就労支援事業」と「地域医療再生基金」を組み合わせている)
以上

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