平成20年11月14日 《照会先》 厚生労働省健康局生活衛生課 久保田・小嶋 代表:03-5253-1111(内線2433・2439) 直通:03-3595-2301 |
産業活力再生特別措置法に基づく「経営資源再活用計画」の認定について
厚生労働省は、産業活力再生特別措置法に基づき、株式会社蓬莱から提出された「経営資源再活用計画」を認定した。 |
1認定制度の概要
産業活力再生特別措置法は、我が国に存する経営資源の効率的な活用を通じて生産性の向上を実現するため、事業者が実施する事業再構築を円滑化するための措置等及び新事業の開拓を支援するための措置を講じ、我が国産業の活力の再生を速やかに実現することを目的としている。
同法に基づき、事業者が事業計画(当該事例においては、「経営資源再活用計画」)を作成し、主務大臣(その事業を所管する大臣として厚生労働大臣)の認定を受けた場合に、登録免許税の軽減などの税制の特例、会社法の特例(手続の簡素化)等の利用が可能となる制度である。
2認定企業の概要
(1)企業名等
株式会社蓬莱
(取締役中尾武志)
(2)事業計画の種類及び概要
・事業計画の種類:「経営資源再活用計画」
・事業計画の概要
株式会社蓬莱は事業譲受会社であり、株式会社蓬莱旅館と事業譲渡契約を締結し、旅館・ホテル・レストラン事業を譲り受け、出資会社の経営ノウハウやネットワークを活用し、設備の更新、新たな販路の開拓、人事システムや組織体制の刷新等抜本的な改革に取り組み、収益力の向上及び新たな需要を拡大し、事業価値の向上を図ることとしている。
○株式会社蓬莱の概要 所在地:東京都中央区八丁堀二丁目14番4号 代表者:取締役中尾武志 設立日:平成20年9月19日 資本金:10百万円 事業内容:旅館、ホテル、レストラン事業 |
認定経営資源再活用計画の内容の公表
1認定した年月日平成20年11月14日
2認定事業者名株式会社蓬莱
3認定経営資源再活用計画の目標
(1)経営資源再活用に係る事業の目標
株式会社蓬莱は株式会社星野リゾートが出資する事業譲受会社であり、株式会社蓬莱旅館の旅館・ホテル・レストラン事業を取得することで、同社の経営資源を効率的に活用する。
蓬莱旅館は、江戸時代から続く老舗旅館であり、設備、料理及びサービスに対する顧客評価は高く、現在でも顧客平均単価は50千円の水準を維持しており、マスコミ等の評価でも熱海はもちろん日本を代表する高級旅館であるといわれている。
しかし、昭和62年のバブル期にホテル棟を建設等したが、建設資金のほとんどを金融機関から調達したため事業の余力が乏しく、開業当初から稼働率が低迷し、大幅赤字を計上した結果、堅調な旅館事業をも圧迫し経営が悪化するに至っている。一旦、不採算のホテルを閉鎖し、旅館を中心として経営の建て直しを模索するも、返済負担が重く、再度、現金収入の増加を目指してオープンしたが、稼働率が低迷し、依然として大幅な債務超過に陥っている。
そこでこの度、株式会社蓬莱は株式会社蓬莱旅館と事業譲渡契約を締結し、旅館・ホテル・レストラン事業を譲り受け、出資会社の経営ノウハウやネットワークを活用し、老朽化した空調や客室等の設備を更新、新たな販路の開拓、人事システムや組織体制の刷新等抜本的な改革に取り組むことにより、収益力の向上や新たな需要を拡大し、事業価値の更なる向上を目指す。
(2)生産性及び財務の健全性の向上を示す数値目標
平成23年7月期決算時には平成20年7月期決算に比べ、従業員一人当たり付加価値額を24%向上させることを目標とする。
財務内容の健全性の向上を示す数値目標としては、平成23年7月において有利子負債はキャッシュフローの7.0倍を予定しており、経常収入は経常支出を上回る(経常収支比率は120.4%)ことを予定している。
4認定経営資源再活用の内容
(1)経営資源再活用に係る事業の内容
[1]他の事業者から承継する事業
株式会社蓬莱旅館の旅館、ホテル、レストラン事業
[2]選定理由
株式会社蓬莱旅館は江戸時代に当地にて開業し、昭和31年に現代表が就任後、和風高級旅館としてのイメージ定着化を図り、ブランド価値を高める戦略を採ってきた。その後、次第に高級旅館として広く認知されるに至り、現在でも、現代表(女将)の指導の下で培われた「きめ細かいサービス」「いきとどいたサービス」は高い評価を得ている。
一方、日本の観光業のトレンドを見ると、国内需要は伸び悩むも、海外、特に中国・台湾等の外国人富裕層を中心に高級旅館への宿泊ニーズがあり、出資会社は海外からのインバウンド需要の取り込みノウハウを保有しており、また、旅館・ホテル運営についても、過去経営が行き詰った日本各地の名旅館・ホテル等の再生で実績を残している。
