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照会先:厚生労働省医薬局食品保健部
 監視安全課長 高谷 幸
 担当者:黒羽(内線2477)
 Phone 03 5253 1111(厚生労働省代表)

平成13年12月5日

平成12年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果について

 食品からのダイオキシン類(ダイオキシン及びコプラナーPCB)の一日摂取量調査及び個別食品中のダイオキシン汚染実態調査について、平成12年度の調査結果がまとまった。
 この調査は、平成12年度厚生科学研究費(主任研究者:豊田正武国立医薬品食品衛生研究所食品部長)等により行われたものであり、調査結果の概要は下記のとおりである。

1 調査目的

 ダイオキシン類の人への主な暴露経路の一つと考えられる食品について、平均的な食生活における食品からのダイオキシン類の摂取量を推計すること、及び個別の食品のダイオキシン類の汚染実態を把握すること。

2 調査方法

 昨年度の報告書(平成11年度)と同様に「食品中のダイオキシン類及びコプラナーPCBの測定方法暫定ガイドライン」(平成11年9月作成)に準じて実施した。

(1) ダイオキシン類の食品経由摂取量等に関する研究(トータルダイエットスタディ)

 全国7地区(16か所)で集めたトータルダイエット試料(14食品群)について、ダイオキシン類を分析し、平均的な食生活において食品から摂取されるダイオキシン類の量を推計した。

(2) 野菜、魚介類個別食品中ダイオキシン類濃度等に関する調査研究

 個別食品として、魚介類24種、水産加工品15種、肉類6種、食肉加工品7種、乳類5種、卵類2種、野菜13種、果実類3種、豆類3種、穀類1種、その他の食品2種について、それぞれ複数地区(一部の品目を除く)で購入し、合計81種230検体についてダイオキシン類の汚染状況を調査した。

3 調査項目

 ダイオキシン(ポリ塩化ジベンゾーパラージオキシン(PCDD)7種、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)10種)及びコプラナーPCB (Co-PCB)12種。

4 調査結果の概要

(1) 一日摂取量調査(トータルダイエットスタディ)

 食品からのダイオキシン類の一日摂取量は、1.45pgTEQ/kgbw/日(0.84〜2.01pgTEQ/kgbw/日)と推定された。この数値は、平成10年度調査結果(2.01pgTEQ/kgbw/日)及び平成11年度調査結果(2.25pgTEQ/kgbw/日)より低い数値であった。また、TDIを上回った地点はなかった。
 以上のことから、平均的な食生活をしている日本人のダイオキシン類摂取量の推計値はTDI(4pgTEQ/kgbw/日)を十分下回っており、現在のところ、食品衛生上の問題はないと考える。しかしながら、偏りのないバランスの良い食生活が勧められる。

(単位:pgTEQ/kgbw/日)
地域 北海道
地区
東北地方 関東地方 中部地方
東北A 東北B 関東A 関東B 関東C 中部A 中部B
平成9年度 1.42 2.61 2.12 2.68 3.18 2.64
平成10年度 2.77 1.26 2.06 2.14 2.00 2.03
平成11年度 1.29 1.65 1.47 4.04 1.59 1.68 1.53 2.42
平成12年度 0.84 1.92 1.10 1.30 1.72 1.48 1.44 1.80

地域 中部地方 関西地方 中国四国地方 九州地方
中部C 関西A 関西B 関西C 中四国A 中四国B 中四国C 九州A 九州B
平成9年度 2.71 3.14 1.37   2.27
平成10年度 1.87 2.72 1.22   1.99
平成11年度 1.57 7.01 1.79 1.89 3.59 1.48   1.84 1.19
平成12年度 1.41 2.01 1.43 2.01   1.40 0.98 1.55 0.86

(3年間の調査結果)
  平成10年度調査結果 平成11年度調査結果 平成12年度調査結果
一日摂取量 100.3pgTEQ/日
(61.3〜138.4pgTEQ/日)
112.6pgTEQ/日
(59.5〜350.7pgTEQ/日)
72.66pgTEQ/日
(42.1〜100.5pgTEQ/日)
体重1kg当たりの一日摂取 2.01pgTEQ/kgbw/日
(1.22〜2.77pgTEQ/kgbw/日)
2.25pgTEQ/kgbw/日
(1.19〜7.01pgTEQ/kgbw/日)
1.45pgTEQ/kgbw/日
(0.84〜2.01pgTEQ/kgbw/日)
 数値は平均値、( )内は範囲を示す。なお、体重1kg当たりの一日摂取量は日本人の平均体重を50Kgとして計算している。

