(問い合わせ先)
政策統括官付政策評価官室
 古瀬(内7773)、宮崎(内7782)、
 乃村(内7784)


平成16年度に社会保険庁が達成すべき目標についての評価


 本評価は、中央省庁等改革基本法(平成10年法律第103号)第16条第6項第2号及び「社会保険庁の事務の実施基準及び準則」(平成13年3月30日付け厚生労働省発政第93号厚生労働事務次官依命通達)の規定に基づき、「平成16年度において社会保険庁が達成すべき目標について」(平成16年1月30日付け厚生労働省発政第0130001号通知)において示された各目標に対する社会保険庁の取組状況について、社会保険庁長官より当職あて行われた「平成16年度に社会保険庁が達成すべき目標に係る実績報告について」(平成17年8月25日庁文発第0825016号通知)に対し、厚生労働省本省として達成状況に係る評価を行い、今後の課題等を示すものである。
 すなわち、本評価の趣旨は、当職が設定した平成16年度において社会保険庁が達成すべき目標について、その実績を評価することにより、社会保険庁の事務の適正な実施を担保することにある。
 当職が設定した平成16年度において社会保険庁が達成すべき目標(21項目)についての実績報告、並びにこれに対する評価及び今後の課題等は、別紙のとおりである。  社会保険庁をめぐっては、平成16年度において、不祥事や国民の疑惑を招く事態が頻発し、国民の視点に立っていないサービス、予算執行の無駄、非効率な業務運営、保険料徴収の不徹底、内部統制の不足、個人情報の不適切な取扱いといった様々な問題が指摘され、国民から厳しい批判や解体的出直しを求める声が出されている。
 このような事態は、社会保険行政に対する国民の信頼を大きく損なったという点で誠に遺憾であり、社会保険庁の業務改革と組織改革の双方を抜本的に図っていくことが必要である。
 このため、平成16年度においては、業務改革について、民間出身の長官を先頭に、
 国民のニーズに的確に対応したサービスの提供など、国民サービスの向上、
 負担能力に応じた公平な保険料負担の徹底など、保険料徴収の徹底
を進めるとともに、
 競争入札又は企画競争の原則化など、予算執行の透明性の確保、
 個人情報へのアクセス制限など、個人情報保護等の徹底、
 人員配置の見直し計画の策定など、組織内部の改革
に取り組んできたところであるが、その着実な実現を図らなければならない。また、併せて、幅広い有識者等による意見を踏まえ、人事評価制度の導入や組織の在り方の抜本的な改革を断行していくこととしている。
 今後とも、社会保険庁は、社会保険事業に対する国民の信頼を回復し、その事業と新しい組織に対する国民の理解が得られるよう、社会保険新組織の実現に向けた有識者会議、社会保険事業運営評議会、その他関係各方面の意見も踏まえつつ、「緊急対応プログラム」(平成16年11月26日)、「業務改革プログラム〜セカンドステージにおける改革の取組〜」(平成17年9月27日)等に基づく取組みの推進に最善を尽くしていく必要がある。


目標
1.適用事務に関する事項
(1)政府管掌健康保険事業・船員保険事業・厚生年金保険事業の適用対象事業所(船舶所有者を含む。)の適正な把握に努め、適用を促進すること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
巡回事業所数 事業所 30,115 31,508 37,178 32,428 48,765
目標に係る主な取組み及び実績
 政府管掌健康保険及び厚生年金保険の未適用事業所の把握及び適用の促進については、制度の適正な運営及び費用負担の公平性を図るため、「政府管掌健康保険及び厚生年金保険の未適用事業所に対する適用促進について」(平成14年9月26日庁文発第2086号)等の通知に基づき実施してきたところであるが、平成16年7月に当該通知を廃止し、これまでの取組に加え、新たに呼出や戸別訪問等による加入指導を行うこととした「政府管掌健康保険及び厚生年金保険の未適用事業所に対する適用促進について」(平成16年7月12日庁文発第0712001号)等の通知を発出し、実施した。
 具体的には、法務局で閲覧する商業登記申請書や法人登記申請書の情報、厚生年金保険と雇用保険の適用事業所に関するデータを突合した情報等を活用して、引き続き未適用事業所の適正な把握に努めた。
 これら未適用事業所に対しては、電話、文書(勧奨状)、職員や社会保険労務士による巡回説明等により、適用勧奨に努めたところであり、巡回説明事業所数は、昨年度に比べ増加した。
 さらに、呼出による加入指導(原則として5人以上の事業所、16年度実績 4,171件)、戸別訪問等による重点的な加入指導(原則として20人以上の事業所、16年度実績 3,513件)を実施した。
 その他の取組として、地方運輸局等からの貨物自動車運送業者の社会保険の加入状況にかかる情報の提供時期(四半期毎→毎月)等の見直しを行い、未適用事業所の適正な把握及び加入指導等に努めた。
 これらの取組と経済環境の改善とにより、新規適用事業所数が全喪事業所数を上回り、適用事業所数は昨年度に比べ増加した。
 なお、全喪事業所数については、平成15年度から全喪届を法令上位置づけるとともに、適用事業所に該当しなくなったことを証する書類の添付を義務づけたこと、また、平成16年9月には、全喪届に係る事務処理の適正化を図るため、全喪届の総点検を実施したこと等の取組により、昨年度に引き続き減少した。
 しかしながら、事業主の制度に対する理解不足等の影響から、加入勧奨にもかかわらず、適用されない事例が今年度も見受けられたことから、引き続き巡回説明及び戸別訪問等による適用加入勧奨及び加入指導により事業主等の理解を求め、未適用事業所に対する適用の適正化に努めていくこととしている。
 さらに、戸別訪問等による加入指導後においても加入手続が行われない一定規模以上の事業所については、最終的な適用方策として、立入検査等を実施し職権による被保険者資格の取得の確認を行うこととし、平成17年3月に地方社会保険事務局長あて通知した(平成17年3月25日庁文発第0325004号)。
 船員保険の適用の適正化については、「船員保険の適用の適正化について」(平成16年12月8日庁保険発第1208001号)等の通知を発出し、実施している。
具体的には、地方運輸局等において、雇入契約公認審査の際に船員保険の適用を確認し、 船員保険への加入が確認できない場合の通報、船員労務官からの通報及び船員法適用船舶所有者名簿の閲覧等により、適用対象船舶所有者等を把握し、適用指導の実施に努めた。

(注)適用促進の手順
 (1)未適用事業所の把握
 (2)文書による加入指導
 (3)巡回説明(社会保険労務士等による適用促進の趣旨や保険制度の説明)
 (4)呼出による加入指導(原則として5人以上の事業所) ┐
  >
 ┘
 →平成16年度から新たに実施
 (5)戸別訪問による加入指導(原則として20人以上の事業所)
(重点的な加入指導として、職員等により実施)
 (6)立入検査等による職権適用(一定規模以上の事業所) →平成17年度から新たに実施
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて進展があった。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価及び所見)
1.取組みの改善
従来の未適用事業所の把握及び適用の促進に係る取組みに加え、上記平成16年7月12日付通知に基づき、呼出、戸別訪問等による加入指導の徹底といった適用対策の強化が図られた。
また、戸別訪問等による加入指導後も加入手続が行われない一定規模以上の事業所については、平成17年度より職権適用を行うこととする等、実際に加入に結びつける上での実効性を担保するための取組みが着手された。
2.取組みと効果の分析
実績としては、年度末現在の適用事業所数が前年度に比べ増加しているが、これについては、巡回説明事業所数を増加させたこと等の加入指導の効果が見られたことや、経済環境の変動による事業所の自然増等が主な要因として考えられる。
今後の課題等
 平成17年3月25日付通知に基づく未適用事業所の把握、加入指導等の取組みを推進する必要がある。
 平成17年3月25日付通知及び緊急対応プログラムに基づく、職権適用の実施等の適用促進の取組みを的確に推進していく必要がある。
 適用促進に係る事務については、いわゆる「市場化テスト」のモデル事業とされていることから、当該モデル事業の結果も踏まえた、効率的な事務の在り方を検証していく必要がある。


目標
1.適用事務に関する事項
(2)政府管掌健康保険事業・船員保険事業・厚生年金保険事業の事業主(船舶所有者を含む。)等に対し、適正な届出の励行を促進すること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
説明会開催件数     3,967 3,796 4,450
調査官総合調査件数 事業所 361,049 344,175 329,570 307,570 329,464
目標に係る主な取組み及び実績
 適正届出の励行促進については、総合調査の際の事業主に対する指導の実施、事業主を対象とした新規適用事業所説明会、算定基礎説明会などにおいて徹底を図るとともに、定時決定時の調査(船員保険においては、標準報酬実態調査での実施)及び各種広報媒体(チラシ・パンフレットの配布及び各種広報誌での説明)による制度の周知を図り、適正な届出の励行に努めた。
 特に、事業主の利便性の向上及び負担の軽減を図る観点から、インターネットによる届出や電子媒体による届出を促進するとともに、適正な届出の励行に努めた。
 しかしながら、制度に対する理解が得られない事業主より、適正な届出がなされていない事例が今年度も見受けられたことから、引き続き各種説明会の開催及び各種広報媒体による制度の周知を図ることにより適正な届出の励行に努めていくこととしている。
 平成16年度において、社会保険調査官が行う総合調査については、過去の調査実績等から届出が適正に行われていないと判断される事業所や短時間就労者が多い事業所を重点に実施したことから、総合調査件数は前年度と比較して増加した。また、説明会開催数については、新規適用事業所が増えたこともあり、開催回数は昨年より上回った。
 また、平成15年度から、総報酬制導入に伴い、事業主が賞与に支払いの都度、被保険者毎の賞与額等を届け出る制度となったが、賞与支払届の提出については、適正な届出の励行を促進した。

(注)総合調査……適用事業所における被保険者の資格取得、喪失及び報酬等の届出状況、療養の給付の実態又はその他の保険給付に係る事実並びに被扶養者その他関係者について、社会保険調査官が総合的に行う調査をいう。

達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて進展があった。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価及び所見)
1.取組みの改善
適正届出の励行促進については、前年度と同様の取組みが実施されている。
2.取組みと効果の分析
社会保険調査官が行う総合調査については、平成15年度と同様、対象とする事業所の重点化を行っているが、平成15年度の調査実績が平成14年度実績を下回っていたものの、平成16年実績については、平成14年度の実績とほぼ同様の水準にまで増加する結果となった。これについては、各社会保険事務所において調査官総合調査計画数を増加し、積極的な取組みが行われたためである。
今後の課題等
 引き続き、調査の重点的・効率的実施等を推進することにより、適正届出の励行を促進していくことが必要である。
 引き続き、総合調査については、重点的な実施を図りつつ、十分な件数の調査を行う必要がある。


