厚生労働省

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平成21年3月31日

照会先

医政局経済課 恩田、矢作

(内線 2536)

(直通 3595-2421)

医療用医薬品における情報化進捗状況調査について

医療用医薬品のコード表示標準化に関しては、「医療用医薬品へのバーコード表示の実施について」(平成18年9月15日付け薬食安第0915001号)(以下、「通知」という。)により各製造販売業者が適正にバーコード表示を行うよう通知され、これに基づく各企業の取組が進められてきたところである。また、「新医薬品産業ビジョン」のアクションプランにおいては、流通機能の効率化・高度化に向けてIT化・標準化のさらなる推進を促していくこととされている。

今般、日本製薬団体連合会及び日本医薬品卸業連合会の協力により、「医療用医薬品における情報化推進状況調査」が実施され、結果がとりまとめられたので、その概要を以下のとおり公表する。

1.調査方法

平成21年1月に日本製薬団体連合会及び加盟団体が所属の医薬品製造販売業者に調査票を送付し、平成20年9月末時点での新バーコードの表示状況等に関する調査を実施。また、平成21年1月に日本医薬品卸業連合会が所属の医薬品卸売業者に調査票を送付し、平成20年12月末時点でのバーコードの利用状況等に関する調査を実施した。

  製造販売業者 卸売販売業者
送付先企業数 215社 87社
回答企業数 170社* 68社
回収率 79.1% 78.2%

* 有効回答数:157社(回収率73.0%)

2.製造販売業者への調査結果(概要)

(1) 調査は通知における包装形態の単位及び医療用医薬品(体外診断薬を除く。)の種類に応じ、それぞれのアイテム数、JANコード取得数、MEDIS-DCデータベース登録数、新バーコード表示数(商品コード、有効期限、製造番号又は製造記号、数量(元梱包装のみ))について実施した。
ただし、内用薬(生物由来製品を除く。)及び外用薬(生物由来製品を除く。)の調剤包装単位については、通知において「実施時期については別途通知する」とされていることから、今回の調査対象からは除外した。また、元梱包装単位への新バーコード表示については、販売包装単位で取得した商品コードに有効期限、製造番号又は製造記号及び入り数を記載すればよく、別に商品コードを取得する必要がないため、新バーコード表示数についてのみ調査を実施した。

(2) 調剤包装単位では、特定生物由来製品、生物由来製品(特定生物由来製品を除く。)ともにアイテム数に対するJANコード取得割合は100%、MEDIS-DCデータベースへの登録割合は約80%であった。
新バーコード表示については、必須表示項目である商品コードは77%、74%、有効期限、製造番号等については、必須表示項目である特定生物由来製品で77%、任意表示項目である生物由来製品で21%であった。また、注射薬(生物由来製品を除く。)のJANコード取得割合は98%、MEDIS-DCデータベース登録割合は79%、新バーコード表示割合は必須表示の商品コードで76%であるが、任意表示項目である有効期限、製造番号等は11%であった。

(3) 販売包装単位では、いずれの種類においてもアイテム数に対するJANコード取得割合は100%又はほぼ100%、MEDIS-DCデータベース登録割合は最も低い外用薬で73%、最も高い注射薬で85%であった。
新バーコード表示割合は、いずれの種類も必須表示項目である商品コードが65%(外用薬)〜80%(注射薬)、有効期限及び製造番号等については、必須表示項目である特定生物由来製品及び生物由来製品で75%〜77%、任意表示項目となっている注射薬、内用薬、外用薬では3%〜12%であった。

(4) 元梱包装単位における新バーコード表示割合は、商品コード、有効期限、製造番号等、数量の各項目が必須表示となっている特定生物由来製品及び生物由来製品では、いずれの項目においてもほぼ70%以上であった。(生物由来製品の数量のみ69%)
その他の種類では、任意表示項目となっている注射薬が商品コード表示割合15%、有効期限、製造番号等、数量がともに約13%、内用薬が商品コード表示割合15%、有効期限、製造番号等、数量がともに約12%、外用薬が商品コード表示割合7%、有効期限と製造番号等が4%、数量が約6%であった。

3.製造販売業者への調査結果一覧

製造販売業者への調査結果一覧

※1) 各表ともそれぞれの包装形態の単位における医療用医薬品の種類毎のアイテム数に対する割合

※2) 各表とも灰色マスキング箇所は任意表示項目

※3) 今回の調査は平成20年9月末時点での新バーコードの表示状況等であり、平成20年9月末時点でMEDIS-DCデータベースに登録が終了しており、かつ新バーコードが表示されている品目を集計。このため、既に新バーコードを表示していてもMEDIS-DCデータベースに登録が間に合っていない製品は表示がないものとして集計。

