厚生労働省

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厚生労働省発表

平成20年10月 6 日

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照会先  老健局計画課

認知症・虐待防止対策推進室

室長 井内 雅明

室長補佐 山本  亨

課長補佐 土岐 敦史

電話03-5253-1111 内線3966,3868

03-3595-2168(直通)


平成19年度 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等
に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果

【調査目的】

平成19年度に、全国の市町村等において、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づき行われた、高齢者虐待についての対応状況等を把握するため、昨年度に引き続き、全市町村(特別区を含む。19年度末1,816団体)及び都道府県を対象とした調査を実施した。

【調査結果】

1.概要

市町村の高齢者虐待防止に係る体制整備は、調査対象13項目全てで昨年度より実施率が上昇しており、法施行2年目を迎え、取組みが進みつつある。(図1)

・このうち、相談・通報窓口の設置及び周知は、ほぼ全ての市町村で実施済みとなったほか、住民等への高齢者虐待防止についての啓発活動も実施市町村数が大きく増えた。

・高齢者虐待防止法についての理解が進んだことにより、市町村等への相談・通報件数は、養介護施設従事者等(※1)による高齢者虐待、養護者(※2)による高齢者虐待ともに増加した。これに伴い、虐待が認められ、市町村等による対応が行われた件数も増加した。(表1)

※1 介護老人福祉施設など養介護施設又は居宅サービス事業など養介護事業の業務に従事する者

※2 高齢者の世話をしている家族、親族、同居人等

・虐待が認められた事例では、虐待の類型、虐待を受けた者の性別、年齢、要介護度、認知症の程度などの状況について、昨年度とほぼ同様の傾向が見られた。

・具体的な状況は以下のとおり。

2.養介護施設従事者等による高齢者虐待   (括弧内は添付資料:調査結果のページ数)

・平成19年度に相談・通報のあった件数は、379件であり、前年度より106件(38.8%)増加した。(2P)

・相談・通報者は、「当該施設職員」が26.1%で最も多く、次いで「親族」25.6%であった。(2P)

・市町村又は都道府県が事実確認調査を行い、虐待の事実が認められた事例は、62件であり、前年度より8件(14.8%)増加した。(2〜4P)

・虐待の事実が認められた事例における施設種別は、「認知症対応型共同生活介護」30.6%、「特別養護老人ホーム」27.4%、「介護老人保健施設」14.5%の順であった。(5P)

・虐待の種別・類型では、「身体的虐待」が最も多く77.4%、次いで「心理的虐待」30.6%、「介護等放棄」16.1%であった(重複あり)。(5P)

・被虐待高齢者は、女性が8割を占め、年齢は80歳台が約4割であった。要介護度は3以上が約8割を占めた。(5〜6P)

・虐待者は、40歳未満が4割、職種は「介護職員」が8割を超える。(6〜7P)

・虐待事例への市町村等の対応は、施設等への指導、改善計画の提出のほか、法の規定に基づく改善勧告、改善命令、指定取消等が行われた。(7P)

3.養護者による高齢者虐待

・平成19年度に相談・通報のあった件数は、19,971件であり、前年度より1,581件(8.6%)増加した。(8P)

・相談・通報者は、「介護支援専門員等」が42.1%で最も多く、次いで「家族親族」12.8%、「被虐待者本人」12.6%であった。(8P)

・これら通報・相談に対する市町村の事実確認調査は「訪問調査」が59.8%、「関係者からの情報収集」31.7%、「立入調査」1.0% により実施された。(8〜9P)

・調査の結果、虐待を受けた又は受けたと判断された事例は、13,273件であり、前年度より704件(5.6%)増加した。(9P)

・虐待の種別・類型では、「身体的虐待」が63.7%で最も多く、次いで「心理的虐待」38.3%、「介護等放棄」28.0%、「経済的虐待」25.8%であった(重複あり)。(9P)

・被虐待高齢者は、女性が約8割、年齢は80歳台が約4割であった、要介護認定の状況は認定済みが約7割であり、要介護認定を受けた者を要介護度別に見ると、要介護3が21.2%、要介護2が18.8%の順であった。また、認知症日常生活自立度II以上の者は、被虐待高齢者全体の44.5%を占めた。(10〜11P)

・虐待者との同居の有無では、同居が8割以上、世帯構成は「未婚の子と同一世帯」が34.5%で最も多く、既婚の子を合わせると6割以上が子と同一世帯であった。続柄では、「息子」が40.6%で最も多く、次いで「夫」15.8%、「娘」15.0%であった。(11〜12P)

・虐待事例への市町村の対応は、「被虐待高齢者の保護と虐待者からの分離」が3割強の事例で行われた。分離を行った事例では、「介護保険サービスの利用」が38.2%で最も多く、次いで「医療機関への一時入院」が21.0%であった。分離していない事例では、「養護者に対する助言指導」が48.6%で最も多く、次いで「ケアプランの見直し」28.4%であった。(12〜13P)

・権利擁護に関しては、成年後見制度の「利用開始済み」が204件、「手続き中」が188件であり、うち市町村長申立は133件であった。(13P)

・市町村で把握している平成19年度の虐待等による死亡事例は、「養護者による殺人」13件、「介護放棄による致死」7件、「心中」4件、「虐待による致死」3件で、合わせて27人であった。(13P)

4.市町村における高齢者虐待防止対応のための体制整備等について

・項目ごとの実施率では、「高齢者虐待の対応の窓口となる部局の設置」が99.9%、「高齢者虐待の対応の窓口となる部局の住民への周知」が98.5%とほとんどの市町村で実施済みとなっている。一方、「関係専門機関介入支援ネットワークの構築への取組」37.3%、「保健医療福祉サービス介入支援ネットワークの構築への取組」38.5%などの項目についての実施率が低かった。(14P)

【その他】

調査結果は、近く開催する予定の都道府県担当課長会議において周知するとともに、今後の高齢者虐待防止において留意すべき点について、通知を発出し、あわせて虐待防止に向けた取組の一層の強化を求めることとしている。

また、会議においては、専門研究機関の作成した「養介護施設従事者等による高齢者虐待防止のための事例集(※)」を配布の上解説するなど、高齢者虐待の防止に向けた具体的な助言も行う予定である。

※事例集について

・作成者:認知症介護研究・研修仙台センター、東京センター、大府センター
(厚生労働省補助事業(老人保健健康増進等事業補助金))

・内 容:(1)養介護施設従事者等による高齢者虐待の考え方
(2)養介護施設・事業所における高齢者虐待防止のための課題と対策
(3)養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止・対応事例
(4)Q&A 高齢者虐待に該当する具体的な行為について

【添付資料】

調査結果全文(PDF:414KB)

【図表】

図1 市町村における体制整備等に関する状況

表1 相談・通報件数、虐待判断件数

  養介護施設従事者等によるもの 養護者によるもの
相談・通報件数 虐待判断件数 相談・通報件数 虐待判断件数
19年度 379件 62件 19,971件 13,273件
18年度 273件 54件 18,390件 12,569件
増減
(増減率)
106件
(38.8%)
8件
(14.8%)
1,581件
(8.6%)
704件
(5.6%)

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