目標
1.適用事務に関する事項
(3)政府管掌健康保険事業・船員保険事業・厚生年金保険事業の事業主(船舶所有者を含む。)に対する調査を効果的に実施し、被保険者資格、被扶養者、標準報酬月額及び標準賞与額を適正に把握すること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
定時決定時調査件数 事業所 721,480 715,057 671,798 498,922 392,027
調査官総合調査件数 事業所 361,049 344,175 329,570 307,570 329,464
目標に係る主な取組み及び実績
 被保険者等の資格及び標準報酬の適正な把握については、「社会保険調査官の設置について」(昭和39年5月19日庁保発第19号)等の通知に基づき実施しており、定時決定時の調査(船員保険においては、標準報酬実態調査での実施)、総合調査や賞与支払届の適正化調査等を実施し、適正な把握に努めた。
 具体的には、派遣労働者、高齢就労者、短時間就労者、外国人就労者等を多く使用し特に適正な届出指導が必要と思われる事業所を重点的に調査したほか、賞与支払届を提出しない事業主に対する調査の実施について事業主に対する調査を効率的に行い適正な届出の指導に努めた。
 定時決定時の調査については、電子媒体による届出が進んだことや、効率的かつ効果的な調査を行うため平成15年度から調査対象を事務手続きが不慣れと思われる事業所等にしぼり実施することとしたことから、調査件数は前年度と比較して減少し、効率化・重点化が進んだ。
 社会保険調査官による総合調査の件数については、その対象を過去の調査実績等から届出が適正に行われていないと判断される事業所や短時間就労者が多い事業所等に重点化したうえで、積極的に取り組んだことから、調査件数は前年度と比較して増加した。

(備考)
総合調査……適用事業所における被保険者の資格取得、喪失及び報酬等の届出状況、療養の給付の実態又はその他の保険給付に係る事実並びに被扶養者その他関係者について社会保険調査官が総合的に行う調査をいう。
定時決定時調査…各社会保険事務所等において、定時決定が適正に行われるよう、算定基礎届を受け付けるに際して行われる調査をいう。
定時決定……被保険者が実際に受ける報酬と、標準報酬が大きくかけ離れないように、毎年7月1日現在の全被保険者について、その年の4月、5月、6月に支給された報酬を届け出る必要がある。この届出(算定基礎届)は、毎年1回保険料や保険給付の額の基礎となる標準報酬月額を決め直すもの。
 決め直された標準報酬月額は、当年9月から翌年8月まで使用される。
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて進展があった。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価及び所見)
1.取組みの改善
被保険者等の資格及び標準報酬の適正な把握については、前年度と同様の取組みが実施されている。
2.取組みと効果の分析
社会保険調査官が行う総合調査については、平成15年度と同様、対象とする事業所の重点化を行っているが、平成15年度の調査実績が平成14年度実績を下回っていたものの、平成16年実績については、平成14年度の実績とほぼ同様の水準にまで増加する結果となった。これについては、各社会保険事務所において調査官総合調査計画数を増加し、積極的な取組みが行われたためである。
定時決定時調査については、重点化が図られているところであり、調査対象を事務手続きが不慣れな事業所等に絞ったことにより調査件数が減少したことは、調査における効率化・重点化が進められたものといえる。
今後の課題等
 引き続き、調査の重点的・効率的実施等を推進することにより、被保険者等の資格及び標準報酬の適正な把握を促進していく必要がある。
 引き続き、総合調査については、重点的な実施を図りつつ、十分な件数の調査を行う必要がある。


目標
1.適用事務に関する事項
(4)国民年金の20歳到達者の把握及び20歳到達者の完全適用により未加入者の解消を図ること。
(数値目標)
20歳到達者の完全適用
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
20歳到達者の適用率     100 100 100
届出による20歳到達者の適用数 866,726 830,683 603,650 646,259 657,256
20歳到達者の適用数 476,977 464,288 663,259 671,252 630,674
目標に係る主な取組み及び実績
 国民年金の20歳到達者の把握及び20歳到達者の完全適用については、「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律等の一部の施行に伴う国民年金事務の取扱いについて(通知)」(平成14年1月28日庁保険発第2号)及び「行政手続き等における情報通信の技術の利用に関する法律等の施行に伴う20歳到達者に対する適用勧奨にかかる事務の取扱いについて(通知)」(平成15年3月7日庁保険発第589号)に基づき実施しており、国民年金事業の適正な運営を図るとともに、国民の年金権を確保するため20歳到達者の完全適用に努めた。
 具体的には、住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)から取得した20歳到達者情報(住基ネットに参加していない市町村については、市町村が保有する20歳到達者情報)及び市町村の協力により得られた在日外国人に係る20歳到達者情報と社会保険庁で保有する第二号被保険者情報を突合し、第一号被保険者となる者を把握した。把握した者については、文書による加入勧奨を行い、加入勧奨によっても届出のない者については、制度の趣旨に則り年金手帳を作成のうえ、直接送付し、又は戸別訪問により職員が持参し、国民年金制度の意義・役割を説明し、制度に対する理解を求めることにより、完全適用を行った。
 なお、20歳到達者のうち自主的な届出により適用した65万7千人の保険料納付率は77.4%であったが、届出がないため職権により適用した63万1千人の保険料納付率は27.7%にとどまっている。
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標を達成した。
(数値目標の達成状況)
20歳到達者の適用率については100%となっており、完全適用を達成している。
(評価及び所見)
1.取組みの改善
前年度と同様、20歳到達者情報の把握に当たって住基ネット等を活用し、文書による加入勧奨を行い、また、届出のない者については職権適用を行う等、着実な取組みにより、20歳到達者の把握及び完全適用という目標そのものは達成できたものと評価できる。
2.取組みと効果の分析
適用そのものについては、住基ネットの活用、職権適用の実施等により、社会保険庁にて把握した20歳到達者に対して、順調な成果を上げている。
今後の課題等
 引き続き、住基ネット等の活用により、20歳到達者の把握のための取組みを推進する必要がある。


目標
1.適用事務に関する事項
(5)国民年金の被保険者種別変更の届書等の適正な届出及び早期提出について、被保険者等に的確に周知するとともに、届出の励行を促進すること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
各種届出の届出遅れに
係る勧奨状送付件数


4,933,656

4,905,391

4,555,662

4,233,039

4,009,651
目標に係る主な取組み及び実績
 被保険者種別変更の届書等に係る適正な届出及び早期提出の周知については、「国民年金事業の推進について(通知)」(平成6年3月31日庁文発第1411号)等の通知に基づき実施しており、政管健保・厚年の新規適用事業所説明会、算定基礎届説明会などを活用し、種別変更届及び第三号被保険者に係る届出の周知について事業主の協力を求め、事業所向け広報誌の従業員への回覧や退職時のチラシ・パンフレットの配布などにより、第二号被保険者及び第三号被保険者への適正な届出及び早期提出の周知に努めた。
 また、平成16年10月より、公共職業安定所との連携により、雇用保険受給者説明会における種別変更の届出周知や届出用紙の配付等を開始したほか、平成16年度においては、国民年金事務指導員による電話、戸別訪問等での届出励行や、国民年金委員を活用した地域住民への届出等の広報を行った。
 更に、第二号被保険者の資格を喪失した者及びその者に扶養されていた配偶者、並びに政管健保の被扶養者に該当しなくなった第三号被保険者に対し、一定期間経過しても種別変更の届出がない場合には、届出勧奨状を送付し、届出の励行に努めた。なお、平成17年8月より、届出の勧奨を行ってもなお届出がされない場合には、職権で第一号被保険者として種別変更を行っている。
 また、「国民年金の第三号被保険者に係る種別変更の届出の適正化」については、平成16年度においては、第三号被保険者に対して、その届出方法及び届出義務等について、事業主等を通じリーフレット等の配付による広報を行ったほか、第二号被保険者が退職される際に、その配偶者である第三号被保険者も種別変更が必要であることを事業主等から周知するように協力を求めた。
 さらに平成17年度においては、次の対策の実施について検討を進めている。
(1) 国民年金の被保険者資格喪失後、一定期間を経過しても厚生年金等への加入の届出がない者に対する通知
(2) 国民健康保険加入者の情報を活用した未加入者の把握及び届出の励行
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて着実な取組みがみられた。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価及び所見)
1.取組みの改善
緊急対応プログラムに基づき、公共職業安定所との連携による種別変更の手続きについての周知が図られている。
その他、職権適用の実施、国民年金の被保険者資格喪失後一定期間を経過しても厚生年金への加入届出がない者に対する通知といった取組みについては、平成17年度中の実施に向けた準備が進められている。
2.取組みと効果の分析
各種届出の届出遅れに係る勧奨状の送付件数については、例年減少してきているところであり、届出勧奨状の送付、制度の周知を推進した効果が着実に現れているものと考えられる。
今後の課題等
 引き続き、緊急対応プログラムに基づき、公共職業安定所等との連携による種別変更の届出に関する周知を推進する必要がある。
 また、緊急対応プログラムに基づき、平成17年度中に実施することとしている
(1) 国民年金の被保険者資格喪失後に一定期間を経過しても厚生年金等への加入の届出がない者に対する通知、
(2) 国民健康保険加入者の情報を活用した未加入者の把握及び届出の励行
等の取組みについては、適正な実施を図り、着実に推進していく必要がある。


目標
1.適用事務に関する事項
(6)年金に関する被保険者記録について、各種届出に基づき、基礎年金番号により正確に管理すること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
年金手帳記号番号の調査のため
の照会票の送付件数


