1.期限切れワクチン使用の事実関係について
(1) | 全都道府県への調査依頼 「MMRワクチンに関する調査について(依頼)」(平成15年1月7日事務連絡) |
平成4年10月より平成5年4月にかけて期限がきれているはずの統一株が使用されていることが文献「わが国における自社株および統一MMRワクチンに関する研究」(臨床とウイルスVOL.23 No.5 1995.12)中に、記載されているとの指摘があった。厚生労働省内には、当時の資料が残っていなかったため、各都道府県に対し、当時の資料が残っているか確認し、残っているところにおいては、資料を提供頂いた。
その結果、11道府県に当時の資料が保管されており、それらの資料によれば、平成4年10月から平成5年4月にかけて、10道府県において、期限切れMMRワクチンが合計2,142人に対して使用されていたと、厚生省(当時)に平成5年の時点で報告されていたことが判明した。
都道府県 | 平成4年10月〜平成5年4月の統一株接種者数 | 都道府県 | 平成4年10月〜平成5年4月の統一株接種者数 | 都道府県 | 平成4年10月〜平成5年4月の統一株接種者数 |
北海道 | 318人 | 石川県 | − | 岡山県 | − |
青森県 | 121人 | 福井県 | − | 広島県 | − |
岩手県 | − | 山梨県 | − | 山口県 | − |
宮城県 | − | 長野県 | − | 徳島県 | − |
秋田県 | 267人 | 岐阜県 | 85人 | 香川県 | 37人 |
山形県 | − | 静岡県 | − | 愛媛県 | − |
福島県 | − | 愛知県 | − | 高知県 | − |
茨城県 | − | 三重県 | − | 福岡県 | − |
栃木県 | − | 滋賀県 | − | 佐賀県 | − |
群馬県 | − | 京都府 | 156人 | 長崎県 | − |
埼玉県 | − | 大阪府 | 2人 | 熊本県 | 801人 |
千葉県 | − | 兵庫県 | 203人 | 大分県 | 152人 |
東京都 | − | 奈良県 | − | 宮崎県 | − |
神奈川県 | − | 和歌山県 | − | 鹿児島県 | − |
新潟県 | − | 鳥取県 | − | 沖縄県 | 0人 |
富山県 | − | 島根県 | − | ||
合計 | 2,142人 |
(2)該当自治体への調査依頼
上記、11道府県のうち、使用された市町村の同定が可能であった5府県について、厚生労働省より担当官を派遣し、その実態について市町村担当者に対し聞き取り調査を実施した。
その結果は以下のとおりである。
市町村数 | 統一株接種と 報告されている人数 |
|
当時都道府県に対し報告を行ったことが特定できた市町村数及び報告人数 | 31 | 568人(100%) |
市町村での集計における記入ミスがあり、実際には統一株ではなく自社株が接種されていた事が確認できたもの | 3 | 72人(12.7%) |
市町村での集計における不正確な記入や記入ミスであることが疑われるが、接種されたものが自社株か統一株かを、確認できないもの※1 | 22 | 435人(76.6%) |
期限切れワクチンの使用の可能性が否定できないもの | 6 | 61人(10.7%) |
(注) | 今回の調査は、市町村における集計が適正に行われたかどうかについてのみ確認したものである。 |
・ | 報告された接種者数は、予防接種が実施された時点ではなく、医療機関から市に対して費用が請求された時点で集計されたものと考えられるもの。 |
・ | 報告者が統一株と自社株の違いを認識していないため、誤記入であったと考えられる等の理由によるもの。 |
2.期限切れワクチン使用防止対策
予防接種実施要領(平成6年8月25日 健医発第962号)、予防接種ガイドライン等を踏まえて、期限切れワクチンの接種防止対策を含めた予防接種に関する事故の防止に取り組まれるようお願いしているところではありますが、今回の調査中において知りえた、期限切れワクチンが使用されることを防止するために県および市町村において行われていた対策を、参考として例示します。
(1) | 事故防止マニュアルを作成し、予防接種実施機関に周知を図る。<熊本県> (参考1) |
(2) | 予防接種実施機関において、予診表にロット番号とともに有効期限を書き込む。<熊本県> |
(3) | 予防接種実施機関において、予診表に有効期限を書き込み、行政において期間内であることを確認する。<岐阜県巣南町> |