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最近の雇用失業情勢
最近の雇用失業情勢は、厳しさが残るものの、改善している。
公共職業安定所で取り扱う新規求人数は、前年同月比で平成14年7月以降増加が続いている。一方、新規求職者数は前年同月比で平成14年11月以降減少傾向が続いている。これらの結果、有効求人倍率は上昇し、平成17年2月には0.91倍となり、4か月連続で平成5年1月以来11年10か月ぶりに0.9倍台の水準となっている。
また、就職率は平成5年度以来20%後半で推移し、平成15年度は28.8%となった。平成16年度に入っても、すべての月で前年度の実績を上回る水準で推移している。
完全失業者数は、平成17年2月には308万人と、平成15年6月以降21か月連続で減少している。完全失業率は、平成14年8月、15年1月にこれまでで最も高い水準の5.5%となった後、平成15年12月には4.9%と2年6か月ぶりに4%台に低下し、平成16年3月以降は4%台で推移しており、依然として高水準ながら低下傾向がみられる。
その一方で、生活保護の保護率が上昇しており、被保護世帯数は平成15年度には過去最高となっている。
雇用者数、就業者数とも前年と比較して増加傾向が続いている。企業の雇用過剰感は、産業別、規模別にみても低下傾向にあり、サービス業などでは不足感も現れてきている。また、雇用調整の実施事業所割合については、低下傾向にある。
地域別にみると、平成17年2月現在、有効求人倍率については5ブロック(東海、北関東・甲信、中国、南関東、北陸)で1倍台となっている一方、北海道ブロックにおいては0.5倍、九州、東北の各ブロックにおいては0.6倍台となっており、失業率についても3%台から5%台までブロックごとにばらつきがみられるなど、雇用情勢には地域差がみられるところである。 |
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若年者の雇用状況
若年者の雇用情勢については、平成16年11月の15〜24歳層の完全失業率が8.2%と、年齢計の4.7%と比べ高水準で推移するとともに、高い離職率やフリーターの増加(平成15年で217万人と推計される。)など厳しい状況が続いている。加えて、最近では、ニートと呼ばれる働いておらず教育も訓練も受けていない若年者が増加(非労働力人口のうち15〜34歳で卒業者かつ未婚であり、通学や家事を行っていない者は平成15年で52万人と推計される。)し、このことが経済社会に与える影響の重大さが指摘されている。
また、平成17年3月高校新卒者の就職内定状況(平成17年1月末現在)をみると、全国の内定率は81.6%と、前年同期(平成16年1月末現在)に比べ4.9ポイント上昇しているが、地域別では93.8〜53.5%と格差がみられる。平成17年3月大学新卒者の就職内定状況(平成17年2月1日現在)をみると、全国の内定率は82.6%と、前年同期(平成16年2月1日現在)に比べ0.5ポイント上昇している。 |
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高齢者の雇用状況
高齢者の雇用管理の現状(平成16年1月1日現在)をみると、少なくとも65歳まで働ける場を確保する企業は69.2%、そのうち、原則として希望者全員を対象とする企業は26.9%となっている。また、雇用情勢については、平成17年1月の60〜64歳層の有効求人倍率は0.40倍と依然として低水準にとどまっており、一旦離職すると再就職が厳しい状況にある。 |
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女性の雇用状況
女性雇用者数は平成16年には2,203万人となり、15年に比べ26万人増加(前年比1.2%増)した。
また、年齢階級別労働力率をみると、M字型カーブの底である30〜34歳層の労働力率は前年と比べ最も上昇幅が大きく、61.4%(前年差1.1%ポイント上昇)であった。 |
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パートタイム労働者の雇用状況
短時間雇用者(週間就業時間が35時間未満の非農林業の短時間雇用者)数は、平成16年においては1,237万人と、雇用者総数の約4分の1を占めるに至るとともに、近年では、勤続年数の伸張、基幹的な役割を担う者の増加もみられる。 |
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障害者の雇用状況
障害者の雇用状況については、新規求職申込件数が前年に比べて増加するなど障害者の就業に対するニーズが高まる中、法定雇用率1.8%が適用される一般民間企業に雇用されている障害者数が257,939人と前年に比べて4.4%増加したほか、就職件数が増加し解雇者数が減少するなど明るい動きがみられる一方、民間企業の実雇用率は1.46%(前年は1.48%)にとどまり、法定雇用率未達成企業の割合も半数を超えているなど依然として厳しさも残っている。 |