2,701,591

3,902,863

3,343,119

666,317

1,667,352
照会票送付件数のうち、回答票
を受付した件数


1,802,802

2,672,625

1,685,857

348,590

662,733
目標に係る主な取組み及び実績
 基礎年金番号による被保険者記録の正確な管理については、「基礎年金番号の実施事務の取扱いについて」(平成8年10月18日庁文発第3151号)等の通知に基づき実施しており、(1)基礎年金番号による適正な届出の周知、(2)基礎年金番号の適正な払出、(3)複数の年金手帳記号番号の計画的整理を実施した。
 「(1)基礎年金番号による適正な届出の周知」については、事業主、被保険者等に対し、広報誌等の活用及び新規適用事業所説明会、算定基礎届説明会などにおいて、基礎年金番号による適正な届出について周知を行い、適正な届出に努めた。
 また、「(2)基礎年金番号の適正な払出」については、基礎年金番号が被保険者に二重に付番されないよう、社会保険事務所に提出された資格取得届に基礎年金番号の記載がない場合には、必要に応じて、疑重複調査確認票により、社会保険事務所から本人へ照会し基礎年金番号の有無の確認を徹底した。
 更に「(3)複数の年金手帳記号番号の計画的整理」については、平成9年1月の基礎年金番号導入前は、複数の国民年金及び厚生年金等の年金手帳記号番号を有していたことから、社会保険業務センターにおいては、被保険者の年金加入記録を統合するため、基礎年金番号導入前の国民年金及び厚生年金等の年金手帳記号番号を基礎年金番号に登録している。この過去記録の整理については、平成10年度から平成18年度間での計画で計画的に実施しており、平成16年度においては、実施計画に基づき昭和28年4月2日から昭和35年4月1日までに生まれた者のうち該当者(年金手帳記号番号で管理している平成9年1月前の年金加入記録のうち、氏名・生年月日・性別の3項目が基礎年金番号に登録されている項目と一致する者)を対象に、年金手帳記号番号の調査のための照会票を送付し、回答のあった者について、その基礎年金番号に過去の年金手帳記号番号を登録することにより被保険者記録の適正な管理に努めた。
 なお、過去記録の整理に関する平成10年度から平成16年度までの実施状況は、照会票の送付数が約1,497万件。照会に対して回答のあったものが、業務センター及び社会保険事務所受付分合計で約1,062万件、このうち過去の年金手帳記号番号があり基礎年金番号に登録したものが約798万件、他に年金手帳記号番号はなかったものが約264万件、照会に対して回答がなかったもの約385万件、住所変更等で照会票が届かなかったものが約50万件である。

(注)照会に対して回答のあったものの合計件数(約1,062万件)及びその内訳については、平成17年5月に全数調査を行い算出したものである。

達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて着実な取組みがみられた。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価に当たって着目した点)
1.取組みの改善
基礎年金番号による被保険者記録の正確な管理について、従来に引き続いて、届出の周知、基礎年金番号の計画的整理等の取組みが進められている。
今後の課題等
 引き続き、基礎年金番号導入前の国民年金及び厚生年金等の年金手帳記号番号の整理について、計画に沿って実施していく必要がある。
 引き続き、二重付番の完全な防止の達成に向け、対策を推進する必要がある。


目標
2.保険料等収納事務に関する事項
(1)政府管掌健康保険事業・船員保険事業・厚生年金保険事業の保険料の納期内納入の励行指導、口座振替の促進等により、保険料及び児童手当の拠出金の適正な納入を促進すること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
保険料収納率
(政府管掌健康保険)


97.1

96.9

96.8

97.3

97.6
(厚生年金保険) 97.9 97.6 97.7 97.9 98.2
(船員保険) 92.5 91.7 91.0 91.1 91.7
口座振替実施率
(政府管掌健康保険)



83.4

81.6

81.3

85.7
(厚生年金保険) 84.9 83.8 83.6 84.3
(船員保険) 64.6 57.6 56.7 56.5
目標に係る主な取組み及び実績
 保険料の適正な納入の促進については、保険料の納期限内での納入を確実なものとするため、各事業所に対し口座振替の促進等に努めた。
 具体的には、新規適用時に、納期内納入の実施や口座振替の実施を促し、適用後においては、口座振替未実施の事業所に対し、口座振替納付用紙・口座振替勧奨状を送付するとともに、職員が電話や訪問により口座振替の実施についての勧奨を行い、口座振替事業所の増加に努めた。これにより、口座振替実施率は、前年度と比較して増加した。
 また、納期内納入については、広報誌等の活用や納期内納入についての依頼文書を納入告知書を送付する際に同封するなど、効率的・効果的な広報に努めた。
 平成16年度の保険料収納率は、前年度を上回った。
 厚生年金保険の保険料収納率については、当該年度分99.62%(対前年度比0.07%増)、過年度分21.67%(対前年度比2.61%減)となっており過年度分は前年度を下回ったものの、当該年度と過年度を合わせた保険料収納率は、98.24%(対前年度比0.30%増)と前年度を上回った。政府管掌健康保険の保険料収納率については、当該年度分99.38%(対前年度比0.09%増)、過年度分22.63%(対前年度比1.09%減)となっており過年度分は前年度を下回ったものの、当該年度と過年度を合わせた保険料収納率は、97.58%(対前年度比0.31%増)と前年度を上回った。また、船員保険の保険料収納率については、当該年度分98.44%(対前年度比0.74%増)、過年度分19.14%(対前年度比3.18%増)及び当該年度と過年度を合わせた保険料収納率は、91.73%(対前年度比0.62%増)と前年度を上回った。
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて進展があった。
(数値目標の達成状況)
保険料収納率については、いずれの保険事業についても、前年度を上回る実績となった。
口座振替実施率については、船員保険事業を除き、前年度を上回る実績となった。
(評価及び所見)
1.取組みの改善
保険料の適正な納入の促進について、従来に引き続いて、
(1)新規適用時における納期内納入の実施及び口座振替の実施の勧奨
(2)適用後における
イ)口座振替未実施の事業所に対する口座振替納付用紙・口座振替勧奨状の送付
ロ)職員による電話及び訪問による口座振替の実施についての勧奨
(3)広報誌等の活用、納期内納入についての依頼文書の納入告知書送付の際の同封
等、納期内納入及び口座振替の推進に係る積極的な取組みが推進された。
2.取組みと効果の分析
従来に引き続いての口座振替の促進に係る取組みの結果、これまで低下し続けていた各種保険の口座振替実施率のうち、政府管掌健康保険及び厚生年金保険に係るものについては、前年度に比べ上昇する結果となったことは、経済情勢の回復とともに、これまで運転資金の確保等の点から、口座振替を行わなかった事業所のうち口座振替を実施するものが増加したことが考えられるとともに、従来からの取組みが有効に機能したことを示すものと評価できる。
保険料収納率については、いずれの保険事業についても、総合的に見ると前年度を上回っているが、その内訳として、厚生年金保険及び政府管掌健康保険の過年度分については、前年度を下回る結果となった。その要因としては、
(1)全喪事業所分については、管財人への交付要求中のものや収納の見込みのないものが多くなっていること、
(2)現存事業所分についても、滞納期間が長期化し、滞納額が増加する傾向にあり、不良債権化してきているため、収納が困難となってきていること
等が考えられる。
今後の課題等
 引き続き、適正な滞納事業所の管理及び着実な滞納処分の実施等により、保険料の適正な納入の促進のための取組みを進める必要がある。


目標
2.保険料等収納事務に関する事項
(2)政府管掌健康保険事業・船員保険事業・厚生年金保険事業の保険料の納期内納入の励行指導において、保険料等を滞納する事業主(船舶所有者を含む。)に対する納付の督促及び滞納処分を確実に実施すること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
差押え事業所数 事業所 17,829 19,715 20,474 17,630 17,223
目標に係る主な取組み及び実績
 滞納事業所に対する納付の督促及び滞納処分については、滞納処分実施要綱や滞納処分マニュアルの活用により、保険料滞納の発生防止のための納付督励を行うとともに、滞納処分の早期着手等により、保険料収入の確保に努めた。
 具体的には、新規に口座振替が不能となった事業所については、保険料滞納の発生防止のために、速やかに電話等納入督励を実施し、納入告知書を再送付するなど新規滞納事業所を増加させないよう努めた。
 また、指定期限までに納入がない新規滞納事業所に対しては、電話、事業所への訪問、社会保険事務所への呼出により、事業主と面談し、未納保険料の収納に努めるとともに、納入が遅れる場合は納付計画を提出させ納入の確約をとるなど保険料の確実な収納に努めた。
 更に、納付計画不履行となった事業所や長期・大口滞納事業所について、取引金融機関や関係官公署における預貯金、取引先事業所及び不動産等の財産調査を行い、差押予告通知を発出するなどの納付督励に努め、進展がない事業所に対しては、差押えの実施による確実な滞納整理に努めた。特に、長期・大口滞納事業所を含めた納付困難事案等について、社会保険事務所の保険料収納対策を支援するため、地方社会保険事務局に設置された保険料特別徴収専門官を中心に、地方社会保険事務局と社会保険事務所が一体となった効果的かつ効率的な対策を進めた。
 また、各社会保険事務局においては、徴収事務研修を開催するなど、徴収職員の資質向上を図り、保険料収納の確実な確保に努めるとともに、社会保険庁本庁職員が当該研修に出向き、指導を行うなど、地方社会保険事務局の取組を支援した。
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて着実な取組みがみられた。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価及び所見)
1.取組みの改善
滞納事業所に対する納付の督促及び滞納処分の推進について、従来に引き続いて、
(1) 新たに口座振替が不能となった事業所に対する電話納入督励、納入告知書の再送付等
(2) 新規滞納事業所の事業主との面談、納付計画の提出による納入の確約等
(3) 納付計画不履行の事業所及び長期・大口滞納事業所に対する納付督励、差押えの実施による滞納整理等
等の取組みが推進された。
2.取組みと効果の分析
差押え実施件数については、前年度実績を下回る結果となったが、その背景としては、預貯金や売掛金など最も有効な差押えを重点的に行ったことが考えられる。
一方、保険料収納率を見ると、前述の2(1)にもあるとおり、いずれの保険事業についても、総合的に見ると前年度を上回っているところであり、納付督励の取組みが一定の効果を上げているものと考えられる。
今後の課題等
 引き続き、納付の督励等に係る取組みを着実に推進していく必要がある。


目標
2.保険料等収納事務に関する事項
(3)国民年金被保険者に対する保険料納付督励、口座振替の促進及び強制徴収の実施などにより、保険料の確実な収納を図ること。
(数値目標)
 平成19年度までに保険料納付率を80%とする中期目標の達成に向けて、前年度を上回る保険料納付率とすること。
 前年度を上回る口座振替実施率とすること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
保険料納付率
(当該年度分)