(2) 個別食品中のダイオキシン類汚染実態調査

 食品分類毎の平均値では魚介類が最も高く、水産加工品、乳類、卵類、肉類、食肉加工品、野菜類の順であった。個別食品中のダイオキシン類汚染実態調査の概要は以下のとおりであった。

(個別食品の概要)
食品分類 ダイオキシン類濃度
魚介類24種(アジ、アナゴ、アンコウ、カマス、カレイ、キチジ、サケ、サバ、サワラ、タイ、タチウオ、ハマチ、ハモ、フグ、ホッケ、マグロ、メバル、イイダコ、イカ、エビ、タコ、ズワイガニ棒肉、赤貝、カキ) <0.001〜6.789pgTEQ/g
(1.593pgTEQ/g)
水産加工品15種(イクラ、塩サケ、塩サバ、塩サンマ、シシャモ、ホッケ干物、煮干し、イワシ蒲焼き缶詰、魚肉ソーセージ、さつま揚げ、サンマ蒲焼き缶詰、マグロ缶詰、ちくわ、はんぺん、焼き蒲鉾 <0.001〜1.394pgTEQ/g
(0.398pgTEQ/g)
肉類6種(牛肉、牛タン、豚肉、豚腸、鶏肉、鶏皮) <0.001〜1.687pgTEQ/g
(0.128pgTEQ/g)
食肉加工品7種(鯨肉缶詰、羊肉缶詰、ロースハム、チキンフランク、ソーセージ、ベーコン、コンビーフ) <0.001〜0.086pgTEQ/g
(0.022pgTEQ/g)
乳類5種(牛乳、粉ミルク、練乳、チーズ、バター) <0.001〜0.981pgTEQ/g
(0.174pgTEQ/g)
卵類2種(鶏卵、ウズラ卵) 0.035〜0.288pgTEQ/g
(0.135pgTEQ/g)
野菜13種(カボチャ、キャベツ、きゅうり、サツマイモ、シイタケ、ジャガイモ、トマト、長ネギ、にんじん、白菜、ピーマン、ホウレン草、レタス) <0.001〜0.154pgTEQ/g
(0.011pgTEQ/g)
果実類3種(いちご、みかん、りんご) <0.001〜0.003pgTEQ/g
(0.001pgTEQ/g)
穀類1種(米) <0.001pgTEQ/g
(<0.001pgTEQ/g)
豆類3種(小豆、金時豆、大豆) <0.001〜0.001pgTEQ/g
(0.001pgTEQ/g)
その他(蜂蜜、昆布佃煮) <0.001〜0.019pgTEQ/g
(0.006pgTEQ/g)
数値は検出範囲、( )内は食品分類中の単純平均値を示す。

5 今後の予定等

 平成13年度も食品からのダイオキシン類の一日摂取量及び個別食品中の汚染実態調査を継続して実施する予定。

以上


【用語説明】

ダイオキシン類:
ダイオキシン及びコプラナーPCB

ダイオキシン:

ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)
ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)

コプラナーPCB(Co-PCB):

PCDD及びPCDFと類似した生理作用を示す一群のPCB類

トータルダイエットスタディ:

通常の食生活において、食品を介して化学物質等の特定の物質がどの程度実際に摂取されるかを把握するための調査方法。飲料水を含めた全食品を14群に分け、国民栄養調査による食品摂取量に基づき、小売店等から食品を購入し、必要に応じて調理した後、各食品群ごとにダイオキシンの分析を行い国民1人あたりの平均的な1日摂取量を推定するもの。

TEF(毒性等価計数):

ダイオキシンは通常混合物として環境中に存在するため、様々な同族体のそれぞれの毒性強度を最も毒性が強いとされる2,3,7,8-TCDDの毒性を1とした毒性等価計数(TEF:Toxic Equivalency Factor)を用いて表す。なお、今回は1997年にWHOで再評価された最新のTEFを用いている。

TEQ(毒性等量):

ダイオキシンは通常混合物として環境中に存在するので、摂取したダイオキシンの毒性の強さは、各同族体の量にそれぞれのTEFを乗じた値を総和した毒性等量(TEQ:Toxic Equivalent)として表す。