※4) MEDIS-DCデータベースに登録している承認品目や承認予定品目であっても、販売中止製品や薬価収載されていない製品などについては表示がないものとして集計。

4.卸売販売業者への調査結果(概要)

(1) 調査は、通知において有効期限、製造番号又は製造記号、数量(元梱包装のみ)が必須表示項目とされている生物由来製品(特定生物由来製品を含む。)について、物流センター及び支店・営業所における販売包装単位、元梱包装単位での新バーコードの利用状況等について実施した。また、物流センター及び支店・営業所におけるバーコードリーダーの台数と、うち新バーコードに対応できるバーコードリーダーの台数について調査した。
さらに参考アンケートとして、次の(2)または(3)の調査において新バーコード以外を利用しており、かつ新バーコードの利用を考えていないと回答した企業を対象に、仮に医療用医薬品の全製品に新バーコードが整備された場合の利用の意識について訊いた。

(2) 物流センターにおける生物由来製品の取扱いについて、販売包装単位の新バーコードを利用していると回答した企業の割合は10%、新バーコード以外を利用していると回答した企業の割合は60%である。
同様に元梱包装単位の新バーコードを利用していると回答した企業の割合は約10%、新バーコード以外を利用していると回答した企業の割合は約50%である。また、いずれかの包装単位で新バーコード以外を利用していると回答した企業の64%が新バーコードの利用について準備中であるとしている。

(3) 支店・営業所における生物由来製品の取扱いについて、販売包装単位の新バーコードを利用していると回答した企業の割合は10%、新バーコード以外を利用していると回答した企業の割合は68%である。
同様に元梱包装単位の新バーコードを利用していると回答した企業の割合は16%、新バーコード以外を利用していると回答した企業の割合は46%である。また、いずれかの包装単位で新バーコード以外を利用していると回答した企業の75%が新バーコードの利用について準備中であるとしている。

(4) 回答企業の物流センターにおけるバーコードリーダーの総数は4,374台(1社平均121.5台)で、うち新バーコードへの対応率は15%、支店・営業所におけるバーコードリーダーの総数は4,375台(1社平均118.2台)で、うち新バーコードへの対応率は20%である。

(5) 参考アンケートについては、全製品の販売包装単位に新バーコードが整備された場合、利用すると回答した企業が18社、利用しないと回答した企業が5社あった。また、全製品の元梱包装単位に新バーコードが整備された場合、利用すると回答した企業が17社、利用しないと回答した企業が5社あった。

5.卸売販売業者への調査結果一覧

卸売販売業者への調査結果一覧

【本調査における用語説明】

○生物由来製品:

薬事法第2条第9項に規定する「生物由来製品」であって、同法第2条第1項に規定する「医薬品」に該当する物を指す。但し、体外診断用医薬品及び特定生物由来製品を除く。

○特定生物由来製品:

薬事法第2条第10項に規定する「特定生物由来製品」であって、同法第2条第1項に規定する「医薬品」に該当する物を指す。但し、体外診断用医薬品を除く。

○JANコード:

国コード、企業コード、商品番号から構成される商品識別コードであり、1978年に我が国流通業界の共通商品コードバーコードシンボルとしてJIS規格化されたもので(JIS-X-0501)、GS1(旧国際EAN協会)が規格化したEANと互換性がある。

本コードは、世界規模で情報識別ができるように日本の国コードとして“45”と“49”が決められている。

通知では、商品コードとしてJANコードを使うよう規定されている。

○MEDIS−DCデータベース:

(財)医療情報システム開発センターで運営している医薬品製品情報コードデータベースのことであり、標準医薬品マスター(HOT番号)、JAN商品コード、商品名称、規格、販売業者名等、取扱製品のデータを登録し、公開しているものである。

詳細についてはホームページhttp://www.medis.or.jpを参照。

○新バーコード:

通知により規定されているGS1コード体系に基づくバーコードシンボル(UCC/EAN-128,RSS Limited,RSS-14 など)を指す。 固定情報(商品コード)に付帯して可変情報(有効期限/使用期限、数量、ロットナンバー等)を表現できる国際標準規格の体系を以て表示されたバーコードである。

○アイテム数

各包装形態の単位及び医療用医薬品の種類毎に、その中で異なる商品コードを付すべき商品の数。

例えば販売包装単位の内用薬において、同一製剤のPTPシート10シート入り販売品とPTPシート50シート入り販売品は別アイテムとして計上する。


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