73.0

70.9

62.8

63.4

63.6
(過年度分を含む) 76.8 74.9 66.4 68.3 68.7
口座振替実施率 37.1 35.2 35.1 37.0
目標に係る主な取組み及び実績
 国民年金保険料の納付率は、平成7年度からの20歳到達者への職権適用の実施や近年の経済の低迷による離職者の増加、第1号被保険者に占める若年層の増加等により、平成4年度の85.7%をピークに年々低下を続け、平成14年度には、免除基準の厳格化や徴収体制の変更の影響も加わり、前年度を8.1ポイント下回る62.8%と極めて厳しい結果となった。
 国民年金保険料の確実な収納を図ることについては、平成14年度の納付率が極めて厳しい結果となったことを重く受け止め、平成15年8月、省内に「国民年金特別対策本部」を設置し、以降、順次、地方社会保険事務局にも同本部を設置のうえ、要因分析を踏まえた新たな個別収納対策を実施するとともに、保険料納付は国民の義務であるという意識の徹底を図り、本庁、地方庁とが一体となって、収納体制の確立に取り組んできた。
 この取組の実効をあげるため、平成16年10月に平成19年度の納付率80%という中長期的な目標の達成に向けて、社会保険事務所毎に地域特性や未納者特性に応じた年度別、月別の行動目標を設定した「国民年金保険料収納にかかる行動計画(アクションプログラム)」を策定し、徹底した進捗管理に努めた。
 また、平成16年10月からは、市区町村から未納者の所得情報を得られるよう法的な条件が整ったことを受け、この所得情報を活用し、負担能力がありながら納付義務を果たさない未納者に対する強制徴収の的確な実施や、免除基準に該当する者に対する免除制度の周知と届出勧奨に取り組んだ。
 具体的な収納対策の実施状況については以下のとおり。
(1) 行動計画の着実な実施
 催告状の発行、電話による納付督励、戸別訪問による納付督励、集合徴収案内の発行の4つの基本的な納付督励手法について、社会保険事務所ごとに月別の行動目標を定めた行動計画を策定し、徹底した進捗管理のもと対策に取り組んだ。
 その結果、年度トータルでは各納付督励とも目標をほぼ達成したが、行動計画の策定と実行が年度後半からであり、「量的」な達成のみに傾注した取組みとなったため、各納付督励間の連携が不十分となるなど、必ずしも効率的な実施とはならなかった。
(2) 納付しやすい環境づくり
(1) 平成16年2月からコンビニエンスストアでの保険料収納を、また、平成16年4月からはインターネットや携帯電話による保険料納付を可能とし、納付しやすい環境づくりに努めた。
(2) 口座振替の推進については、職員や国民年金推進員等による個別訪問時での積極的な勧奨を行うとともに、口座振替申出書の受付を社会保険事務所でも積極的に実施したほか、平成17年4月から施行された口座振替割引制度について各種通知書を利用した周知などにより、口座振替実施率は前年比1.9ポイント増の37.0%となり、前年を上回る目標を達成した。口座振替の利用率を高めることは、収納の安定に寄与するばかりでなく、業務の効率化にも資することから、引き続きより一層の促進に努めていく。
(3) 免除制度の周知徹底
(1) 平成16年10月から、公共職業安定所との連携により、失業者に対する雇用保険受給者説明会等の機会を活用して、失業による免除制度に関する周知に努めた。
(2) 平成16年10月から、市町村からの所得情報の提供が可能となったことにより、順次市町村との連携のもと、免除基準に該当すると思われる未納者に対して免除制度の周知に努めた。
(4) 保険料納付意識の徹底
(1) 平成16年10月より、未納者へ送付する催告状に、これまでの年金加入状況(国民年金、厚生年金、船員保険への加入月数)を具体的に明記し、納付済期間を確認いただくことで納付意欲と制度に対する関心の喚起を図った。
(2) 保険料納付意識の徹底を図るため、平成17年2月に、前年中に納付した保険料額の内容について「国民年金保険料納付額のお知らせ」を発行した。
 なお、平成17年度税制改正により、税の申告の際に保険料納付を証明する書類の添付が義務づけられたことから、平成17年度においては、「社会保険料控除証明書」として、年末調整時期である11月に発行することとしている。
(3) 保険料の負担能力がありながら、納付義務を果たさず、他の被保険者の納付意欲にも影響を与えかねない滞納者を31,497人選定し、最終催告状を発行した。
このうち、納付に応じない3,637人に督促状を発行し、平成17年3月末までの時点で110人に対して差押えを執行した。(平成17年4月以降も、差押えを実施中。)
(5) 年金広報及び年金教育の推進
(1) 年金制度に対する理解を深めてもらうために、年金週間(11月6日〜12日)において、老齢給付を受けるためには原則として25年間の保険料納付済期間が必要であることなど、年金制度の基礎的な事項をあらためて周知するための広報を実施した。
 また、年度末においては、平成17年4月から施行される口座振替割引制度などの改正内容を周知するための広報を、新聞など活字を使用した媒体により実施した。
(2) 年金教育をさらに推進するため、学校関係者との年金教育推進協議会を全ての社会保険事務局に設置し、中学・高校の教員及び生徒を対象とした年金セミナーを実施した。
 これらの対策を行った結果、平成16年度の国民年金保険料の納付率は63.6%となり、前年度の納付率(63.4%)を上回ったものの、行動計画上の目標納付率(65.7%)には及ばず、中長期的な目標(平成19年度に納付率80%)の達成という観点からは、相当厳しい状況にある。
 このため、平成17年度においては、年金制度の考え方や内容の周知、全ての業務の基礎となる記録管理の徹底を図ることを基本として、
(1) 磁気媒体による所得情報の取得により、高所得者に対しては強制徴収手続を3万人から10万人に拡大・強化する一方、低所得者に対しては免除制度の周知を徹底するなど、負担能力や未納期間、年齢などの未納者の属性に応じたきめ細やかな対策の実施
(2) 外部委託の拡大等による収納対策要員の確保や国民年金推進員の増員による体制強化
(3) 各種納付督励手法の連携を強化し、「量」から「質と量」を重視した督励の推進
などにより、総力を挙げて納付率の向上に取り組んでいくこととしている。
 なお、平成16年度末までの24ヶ月間の保険料が未納となっている者は、424万人となっており、平成15年度と比べ約20万人減少している。
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて着実な取組みがみられた。
(数値目標の達成状況)
保険料納付率については、前年度実績を上回る実績となった。
口座振替実施率についても、前年度実績を上回る実績となった。
(評価及び所見)
1.取組みの改善
国民年金保険料の納付率が低迷している問題状況を踏まえ、
(1) 中期目標の達成に向けた「国民年金保険料収納にかかる行動計画(アクションプログラム)」の策定及び進捗管理等による、計画的な納付督励等
(2) インターネット・携帯電話による保険料納付を可能とする、口座振替を推進する等の、納付しやすい環境づくり
(3) 雇用保険受給者説明会等の機会等を活用した免除制度の徹底
(4) 年金加入状況の通知、差押えの実施等による保険料納付意識の徹底
(5) 年金広報及び年金教育の推進
等の取組みが進められた。
2.取組みと効果の分析
数値目標については、いずれも前年度実績を上回っており、納付率の向上に向けた取組みの成果が現れていると考えられる。
しかしながら、保険料納付率の実績は63.6%であり、行動計画に掲げる目標納付率(65.7%)の達成には至っていない。その要因としては、行動計画の策定と実行が年度後半からであり、とかく「量的」な達成のみに傾注した取組みとなったため、各納付督励間の連携などを踏まえた「質的な」対応(※)が不十分であったこと等が考えられる。
(※ 負担能力や未納期間、年齢などの未納者の属性や、督励結果を踏まえた次の督励への連携の確立など、より効果的・効率的な納付督励)
当面の中長期目標として掲げた「平成19年度において納付率を80%まで回復させる」という目標と、ここ2年間63%で推移している納付状況を対比すると、深刻な状況は何ら改善されておらず依然として極めて厳しい水準にあることを重く受け止めなければならない。
今後の課題等
 今後とも、保険料の確実な収納を図るため、
(1)年金制度の意義・役割や重要性について広く国民に周知し、制度に対する不安を緩和すること、
(2)所得情報を活用し未納者の属性に応じたきめ細やかな収納対策を効率的に展開すること、
(3)口座振替の利用率をさらに向上させ、新たな未納を防止し確実な保険料収納を確保すること
などの取組みを進め、早急に納付率を改善基調に乗せていく必要がある。
 保険料納付率の向上を目指すに当たっては、いわゆる「市場化テスト」のモデル事業の結果も踏まえつつ、「業務改革プログラム」(平成17年9月27日)に基づく「新たな保険料徴収モデル」の展開等の取組みを推進していく必要がある。また、総務省による「年金に関する行政評価・監視の結果に基づく第1次及び第2次勧告」(平成16年10月及び同年12月)における指摘も踏まえる必要がある。


目標
2.保険料等収納事務に関する事項
(4)国民年金保険料の免除制度等の周知に努めること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
免除者数(各年度末現在)
法定免除


956,501

989,555

1,027,786

1,062,445

1,092,863
申請全額免除 2,741,125 2,769,809 1,436,907 1,649,462 1,761,775
申請半額免除 343,953 378,447 414,310
合計 3,697,626 3,759,364 2,808,646 3,090,354 3,268,948
学生納付特例者数
(各年度末現在)


1,347,665

1,475,867

1,537,406

1,675,788

1,727,564
追納件数(各年度末現在) 274,474 325,492 310,616 405,600 565,125
目標に係る主な取組み及び実績
 免除制度については、国民の年金権を確保するとともに、納付率向上のため、適切に周知していく必要があることから、広報誌、チラシ、パンフレット等による周知広報に努めた。
 平成16年10月からは、市町村から未納者の所得情報を得られるよう法的な条件が整備されたことから、この情報を活用し、免除に該当するにもかかわらず、未申請の未納者に対して、個別にダイレクトメールや電話、戸別訪問により免除制度の周知に努めた。
また、特に失業者の特例免除について、公共職業安定所との連携により、雇用保険受給者説明会における免除制度の説明や窓口にパンフレットを備え付けるなどによる周知徹底に努めた。
 学生納付特例制度については、上記による周知広報のほか、大学生等に対する説明会の開催などにより制度の周知に努めた。
 この結果、申請全額免除者、申請半額免除者及び学生納付特例者については、平成15年度に比べ大幅に増加した。
 なお、平成16年年金法改正により創設された若年者納付猶予制度(保険料の納付が困難な若年者(20歳台の第一号被保険者)について事後的に納付できる制度)、申請免除の承認期間の遡及等が平成17年4月から実施されるほか、被保険者の負担能力に応じて保険料を納付することができる多段階免除制度及び免除申請手続きの簡素化が平成18年7月に導入されることから、今後、これらの周知徹底を図っていく。
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて着実な取組みがみられた。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価及び所見)
1.取組みの改善
免除制度、学生納付特例制度等の周知について、前年度に引き続いての取組みが進められた。
特に、失業者に対する特例免除制度の周知及び低所得者への免除制度の周知については、「緊急対応プログラム」の内容に基づき、着実な取組みが進められており、後者については、新たに市町村から提供される所得情報が活用されている。
2.取組みと効果の分析
申請全額免除者数、申請半額免除者数及び学生納付特例者数について、前年度実績をいずれも上回っており、免除制度の周知が着実に進められていると考えられる。
今後の課題等
 納付率が低調な20歳の職権適用者などの若年者に対して、平成17年4月から実施されている若年者納付猶予制度、単身世帯の免除基準の緩和等について、周知を推進する必要がある。
 また、多段階免除制度及び免除申請手続きの簡素化についても、開始が予定される平成18年7月に向け、早期の周知徹底を進める必要がある。


