平成21年10月22日 労働基準局監督課 労働条件確保改善対策室 (担当) 室 長 平 塚 志 郎 室長補佐 川 田 代 学 (電話代表) 03(5253)1111(内線5543) 03(3502)5308(夜間直通) |
「労働時間適正化キャンペーン」の実施について
〜労使の協力で進めよう 労働時間の適正化〜
厚生労働省では、長時間労働や、これに伴う問題の解消を図るため、11月を「労働時間適正化キャンペーン」期間とし、全国一斉の電話相談の実施(11月21日(土))、文書要請、周知啓発等の取組を集中的に実施します。(別添1参照)
1 労働時間等の現状をみると、以下のような状況にあります。(別添2参照)
○30代男性で週60時間以上働く労働者の割合が20.0%であるなど、長時間労働の実態がみられる。
○「過労死」等事案で労災認定された件数が377件となるなど、過重労働による健康障害が多数発生している。
○労働基準監督署による賃金不払残業の是正指導事案が多くみられる。
2 働くことにより労働者が健康を損なうようなことや労働基準法に違反する賃金不払残業はあってはならないものです。これらの問題の解消に向けては、使用者のみならず、労働者や労働組合、産業保健スタッフ等のすべての関係者の理解を得て、労使が一体となった取組が行われることが重要です。
3 また、長時間労働を抑制すること等を目的とした、改正労働基準法が平成22年4月1日から施行されます。労使がともにその趣旨・内容を十分に理解し、必要な体制の整備を行っていくことが重要です。
4 このため、厚生労働省においては、本年度も11月に「労働時間適正化キャンペーン」を実施し、長時間労働の抑制等の労働時間の適正化及び改正労働基準法の周知に向けて、使用者団体及び労働組合に対する協力要請、リーフレット(別添3)の配布等による周知・啓発の実施などにより、労使等の主体的な取組を促すこととしています。
労働時間適正化キャンペーン(概要)
1 実施期間
平成21年11月1日(日)から同年11月30日(月)までの1か月間
2 重点事項
(1)時間外・休日労働協定の適正化等による時間外・休日労働の削減
・ 時間外・休日労働協定(36協定)は、「時間外労働の限度に関する基準」に適合したものとすること
・ 特別条項付き36協定等により月45時間を超える時間外労働を行わせることが可能な場合でも、実際の時間外労働については月45時間以下とするよう努めること等
(2)長時間労働者への医師による面接指導等労働者の健康管理に係る措置の徹底
・ 長時間にわたる時間外・休日労働を行った労働者に対し、医師による面接指導等を実施すること
・ 産業医の選任や衛生委員会の設置など健康管理に関する体制を整備し、また、健康診断等を確実に実施すること等
(3)労働時間の適正な把握の徹底
賃金不払残業を起こすことのないようにするため、労働時間適正把握基準を遵守すること等
※ 改正労働基準法について
労使で十分に話し合い、平成22年4月1日から施行される改正労働基準法に対応した就業規則の改正、労使協定の締結等の体制整備を行う必要があること
3 主な実施事項
(1)使用者団体及び労働組合に対する協力要請
使用者団体及び労働組合に対し、労働時間の適正化や改正労働基準法の趣旨・内容に関する積極的な周知・啓発等の実施についての協力要請を行う。
(2)全国一斉「労働時間相談ダイヤル」(無料)の実施(11月21日)
フリーダイヤルを設置し、都道府県労働局の担当官が、長時間労働、賃金不払残業などの問題の解消を図るため電話相談に応じる。
実施日時: 平成21年11月21日(土)勤労感謝の日の前々日
なくしましょう 長い残業
フリーダイヤル番号: 0120−794−713
(3)周知・啓発の実施
都道府県労働局、労働基準監督署、関係機関等でのポスターの掲示、事業主等へのリーフレットの配布、広報誌、ホームページの活用等により、キャンペーンの趣旨等について広く国民に周知を図る。
詳細は参考(「平成21年度労働時間適正化キャンペーン実施要領」)を参照
(参考) |
別添2 |
1 労働時間等の現状等
(1)労働時間について
「労働力調査」(総務省統計局)によると、平成20年における週労働時間が60時間以上の労働者の割合は10.0%となっており、特に子育て世代に当たる30歳代男性では20%と高い水準で推移するなど、依然として長時間労働の実態がみられます。
(2)過重労働による健康障害について
平成20年度において、脳血管疾患及び虚血性心疾患等(「過労死」等事案)で労災認定された件数は377件であり、高止まりとなっています。(平成21年6月8日厚生労働省発表「平成20年度における脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況について」参照)
なお、脳・心臓疾患の発症を予防するため、長時間にわたる労働により疲労の蓄積した労働者に対し、事業者は医師による面接指導を実施することが義務づけられています。
(3)賃金不払残業(注)について
平成20年度において、全国の労働基準監督署の指導により不払であった割増賃金が支払われた事案のうち、1企業当たり100万円以上の支払がなされた企業数は1,553企業、対象労働者数は180,730人、支払われた割増賃金の合計は196億1,351万円となっています。
(注) 賃金不払残業とは、所定労働時間外に労働時間の一部又は全部に対して所定の賃金又は割増賃金を支払うことなく労働を行わせることをいいます。