TDI(耐容一日摂取量):

長期にわたり体内に取り込むことにより健康影響が懸念される化学物質について、その量まではヒトが一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと判断される一日当たりの摂取量。ダイオキシンのTDIについては、1999年6月に厚生省及び環境庁の専門家委員会で、当面4pgTEQ/kgbw/日(1日に体重1kg当たり4pgTEQの意味。体重50kgの人であれば、4pgTEQ×50kgで計算し、TDIは200pgTEQとなる。)とされている。


個別食品調査の詳細

1 魚介類
(単位:pgTEQ/g)
食品名 ダイオキシン類濃度 食品名 ダイオキシン類濃度
アジ 3.164 ハマチ 0.772
  3.551   3.314
平均 3.358 平均 2.043
アナゴ 6.789 ハモ 0.295
  0.370   0.498
平均 3.580 平均 0.397
アンコウ 3.299 フグ 0.045
  0.081   0.057
  0.034 平均 0.051
平均 1.138 ホッケ 1.470
カマス 0.996 マグロ (輸入) 0.023
  1.535 メバル 5.082
平均 1.266   1.990
カレイ 0.039   1.920
  0.808 平均 2.997
平均 0.424 イイダコ 3.096
キチジ 4.060 イカ 0.015
  2.285   0.304
  4.377 平均 0.160
平均 3.574 エビ (輸入) 0.257
サケ 0.079  〃 0.030
(輸入) 0.068 平均 0.144
 〃 2.870 タコ (輸入) 0.025
平均 1.006  〃 <0.001
サバ(マサバ) 3.478 平均 0.013
  3.143 ズワイガニ棒肉 0.172
  3.841 赤貝 (輸入) 0.009
平均 3.487 カキ 0.387
サワラ 0.493   0.526
  1.119   1.102
  0.793 (輸入) 0.214
平均 0.802  〃 0.214
タイ(マダイ) 1.122 平均 0.489
  1.916  
平均 1.519
タチウオ 0.669
  6.332
  5.302
平均 4.101


2 魚介類加工品
(単位:pgTEQ/g)
食品名 ダイオキシン類濃度 食品名 ダイオキシン類濃度
イクラ 0.451 サンマ蒲焼き缶詰 0.174
  0.226   0.154
  0.115 平均 0.164
平均 0.264 マグロ缶詰 0.011
塩サケ (輸入) 0.390   0.011
塩サバ 1.280 平均 0.011
(輸入) 1.032 ちくわ 0.001
平均 1.156   0.014
塩サンマ 0.306 平均 0.008
  0.238 はんぺん 0.006
平均 0.272   0.005
シシャモ (輸入) 0.846 平均 0.006
ホッケ干物 1.085 焼き蒲鉾 <0.001
  1.256   0.064
  0.856 平均 0.032
平均 1.066  
煮干し 1.394
  0.741
平均 1.068
イワシ蒲焼き缶詰 0.193
  1.001
平均 0.597
魚肉ソーセージ 0.038
  0.060
平均 0.049
さつま揚げ 0.002
  0.001
平均 0.002


3 食肉
(単位:pgTEQ/g)
食品名 ダイオキシン類濃度 食品名 ダイオキシン類濃度
牛肉 0.111 鶏肉 0.003
  1.687   0.030
  0.279   <0.001
  0.140   0.170
  0.107   0.154
平均 0.465 平均 0.071
牛肉 (輸入) 0.252 鶏肉 (輸入) 0.002
 〃 0.076  〃 0.015
 〃 0.001  〃 0.075
 〃 0.026  〃 <0.001
 〃 0.006  〃 0.090
 〃 0.034  〃 0.179
平均 0.066 平均 0.060
豚肉 0.005 牛タン 0.193
  0.015   0.293
  0.012   0.206
  0.007 平均 0.231
  0.005 豚腸 0.005
平均 0.009   0.014
豚肉 (輸入) <0.001   0.002
 〃 0.018 平均 0.007
 〃 0.001 鶏皮 0.570
 〃 <0.001   0.398
 〃 0.012   0.167
 〃 0.009 平均 0.378
平均 0.007  