目標
3 保険給付事務に関する事項
(1)政府管掌健康保険事業・船員保険事業におけるレセプト点検調査、第三者に対する損害賠償請求権の行使等を通じて、医療費適正化を推進する
(数値目標)
前年度の被保険者1人当たり点検効果額を上回ること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
レセプト内容点検件数
(過誤調整確定分)
政府管掌健康保険




958,740


901,381


907,482


904,650


1,083,791
船員保険 5,778 4,776 4,878 4,882 3,895
被保険者1人当たりレ
セプト点検効果額
政府管掌健康保険




3,797


3,819


3,919


3,740


3,747
船員保険 10,090 10,842 10,589 11,186 9,687
目標に係る主な取組み及び実績
 レセプト点検調査及び第三者に対する損害賠償請求権の行使等を通じた医療費適正化の推進については、「診療報酬明細書等の点検調査について(通知)」(平成10年6月23日庁保険発第11号)に基づき実施してきたが、平成16年8月4日に同通知の改正を行い、レセプト点検調査について、地方社会保険事務局毎に目標設定(1人当たり効果額等)を行うことやレセプト点検調査に従事する職員への定期的な研修の実施による資質の向上等を図るなど、より一層医療費適正化の推進に努めた。
 また、レセプト情報管理システムを活用し、特に縦覧点検を中心とする内容点検及び外傷点検の充実強化に努めた。
その結果、政府管掌健康保険の被保険者1人当たりの点検効果額は、3,747円(対前年度比7円増)と目標が達成できた。
 一方、船員保険についてはレセプト情報管理システムは導入されていないものの、政府管掌健康保険と同様に「診療報酬明細書等の点検調査について(通知)」に基づき縦覧点検を中心とした内容点検及び外傷点検の実施に努めたが、平成15年度に比べ、9,687円(対前年度比1,499円減)と前年度の1人当たり効果額を下回る結果となった。
 第三者に対する損害保険賠償請求権の行使による医療費適正化については、交通事故等により受診した場合に、第三者行為傷病届の届出を社会保険事務所に行うよう、事業主及び被保険者に対して制度の周知に努めた。
 さらに、被保険者及び被扶養者に対し健康に対する認識を深めてもらい医療保険事業の健全な運営に資するため、昭和55年度から医療費の額のお知らせを送付しているが、対象となるレセプトの範囲を平成15年度からおおむね2ヶ月相当分からおおむね全てのレセプトへ拡大し実施した。(平成15年度は、その準備に時間を要し、実施が平成16年3月にずれ込んだことから、医療費通知の件数が大幅に減少したもの。)
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて進展があった。
(数値目標の達成状況)
政府管掌健康保険の被保険者1人当たりレセプト点検効果額については、前年度の実績額を上回る実績となった。
船員保険の被保険者1人当たりレセプト点検効果額については、前年度の実績額を下回る実績となった。
(評価及び所見)
1.取組みの改善
通知「診療報酬明細書等の点検調査について」の一部改正により、レセプト点検調査をより効果的・効率的に実施するための体制整備が図られた。
政府管掌健康保険については、前年度と同様、レセプト情報管理システムを活用した取組みが実施された。
第三者に対する損害賠償請求権の行使による医療費適正化については、従来行われてきた求償権の行使に加え、交通事故等により受診した場合の第三者行為傷病届の届出を、社会保険事務所あて行うよう、事業主及び被保険者に周知する取組みが進められた。
2.取組みと効果の分析
医療費の額の通知については、前年度から進められてきた対象レセプトの拡大により、件数も増加し、健康に対する認識の啓発、医療保険事業の健全な運営に資する取組みとして、評価すべきと考えられる。
政府管掌健康保険に係るレセプト点検件数及び被保険者1人当たりレセプト点検効果額は、前年度より若干の増加が見られ、目標を達成しているが、船員保険については、いずれも前年度の実績を下回っており、目標を達成していない。その要因としては、点検対象レセプト及び重点点検項目の効果的な選定ができなかったことが考えられ、より的確な点検の実施に向けた工夫が必要であると思料される。
今後の課題等
 引き続き、レセプト情報管理システムの活用等を通じた、的確なレセプト点検の実施等による医療費の適正化のための取組みを推進していく必要がある。


目標
3 保険給付事務に関する事項
(2)政府管掌健康保険事業・船員保険事業において、傷病手当金等の現金給付の適正化を図ること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
現金給付費
政府管掌健康保険

億円

5,049

4,865

4,652

4,894

5,187
船員保険 億円 76 60 55 56 54
被保険者1人当たり
支給日数(傷病手当金)
政府管掌健康保険




1.64


1.51


1.48


1.38


1.37
船員保険 7.89 6.44 6.12 6.26 6.24
目標に係る主な取組み及び実績
 傷病手当金等の現金給付の適正化については、職員による書面審査、実地調査、負傷原因の調査等の強化を行い、また、保険給付審査医師、顧問弁護士等の専門家を活用することなどにより給付の適正化に努めた。
 また、事業主及び被保険者等にホームページ等により制度の周知徹底を図り、適正な届出を促すほか、職員研修の実施、処理マニュアルや実施要綱などを活用し職員の資質向上に努め、給付の適正化に努めた。
 なお、平成16年度の現金給付費が前年度に比べ293億円増加した主な要因は、平成15年4月から被保険者本人負担が2割から3割に引き上げられたことに伴い、高額療養費分の支給が増加した影響が平成15年度、平成16年度にわたって生じていることによるものである。

(備考)
 健康保険の被保険者等が病気やけがの療養のため仕事を休み給料を受けられないなど、次の4つの条件を満たした時には、傷病手当金が支給される。
病気、けがで療養中であること
仕事につけないこと(労務不能)
4日以上仕事を休むこと
給与を受けられないこと
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて着実な取組みがみられた。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価及び所見)
1.取組みの改善
傷病手当金等の現金給付の適正化に向け、従来に引き続き、
(1) 職員による書面審査、実地調査及び負傷原因の調査等の強化や、保険給付審査医師、顧問弁護士等の専門家を活用することなどによる給付の適正化
(2) 事業主及び被保険者等に対する、ホームページ等による制度の周知徹底
(3) 職員研修の実施、処理マニュアルや実施要綱などを活用した職員の資質向上
の取組みが実施されている。
2.取組みと効果の分析
 政府管掌健康保険の現金給付費については、前年度実績に比べ増加しているが、その要因としては、一部負担金が3割となったことに伴い、高額療養費についても増加したことが考えられる。一方、船員保険の現金給付費については、過去3年、横ばいの状況にあるといえる。
 被保険者1人当たりの支給日数については短縮される傾向にあり、適正化の取組みが着実に進められているものと考えられる。
今後の課題等
 引き続き、適正な現金給付を行うための取組みを推進していく必要がある。
 請求書を受け付けてから、支給決定通知書が請求者に届くまでの処理日数を定めたサービススタンダード(平成17年度より新たに実施)を着実に実施し、迅速な手続きを進める必要がある。


目標
3 保険給付事務に関する事項
(3)船員保険事業における失業保険金の支給の適正化を図ること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
失業保険金受給者数 31,880 29,244 30,193 22,387 15,984
失業保険金給付費 億円 75 67 68 47 31
失業保険金受給者調査件数 579 572 579 486 362
目標に係る主な取組み及び実績
 船員保険における失業保険金の支給の適正化については、失業保険金不正受給防止啓発強化月間を7月(地方社会保険事務局及び社会保険事務所の実状に応じ、最も有効と認められる実施時期に適宜調整可)と設定(平成16年6月29日庁文発第O629001号)し、地方運輸局等との連携による受給者実地調査を集中的に実施するとともに、受給者及び船舶所有者にリーフレットを配布し、船員保険の失業保険制度の周知徹底を図るなど、一層の給付の適正化に努めた。
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて着実な取組みがみられた。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価及び所見)
1.取組みの改善
船員保険における失業保険金の支給の適正化に向け、従来に引き続いての取組みが実施されている。
2.取組みと効果の分析
失業保険受給者に対する調査件数が、平成15年度に引き続いて減少傾向にあるが、これは、失業保険の給付金額、給付件数の減少によるものである。
今後の課題等
 引き続き、リーフレットの配布等による周知を行う等、失業保険金の適正な支給を推進する必要がある。


目標
3 保険給付事務に関する事項
(4)厚生年金保険事業・国民年金事業において、年金給付は適正に決定し、支給すること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
年金給付費
厚生年金

億円

191,544

196,228

203,466

208,140

215,380
基礎年金 億円 84,744 93,633 102,494 110,735 118,118
国民年金 億円 26,454 25,133 23,819 22,293 20,888
老齢福祉年金 億円 627 500 391 296 224
目標に係る主な取組み及び実績
 年金の適正な決定・給付については、年金の裁定請求書受付時において、添付書類などの書類審査を行い、裁定請求書に記載された職歴及び添付された他制度の被保険者記録と当庁が保有している被保険者記録とを突合するなど、被保険者記録を的確に確認し、添付された資料及び証明書に基づき、加給年金又は加算額対象者の審査を行った。障害給付にあっては、添付された診断書等に基づき、障害等級の認定を行い、また、遺族給付にあっては、生計維持や婚姻関係等の受給資格要件について必要に応じて実地調査するなど、年金の裁定を適正かつ遅滞なく行うように努めた。更に、より迅速な裁定処理を目指すため、裁定請求書を受理してから年金証書が請求者に届くまでの期間についてサービススタンダードを設定し、平成17年度から導入することを決定した。
 また、年金の裁定後も、就労による年金の支給停止、他年金や失業給付等との併給調整、現況届による生存確認及び「老齢厚生年金受給者の現況届を活用した適用の適正化及び年金給付の適正化について」(平成15年10月14日庁文発第1014003号)に基づき現況届を活用した就労実態の把握・届出の励行などを実施し、年金の給付を適正かつ遅滞なく行うように努めた。
 なお、社会保険庁においては、平成15年6月に公表した年金給付誤りを契機として、加給年金や振替加算を加算又は停止する仕組みに誤りがないか等の観点から、年金給付システムの総点検を行った。
 その結果、プログラム誤り、事務処理誤り及び届出漏れを原因とする給付誤り全27事象が判明し、平成17年4月にその全容を公表した。
 このうち、プログラム誤りについては、
(1) 基本設計書の策定への指示を的確に行うための(システムへの)影響範囲の確認・検証作業においてすべてを確認しきれなかったことにより、必要とされるシステム開発仕様の内容を漏らす又は誤るといった状況を惹き起こしていたこと。
(2) 従来2年前後で定期的に人事異動が行われ、システム分野、特に制度の内容とシステムとの関連を把握している専門的人材を計画的に育成してこなかったこと。
(3) 法律や政省令など制度面での仕様確定を待たなければシステム開発仕様は確定できないが、その決定が遅れ、十分な検討及び開発期間が確保されてなかったこと。
がその要因として挙げられ、事務処理誤りについては、頻繁で、大幅な制度改正による事務処理内容の複雑化及びその内容の周知期間が短く、制度内容と事務処理の関連性について理解不足が生じ、関連する情報を漏れなく収録・確認すべきところを誤認したこと等が要因として挙げられた。
 これに対し、社会保険庁として主体的に年金給付誤りの再発防止に取り組む必要があることから、平成15年12月に取りまとめた再発防止策に加え、平成17年4月に新たな再発防止策をとりまとめ、
(1) 制度改正等によるシステム開発の影響範囲の洗い出し方法の改善を行うとともに、システム開発委託先に対する指示を文書によるよう徹底する。
(2) システム開発における人数・スキル不足の解消のため、システムの最適化計画の中で専門家の確保、養成等の抜本的な体制整備を行う。
(3) 事務マニュアルの充実・改善、職員研修の充実を図るとともに、機械処理になじむ事務はシステムに取り込んでいく。
等の措置を講じていくこととした。
 また、年金受給者に影響を及ぼす恐れのある事象について早期に発見し、対応していくために、社会保険オンラインシステム・サーベイランス委員会の設置を検討することとした。
 年金の支給誤りはあってはならないものであり、今後は、各般の再発防止対策を講じるとともに、システム開発管理体制(いわゆるITガバナンス)の強化を図り、再発の防止に取り組んでいくこととしている。

