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(1) 患者の視点の尊重

  ≪将来像のイメージ≫

 (医療機関情報の提供の促進)
(ア)医療機関が自ら情報を積極的に提供するとともに、民間団体、公的機関等もそれぞれの特色に応じた情報を提供することによって、患者・国民が容易に医療に関する多様な情報にアクセスできる。

 (診療情報の提供の促進)
(イ)患者への治療方針や治療方法の選択肢の説明が適切に行われ、患者と医師・歯科医師の信頼関係の下、患者の選択を尊重した医療が提供される。また、他の医師・歯科医師の意見を求めることや患者相談への対応等、患者の選択や意向が尊重される。患者と薬剤師の信頼関係の下、薬局・病院等にお いて医薬品に関する適切な情報提供や服薬指導が行われる。
(ウ)患者も自ら健康の保持のための努力を行い、自覚と責任をもって医療に参加する。

 (根拠に基づく医療(Evidence-based Medicine : EBM)の推進)
(エ)主要な疾患について、最新の科学的根拠に基づいた診療ガイドラインが整備され、信頼性の高い医療情報データベースによってインターネット等を通じて情報提供を行う。これにより、患者は必要な情報を得た上で治療を受けるとともに、医師等は最適な医療情報を参照しつつ患者と十分に対話をしながら迅速で的確な検査や治療を行うことができる。

 (安全で、安心できる医療の再構築)
(オ)医療安全対策が徹底され、国民が安心して医療を受けることができる。
(カ)医療に関して苦情や心配、相談がある場合には、身近な地域で相談・助言等を受けることができる。

≪当面進めるべき施策≫

 I 医療に関する情報提供の推進

 (1)医療機関情報の提供の促進
   (1) 患者・国民のニーズを踏まえて、医療に関する広告の規制を今後も逐次緩和していく。
   (2) 患者・国民に対して、公的機関がインターネットを通じて客観的・検証可能な事項(広告可能な事項)を積極的に提供するとともに、医療機関、民間団体等も更に特色ある多様な情報の提供を推進する。
   (3) (財)日本医療機能評価機構の評価について、平成18年度中に2000病院が受審する目標時期を平成16年度中に繰り上げ、国公立病院はもとより、民間病院の積極的な受審を促進する。

 (2)診療情報の提供の促進
   (1) 診療記録については現在国会で審議されている個人情報保護法案では原則開示とされているが、さらに、診療情報の提供に関する仕組みを整備するとともに、診療記録の標準化や医療提供者に対する教育研修の推進などの環境整備に取り組む。

 (3)根拠に基づく医療(EBM)の推進
   (1) 平成15年度末までに、頻度が多く情報ニーズの高い優先20疾患(高血圧、糖尿病、脳梗塞、関節リウマチ、胃がんなど)について診療ガイドラインを整備する。
   (2) 平成16年度から、診療ガイドラインの整備された疾患について、医師等の医療従事者及び患者が求める情報を的確に提供するデータベースの運用を開始する。
   (3) 引き続き、データベースの充実、診療ガイドラインの整備を進める。

 II 安全で、安心できる医療の再構築

  (1) 「医療安全推進総合対策」を着実に実施することとし、医療機関等における安全管理体制の確保、医薬品・医療機器等の安全性の向上、医療従事者の教育研修等の充実を行うとともに、平成15年度から都道府県・二次医療圏単位等において医療に関する患者・家族等の苦情や相談への迅速な対応等を行う「医療安全支援センター」の設置を進める。
  (2) 医療に係る事故事例情報を収集分析し、医療現場にフィードバックすることによる医療事故の発生予防・再発防止のシステムを構築する。


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