アンケート調査結果 |
1. | 調査目的
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2. | 調査対象及び調査数、回収数及び回収率 調査対象としては、平成7年に実施された「中小製造業の技術・技能集積に関する調査」(中小企業労働福祉推進会議専門小委員会報告書、平成8年 3月)の結果との比較考察を行うために同調査の調査対象に準拠することとし、「山形県村山」「茨城県北部」「多摩北部」「東京南部」「長野県諏訪」「長野県坂城」「静岡県西遠」「愛知県尾張北部」「大阪府中河内」「福井県鯖江」の10集積地域に位置する、「鉄鋼業」「非鉄金属製造業」「金属製品製造業」「一般機械器具製造業」「電気機械器具製造業」「輸送用機械器具製造業」「精密機械器具製造業」「工業用プラスチック製品製造業」の8業種に分類される従業員5人以上300人未満の企業を調査対象とした。 上記条件をもとに抽出した合計7,972社に郵送で調査票を配布した(有効配布数7,933社)。有効回収数は1,545社で有効回収率は19.5%であった。 |
3.主な調査結果
(1) | 経営状況
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3年前と比べた売上高・出荷額の伸び(前年調査との比較)![]() |
(2) | 取引状況
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協力会への加入の有無(前回調査との比較)![]() |
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現在・近い将来の競争相手企業の立地地域
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(3) | 労務管理・人材確保
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従業員の過不足状況(全体)![]() |
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技能者数に占める各類型の人数(全体)
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(4) |
人材育成・能力開発
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基幹的従業員に求められる知識・技能(前回調査との比較)
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高レベル技能の技能者への評価・処遇方法(業種別)
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(5) | 地域での取り組み
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地域におけるネットワーク活動への参加状況(全体)
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集積地域のメリットを生かして能力向上を地域全体で図っていく為の効果的方法(全体)
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地域で基幹的従業員育成を進める上での問題点(業種別)
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4.特定テーマ分析
(1) | 取引関係の変化と人材問題
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売上高伸び別にみた、この3年間に取り組んだ事業再構築
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売上高伸び別にみた、近く取り組む予定の事業再構築
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被説明変数:売上高・出荷額の伸び![]() |
(2) | 集積地域における中小製造業のIT戦略と人材ニーズ
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インターネットの活用状況(複数回答)![]() |
CAD/CAMの活用状況(複数回答)
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(3) | ものづくり人材の育成と確保−企業と地域における取り組み
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地域におけるネットワーク活動への参加
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(4) | 技能者類型による分析
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「3年前と比べた売上高の伸び」と技能的企業類型
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現地調査結果 |
第1部の調査対象とした10の集積地域のうち、アンケート結果で特徴的な傾向が得られた4つの集積地域を対象として、ものづくり人材育成の現状を把握した。対象とした地域は次の4地域である。
(1) | 大阪府中河内地域:都市部開発企業型地域の事例として 集積全体としてはまだまだ国際競争力を保持しており、高付加価値の製品やオンリーワンの製品を作っている企業があるかぎり、集積が衰退さらには空洞化することはないという自信が垣間見られる。また、公共団体と地元企業との連携がかなり緊密であり、強みとなっている。 ものづくり技能・技術は常に進化(ないし深化)しており、特に開発型企業が多いこの地域ではこの傾向は顕著である。そのため、高齢者が体現している熟練技能を若い世代へとそのままの形で継承させていくことが、次代のものづくり人材育成の必要十分条件であるとはこの地域では限らない。ただし、最先端と言われる技術もあくまでも基盤技術の延長線上にあるため、基盤となる加工技術を完全に投擲してしまってよいというものでもなく、「技術者と技能者の中間的な人材」が必要とされている。 |
(2) | 山形県村山地域:地方工場誘致型地域の事例として 地域内企業の(横の)交流・ネットワークは十分行われているとは言えず、これは人材育成面でも同様である。この原因としては、このような地域内企業のネットワーク化の旗を振る人材が見当たらないことが指摘されている。しかしながら、例えばOBを組織化してものづくり現場の指導・若手育成に活用することについては好意的な反応が多く、地域内の企業同士でより自社の持つ技術・技能をオープンにし合って交流を進めることに前向きな意見もある。 |
(3) | 茨城県北部地域:企業城下町型地域の事例として 本地区の産業集積は日立製作所を頂点に電機・金属など部品加工・製作の中小企業群がピラミッドをつくり、タテ型の産業・生産組織を形成してきた。このタテ型構造の維持が難しくなっている状況の中で、個別企業の自立化への取組が行われ始めている。 他方、企業間連携を通じた自立化の取組としても、特に域内企業との関係ではその必要性を認識する企業が多く、脆弱な営業基盤の強化を図るため、合目的的に企業間連携を通じて販路拡大や新分野進出に挑戦する試みが誕生している。 |
(4) | 静岡県西遠地域:好調な地域の事例として 地域におけるものづくり人材の育成については、これまでは輸送用機械及び楽器のそれぞれの系列の中で、親メーカーが行う講習及び自社内でのOJTを主体とした教育によって行われてきたケースが一般的であると思われる。 地域にある各支援機関が行う地域ものづくり人材育成への取り組みとしては、「先端技術産業の発展」に力点を置いた取り組みが目立ち、ものづくり現場の技能者の育成に大きく寄与しているとは言いにくい。 |
これからのものづくり人材育成の方向性 |
第1章 ものづくり人材育成の重要性と地域の視点の導入の意義
(1) | 人材育成投資の重要性 競争上の優位性を生み出すのは、その設備を動かすノウハウの部分、更にその設備を使ってそれ以上の加工を行っていく(或いはその設備を元にして新しいものを生み出していく)技能の部分である。この部分、即ち人材育成に対して積極的な投資を行うかどうかが、その企業の生き残りの分かれ目となるのである。 |
(2) | 地域(集積)を活用した競争力強化
これまで、中国(に代表されるアジア諸国)の「最新設備+コスト(人件費)安」に対して、日本は「技術+技能」で対抗を続けてきた。これまでこの「技術+技能」力の向上に大きな役割を果たしてきたのは、いわゆる縦のケイレツであったが、現在ケイレツの崩壊は確実に進みつつある。 これからは中国の「最新設備+コスト(人件費)安」に対して、日本は「(技術+技能)+地域集積」により対抗していく、というスキームに変わることが必要である。 |
第2章 競争を生き抜いていくためのものづくり人材育成への取り組み方
(1) | 企業としての取り組み ものづくり企業が生き残っていくための一番の方法は、“オンリー・ワン”企業となることである。“オンリー・ワン”の製品づくりを可能にしているのは、その企業の持つ技術力・開発力であり、それを支えるものづくり人材の力であろう。そこまでいかなくとも、事業内容を高付加価値構造へと転換を進めながら、競争力を高めている企業が売上を伸ばしており、製造業の原点を見据えて競争力を維持している企業が伸びている。 | ||||||||||||
(2) | 地域としての取り組み
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(3) | 国としての取り組み
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