※ 「社会保険オンラインシステム・サーベイランス委員会」とは、給付誤りに対して早期に対応し公表することに加え、給付誤りを未然に又は最小限に防止する観点から、年金受給者に影響を及ぼす事象等がないか継続的に調査監視することにより、早期に発見し、対処するものである。

(参考)これまでに公表した給付誤りの対象者数等(平成17年4月1日時点)
(1) 過払い対象者数、金額
約22,300人、 約 91億1,500万円
(2) 未払い対象者数、金額
約45,400人、 約288億9,400万円
(3) 過払い、未払いの判明していない対象者数
約12,000
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて着実な取組みがみられた。
(数値目標の達成状況)
(評価及び所見)
1.取組みの改善
年金の適正な決定・給付に係る取組みとして、従来と同様の書類審査等に際しての調査等の実施に加え、裁定請求書の受理から年金証書の到達までの期間に係るサービススタンダードの平成17年度からの導入が決定され、迅速な支給決定に向けた取組みが進められており、評価できる。
加給年金や振替加算を加算又は停止する仕組みに誤りがないかどうか等の観点から、年金給付システムの総点検を実施した。その結果として、総点検で判明した過去のプログラム誤り、事務処理誤り及び届出漏れを原因とする給付誤り全27事象について、全容を平成17年4月に公表するとともに、そこで見いだされた問題について、再発防止策の取りまとめや、社会保険オンラインシステム・サーベイランス委員会の設置の検討(※)等を実施するなど、今後の業務の改善に向けた体制の整備につながっており、評価できる。
(※ 平成17年6月24日に設置済)
今後の課題等
 年金の給付誤りの再発を防止するため、平成17年4月に新たに取りまとめた再発防止策を着実に実施するとともに、社会保険オンラインシステム・サーベイランス委員会の調査監視による早期発見に努め、過払額の最小限化を図る必要がある。
 裁定請求書を受け付けてから、年金証書が請求者に届くまでの処理日数を定めたサービススタンダード(平成17年度より新たに実施)を着実に実施し、迅速な手続きを進める必要がある。


目標
3 保険給付事務に関する事項
(5)厚生年金保険事業・国民年金事業において、年金受給権者に対し、適正な届出の周知等を確実に行うこと。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
年金受給者あてパンフレット
送付数(新規裁定者送付分)


1,902,005

1,999,370

2,060,040

2,152,893

2,076,059
新規受給者説明会開催回数 2,781 2,748 3,065 3,173 3,110
新規受給者説明会参加者数 271,388 302,735 329,652 315,600 299,552
目標に係る主な取組み及び実績
 年金受給者に対する適正な届出の周知については、年金給付の適正化を図るため、資格取得届、死亡届等、各種届出の励行の周知等により、年金の過払い防止に努めた。
 具体的には、年金の新規裁定者(2,076,059人)全員に対して年金証書を送付する際に、年金を受けるに当たって知っておいていただきたいことや今後必要な届出・手続きについて記載したパンフレットを同封することで、適正な届出の周知等に努めた。
 また、新規受給者に対して年金制度に関する基礎知識などを周知するための説明会を実施し、適正な届出の周知等に努めた。
 なお、新規受給者に対する説明会は新規裁定者数が減少したことから、参加者数は前年度と比較して減少した。また、開催回数については説明会場の収容人数を増やし開催回数を減らすなど昨年より効率的な実施を行っている一部の社会保険事務所があったこと等から、開催回数は昨年を若干下回っているが、前年と同様の取り組みを行ったところである。
 今後も引き続き適正な届出の周知等に努め、年金の過払いや未払い防止に努めていくこととしている。
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて着実な取組みがみられた。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価及び所見)
1.取組みの改善
年金受給者に対し適正な届出の周知を行い、年金給付の適正化を図るため、新規裁定者全員に対するパンフレットの送付や、社会保険事務所における説明会の実施といった取組みが進められた。
2.取組みと効果の分析
新規受給者説明会開催回数の減少については、一部の社会保険事務所において、説明会場の収容人数を増やすなどの取組みを行っていることが要因であり、効率的な運営が図られていることは評価すべきであると考えられる。
今後の課題等
 引き続き、年金受給者に対する適正な届出の周知徹底の取組みを確実に実施していく必要がある。
 引き続き、「緊急対応プログラム」に基づいて、申請書類等を記入しやすくし、記載すべき内容がわかりやすいものとするため、年金受給者等の視点に立って各種申請書類等の見直しを進める必要がある。


目標
4.保健事業及び福祉施設事業に関する事項
(1)政府管掌健康保険事業・船員保険事業において、生活習慣病予防健診事業を効果的に実施するとともに、それに基づく事後指導等の事業を適切かつ効率的に実施すること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
健診実施者数
政府管掌健康保険


3,165,777

3,195,926

3,231,045

3,137,157

3,479,084
船員保険 22,199 21,006 19,979 19,987 19,051
事後指導実施者数
(政府管掌健康保険)


407,446

431,599

448,031

450,654

501,900
健診実施割合
政府管掌健康保険


29.1

29.7

30.6

30.2

33.4
船員保険 35.5 36.6 37.8 40.5 41.7
事後指導実施割合 30.3 32.2 32.1 33.3 32.9
目標に係る主な取組み及び実績
 政管健保及び船員保険の被保険者等の健康の保持増進等を図るため実施する生活習慣病予防健診事業にあっては、平成16年4月8日庁保発第0408001号等の通知に基づき、実施しており、チラシ・パンフレット等を利用した広報等により被保険者等の受診の勧奨及び被保険者が受診する健診実施機関で適切な健診が行われるよう健診実施機関の監査・指導の実施に努め、健診受診者の増に努力し、健診受診者は341,927人の増となったが、依然として健診実施割合は30%台にとどまっている状況である。
 平成17年度においては、健診単価の引き下げを行い、より多くの被保険者等が受診できるよう措置しているところである。
 なお、平成17年3月に保健事業に関するアンケートを実施し、健診に対するニーズ調査も実施した結果、健診対象者のうち約53.3%の者が健診を希望している結果であった。
 これを踏まえ、当面、健診単価の見直し、健診予算の増等により確実に実施率を増加させることとしている。
 また、健診をより効果的なものにするためには、健診結果に基づく生活改善指導を行うことが必要であることから、保健師による電話、文書、事業所訪問等の手段による事後指導の充実に努め、事後指導実施者数は対前年度に比べ51,246人の増となった。
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて着実な取組みがみられた。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価及び所見)
1.取組みの改善
生活習慣病予防健診事業の推進について、従来と同様、被保険者の受診の勧奨、健診実施機関の監査・指導の取組みが実施された。
アンケート及びニーズ調査の実施により、健診についてのニーズを把握する試みがとられており、より受診者の意見を反映した健診を進める上で、効果があるものと評価できる。
2.取組みと効果の分析
実績としては、健診の実施割合は政府管掌健康保険、船員保険とも前年度に比べ向上しているものの、いずれも30%台、40%台と、決して高い割合であるとはいえない状況であり、ニーズ調査の結果等も踏まえた事業の在り方の改善が必要であると考えられる。また、事後指導実施者については、人数は増加したものの、その割合は減少しており、さらなる指導の充実が必要であると考えられる。
今後の課題等
 平成17年度からは健診単価の引き下げが行われることとなっているが、この他、増額した健診予算の効果的・効率的執行、受診者のニーズ把握の推進等により、より受診者の割合を増加させていく必要がある。
 事後指導の充実を図るための取組みを進め、実施件数を増加させるよう努める必要がある。
 「緊急対応プログラム」に基づいて、健診実施機関の増大を図るなど、被保険者のニーズに対応した健診の推進について検討を進めていく必要がある。


目標
4.保健事業及び福祉施設事業に関する事項
(2)社会保険事業に係る保健・福祉施設事業は、適切かつ効率的に実施すること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
社会保険病院等利用者数
入院延べ患者数

千人

6,816

6,749

6,326

5,970

5,866
外来延べ患者数 千人 12,899 12,821 11,894 10,914 10,631
健診等延べ患者数 千人 2,782 2,797 2,864 2,843 2,931
社会保険病院等の単年度収支状況
赤字施設数

