○ | 公的年金は、今や、高齢期の生活の基本的な部分を支えるものとして国民生活に不可欠の存在となっている。 公的年金の総額は年間40兆円を超え、受給者も約3,000万人に達するなど、経済に与える影響も大きい。 また、公的年金は、受給者の生活の安定はもとより、若い世代にとっても、親の高齢期の生活費や自分自身の高齢期についての心配を取り払い、安心を確保していくために大きな役割を果たしており、公的年金は社会経済の活力を維持する基盤となっている。
|
○ | このように、公的年金は国民生活や社会経済に不可欠な存在であるからこそ、戦後の年金制度の発展の歴史を踏まえながら、国民皆年金を堅持し、少子高齢化が急速に進むことが見込まれる中にあっても、持続可能で安心できるものとして、国民の信頼を確保していかなければならない。 そのためには、現役世代の負担が過大なものとならないよう配慮しながら将来の保険料負担を明らかにし、給付も安心できる水準を確保していく必要がある。その際、世代内の公平、所得再分配機能といった点も考慮することが重要である。
|
○ | また、負担面では保険料の事業主負担などにおいて、給付面では高齢者の安定した消費の実現などにおいて、社会経済への影響も大きなものとなっており、改革に当たっては、社会経済全体との調和にも配慮が必要である。
あわせて、雇用施策、次世代育成支援策、税制等関連施策との連携を図り、総合的な視点に立った改革をしていかなければならない。
|
○ | また、少子高齢化の急速な進行の中で、我が国の社会経済を活力あるものにしていくためには、働く意欲を持つ者が多様な形で働き、能力を発揮できる社会を維持していくことが重要である。年金制度についても、女性や高齢者、障害者などの多様な働き方の選択に対して中立的な仕組みとし、就労等様々な形での貢献が年金制度上評価されるよう見直す必要がある。
|
○ | 以上のとおり、平成16年改正では、持続的で安定的な年金制度の確立を目指し、頻繁な制度改正を必要としない仕組みとしつつ、将来の現役世代の負担への配慮を十分行うとともに、公的年金としてふさわしい給付水準の確保が可能となるよう、改革に取り組んでいく。 |