4 食肉加工品
(単位:pgTEQ/g)
食品名 ダイオキシン類濃度 食品名 ダイオキシン類濃度
鯨肉缶詰 0.056 練乳 (輸入) 0.079
  0.027 チーズ 0.194
平均 0.042   0.061
羊肉缶詰 <0.001   0.070
  <0.001   0.079
平均 <0.001 平均 0.101
ロースハム 0.002 チーズ (輸入) 0.266
  0.002  〃 0.116
平均 0.002  〃 0.466
チキンフランク 0.086  〃 0.223
ソーセージ 0.017 平均 0.268
  0.004 バター 0.435
ソーセージミート缶詰(輸入) 0.039   0.287
平均 0.020   0.400
ベーコン 0.010   0.241
  0.001 (輸入) 0.981
平均 0.006 平均 0.469
コンビーフ (輸入) 0.042 鶏卵 0.122
牛乳 0.041   0.035
  0.025 平均 0.079
  0.030 ウズラ卵 0.288
  0.015   0.096
  0.034 平均 0.192
  0.042  
平均 0.031
粉ミルク 0.086
  <0.001
  0.002
  0.001
平均 0.022


5 野菜等
(単位:pgTEQ/g)
食品名 ダイオキシン類濃度 食品名 ダイオキシン類濃度
小豆 0.001 トマト <0.001
  0.001   <0.001
平均 0.001   <0.001
いちご <0.001 平均 <0.001
  <0.001 長ネギ <0.001
平均 <0.001   0.050
カボチャ(輸入) <0.001   <0.001
 〃 <0.001 平均 0.017
平均 <0.001 にんじん <0.001
キャベツ(輸入) <0.001   <0.001
 〃 0.059   <0.001
平均 0.030 平均 <0.001
きゅうり <0.001 白菜 <0.001
  0.002   <0.001
  0.020   <0.001
平均 0.007 平均 <0.001
金時豆 <0.001 ピーマン (輸入) <0.001
  <0.001  〃 <0.001
平均 <0.001 平均 <0.001
米 (輸入) <0.001 ホウレン草 0.002
 〃 <0.001   0.039
 〃 <0.001   0.154
 〃 <0.001   0.011
平均 <0.001   0.012
さつまいも <0.001   0.095
  <0.001   0.010
  <0.001 平均 0.046
  <0.001 レタス (輸入) <0.001
平均 <0.001 みかん <0.001
椎茸 <0.001   <0.001
  <0.001   <0.001
  <0.001 平均 <0.001
平均 <0.001 りんご <0.001
ジャガイモ <0.001   0.003
  <0.001   <0.001
  <0.001 (輸入) <0.001
  <0.001 平均 0.001
平均 <0.001 蜂蜜 (輸入) 0.003
大豆 <0.001  〃 <0.001
  0.001  〃 0.019
  0.001 平均 0.007
平均 0.001 昆布佃煮 <0.001
(注:検疫所で採取したものは「(輸入)」と記載)


厚生科学研究費(生活安全総合研究事業)
(総括研究報告書)

ダイオキシン類の食品経由総摂取量調査研究(平成12年度)

主任研究者 豊田正武 国立医薬品食品衛生研究所 食品部長


その1: ダイオキシン類の食品経由総摂取量等に関する研究
その2: 野菜、魚介等個別食品中ダイオキシン類濃度等に関する調査研究
その3: 汚染因子の推定

分担研究者 豊田正武 国立医薬品食品衛生研究所
飯田隆雄 福岡県保健環境研究所
佐々木久美子 国立医薬品食品衛生研究所
協力研究者 堤 智昭、 天倉吉章 国立医薬品食品衛生研究所
中川礼子、 堀 就英、 飛石和大 福岡県保健環境研究所
内部博泰、 柳 俊彦、 中村宗知、河野洋一 (財)日本食品分析センター