施設

16

19

30

20

5
黒字施設数 施設 60 57 46 54 70
当期剰余金額 千円 3,347,844 3,249,681 △833,078 3,774,750 4,675,371
目標に係る主な取組み及び実績
 保健・福祉施設については、運営を委託している公益法人との委託契約に基づき、適切に事業を実施するよう指導するとともに、委託先団体への計画的な監査を実施した。
 年金福祉施設等については、「年金福祉施設等の見直しについて(合意)」(平成16年3月10日与党年金制度改革協議会)等を踏まえ、年金制度の厳しい財政状況及び福祉施設を取り巻く社会環境や国民のニーズの変化等に鑑み、今後は保険料を投入しないとともに、年金資金等への損失を最小化するという考え方に立ち、年金福祉施設等を廃止・譲渡することとし、そのために必要な業務を行った。
 具体的には、独立行政法人を平成17年10月に設置して5ヵ年で施設の廃止・売却を進めるための「独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法案」の国会提出など、独立行政法人を設置するための準備を行うとともに、法人において整理合理化を進めるための基本的な枠組みを定めた「年金・健康保険福祉施設(病院を除く)に係る整理合理化計画」の策定、年金福祉施設等の境界確定作業及び廃止した施設について安全な管理など法人への出資のために必要な業務を行った。
 一方、社会保険病院の見直しについては、健康保険法等の一部を改正する法律(平成14年法律第102号)附則第2条第3項第1号の規定を受けてとりまとめた、「社会保険病院の在り方の見直しについて」(平成14年12月25日厚生労働省方針)に基づき、それぞれの病院に策定させた経営改善計画(平成15年度を初年度とする3カ年計画)に基づく取組を各病院において進めている。
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて着実な取組みがみられた。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価及び所見)
1.取組みの改善
年金福祉施設等の在り方について与党合意及び「緊急対応プログラム」の内容等を踏まえ、廃止・譲渡することを決定するとともに、当該施設の廃止・売却を進めるための独立行政法人の設立に向けた作業が進められ、今後の年金福祉施設等の整理合理化の推進に向けた取組みが行われた。
なお、厚生年金病院については、与党合意において、平成17年度に整理合理化計画を策定し、売却を進めることとされている。

注)
「年金の福祉還元事業に関する検証会議報告書」(平成17年9月20日)においては、社会保険庁が運営していた年金福祉施設事業を含む年金福祉還元事業について、
(1) 年金財政の厳しさを十分考慮して展開されてきたとはいえないこと、
(2) 年金福祉還元事業をはじめとする福祉施設事業(年金保険料により実施する年金給付以外の事業)について、保険料拠出者や有識者の意見を聴く「恒常的な場」がなかったこと、
(3) 事業を制御する仕組みが行政内部に設けられておらず、また行政内部での連携が図られていなかったこと
といった問題点が指摘されている。また、今後の課題としては、
(1) 個々の福祉施設事業の必要性の精査、情報公開の徹底、「恒常的な場」の設置等を通じて、「事業拡大制御システム」を構築するとともに、
(2) 行政が福祉施設事業の実施について自己評価する仕組みを構築し、また行政内部での連携を図ること
等が挙げられている。

2.取組みと効果の分析
社会保険病院の見直しについては、前年度に引き続き、経営改善計画に基づく取組みが進められているところであり、単年度の収支状況を見ると、赤字の施設が大幅に減少し、併せて黒字の病院が増加しており、また、当期剰余金額についても前年度に比べ、大幅な増加が見られることから、経営の改善に向けた取組みが進展していると評価できる。
今後の課題等
 引き続き、社会保険病院については、経営改善計画に沿った取組みを着実に推進する必要がある。
 年金福祉施設等については、平成17年10月からは、その廃止・譲渡に係る業務は独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構に委ねられることとなるが、当該法人が、中期計画等に沿って当該施設の廃止等を着実に進めているかを把握していく必要がある。


目標
5.広報、情報公開、相談等に関する事項
(1)社会保険事業に関する効果的な広報を行うこと。
(数値目標)
前年度を上回る年金教育の実施校数とすること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
ホームページアクセス数 796,136 8,019,374 22,530,412 39,229,035 53,921,866
年金教育の実施校数 校(延べ数) 5,241 5,838 6,689 8,727 10,767
年金研修の実施事業所数 事業所 6,073 7,133 7,173 7,972 6,930
目標に係る主な取組み及び実績
 社会保険事業に関する効果的な広報については、「緊急対応プログラム」に基づき、新聞、地域情報紙、インターネット、雑誌、交通広告等の各種広報媒体及びチラシ、ポスター等の活字による媒体を活用し、制度内容の効率的な実施に努めた。
 特に年金広報については、「公的年金制度の基礎的事項の周知」をテーマとした「年金週間」(「「年金週間」の取扱いについて」(平成10年6月1日庁文発第1739号))の実施に合わせて、公的年金制度の意義や役割及び保険料の納付義務の周知・広報を実施したほか、年度末には平成17年4月施行に係る年金制度改正内容等を周知するための広報を実施した。また、今後の広報を効果的かつ効率的に実施するために、年金週間及び年度末の広報の実施後においては、メディア接触率、政策・事業の周知率、理解度及び共感度等についての効果測定(次回以降の広報計画策定のための基礎資料とする。)を実施した。
 その他、社会保険庁ホームページの充実、市町村等の広報媒体に社会保険関係の記事の掲載を依頼するなど、公的年金制度の意義や役割を正しく認識し、年金制度に対する理解と信頼を得るための広報及び制度改正内容の広報を積極的に行った。
 年金教育については、「年金教育の実施について」(平成10年6月1日庁文発第1740号)等の通知に基づき、公的年金制度の基本理念である「世代間扶養」の考え方や公的年金制度の意義・役割及び保険料の納付義務について、将来の年金制度を担う中学生・高校生に対して正しく理解してもらうべく、副読本等を使用し、学校訪問による年金教育、セミナーによる年金教育の活動を積極的に推進した結果、前年度に比べ2,040校(23.4%増)増加し10,767校において実施した。
 更に、平成16年度においては、「年金教育推進協議会の設置について」(平成15年4月28日庁保発第21号)通知に基づき、各都道府県社会保険事務局に社会保険関係者及び教育関係者により構成する「年金教育推進協議会」の全都道府県での設置が完了し、地域や学校等の実情に応じた効果的な年金教育の推進について協議を行うなど、年金教育の円滑な推進に努めた。
 また、事業所内における研修については、「事業所内における研修等の促進について」(平成6年2月8日社業発第6号)通知に基づき、被保険者に年金制度に対する理解を深めていただくため、事業所内の退職予定者、新規採用者を対象に年金研修を実施した。
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて進展があった。
(数値目標の達成状況)
年金教育の実施校数については、前年度実績を上回る実績となった。
(評価及び所見)
1.取組みの改善
社会保険事業に関する効果的な広報について、従来と同様、各種広報媒体及びチラシ、ポスター等の活字による媒体を活用した取組みが進められた。
特に、広報の実施後、メディア接触率、政策・事業の周知率、理解度及び共感度等についての効果測定を実施したことは、今後の効果的・効率的な広報体制を整える上で役立つものであり、評価できる。
2.取組みと効果の分析
年金教育の実施について、積極的な活動の結果、前年度を大幅に上回る実績を上げることができた。
事業所内における年金研修については、従来と同様の取組みが進められているが、研修の実施を希望する事業所が前年度よりも減少しており、さらなる事業所への働きかけを推進することが必要であると考えられる。
今後の課題等
 今般実施した、年金に関する広報に係る効果測定の結果を活用し、より効果的・効率的な広報を実施していくための分析や検討等を行う必要がある。
 中学生・高校生に対する年金セミナーの実施をさらに進めていく必要がある。
 年金教育や年金制度の周知について、社会保険大学校の活用を図っていく必要がある。


目標
5.広報、情報公開、相談等に関する事項
(2)厚生年金保険事業・国民年金事業において、年金個人情報の提供の充実を図るなど、事業主、被保険者、受給権者等の利用しやすい年金相談体制を充実すること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
年金相談者数(来訪相談者数) 千人 7,826 8,587 8,347
インターネットによる年金
見込額試算照会の受付件数





56,073

147,750
目標に係る主な取組み及び実績
 全国312の「社会保険事務所」では、来訪、電話、文書による年金相談を行っており、このうち来訪者については、平成16年度においては、7,052,606人の来訪者の年金相談に対応した。
 また、全国71カ所の「年金相談センター」では、平成16年度において1,276,586人の来訪者に年金相談を行ったほか、電話や文書による相談についても対応できる範囲で行っており、196,255本の電話相談及び524通の文書相談についても対応した。
 更に、電話による年金相談を行う「年金電話相談センター」については、平成16年度には13カ所増設し、全国で23カ所の設置となり、2,017,584本の電話相談の対応を行った。
 その他、「社会保険業務センター中央年金相談室」では、来訪、電話、文書による年金相談を行っており、平成16年度においては、17,895人の来訪相談、61,543通の文書相談を行った。電話相談については、平成16年度に順次35席から56席に体制を拡充し、542,804本の電話相談に対応した。加えて、(1)6月1日から30日までの22日間は、物価スライドに伴う年金額改定通知書への問い合わせ対応として、36席増設し24,622件、(2)10月29日から12月1日までの22日間は、扶養親族等申告書の記入方法等への問い合わせ対応として、ピーク時には85席増設し、80,933本、(3)17年1月11日から3月15日までの45日間は扶養親族等申告書の記入方法等への問い合わせ及び源泉徴収票の再交付等への対応として50席増設し、43,233本の電話相談に対応した。
 具体的には、年金相談の充実を図るため、「緊急対応プログラム」に基づき、次の取り組みを実施した。
(1)相談時間の延長、休日相談等
平成16年6月に昼休み時間帯における年金相談実施の徹底を指示し、現在、全ての社会保険事務所等において昼休み時間帯に年金相談を行っている。
平成16年8月16日(月)から20日(金)までのお盆明けの5日間について全ての社会保険事務所及び一部の年金相談センターで相談時間を午後8時まで延長し、5日間で午後5時以降5,071人の来訪者があった。
年金週間期間中の平成16年11月6日(土)から12日(金)において、6日(土)7日(日)の2日間について休日開庁し年金相談を実施し、それぞれ5,801人、5,506人の来訪者があった。また、8日(月)から12日(金)の5日間について相談時間を午後7時まで延長し、午後5時以降3,795人の来訪者があった。
毎週月曜日の相談時間の延長については、平成16年12月6日から午後7時まで延長し、平成16年度中の15日間で午後5時以降9,538人の来訪者があった。
土日における相談のモデル実施については、平成17年1月22日から5日間実施し、22,363人の来訪者があった。
予約制の導入モデル事業の実施については、平成17年2月8日の全国社会保険事務局長会議において取り組みを指示し、現在、いくつかの社会保険事務所においてさまざまな年金相談の予約制への取り組みを開始している。
(2)インターネットを利用した年金個人情報の提供
インターネット(個人認証を活用)を利用した年金個人情報の提供については、社会保険庁ホームページにおいて、55歳以上の者からの年金見込額及び年金加入状況の照会を受け付けているが、本人への郵送による回答に加え、平成17年1月末より、電子申請の仕組みを利用して本人確認を厳格に行いつつ、インターネットによる回答を可能とし、回答の迅速化を図った。なお、平成17年度には年金加入状況について、インターネットによる即時回答を可能とする仕組みを構築し、更なる迅速化を図ることとした。
(3)ファクシミリを利用した年金相談
耳が不自由なため電話による年金相談を行うことが困難な方々に配慮した取り組みとして、ファクシミリによる年金相談を開始するための準備を進めた。(17年4月より実施)
(4)相談窓口の充実
年金相談来訪者の増加に対応するため、社会保険事務所の年金相談窓口の増設に努めた。特に、川越社会保険事務所では平成17年1月から14窓口から25窓口に、所沢社会保険事務所では7窓口から15窓口にそれぞれ大幅に年金相談窓口を増設した。
(5)年金相談センター
年金相談センターについては、千葉県柏市に柏年金相談センター、大阪府堺市になかもず年金相談センターの2カ所を増設した。また、福島年金相談センター、前橋年金相談センター、新潟年金相談センター及び奈良年金相談センターの4カ所を移転するとともに、松江年金相談センター及び高松年金相談センターの2カ所を廃止するなど、地域ニーズに応じた設置の見直しを行い、平成17年4月現在、71カ所となっている。
(6)年金電話相談センター
年金電話相談センターについては、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、長野、岐阜、三重、京都、岡山、広島、熊本の13カ所の社会保険事務局に順次増設し、電話相談体制の充実に努めた。(全国23ヶ所)
(6)総合相談窓口
社会保険事務所におけるワンストップサービスの推進を図るため、平成17年4月1日設置を含め、全国189か所の社会保険事務所に総合相談室を設置し、社会保険事務所来訪者へのサービスの向上を図った。
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて進展があった。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価及び所見)
1.取組みの改善
各施設を利用した相談体制について、年金電話相談センターの増設、年金相談センターの増設、移転及び廃止といった、よりニーズに対応した相談体制を築くための組織の整備が進められた。
相談時間の延長、休日開庁による相談のモデル実施(※)等の取組みが開始され、また、社会保険業務センター中央年金相談室においては時期に応じて電話対応の体制を拡充する等、利用者のニーズにより配慮した取組みが進められた。
(※平成17年4月より本格的に実施している。)
その他、「緊急対応プログラム」の内容に基づき、すべての地方社会保険事務局にホームページが開設され、社会保険事務所の案内、休日相談日や平日の時間延長のお知らせ、混雑状況のお知らせ等の掲載等による、情報提供体制の拡充が図られた。
今後の課題等
 引き続き、相談体制について、利用者たる国民の立場に立ったサービスの向上を効率的に図っていく必要がある。
 社会保険事務所における相談の予約制の導入、インターネットを利用した年金個人情報の提供の迅速化等、課題とされている事項についても、拡充に向けた検討を早急に行う必要がある。
 また、「業務改革プログラム」(平成17年9月27日)に基づき、平成17年8月から実施している中央年金相談室の電話相談ブースの拡充、及び平成17年10月から開始することとしている全国の年金電話相談センターの全国共通電話番号によるネットワークの構築等の取組みについても、効果的に推進していく必要がある。
 さらに、年金電話相談センター事業については、いわゆる「市場化テスト」のモデル事業の結果も踏まえつつ、より利用しやすいものとしていく必要がある。