出資会社のノウハウ及びネットワークを活用して、組織体制の抜本的改革を行うとともに、老朽化した空調や客室等の設備を更新し、食のバラエティ(選択肢)を増やすプランの提供等、新商品の積極的な開発や販路開拓等を実施することにより、事業価値の向上を図ることが可能であると判断し、蓬莱旅館の事業を購入先として選定した。
[3]経営資源の有効活用の方策
ア事業の譲受け
株式会社蓬莱は、平成20年11月19日を目途に、株式会社蓬莱旅館の旅館、ホテル、レストラン事業を運営するために必要な固定資産及び棚卸資産等の承継を受ける。
イ出資
出資会社の出資比率は100%とし、当該社は出資金及び金融機関借入等を事業譲受代金に充当し、事業用不動産を取得する。
ウ事業革新
当該社は、事業革新の指標として、販売費及び一般管理費を平成23年7月期には平成20年7月期決算と比べ85%まで改善することを目標とする。
蓬莱旅館の実績エージェント手数料は売上高比3.3%であるが、当該社の市場における競争力及び対エージェント交渉力を駆使して計画2期目より対売上高比率を2.9%までに削減する。
更に魅力的な施設を維持するための修繕関係費用及び集客率アップのための広告宣伝費は売上高増強のために必要不可欠な費用であることから現状と比べ増額させる計画である。
一方、従業員の多能化やシフト見直し等により人員配置の適正化を進めることで外注人件費の削減を計画している。
上記の施策の結果、販管費率を約70%で推移させる計画である。
エ既存事業の収益力強化
収益力改善のためには、稼働率の改善が急務であると考え、出資会社が持つマーケティングノウハウを用い、これを強化することで稼働率を改善するとともに、適切な設備投資計画を実施し、宿泊単価の維持を図り、売上高の増強を計画している。
また、運営方針として、「最上の日本の美意識、もてなし、を世界に発信する旅館」をコンセプトに、現在の女将を引き続き雇用し、既存顧客の維持とブランドイメージの継続を行う。今まで培ってきた顧客サービス重視の姿勢を維持しつつも、常にトップクラスの最高級リゾートを目指す。
(2)経営資源再活用を行う場所の住所
旅館:静岡県熱海市伊豆山750番6
ホテル・レストラン:静岡県熱海市伊豆山750番6
(3)経営資源再活用を実施するための措置の内容
別表のとおり
(4)経営資源再活用の実施時期
経営資源再活用の開始時期及び終了時期
開始時期:平成20年11月
終了時期:平成23年7月
5経営資源再活用に伴う労務に関する事項
(1)経営資源再活用の開始時期の従業員数
株式会社蓬莱0名(代表者を除く)
株式会社蓬莱旅館33名
(2)経営資源再活用の終了時期の従業員数(平成23年7月末)
株式会社蓬莱33名(代表者を除く)
(3)経営資源再活用に充てる予定の従業員数
33名(代表者を除く)
(4)(3)中、新規に採用される従業員数
0名(代表者を除く)
(5)経営資源再活用に伴い出向または解雇される従業員数
出向予定人員数なし
転籍予定人員数なし
解雇予定人員数なし
別表
1.経営資源再活用の措置の内容
措置事項 | 実施する措置の内容及びその実施する時期 | 期待する支援措置 | |
他の事業者からの事業の承継 | |||
事業の譲受け |
当社は蓬莱旅館から旅館・ホテル・レストラン事業の事業を譲り受ける。 (1)譲渡会社 名称:株式会社蓬莱旅館 住所:静岡県熱海市伊豆山750番6 代表者:代表取締役古谷淑江 資本金:10百万円 (2)譲受会社 名称:株式会社蓬莱 住所:東京都中央区八丁堀2丁目14番4号 代表者:取締役中尾武志 資本金:10百万円 (3)譲受資産の内容 旅館・ホテル・レストラン事業を行うために必要な固定資産及び棚卸資産 簿価214,191千円 (4)事業譲渡期日 平成20年11月19日(予定) (5)事業譲渡代金 約6億円(予定) |
租税特別措置法第80条1項4号(認定事業再構築計画等に基づき行う登記の税率の軽減) 地方税法附則第11条の4(不動産取得税の減額等) |
2.任意的記載事項の内容
措置事項 | 実施する措置の内容及びその実施する時期 | 期待する支援措置 |
資本の相当程度の増加 |
(1)増資前の資本金:10百万円 (2)増加する資本金:90百万円 (3)増資の方法:星野リゾートからの出資 (4)増資の時期:平成21年4月30日(予定) |
租税特別措置法第80条1項1号(認定事業再構築計画等に基づき行う登記の税率の軽減) 法第19条(株式の発行等に係る現物出資の調査に関する特例) |