その1:ダイオキシン類の食品経由総摂取量等に関する研究

 我が国における、通常の食品から摂取されるダイオキシン類(PCDDs7種、PCDFs 10種及びCo-PCBs 12種)の量を把握するために、昨年度と同様7地区16ヶ所で集めたマーケットバスケット方式によるトータルダイエット試料(14食品群、16試料)について、ダイオキシン類を分析し結果を集計し1日摂取量を求めた。
 平成12年度トータルダイエットからのダイオキシン類の1日摂取量は、平均72.66pgTEQ/day(範囲42.1〜100.5pgTEQ/day)であった。日本人の平均体重を50kgとして、本研究から得られたダイオキシン類について体重kg当たりの1日摂取量に換算すると、平均1.45pgTEQ/kgbw/day (範囲0.84〜2.01pgTEQ/kgbw/day)で、食事由来摂取量の全国平均値は我が国のTDIの4pgTEQ/kgbw/day以下となっている。地区別摂取量では1.0pgTEQ/kgbw/day未満の地域が3ヶ所、1.0以上〜2.0pgTEQ/kgbw/dayの地域が11ヶ所、2.0pgTEQ/kgbw/day以上が2ヶ所であった。平成12年度のダイオキシン類の平均1日摂取量は昨年度と比較し、かなり減少し、1日摂取量調査が始まって以来最も低い値となっている。なお参考として不検出(定量限界未満の場合)を定量限界の1/2として計算した場合(以下、ND=LOD/2と略す)は、それぞれ平均119.5 pgTEQ/day(範囲82.4〜148.0pgTEQ/day)、平均2.39pgTEQ/kgbw/day(範囲1.65〜2.96 pgTEQ/kgbw/day)であった。
 この結果、本年度のダイオキシン類の平均的な1日摂取量は最近2〜3年の値より若干低い値を示したが、これが日本人のダイオキシン類摂取量の減少傾向を意味しているか否かを判断するためには引き続き摂取量調査を継続して実施する必要がある。
 このように食品からの日本人の平均的なダイオキシン摂取量はTDI(4pgTEQ/kgbw/day)を下回っており、現在の所、食品衛生上の問題はないと考える。

その2:野菜、魚介等個別食品中ダイオキシン類濃度等に関する調査研究

 我が国に於ける食品を介した人へのダイオキシン類の暴露状況を把握するために、昨年度に引き続き個別食品の汚染状況を調査した。ダイオキシン類濃度は2,3,7,8-TCDDに換算した値として示し、不検出(定量下限値未満の場合:ND)に、ゼロを当てはめた場合の数値で示した。
 調査食品では魚介類中濃度が最も高く、総ダイオキシンが平均1.593pgTEQ/g(〈0.001〜6.789pgTEQ/g)であり、魚加工品では平均0.398pgTEQ/g(〈0.001〜1.394pgTEQ/g)である。肉類(牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉等)の濃度は平均0.128pgTEQ/g(〈0.001〜1.687pgTEQ/g)、食肉加工食品では平均0.022pgTEQ/g(〈0.001〜0.086pgTEQ/g)である。乳・乳製品(牛乳、粉乳、チーズ、バター等)中濃度は平均0.174pgTEQ/g(〈0.001〜0.981pgTEQ/g)であり、卵類中濃度は平均0.135pgTEQ/g(0.035〜0.288pgTEQ/g)である。野菜類等については、平均0.012pgTEQ/g(〈0.001〜0.154pgTEQ/g)、茸類では平均〈0.001pgTEQ/g、穀類・豆類では平均〈0.001pgTEQ/g(〈0.001〜0.001pgTEQ/g)、果実類では平均〈0.001pgTEQ/g(〈0.001〜0.003pgTEQ/g)、その他加工品では0.006pgTEQ/g(〈0.001〜0.019pgTEQ/g)である。

その3 : 汚染因子の推定

 個別食品におけるダイオキシン類の異性体組成を解析し、燃焼系排出ガス、農薬及びPCB製品に含まれるダイオキシン類異性体組成と比較検討を行い、食品における汚染因子を推定した。
 個別食品試料を、魚介類として4種(魚(加工品含む)149試料、甲殻類・軟体動物(加工品含む)31試料、貝13試料及び海藻8試料)、食肉・乳製品類として4種(牛肉35試料、豚肉37試料、鶏肉・鶏卵45試料及び乳製品53試料)、野菜類として4種(果菜類14試料、穀物24試料、根菜類7試料及び葉菜類18試料)に分類し、各々のダイオキシン類異性体組成を解析した。
 魚介類、食肉・乳製品及び葉菜類のPCDD/Fs汚染については、燃焼系排ガス、過去に大量に使用された農薬(PCP、CNP)由来の不純物が汚染因子である可能性が高かった。葉菜類以外の野菜類及び穀物ではPCDD/Fs汚染における燃焼系排ガスの影響は小さく、農薬(PCP、CNP)由来の不純物が主要な汚染因子と疑われた。Co-PCBs汚染については、魚介類、食肉・乳製品において、過去に使用されたPCB製品(カネクロール)が主要な汚染因子と推定された。


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