目標
5.広報、情報公開、相談等に関する事項
(3)国民からの相談に対しては、懇切丁寧に対応すること。また、事業に対する意見は真摯に聞き、事業の改善に役立てること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
ホームページ掲載の相談項目数
(年度末現在の年金相談項目数)

項目

180

181

180

197

204
目標に係る主な取組み及び実績
 国民からの相談への対応については、その質を向上させるため、「緊急対応プログラム」に基づき、平成16年12月「社会保険庁職員行動規範」を策定し、お客様志向のサービスを遂行する意識を職員に徹底するとともに、外部講師を積極的に活用した接遇研修や知識向上のための業務研修の実施など職員教育の充実を図り、お客様の気持ちに立った相談を行うための環境整備に取り組んだ。
 また、地方社会保険事務局の「社会保険事務局さわやか行政サービス推進委員会」を活用するとともに、総合相談室の設置や案内係の配置、届書の記載例の整備、高齢者・障害者等に配慮した対応などに努めた。
 事業に対する意見については、平成16年6月から、社会保険庁ホームページ等において、社会保険庁や社会保険事務所における業務やサービスに対するご意見・ご要望・ご提案を受け付ける仕組みを整備し、更に平成16年10月からは、これを「長官へのメール」や「長官への手紙」として受け付ける仕組みを整備した。平成16年度においては、「長官へのメール」3,519件及び「長官への手紙」142件が御意見として寄せられた。
 また、平成16年10月から、社会保険事務所の窓口のほか、ホームページや本庁各課などの様々な経路で寄せられたご意見や苦情などに対し、具体的な対応や回答を行うとともに、今後の業務運営の改善に役立てるための仕組みとして「国民の声対応報告制度」を整備し、より利用者の視点に立ったサービスの展開に取り組んだ。平成16年度においては、本庁に集約された国民の声対応票の件数は、378件となった。
 さらに、利用者の意見やニーズを的確に把握するため、平成17年3月、全国の社会保険事務所及び年金相談センターへの来訪者(62,830人)を対象に「お客様満足度アンケート」を実施し、52,578人から回答を得た(回答率83.7%)。来訪者の全体的な満足度は、「満足」・「やや満足」を合わせ、8割超であった。アンケートの結果の詳細については、社会保険庁ホームページに掲載している。今後も、年2回(7月、1月)、定期的にアンケート調査を実施し、調査結果を業務改善に繋げる取組を徹底することとしている。
 加えて、平成16年9月より、社会保険庁の事業内容や業務の実施方法等事業全般について、保険料拠出者や利用者の意見を反映させ、その改善を図ることを目的として、「社会保険事業運営評議会」を開催している。
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて進展があった。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価及び所見)
1.取組みの改善
行動規範の策定、職員研修の実施等により、利用者の観点に立ってサービスを提供するための意識啓発が積極的に進められた。
「長官へのメール」、「長官への手紙」、「国民の声対応報告制度」等により、様々な方面から寄せられる利用者のニーズ、苦情等を把握し、業務の改善に結びつけるための体制が整えられた。
「お客様満足度アンケート」の開始により、窓口等における利用者の意見やニーズを的確に把握する上で必要な体制が整えられた。
「社会保険事業運営評議会」を開催により、本庁の業務も含めた社会保険事業全般について、保険料拠出者や利用者の意見を随時把握し、反映させるための仕組みが整えられた。
2.取組みと効果の分析
「お客様満足度アンケート」の結果、来訪者の全体的な満足度が「満足」「やや満足」を合わせ、8割強となっており、取組みが着実に進展していることを示すものといえる。
今後の課題等
 引き続き、「お客様満足度アンケート」等の実施、社会保険事業運営評議会の運営等、16年度から開始された取組みを今後とも推進し、利用者の視点に立って、必要な体制の整備を進めるとともに、随時業務の改善を図っていく必要がある。
 丁寧な相談対応とともに、社会保険庁のホームページを活用した各種情報提供、積極的な年金個人情報の提供、電話相談体制の拡充といった来所の必要をなくすためのサービスの拡充についても、引き続き実施し、充実を図る必要がある。


目標
5.広報、情報公開、相談等に関する事項
(4)国民に対する情報提供の充実を図るとともに、レセプトの開示等についても適切に対応すること。
主な指標の推移
指標名 単位 H12 H13 H14 H15 H16
情報公開法に基づく開示請求の開示件数 239 431 1,003 2,717
レセプト開示件数 2,231 3,358 3,804 3,924 5,207
被保険者記録の事前通知件数 千人 102 1,225
年金見込額の提供件数 千人 704
目標に係る主な取組み及び実績
 情報公開制度に的確に対応するため、職員に対する研修の実施や保有する文書の適正な管理を行うとともに、開示請求に対しても的確に対応するため、「情報公開事務処理要領」に基づき、適切かつ円滑な情報公開の実施に努めた。
 レセプトの開示にあたっては、「政府管掌健康保険及び船員保険に係る診療報酬明細書等の開示の実施について」(平成9年7月14日庁保険発第13号)に基づき、個人情報の保護に十分配慮するとともに、レセプトの早期開示に努め、円滑かつ適正な業務に努めた。
 年金個人情報の提供の充実を図るため、58歳に到達した者に対し、順次「年金加入記録のお知らせ」を送付することにより個人情報を提供するとともに、記載された年金加入記録を事前に確認しておくことにより年金裁定に要する期間を短縮できるよう努めた。また、被保険者の将来設計に役立てるため、これらの者のうち、年金見込額の提供を希望する者には、老齢基礎年金や老齢厚生年金の額を記載した「年金見込額のお知らせ」を送付した。更に、年金請求者の利便性の向上を図るため、年金支給年齢に到達する直前に年金加入履歴等が記載されている裁定請求書を郵送する仕組み(ターンアラウンド方式)について平成17年度の実現に向けた検討を行った。
 また、被保険者個々人に対し、年金加入状況を定期的に提供する趣旨から、平成16年中に国民年金保険料を納付した被保険者14,710,439人に対して平成17年2月に「国民年金保険料納付額のお知らせ」を送付した。なお、平成17年度においては、平成17年度税制改正により確定申告の際、保険料納付を証明する書類の添付が義務づけられたことから「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を送付することとしている。
達成状況に係る評価
(評価結果)
目標の達成に向けて進展があった。
(数値目標の達成状況)
 −
(評価及び所見)
1.取組みの改善
レセプトの開示について、従来と同様、個人情報保護に配慮し、早期に開示するための取組みが進められた。
年金個人情報の提供については、58歳到達者への「年金加入記録のお知らせ」の送付、希望者への「年金見込額のお知らせ」の送付等、年金受給予定者が、受給前に十分な情報を把握できるようにするための体制の整備が進められた。
「国民年金保険料納付額のお知らせ」の送付についても、加入状況の把握に資する重要な取組みであるといえる。
「緊急対応プログラム」に基づき、平成17年4月の行政機関個人情報保護法の施行に併せて全ての社会保険事務所に開示請求等の受付窓口を設置し、同法の円滑な施行に向けた取組みが実施された。
2.取組みと効果の分析
情報公開法に基づく開示請求の開示件数及びレセプト開示件数については、年々増加しているところであり、情報開示のニーズの高まりと併せ、積極的な対応がなされていることを示すものと考えられる。
今後の課題等
 平成17年度中のターンアラウンド方式の導入に向けた整備を進める必要がある。
 引き続き、「緊急対応プログラム」に基づいて、インターネットを利用した年金個人情報の提供の拡充等、情報提供の充実を図る必要がある。
 平成16年における納付実績を、平成17年2月に「国民年金保険料納付額のお知らせ」として送付したところであるが、税務申告に国民年金保険料の納付証明書が必要となったことに対応して、年末調整に間に合うよう、当年11月中の発行を着実に実施していく必要がある。

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